18 / 106
17
しおりを挟む
(本当に綺麗な場所ね。………所で、ティミアは何処かしら)
そう思いながら、薔薇園を歩いていると…。
「やっ、やめて下さい…!」
「!?」
奥の方から、ティミアの弱々しい叫び声が聞こえて来た。サーシャは、ドレスの裾をたくし上げて声の聞こえた方へと走り出す。
そうして、ティミアの声が聞こえた場所へ辿り着いたサーシャが見たものはーー。
「サ、サーシャ!」
「ん?誰だ?」
ティミアの長くてふわふわした髪を掴むサーシャ達と同じくらいの歳の男の子と、頭を押さえて蹲り涙目でこちらを見るティミアだった。
その光景を見た瞬間、サーシャはキレた。
「こんのクソガキが!!私の友達に何してやがんだ!」
「「!?」」
この時のサーシャを後のティミアは、「天使がいきなり日本のお面の鬼みたいな顔になった」と語る。
そんなことは露知らず、サーシャはティミアの髪を掴む男の子へと勢い良く駆け寄りドロップキックを決めた。
「ぐわっ……!」
男の子は、ティミアの髪から手を離し勢い良く後方へと吹き飛ぶ。そんな男の子には目もくれず、サーシャはティミアへと駆け寄る。
「ティミアっ!大丈夫?怪我してない?」
「う、うん。私は平気。でも、あの男の子が…」
チラチラと吹き飛んで動かない男の子を、ティミアは心配そうに見つめる。そんなティミアを「ティミア、優しい子!」と思いながらもバッサリと言い切る。
「あんなの気にしなくて良いわよ。それよりも、何があったの?」
「えっと…。私、人に酔っちゃって此処で休んでたの。そしたら、あの男の子が来てーー」
***
『ふぅ~。此処は落ち着くなぁ…』
『おい!此処で何をしている』
『っ!?』
『ん?お前は…』
『あ、あの….(どうしようっ!緊張して声が出ない!)』
『何だ?喋るならちゃんと話せよ!』
『え、えっと…、その…(怖い…!誰か助けて…)』
『おいっ!オレをちゃんと見ろ!』
『きゃっ……!』
***
「それで髪を掴まれた時に、サーシャが来てくれたの」
その話を聞いてサーシャは無言で立ち上がると、スタスタと未だ倒れている男の子に近寄る。そうして、ゴロンと足で男の子を仰向けにする。
「サ、サーシャ!?何する気なの!?」
足でそんな事をするサーシャに、ティミアが驚いた様に叫ぶ。
「大丈夫。ティミアは何の心配もしなくて良いから」
そう言ってにっこりと笑ったサーシャは、次の瞬間男の子をのお腹に足を乗せる。
「………おい、起きてんだろ?寝たフリとはいい度胸じゃねーか」
ティミアには聞こえない様に声を小さくしながら、ドスの効いた声で足元にいる男の子に声をかける。すると、「ビクッ!」とした振動が足から伝わると共に、男の子の顔が青くなりだらだらと汗をかき始めた。そんな男の子を見ながら、サーシャは彼に向かって普段の愛らしい声で話しかける。
「あら?起きなくてよろしいんですか?ひよこパンツをお履きの第二王子殿下」
その言葉に、勢い良くひよこパンツーー否、第二王子ガダルは目を開けたのだった。
そう思いながら、薔薇園を歩いていると…。
「やっ、やめて下さい…!」
「!?」
奥の方から、ティミアの弱々しい叫び声が聞こえて来た。サーシャは、ドレスの裾をたくし上げて声の聞こえた方へと走り出す。
そうして、ティミアの声が聞こえた場所へ辿り着いたサーシャが見たものはーー。
「サ、サーシャ!」
「ん?誰だ?」
ティミアの長くてふわふわした髪を掴むサーシャ達と同じくらいの歳の男の子と、頭を押さえて蹲り涙目でこちらを見るティミアだった。
その光景を見た瞬間、サーシャはキレた。
「こんのクソガキが!!私の友達に何してやがんだ!」
「「!?」」
この時のサーシャを後のティミアは、「天使がいきなり日本のお面の鬼みたいな顔になった」と語る。
そんなことは露知らず、サーシャはティミアの髪を掴む男の子へと勢い良く駆け寄りドロップキックを決めた。
「ぐわっ……!」
男の子は、ティミアの髪から手を離し勢い良く後方へと吹き飛ぶ。そんな男の子には目もくれず、サーシャはティミアへと駆け寄る。
「ティミアっ!大丈夫?怪我してない?」
「う、うん。私は平気。でも、あの男の子が…」
チラチラと吹き飛んで動かない男の子を、ティミアは心配そうに見つめる。そんなティミアを「ティミア、優しい子!」と思いながらもバッサリと言い切る。
「あんなの気にしなくて良いわよ。それよりも、何があったの?」
「えっと…。私、人に酔っちゃって此処で休んでたの。そしたら、あの男の子が来てーー」
***
『ふぅ~。此処は落ち着くなぁ…』
『おい!此処で何をしている』
『っ!?』
『ん?お前は…』
『あ、あの….(どうしようっ!緊張して声が出ない!)』
『何だ?喋るならちゃんと話せよ!』
『え、えっと…、その…(怖い…!誰か助けて…)』
『おいっ!オレをちゃんと見ろ!』
『きゃっ……!』
***
「それで髪を掴まれた時に、サーシャが来てくれたの」
その話を聞いてサーシャは無言で立ち上がると、スタスタと未だ倒れている男の子に近寄る。そうして、ゴロンと足で男の子を仰向けにする。
「サ、サーシャ!?何する気なの!?」
足でそんな事をするサーシャに、ティミアが驚いた様に叫ぶ。
「大丈夫。ティミアは何の心配もしなくて良いから」
