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サーシャが考え込んでいると、アランが父ダリルに尋ねる。

「父様。そのお茶会、絶対に参加しなくちゃ駄目なの?こんなに可愛いサーシャがお茶会に行ったら、絶対に第二王子の目に留まってしまうよ」
「………確かに。私のサーシャは世界一可愛いからな」
「そうね。………どうしましょう。サーシャが王子の婚約者に選ばれたら…」

そんなミランダの言葉に、ダリルが椅子から勢い良く立ち上がる。

「娘は嫁にはやらない!サーシャは、何処にもやらないからな!」
「そうだよ。サーシャは、ずっとこの家に居たらいいんだよ」
「そうね。私も、それに賛成だわ」

(………いや、待ってください)

何故、家族揃ってサーシャを嫁に出さない事を決定しているのだ。

ーー私は嫌だ。

結婚適齢期を過ぎても、働きもせずに家から出ないなんて。何より、家督を継ぐ兄の未来の妻と同棲?

(何それ。一体、何の拷問ですか?)

いつの世でも、嫁姑・小姑問題は複雑で大変だと決まっている。

(何より、私が第二王子に選ばれるとは限らないし…)

家族や使用人達は、サーシャを可愛いと言う。確かに、今世のサーシャは可愛いと思う。….だが、それは当たり前だと思う。サーシャは、自身の家族を見る。

(………うん。驚く程、美形だ)

基本、貴族は美形だと思う。
権力のある者は、美しい女性を娶る。そうすると、生まれてくるのは美形が多い。美形が美形と結婚して、更に美形が生まれる。そうすれば、自ずと貴族は美形が多くなる。

その中でも、サーシャの両親はかなりの美形だと思う。凛々しい父と、妖艶な母。兄も、将来美形になる事が確実な顔立ちだ。そんな両親の元に生まれたサーシャも、とても可愛らしい顔立ちだ。

ーーしかし、だからと言って第二王子に選ばれるかと言われれば否だ。

確かに、サーシャは可愛い。だが、それは他の貴族の子もそうだと言える。サーシャは、未だ歳の近い女の子を見た事がないが、自身より可愛い子など幾らでも居ると思っている。



井の中の蛙、大海を知らず。



まさに、今のサーシャに相応しい言葉と思う。今のサーシャは、井の中の蛙だ。前世の記憶が無ければ、自身が一番可愛い女の子だと思う痛い子だったかもしれない。

(前世の記憶があって、本当に良かった)

これで日本の小説にある様な、ある日突然記憶が蘇る悪役令嬢みたいな感じだったら最悪だと思う。そう言う時に限って、記憶が蘇る前に色々やらかしていて、必死に破滅フラグを回避する羽目になるのだ。………そう、前世でファンタジー小説が好きだった極妻仲間の親友が言っていた。

(………とにかく、私が選ばれる可能性は限り無く低いって事)

そう心の中で判断して、未だ騒ぐ家族を横目に、本日のお菓子を楽しむのだった。


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