貴方の事を愛していました

ハルン

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ルークがキャロラインを見ていたのは勘違いだと、何度も自分に言い聞かせて数日後。ルークにエスコートを頼んでいた夜会の日がやって来た。

「お嬢様、終わりました」
「………」
「お嬢様?」
「あっ、ごめんなさい。うん、今日も素敵な髪型だわ。流石ラナね」
「ありがとうございます」
「…ルークは?」
「既に応接室でお待ちです」
「すぐに行くわ」

そう言ってルークの待つ応接室に向かいながらも、ミレーナは憂鬱な気分になっていた。

(ルークとキャロライン様の事が気になって仕方ない…)

ルークのキャロラインを見つめるあの表情。
何処か切ない様なそんなルークの表情を、ミレーナは見た事がなかった。

(こんなんじゃ駄目だわ。もし、今日の夜会でもルークがキャロライン様を見てたら、何故見てるのか尋ねよう)

もしかしたら、深い意味なんて無いのかも知れない。仮に、もし意味があったとしても聞かずにずっとあれこれ考えて悩み続けるのは嫌だ。

「そうよ、そうしよう」
「何をするんだい?」
「ひゃっ!?」

どうやら、あれこれ考えているうちに応接室の前に来ていたらしい。目の前には扉を開けて此方を不思議そうに見るルーク。

「な、何でも無いわ!」
「そう?部屋の前に来たのに中々入って来ないから不思議に思ったよ」
「み、身なりの最終確認をしてたの」
「いつも通り素敵だよ。じゃあ、行こうか」
「えぇ…」

エスコートとされ馬車に乗って会場に向かうまでの間、ミレーナはずっと気の所為である事を祈っていた。会場に着いてルークのエスコートの元、他の参加者に挨拶をしている時。

(っ!キャロライン様…)

キャロラインが夫と仲良く会場にやって来たのが見えた。

「キャロライン達も来たんだね。今は混んでるから、もう少ししたら挨拶に行こう」
「そうね」


(大丈夫、大丈夫…)


「フィオール侯爵、先日はありがとうございます」
「ルーク殿。あの程度の事は、大したことでは無いよ」
「ですが、フィオール侯爵がいて助かりました」
「そうよ、ちゃんと旦那様に感謝してよね」
「こら、キャロル」
「キャロラインは相変わらずだな」
「失礼しちゃうわ。ミレーナさん、この男はこう見えて腹黒だから気を付けてね」
「ミレーナに変な事を言うなよ」


(大丈夫、大丈夫…)


「それでは、私達はこれで」
「ルーク殿、また暇な時に話そう」
「ミレーナさん、今度お茶会でもしましょう。招待状を送るわね」
「はい、楽しみにしてます」

離れていくフィオール侯爵夫婦を見てから、そっと隣のルークを見た。

(大丈夫、大丈……)

ルークはまたあの切ない様な表情で、確かにキャロラインの事を見ていた。その瞬間、必死に考えない様にしていた事が一気に現実味を帯びたのをミレーナは感じた。



(ルークは、キャロライン様の事が好きなのかも知れない…)




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