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第1章
No.13
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「グルルルッ!」
赤い竜は、凄い怒りを露わにして虎擬きに唸る。
虎擬きは、ジリジリと赤い竜を見ながらゆっくりと背後に下がって逃げようとしていた。
「グルルルッ………ガァッ!」
だが、逃げるより先に赤い竜のその鋭い爪であっという間に引き裂かれた。虎擬きを引き裂いた竜は、ゆっくりと振り向いて綺麗な翠の瞳で私を見つめる。その鋭い爪から赤い血が雫になって地面に落ちているのに、私は目の前の赤い竜を不思議と怖いとは思わなかった。
「グルルル」
先程の唸り声とはどこか違う…そう、猫の甘えた時の様な鳴き声を出す赤い竜。
「…助けてくれてありがとう」
言葉が伝わるか分からないが、お礼を言う。
すると、赤い竜は私に顔を近付けて来る。思わずビクッと身体が強張る。だが、赤い竜が近付けた顔を甘えた様に私に押し付けるのを見て直ぐに力を抜く。
「…なんか可愛い」
私なんて簡単に飲み込める程、大きな竜に対する感想ではないのだがそう思ってしまう。
暫く竜の好きにさせていたが、お腹の鳴る音で目的を思い出した。
「そうだ。何が食料を…いっ!!」
立ち上がろうとして足首に鋭い痛みが走る。
(足首を怪我してるの忘れてた…)
余りの痛みに目に涙が浮かぶ。
「っ!?うわっ!」
その時、突然赤い竜が私を持ち上げて自身の手の中に囲い込む。潰さない様に配慮され作られた小さな手の檻。
「グルルル」
私に向かって、もう一度そう鳴くとその大きな翼を広げ飛び上がる。
「っ!………うわぁっ!」
驚いて閉じた目をゆっくり開くと、目の前に広がる青空と大地。地球とは違う朝日に照らされたその世界は、とても美しかった。
「凄い…」
竜の手の隙間からその景色を見ながら必死に何か帰る手掛かりがないか探す。だが、これといったものは見つからない。
「簡単には見つからないか…。それにしても、どこに向かってるんだろう?」
暫く飛んでいるうちに、先程の緊張の疲れもあっていつのまにか寝てしまった。
***
気が付くと、手の中で番が眠っていた。
(俺の手の中で眠ってくれた)
それは、俺に対して警戒していないという確かな事実。その事実に例えようもない嬉しさが込み上げて来る。
(それにしても、無事で良かった…)
番が魔物に襲われているのを見た時、恐ろしいまでの恐怖と怒りを覚えた。
ーー俺の番に何をしている!!
怒りで、あっという間に魔物を引き裂いた。そうしてゆっくりと振り返り、番を見つめる。
少年の様に短いが艶のある柔らかそうな綺麗な黒髪。そして、髪と同じ黒い瞳。
(黒い瞳?)
瞳は、綺麗な海の様なブルーだった筈。
「…助けてくれてありがとう」
疑問に思っていたが、番の柔らかな…それでいて凛とした綺麗な声が聞こえて来ると、その疑問もどこかに飛んで行った。
(なんて綺麗な声なんだ…)
思わず顔を近付け擦り寄る。
温かい体温にふわりと香る甘い匂い。
ーーあぁ、俺の番…ようやく会えた
赤い竜は、凄い怒りを露わにして虎擬きに唸る。
虎擬きは、ジリジリと赤い竜を見ながらゆっくりと背後に下がって逃げようとしていた。
「グルルルッ………ガァッ!」
だが、逃げるより先に赤い竜のその鋭い爪であっという間に引き裂かれた。虎擬きを引き裂いた竜は、ゆっくりと振り向いて綺麗な翠の瞳で私を見つめる。その鋭い爪から赤い血が雫になって地面に落ちているのに、私は目の前の赤い竜を不思議と怖いとは思わなかった。
「グルルル」
先程の唸り声とはどこか違う…そう、猫の甘えた時の様な鳴き声を出す赤い竜。
「…助けてくれてありがとう」
言葉が伝わるか分からないが、お礼を言う。
すると、赤い竜は私に顔を近付けて来る。思わずビクッと身体が強張る。だが、赤い竜が近付けた顔を甘えた様に私に押し付けるのを見て直ぐに力を抜く。
「…なんか可愛い」
私なんて簡単に飲み込める程、大きな竜に対する感想ではないのだがそう思ってしまう。
暫く竜の好きにさせていたが、お腹の鳴る音で目的を思い出した。
「そうだ。何が食料を…いっ!!」
立ち上がろうとして足首に鋭い痛みが走る。
(足首を怪我してるの忘れてた…)
余りの痛みに目に涙が浮かぶ。
「っ!?うわっ!」
その時、突然赤い竜が私を持ち上げて自身の手の中に囲い込む。潰さない様に配慮され作られた小さな手の檻。
「グルルル」
私に向かって、もう一度そう鳴くとその大きな翼を広げ飛び上がる。
「っ!………うわぁっ!」
驚いて閉じた目をゆっくり開くと、目の前に広がる青空と大地。地球とは違う朝日に照らされたその世界は、とても美しかった。
「凄い…」
竜の手の隙間からその景色を見ながら必死に何か帰る手掛かりがないか探す。だが、これといったものは見つからない。
「簡単には見つからないか…。それにしても、どこに向かってるんだろう?」
暫く飛んでいるうちに、先程の緊張の疲れもあっていつのまにか寝てしまった。
***
気が付くと、手の中で番が眠っていた。
(俺の手の中で眠ってくれた)
それは、俺に対して警戒していないという確かな事実。その事実に例えようもない嬉しさが込み上げて来る。
(それにしても、無事で良かった…)
番が魔物に襲われているのを見た時、恐ろしいまでの恐怖と怒りを覚えた。
ーー俺の番に何をしている!!
怒りで、あっという間に魔物を引き裂いた。そうしてゆっくりと振り返り、番を見つめる。
少年の様に短いが艶のある柔らかそうな綺麗な黒髪。そして、髪と同じ黒い瞳。
(黒い瞳?)
瞳は、綺麗な海の様なブルーだった筈。
「…助けてくれてありがとう」
疑問に思っていたが、番の柔らかな…それでいて凛とした綺麗な声が聞こえて来ると、その疑問もどこかに飛んで行った。
(なんて綺麗な声なんだ…)
思わず顔を近付け擦り寄る。
温かい体温にふわりと香る甘い匂い。
ーーあぁ、俺の番…ようやく会えた
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