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香りを楽しんでから紅茶を一口飲んで、ダリルがサーシャに向かって話しかける。
「そうだ。サーシャに招待状が届いているんだ」
「招待状?」
サーシャは、不思議そうに首を傾げる。その可愛らしい愛娘の姿に、ダリルは胸を押さえる。
(招待状?一体、誰から?)
自分で言うのも悲しいが、現在サーシャには友達が居ない。別に、断じてサーシャの性格が悪過ぎて友達が居ないのでは無い。ただ、アベルシュタイン侯爵家の近くに、サーシャと歳の近い子供が居ないのだ。
それに、過保護な家族達が「うちの可愛いサーシャが誘拐されたり、何処ぞの男に見初められちゃう!」っと、おかしな事を言ってサーシャを滅多に外に出してくれないのだ。お陰で、この歳(5歳)になっても友達一人いない寂しい少女なのである。
「お父様、誰からの招待状ですか?」
サーシャは、心当たりが無いままダリルに尋ねる。
「招待状は、サーシャと同い年の第二王子様とのお茶会の招待状だよ。まぁ、要するに歳の近い子供達を集めて、未来の第二王子の側近を見つけるのが目的のお茶会だね。まだ邪な感情が無い子供達を今のうちに選別しておくのが、一番だからね」
(いや、そんな大人の裏事情を5歳の子供に話さないで欲しい…)
正直、そんな話は子供にするべきでは無いと思う。サーシャが前世の記憶を持っているからまだいいが、普通な子供なら人間不信に陥るかもしれない案件だと思う。
「それに、第二王子の未来の婚約者を見定める場も兼ねているのよ」
ダリルの言葉に続き、ミランダが話し出す。
「婚約者を見定める?」
「えぇ。男の子は、未来の側近候補。そして、歳の近い女の子は未来の婚約者候補。そうやって、王族の方は小さい頃から側近や婚約者候補達を探すのよ」
「それじゃあ、アランお兄様は?」
アランは、サーシャの3つ上で9歳になる。それに、頭も良く運動も出来てしかも顔も良い。それならば、第二王子のお茶会に呼ばれてもおかしくは無いと思うのだが….。
「僕は、第一王子と同い年だからね。何年か前に、第一王子のお茶会に呼ばれてるんだよ」
「アランは、その時に第一王子の側近として選ばれたんだよ」
「あの時は、本当に驚いたわ。まさか、アベルシュタインの人間が側近に選ばれるなんて思わなかったもの」
「そうだね。よく、アベルシュタインの者が第一王子の側近になる事を国王陛下が許したよ」
その言葉に、サーシャは首を傾げる。
(我が家の者は、王族の方の側近になれない何らかの理由があるのかな?)
何処からどう見ても、兄アランは優秀な子供だと前世の記憶を持つサーシャは強く思う。それなのに、両親達はアランが選ばれるとは思っていなかった。それがとても不思議だった。
(なんだろう?派閥とか権力争い的な問題なのかな?)
幾ら考えても、サーシャには分からなかった。
「そうだ。サーシャに招待状が届いているんだ」
「招待状?」
サーシャは、不思議そうに首を傾げる。その可愛らしい愛娘の姿に、ダリルは胸を押さえる。
(招待状?一体、誰から?)
自分で言うのも悲しいが、現在サーシャには友達が居ない。別に、断じてサーシャの性格が悪過ぎて友達が居ないのでは無い。ただ、アベルシュタイン侯爵家の近くに、サーシャと歳の近い子供が居ないのだ。
それに、過保護な家族達が「うちの可愛いサーシャが誘拐されたり、何処ぞの男に見初められちゃう!」っと、おかしな事を言ってサーシャを滅多に外に出してくれないのだ。お陰で、この歳(5歳)になっても友達一人いない寂しい少女なのである。
「お父様、誰からの招待状ですか?」
サーシャは、心当たりが無いままダリルに尋ねる。
「招待状は、サーシャと同い年の第二王子様とのお茶会の招待状だよ。まぁ、要するに歳の近い子供達を集めて、未来の第二王子の側近を見つけるのが目的のお茶会だね。まだ邪な感情が無い子供達を今のうちに選別しておくのが、一番だからね」
(いや、そんな大人の裏事情を5歳の子供に話さないで欲しい…)
正直、そんな話は子供にするべきでは無いと思う。サーシャが前世の記憶を持っているからまだいいが、普通な子供なら人間不信に陥るかもしれない案件だと思う。
「それに、第二王子の未来の婚約者を見定める場も兼ねているのよ」
ダリルの言葉に続き、ミランダが話し出す。
「婚約者を見定める?」
「えぇ。男の子は、未来の側近候補。そして、歳の近い女の子は未来の婚約者候補。そうやって、王族の方は小さい頃から側近や婚約者候補達を探すのよ」
「それじゃあ、アランお兄様は?」
アランは、サーシャの3つ上で9歳になる。それに、頭も良く運動も出来てしかも顔も良い。それならば、第二王子のお茶会に呼ばれてもおかしくは無いと思うのだが….。
「僕は、第一王子と同い年だからね。何年か前に、第一王子のお茶会に呼ばれてるんだよ」
「アランは、その時に第一王子の側近として選ばれたんだよ」
「あの時は、本当に驚いたわ。まさか、アベルシュタインの人間が側近に選ばれるなんて思わなかったもの」
「そうだね。よく、アベルシュタインの者が第一王子の側近になる事を国王陛下が許したよ」
その言葉に、サーシャは首を傾げる。
(我が家の者は、王族の方の側近になれない何らかの理由があるのかな?)
何処からどう見ても、兄アランは優秀な子供だと前世の記憶を持つサーシャは強く思う。それなのに、両親達はアランが選ばれるとは思っていなかった。それがとても不思議だった。
(なんだろう?派閥とか権力争い的な問題なのかな?)
幾ら考えても、サーシャには分からなかった。
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