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チラチラと他の貴族の子供達に見られながらもティミアと話していると、会場の前方に燕尾服を着た男性が現れた。
「只今より、ミレーヌ王妃様と第二王子ガダル様がお越しです」
その言葉と共に、サーシャ達が使用した扉とは別の一際豪華な扉が開く。すると、四人の騎士に囲まれた一人の女性とサーシャ達と同じ年頃の男の子が会場にやって来た。
(あの方がミレーヌ様。初めて見るけど、側にいると安らぐ事の出来るとても優しそうな方だなぁ。陛下が、一人も側室を迎えずミレーヌ様だけを寵愛してるのも頷ける)
金の髪に神秘的な紫の瞳の王妃ミレーヌ様は、とても優しそうなお方だった。そうして、大人や子供達の前にやって来ると、王妃様は美しい笑顔を浮かべて口を開いた。
「皆さん、本日は私のお茶会においで下さりありがとう。本日は、そろそろ第二王子であるガダルに素敵なお友達が出来ればと思い開いたお茶会です。他にも、他国から取り寄せた珍しい紅茶やお菓子も沢山のありますので、堅苦しい事は抜きにして本日のお茶会を楽しんで下さい」
そう言って、用意されていた席にミレーヌとガダルは座る。すると、直ぐに貴族達が挨拶に向かう。
「あっ、お父様が呼んでる。ごめんね、サーシャ。私、挨拶に行かなきゃ」
「仕方ないわ。普通、挨拶は高位の貴族からするのが当たり前だもの。この場で1番高い地位のトールディン公爵から挨拶するのは当然よ。私も、直ぐに挨拶に行くから大丈夫よ」
「うん。サーシャの挨拶が終わるまで、此処で待ってるね」
「えぇ」
父親であるトールディン公爵の元へ向かうティミアを見ながら、自身も挨拶の準備をする為に父親の元へ向かう。他の貴族の大人より凛々しい美貌を持つ美しいダリルは、直ぐに見つかった。ダリルの周りの大人達が男女関係無く、頬を染めダリルを見つめているからだ。
(流石、お父様。その美貌のお陰で、何処にいても直ぐに分かるわ…)
「お父様」
自身の元へやって来た可愛い天使を見て、ダリルは大人同士の話を切り上げてサーシャを抱き上げる。最早いつものことなので、サーシャは気にしない。
「お帰りサーシャ。お友達は出来たかい?」
「はい!とても可愛らしいお友達が出来ました。トールディン公爵家のティミア様なんですけど」
「あぁ、ジルロの所の娘さんだね」
(ジルロ?それって、トールディン公爵様の事よね?)
格上の相手を敬称も無しに名前呼び。それは、よほど親しく無いとあり得ない事だ。
「知っているのですか?」
「勿論。私とジルロは、学生時代からの付き合いなんだよ。………そうか、彼の娘さんと友達になったのか。彼の家族は、皆んなとても素晴らしい人達なんだよ。私の可愛い天使は、人を見る目があるね」
嬉しそうに笑うダリルに、サーシャも笑顔を見せる。家族に、自身の友達の事を褒められるのはとても嬉しい。
「次は、アベルシュタイン侯爵家当主ダリル様と御息女サーシャ様」
「おっと、もう私達の番か。…では、王妃様達に挨拶に行こうか」
「はい」
サーシャを下ろしダリルがそう話す。それに対して、緊張もせずに返事をする娘に彼は笑った。そうして、サーシャと共に王妃達の居る場所へと向かったのだった。
「只今より、ミレーヌ王妃様と第二王子ガダル様がお越しです」
その言葉と共に、サーシャ達が使用した扉とは別の一際豪華な扉が開く。すると、四人の騎士に囲まれた一人の女性とサーシャ達と同じ年頃の男の子が会場にやって来た。
(あの方がミレーヌ様。初めて見るけど、側にいると安らぐ事の出来るとても優しそうな方だなぁ。陛下が、一人も側室を迎えずミレーヌ様だけを寵愛してるのも頷ける)
金の髪に神秘的な紫の瞳の王妃ミレーヌ様は、とても優しそうなお方だった。そうして、大人や子供達の前にやって来ると、王妃様は美しい笑顔を浮かべて口を開いた。
「皆さん、本日は私のお茶会においで下さりありがとう。本日は、そろそろ第二王子であるガダルに素敵なお友達が出来ればと思い開いたお茶会です。他にも、他国から取り寄せた珍しい紅茶やお菓子も沢山のありますので、堅苦しい事は抜きにして本日のお茶会を楽しんで下さい」
そう言って、用意されていた席にミレーヌとガダルは座る。すると、直ぐに貴族達が挨拶に向かう。
「あっ、お父様が呼んでる。ごめんね、サーシャ。私、挨拶に行かなきゃ」
「仕方ないわ。普通、挨拶は高位の貴族からするのが当たり前だもの。この場で1番高い地位のトールディン公爵から挨拶するのは当然よ。私も、直ぐに挨拶に行くから大丈夫よ」
「うん。サーシャの挨拶が終わるまで、此処で待ってるね」
「えぇ」
父親であるトールディン公爵の元へ向かうティミアを見ながら、自身も挨拶の準備をする為に父親の元へ向かう。他の貴族の大人より凛々しい美貌を持つ美しいダリルは、直ぐに見つかった。ダリルの周りの大人達が男女関係無く、頬を染めダリルを見つめているからだ。
(流石、お父様。その美貌のお陰で、何処にいても直ぐに分かるわ…)
「お父様」
自身の元へやって来た可愛い天使を見て、ダリルは大人同士の話を切り上げてサーシャを抱き上げる。最早いつものことなので、サーシャは気にしない。
「お帰りサーシャ。お友達は出来たかい?」
「はい!とても可愛らしいお友達が出来ました。トールディン公爵家のティミア様なんですけど」
「あぁ、ジルロの所の娘さんだね」
(ジルロ?それって、トールディン公爵様の事よね?)
格上の相手を敬称も無しに名前呼び。それは、よほど親しく無いとあり得ない事だ。
「知っているのですか?」
「勿論。私とジルロは、学生時代からの付き合いなんだよ。………そうか、彼の娘さんと友達になったのか。彼の家族は、皆んなとても素晴らしい人達なんだよ。私の可愛い天使は、人を見る目があるね」
嬉しそうに笑うダリルに、サーシャも笑顔を見せる。家族に、自身の友達の事を褒められるのはとても嬉しい。
「次は、アベルシュタイン侯爵家当主ダリル様と御息女サーシャ様」
「おっと、もう私達の番か。…では、王妃様達に挨拶に行こうか」
「はい」
サーシャを下ろしダリルがそう話す。それに対して、緊張もせずに返事をする娘に彼は笑った。そうして、サーシャと共に王妃達の居る場所へと向かったのだった。
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