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No.75 ミランダside
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サーシャがティミアと控え室に向かい、アランもミランダ達が招待客達と挨拶しているうちに何処かへと行ってしまった。
そうして、三十分程して漸く挨拶がひと段落する。
「ミランダ、疲れてないか?」
夫であるダリルがミランダに声をかける。
「えぇ、大丈夫よ。それより、私は彼方の御婦人達の所へ行ってくるわ」
そう言って、ミランダは食事コーナー辺りで集まり楽しそうに話をしている夫人達を見る。
「………何かあるのかい?」
「あの中心にいるディルーナ伯爵夫人が付けてるネックレスが見えるかしら」
ミランダの言葉に、ダリルは中心にいるふくよかな体型の夫人を見る。その胸元には、一目で高価だと分かるエメラルドの宝石のネックレスが照明の光で反射して輝いていた。
「随分と高価なネックレスだ。………しかし、不思議だな。ディルーナ伯爵家は、金巡りが悪く窮困していたと記憶しているが…」
「でしょ?それなのに、夫人は高価なネックレスをしている。あれは、王都でも有数の宝石店の物よ。見覚えがあるもの」
(数ある商品の中では、一番値段が安かったわ。それでも、窮困しているディルーナ伯爵が買える値段では無い筈よ)
それに、ネックレスだけでは無い。
身に付けているあらゆる物が以前とは違い、全てが高価な物になっている。
「だから、少し夫人とお話がしたくて」
「………そうだな。私も少しディルーナ伯爵と話がしたくなって来たよ」
「ふふっ、じゃあまた後で」
チュッとダリルの頬にキスをしてから、ミランダはディルーナ夫人の元へと向かった。
「それで、夫がその時に言ったのがーー」
「失礼、私も話に入れて下さらない?」
ディルーナ夫人の話の途中、ミランダが横から声をかける。すると、ディルーナ夫人他、数名の夫人達がミランダの登場に驚く。
「まぁ!アベルシュタイン夫人!」
「えぇ、どうぞ!」
「夫人とお話し出来るなんて嬉しいですわ!」
そうして話し出す彼女達の話を笑顔で聴きながら、チラリと会場に目を向ける。すると、夫のダリルがディルーナ伯爵と楽しそうにワイン片手に話しているのが見えた。酔いが回っているのか、顔を赤くしたディルーナ伯爵がペラペラと何かを話している。
(あっちは上手くいってるようね)
ならば、此方もそろそろ上手い具合に情報を引き出そう。そうして、ミランダは人を魅了する笑みを浮かべながら行動を開始するのだった。
そうして、三十分程して漸く挨拶がひと段落する。
「ミランダ、疲れてないか?」
夫であるダリルがミランダに声をかける。
「えぇ、大丈夫よ。それより、私は彼方の御婦人達の所へ行ってくるわ」
そう言って、ミランダは食事コーナー辺りで集まり楽しそうに話をしている夫人達を見る。
「………何かあるのかい?」
「あの中心にいるディルーナ伯爵夫人が付けてるネックレスが見えるかしら」
ミランダの言葉に、ダリルは中心にいるふくよかな体型の夫人を見る。その胸元には、一目で高価だと分かるエメラルドの宝石のネックレスが照明の光で反射して輝いていた。
「随分と高価なネックレスだ。………しかし、不思議だな。ディルーナ伯爵家は、金巡りが悪く窮困していたと記憶しているが…」
「でしょ?それなのに、夫人は高価なネックレスをしている。あれは、王都でも有数の宝石店の物よ。見覚えがあるもの」
(数ある商品の中では、一番値段が安かったわ。それでも、窮困しているディルーナ伯爵が買える値段では無い筈よ)
それに、ネックレスだけでは無い。
身に付けているあらゆる物が以前とは違い、全てが高価な物になっている。
「だから、少し夫人とお話がしたくて」
「………そうだな。私も少しディルーナ伯爵と話がしたくなって来たよ」
「ふふっ、じゃあまた後で」
チュッとダリルの頬にキスをしてから、ミランダはディルーナ夫人の元へと向かった。
「それで、夫がその時に言ったのがーー」
「失礼、私も話に入れて下さらない?」
ディルーナ夫人の話の途中、ミランダが横から声をかける。すると、ディルーナ夫人他、数名の夫人達がミランダの登場に驚く。
「まぁ!アベルシュタイン夫人!」
「えぇ、どうぞ!」
「夫人とお話し出来るなんて嬉しいですわ!」
そうして話し出す彼女達の話を笑顔で聴きながら、チラリと会場に目を向ける。すると、夫のダリルがディルーナ伯爵と楽しそうにワイン片手に話しているのが見えた。酔いが回っているのか、顔を赤くしたディルーナ伯爵がペラペラと何かを話している。
(あっちは上手くいってるようね)
ならば、此方もそろそろ上手い具合に情報を引き出そう。そうして、ミランダは人を魅了する笑みを浮かべながら行動を開始するのだった。
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