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魔法学園編

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「………と言うわけで、餌をカイルからダダン先生に変える事にしたから」
「そうですか」

本を指示された通りに並べるアリアの言葉に、カイルは心底ホッとした表情を浮かべる。

あの後、きちんと昼食を食べたアリア。
午後の授業の予定は無かったので、アリアは図書室の雑用の仕事を頼まれた。学園内にあるかなり大きな図書館には、現在腰を痛めている若い男性の司書が一人いる。その司書の代わりに、返却された本の整理を頼まれたのだ。

その人目につかない時間帯と場所を利用して、カイルに現状報告をしている最中である。

「それにしても、カイルを警備兵として学園に入れたのは正解だったね。学園内の些細な変化も直ぐわかるし、こうして現状報告する為に何処に呼び出しても警備しているだけだと思われるしね」
「そうですね。まぁ、師匠の言葉に間違いがあるわけありませんから」
「そ、そう…?」

そのアリアへの謎の絶対的信頼は、一体何処から来るのか本当に不思議である。

(これで少しでも間違ってたら、背後から斬りかかられるんじゃ…)

背後から無表情で斬りかかるカイルを想像をして、恐る恐るカイルを見る。

「?どうかしたんですか?」
「………何でもない」

今後は、カイルに何か話したり任せたりする時は色々慎重に発言しようと決意する。

「とにかく、今後彼女に会っても無視して良いから」
「それは物凄く嬉しいですが、本当にいいんですか?」
「うん。その代わり、カイルには別の事を頼みたいの」
「別の事…ですか?」

不思議そうなカイルに、アリアはある物を渡す。そうして、より一層近づいて耳元で指示を出す。

「ーーて、ーーーー。ーーから、ーー。」
「ーーですか?」
「うん。これーーして、ーーよ」

今後の動きを全て指示して、カイルから離れる。

「分かりました。必ずやり遂げて見せます」
「よろしくね」

渡された物を握り締めながら力強く頷くカイルを、アリアは満足げに見た。

「それにしても、師匠はこんな物まで作れるんですね」
「ううん。それはグフィム殿下……と言うより、王家から借りた物だよ」
「王家から?それは凄いですね」
「まぁ、今回の魅了されてる生徒の中に他国の高位貴族の人物が居るんだもの。早期解決しないと国際問題に発展する可能性があるんだから、王家も出し惜しみしないわね」

実際、グフィムからの手紙と共に送られて来た物は今回の件でとても役に立つ貴重な物だ。そんな貴重な物をアリアを信頼して貸し出すのだから、今回の件に関しての王家の本気具合が分かる。

「あとは、ダダン先生のお手並み拝見としますか!」
「俺としては、ダダン先生には本気で感謝してます」

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