そう言ってにっこりと笑ったサーシャは、次の瞬間男の子をのお腹に足を乗せる。
「………おい、起きてんだろ?寝たフリとはいい度胸じゃねーか」
ティミアには聞こえない様に声を小さくしながら、ドスの効いた声で足元にいる男の子に声をかける。すると、「ビクッ!」とした振動が足から伝わると共に、男の子の顔が青くなりだらだらと汗をかき始めた。そんな男の子を見ながら、サーシャは彼に向かって普段の愛らしい声で話しかける。
「あら?起きなくてよろしいんですか?ひよこパンツをお履きの第二王子殿下」
その言葉に、勢い良くひよこパンツーー否、第二王子ガダルは目を開けたのだった。
10
お気に入りに追加
4,072
あなたにおすすめの小説
陛下から一年以内に世継ぎが生まれなければ王子と離縁するように言い渡されました
夢見 歩
恋愛
「そなたが1年以内に懐妊しない場合、
そなたとサミュエルは離縁をし
サミュエルは新しい妃を迎えて
世継ぎを作ることとする。」
陛下が夫に出すという条件を
事前に聞かされた事により
わたくしの心は粉々に砕けました。
わたくしを愛していないあなたに対して
わたくしが出来ることは〇〇だけです…
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
忘れられた妻
毛蟹葵葉
恋愛
結婚初夜、チネロは夫になったセインに抱かれることはなかった。
セインは彼女に積もり積もった怒りをぶつけた。
「浅ましいお前の母のわがままで、私は愛する者を伴侶にできなかった。それを止めなかったお前は罪人だ。顔を見るだけで吐き気がする」
セインは婚約者だった時とは別人のような冷たい目で、チネロを睨みつけて吐き捨てた。
「3年間、白い結婚が認められたらお前を自由にしてやる。私の妻になったのだから飢えない程度には生活の面倒は見てやるが、それ以上は求めるな」
セインはそれだけ言い残してチネロの前からいなくなった。
そして、チネロは、誰もいない別邸へと連れて行かれた。
三人称の練習で書いています。違和感があるかもしれません
私が死んだあとの世界で
もちもち太郎
恋愛
婚約破棄をされ断罪された公爵令嬢のマリーが死んだ。
初めはみんな喜んでいたが、時が経つにつれマリーの重要さに気づいて後悔する。
だが、もう遅い。なんてったって、私を断罪したのはあなた達なのですから。
婚約者の心の声が聞こえるようになったが手遅れだった
神々廻
恋愛
《めんどー、何その嫌そうな顔。うっざ》
「殿下、ご機嫌麗しゅうございます」
婚約者の声が聞こえるようになったら.........婚約者に罵倒されてた.....怖い。
全3話完結
心の声が聞こえる私は、婚約者から嫌われていることを知っている。
木山楽斗
恋愛
人の心の声が聞こえるカルミアは、婚約者が自分のことを嫌っていることを知っていた。
そんな婚約者といつまでも一緒にいるつもりはない。そう思っていたカルミアは、彼といつか婚約破棄すると決めていた。
ある時、カルミアは婚約者が浮気していることを心の声によって知った。
そこで、カルミアは、友人のロウィードに協力してもらい、浮気の証拠を集めて、婚約者に突きつけたのである。
こうして、カルミアは婚約破棄して、自分を嫌っている婚約者から解放されるのだった。
あなたが望んだ、ただそれだけ
cyaru
恋愛
いつものように王城に妃教育に行ったカーメリアは王太子が侯爵令嬢と茶会をしているのを目にする。日に日に大きくなる次の教育が始まらない事に対する焦り。
国王夫妻に呼ばれ両親と共に登城すると婚約の解消を言い渡される。
カーメリアの両親はそれまでの所業が腹に据えかねていた事もあり、領地も売り払い夫人の実家のある隣国へ移住を決めた。
王太子イデオットの悪意なき本音はカーメリアの心を粉々に打ち砕いてしまった。
失意から寝込みがちになったカーメリアに追い打ちをかけるように見舞いに来た王太子イデオットとエンヴィー侯爵令嬢は更に悪意のない本音をカーメリアに浴びせた。
公爵はイデオットの態度に激昂し、処刑を覚悟で2人を叩きだしてしまった。
逃げるように移り住んだリアーノ国で静かに静養をしていたが、そこに1人の男性が現れた。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※胸糞展開ありますが、クールダウンお願いします。
心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。イラっとしたら現実に戻ってください。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
妹がいなくなった
アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。
メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。
お父様とお母様の泣き声が聞こえる。
「うるさくて寝ていられないわ」
妹は我が家の宝。
お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。
妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる