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魔法学園編

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「それと、カイル様にも感謝しています」
「カイルが上手くやってくれた様で良かったです」

図書館でカイルに頼んだ事。
それは、王家から借りた状態異常無効化の貴重な魔道具を使ってヨハンの魅了を解除する事だ。

基本、レティナの取り巻きと化しているヨハンの魅了をレティナ達に知られずに解除する事は、正直かなり難しかった。

そこで、カイルの出番である。

勇者としての異常耐性と身体能力を駆使して、ヨハンの部屋に忍び込んで貰ったのだ。そうして、魔道具を使ってヨハンの魅了を解除してもらった。

「流石に、深夜の暗闇の中に突然部屋の中に立っていた時は、心臓が止まるかと思う程に驚きましたけどね」
「そ、それは……確かに驚きますね」

(怖っ!カイル、流石にそれは怖すぎるよ…!)

仮に、アリアが同じ事をされたら恐怖と驚きの余りに、咄嗟に極大魔法を放ってしまうかもしれない。

「……まぁ、そうしなければ以前の私はあの女から離れなかったのだから仕方無いですけどね。一瞬でも、あんな女に夢中になっていた自分が心底恥ずかしいです」
「お気持ち、お察しします」

心底嫌そうなヨハンには、酷く同情する。
だが、そんなヨハンに更に酷な事を言わねばならない。

「………実は、ヨハン様にお願いがあります」
「……なんだか、凄く嫌な予感がするよ」
「どうか、全てが終わるまで彼女に魅了された振りをしてくれませんか?」

アリアの言葉に、ヨハンは今まで浮かべていた親しげな笑みを一瞬で消した。そして、公爵家次期当主としての大人びた表情を浮かべた。

「………理由を聞こうか」
「今回、あの少女がどうやって魅了の魔道具を手に入れたのか詳しく調べなければ行けません。そして、ヨハン様達を狙ったのは誰かの指示があったのか。それらを調べるのに、ヨハン様の魅了が解かれているのを気付かれるのは避けたいのです」
「………なるほど。それなのに私にかかった魅了を解いたのは、私にあの女を探らせる為ですか」
「はい」

正直、ヨハンがこの提案を受けてくれる確率は低い。誇り高い次期公爵であるヨハンに、屈辱を感じる事を更に続けて欲しいとお願いしているのだから。

(駄目だったら、どうにか事が終わるまで学園を休んでもらうしか無いな…)

「わかりました」

そう思ったが、ヨハンの返事は了承だった。

「自分から頼んでおいて何ですが、いいんですか?」
「ええ、貴女には助けてもらいましたから。それに、貸は作っても借りは余り作りたく無いんです」
「では、よろしくお願いします!」

ヨハンの協力を取り付ける事が出来たアリアは、上機嫌に改めてお願いするのだった。





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