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魔法学園編
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「あぁ。ルークの友人に、隣国からの年上の留学生の子息が居るんだ。名はミカルって言うんだけど、その少女はミカルにも近付いていたんだ。ミカルは、迷惑だとルークにも相談してたんだけどね。ある日突然、ミカルはその少女に愛を呟き側に居るようになったんだ」
(それって…)
一つの可能性がアリアの中で浮かび上がる。
そんなアリアに気が付いたのだろう。
グフィムが楽しそうに尋ねる。
「その顔は、もしかして何か心当たりがあるのかい?」
「…………そう、ですね。確証はありませんが、一つだけ思い当たることがあります」
「何が起こってるのか突き止められるかい?」
本来なら私には関係のない事だし、普段なら関わらない。
(でも…)
真剣な顔でこちらを見つめる殿下。この聡い殿下は分かっていたはずだ。何の関係ない私に頼んでも、依頼を受けるとは限らない事を。
「…何故、私に命令しないんですか?」
私の問いに、殿下は苦笑いで答える。
「君に命令なんて出来ないよ。君を力尽くで言う事を聞かせられる人間は恐らくこの国に居ない。君が本気を出せば、この国はきっと滅びるだろうしね。…そんな君に力尽くで言う事を聞かせるなんて出来ないよ」
だからお願いしてるんだ…そう言う殿下に私は口角をあげる。
(合格)
「分かりました。この依頼、お受けします」
「本当かい!?ありがとう、助かるよ」
「そのかわり」
私は隣に座っていたカイルを見る。
「今回の依頼には、カイルを連れて行きます」
「……それは必要な事かい?」
「はい。私の予想が正しければカイルは必要です」
暫く悩んだ殿下は、渋々頷いた。
「…………分かった。けれど、くれぐれもカイルを危険な目に合わせないでくれよ」
「分かってます」
(アンタはカイルの恋人かっ!)
こうして私は2日後に、オルフェイア魔法学園に特別教師としてカイルと共に訪れる事となった。
(それって…)
一つの可能性がアリアの中で浮かび上がる。
そんなアリアに気が付いたのだろう。
グフィムが楽しそうに尋ねる。
「その顔は、もしかして何か心当たりがあるのかい?」
「…………そう、ですね。確証はありませんが、一つだけ思い当たることがあります」
「何が起こってるのか突き止められるかい?」
本来なら私には関係のない事だし、普段なら関わらない。
(でも…)
真剣な顔でこちらを見つめる殿下。この聡い殿下は分かっていたはずだ。何の関係ない私に頼んでも、依頼を受けるとは限らない事を。
「…何故、私に命令しないんですか?」
私の問いに、殿下は苦笑いで答える。
「君に命令なんて出来ないよ。君を力尽くで言う事を聞かせられる人間は恐らくこの国に居ない。君が本気を出せば、この国はきっと滅びるだろうしね。…そんな君に力尽くで言う事を聞かせるなんて出来ないよ」
だからお願いしてるんだ…そう言う殿下に私は口角をあげる。
(合格)
「分かりました。この依頼、お受けします」
「本当かい!?ありがとう、助かるよ」
「そのかわり」
私は隣に座っていたカイルを見る。
「今回の依頼には、カイルを連れて行きます」
「……それは必要な事かい?」
「はい。私の予想が正しければカイルは必要です」
暫く悩んだ殿下は、渋々頷いた。
「…………分かった。けれど、くれぐれもカイルを危険な目に合わせないでくれよ」
「分かってます」
(アンタはカイルの恋人かっ!)
こうして私は2日後に、オルフェイア魔法学園に特別教師としてカイルと共に訪れる事となった。
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