（新）師匠、弟子にして下さい！〜その魔女、最強につき〜

魔法学園編

18

「ーーなるほど」

話を聞き終えて、アリアが思った事はたった一つ。

（私の想像以上にヤバい子だったっ！）


ダダンに聞いた内容はこうだ。

アリアと魔法契約を交わした後、全ての仕事を終えて寮に帰ろうとしていた所に例の少女と廊下の角で鉢合わせた。転んだ少女に手を貸して起き上がらせるのを手伝いながら、「丁度いい」と思いさり気無く素顔を晒してたらし込みに入ったダダン。

＊＊＊

『ごめんね、大丈夫？確か…君はレティナ嬢だよね？』
『は、はいっ！ダダン先生、私の事知ってたんですね！』

『勿論だよ。こんな可愛い女性を知らない男なんていないよ』
『そうですか？フフッ！やっぱり、私って可愛過ぎますよね？だって私は、この世界のヒロインだもの！誰よりも可愛いのは当然なんです！』

『そ、そうなんだ…。んんっ…！それより、君を転ばしてしまったお詫びに、今度食事を奢らせてくれないか？場所はーー』
『あっ、それって王都で有名なレストラン「ディーロン」ですよね！』

『えっ、うん。そうだけど、よく分かったね…』
『だって、ダダン先生ってヒロインを食事に誘うイベントではそこに誘うから！』

『ヒロイン？イベント…？』
『フフッ！朝はなんだか変な女にぶつかってイベントが起こらなくてバグかなって思ったけど、私の勘違いだったのね』

『な、なんだかよく分からないけど、食事してくれるんだよね？』
『勿論ですよ！』

『良かったよ。じゃあ予定はーー』
『明日の放課後ですよね？あっ！私、ダダン先生のお気に入りのイベントで着てきた茶色の礼服よりも、紺色の礼服の方が好きなんです！だから、そっちを来て欲しいです。それと、ダダン先生の持ってるブルーサファイアの指輪！イベントに必要だからちゃんと付けてきてくださいね？』

『な、なぁ……。何で俺の持ってる服とか、指輪の事を知ってるんだ…？』
『そんなの、私がこの世界で誰よりも愛されるヒロインだからに決まってるじゃないですか！』

＊＊＊

「怖い、マジで怖いっ！何で俺の持ち物や行きつけの店を知ってるんだよ！そもそも、何であんなヤバい奴の相手をさせるんだよっ！俺がどんだけ怖かったか分かってんのか！？」
「その点に関しては、非常に申し訳ない…」
「それなら、辞めさせてくれ！」
「あっ、それは無理です」

本当に心から申し訳ないと思うが、それと此れとは話が別である。
キッパリと拒否するアリアに、ダダンは絶望の表情を浮かべるのだった。