どうやら私は竜騎士様の運命の番みたいです！！

第1章

No.11

「まだアルは…アルフォンス将軍は戻らないのか」
「はい。昨日の正午頃、突然早退すると言ったきり誰も行方を知りません」

ドランの報告に、バンラートは深い溜息をつく。

「一体、急にどうしたんだ…？」
「分かりません。ただ、西にあるミルドニア王国方面で赤い竜の目撃情報がありました」
「ミルドニアに…？いや、それより赤い竜って言ったか？」
「はい」
「アルは、一体何をしてるんだ？」

竜人は基本、人の姿で生まれ日々を人型で過ごす。
近年では、人型のまま一生を過ごす竜人もいると言われている。それ程に今の時代、竜の姿になる必要が無いのだ。そんなもう１つの姿である竜になるという事は、よっぽどの事があったという事。

「何があったと思う？」
「………確証がありませんが、アルフォンス将軍が行動する理由は２つです。１つは、国の為。そして、もう１つはーー」
「番かっ！」

（まさか…本当に？）

本当に番が現れたのだろうか？だが、それ以外にアルが動くなんて考えられない。

「今から少数の部隊を編成してアルフォンス将軍の後を追跡させろ。もし、本当に番を見つけたのならアルフォンス将軍が暴走しないよう見張らせろ」

（二度とアルが傷付かない様に…）

「わかりました。直ぐに部隊を編成します」

そう言って部屋を出るドラン。
バンラートは、そこで漸く安堵の溜息を吐き椅子にもたれかかる。

「…よかったな、アル」

18年間、後悔し続けるアルを見てきた。そんな友人がやっと幸せになるかも知れない。

「よし、大切な友人の為に頑張りますか」

友人が連れて来るであろう番の為に色々と準備を始めるバンラート。

（アルの番は人間だからな…）

強靭な肌を持つ竜人用の服では、人間である番の彼女の肌が傷付いてしまうだろう。その他にも、人間用の日用品などを用意し始める。

「…まぁ、アルが用意してないとは思え無いけどな」

18年間、番の誕生日に毎年プレゼントを用意していた男だ。いつ番が現れてもいい様に、準備は完璧だろう。

「俺からの祝いの品って事で！」

数日後、その祝いの品の数々の値段を国家予算から引き出したのがバレてドランに3日間、執務室に閉じ込められる事を彼はまだ知らない。