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2章

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「カイル」

店の中に入って来たカイルは、私の側まで来ると殿下を睨み付ける。

「何故ここに居るんだ、グフィム」
「そんなに睨むなよ。俺、一応これでも王太子だよ?未来の王様だよ?」
「この国の未来は絶望的だな」

(あの真面目のカイルが…)

どうやらカイルは、かなり殿下が嫌いな様だ。

「カイル?」
「師匠、気を付けて下さい。この男に触られると妊娠します」
「マジか」

ついマジマジと目の前のイケメン王太子を見てしまう。

「いや、嘘だからね?普通に考えて有り得ないよ?」
「そう言われる程、お前の下半身が緩すぎるんだ」
「あ~」
「そこ、納得しないでっ!」

(これだけイケメンで、次期国王。そりゃあ、遊び放題だろうね)

全く失礼な…。
そう呟く殿下を横目に、店員に椅子をもう1つ用意してもらいカイルを横に座らせる。

「それでグフィムは何でここに居るんだ?」
「うん?あぁ、それはね。丁度街を歩いてた時、彼女を見つけたんだ。先日、ニースの報告にあった容姿の彼女をね」

にっこりとこちらに笑顔を向ける。

「だから、どんな女性なのか気になって」

しかし、その目はこちらを探る様に鋭い。

「…それで?私は殿下のお気に召しましたか?」
「当たり前です。師匠を認めない人間は、ただの無能かクズだけです」

…お前は少し黙ってろ。

「うん、君は大丈夫。君はカイルを利用する人間じゃない」
「当然だ」
「ハハッ!カイルがこんなに楽しそうなのは久し振りに見たよ」

そう言ってカイルを嬉しそうに見ている。

「おっと、俺はそろそろ戻らないと」
「早く帰れ」
「もっと寂しがってくれよ。代金は払っとくからゆっくりして行ってくれ。それと、たまには城に戻って来い」
「断る」
「アリア、城に来たら一流シェフの料理をご馳走するよ」
「カイル、たまには里帰りも大事だよ」
「明日にでも行きましょう」

あっさりと態度を変えるカイルを、グフィムは呆れた様に見る。

「それじゃあ、明日待ってるね」

そう言って、グフィムは帰って行った。

「それじゃあ、私達は王太子様の奢りで食べますか!」

私たちはその後、注文していた食事を全て食べてから買い物をして大人しく家に帰った。
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