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王都編

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アリア達はカフェに入ると、それぞれ紅茶を頼む。

「お待たせしました」

そうして、暫くして頬を染めた女性の店員が紅茶を持って来る。目の前のイケメンに笑みを浮かべて紅茶を置くのに対して、アリアには目の笑っていない笑みを浮かべて紅茶を置いた。

(あからさまで無いだけマシね…)

店員が去ってから、目の前に置かれた紅茶を一口飲む。香ばしい香りが、荒んだアリアの心を少し落ち着かせる。

「……で?貴方は私を知ってるみたいだけど、自己紹介は必要?」
「そうだね。改めて、お互い自己紹介しようか」

イケメンは、テーブルに両肘をつき組んだ手に顎を乗せ微笑む。

「それじゃあ私から。知ってるみたいだけど、アリア・ダングスマンよ」
「よろしくアリア」

よろしくしたく無いから、「よろしく」とは言わなかったのだが…。どうやら、伝わった様だが無視されたらしい。

「俺はグフィム、グフィム・オルフェイア。よろしく」
「オルフェイア…」

つまり、この国の王族。
現国王は、今年40歳になったばかり。
子供は3人。
第1王子、第1王女、第2王子。第2王子は現在10歳だった筈。

(…ってことは)

「こんな所に、護衛無しで居ていいんですか?…王太子殿下」

(何だって王族が一人でこんな所にいるの?)

「ん~。まぁ、民の様子を知るのも王族の役目だからね」

そう言いながら外を歩く女性に手を振る姿を見て、『本当かよ』と思ってしまう。

「それに、護衛は必要無いよ。目の前に我が国の勇者候補の師匠が居るんだからね」
「すみません。ここからここまでのメニュー、全部下さい」
「ねぇ、その代金って…」

にこりと笑う。

「勿論、殿下持ちで。私の護衛料は高いんですよ?」
「参ったなぁ」

殿下?知るか。
迷惑料に食べれるだけ食べてやる。

(……まぁ、この程度では国一番の金持ちの懐は微塵も痛まないだろうけど)

「それで、要件は?」
「……もうちょっと色々話さない?」

不満そうな顔をする王太子を無視しながら、運ばれて来たお菓子を食べる。

不敬?
そんなの知ったことか。

ーーその時。

「師匠っ!!」

カフェの扉が、いささか乱暴に開かれる。
声の方を向くと、此方に向かって険しい顔で走ってくるカイルが居た。


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