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No.4 異世界あるある?若返る

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ミラの夫であるジェフは、とても大柄な男性だった。聞けば、この町の警備隊のリーダーだと言う。寡黙なジェフは、オドオドしているが元気そうな莉緒を見てコクリと一つ頷いて部屋を出て行った。

「ーーじゃあ、リオは名前以外何も覚えて無いんだね?」
「は、はい」

ミラの言葉に、莉緒は頷く。

(どうしよう…。間違い無く、地球で私は死んだと思う。だから、元の世界には帰らないよね…)

そして、此処はあの世でも無いらしい。
つまりは、莉緒は此処で生きていかなくてはならないのだ。

(せめて、仕事と住む場所を教えてもらおう。私は、もう25歳で大人。自分の事は、自分でしなくちゃ)

だが、出来れば余り人目につかない仕事が希望だ。
そう考えていた莉緒の耳に、信じられない言葉が聞こえて来た。

「まぁ、何にせよ子供をこのまま一人放置する訳にはいかないからね」
「………え?」

(子供?誰が?)

日本人は外国人に幼く見られがちだが、そのせいで子供だと思われているのだろうか?

「あ、あのぅ!」
「ん?何だい?」
「わ、わわ、私、大人…ですっ!」

人見知りを発揮しながらも、何とか言い切る。
しかし、ミラはカラカラと笑いながらその言葉を否定する。

「はははっ!何言ってんだい!どっからどう見ても、10代半ばくらいの年だろ?ほら、自分の顔をよく見てみな」

そう言って、ミラは側に置いてあった水の張った桶を莉緒に差し出す。莉緒は、それを受け取り水面に映った自身の顔を見て驚愕した。

「えっ!?」

そこには、記憶にある自身の顔よりもかなり幼くなった自身の顔があった。

(これって、15歳くらいの時の顔じゃあ…!?)

「ほらね?まさか、自分の顔まで忘れちまったのかい?リオは、本当におっちょこちょいだね」

自身の顔を忘れるなんておっちょこちょいで済ませられないと思うが、莉緒は反論する事は出来なかった。

(これじゃあ、大人って言っても誰も信じてくれないよ…)

それよりも、大人で無かったら働く事も出来ないかも知れない。

「まぁ、今日は色々と疲れてるだろうからゆっくりと休みな。今後の事は、また後で話そうね」
「はい」

その言葉に、莉緒は有り難く頷く。
そうしてミラも部屋を出ると莉緒は部屋で一人、今後の事を必死に考えるのだった。


*********


男は、必死になってとある人物を探していた。

(クソッ!一体、何処に行ったんだ…!)

その男は、莉緒に魔女の力で囚われた男だった。あの後、莉緒の言葉に従って彼女を安全な場所に連れて行く途中に、男は莉緒と逸れてしまったのだ。

「クソッ!あの時、そばを離れるんじゃ無かった…」

途中、もしも莉緒が目覚めた時の為にと莉緒を近くの木に預けて果物と水を取りに行ったのだ。何かあれば直ぐに駆け付けられる距離だった為に、男は油断したのだ。

(まさか、ご主人様が一人で何処かに行くとは思ってなかったな)

戻った時には、そこに男の大切な主人は居なくなっていた。最初は誰かに連れ去られたのかと思ったが、主人の物と思われる一人分の足跡が森の方に続いていたのだった。

「ご主人様っ!!」

男は、必死になって己の主人となった名も知らぬ魔女を探し続けるのだった。


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