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第3章

No.118 一体どうした!

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「くっ、クリス!?」

いつも冷静なクリスが廊下を走りながらやって来た。その事に驚いて涙が引っ込む。

「フィーラング、どうしたんだ?」

クリスは、フォレン先生を無視して私に近付く。

「大丈夫?」
「クリス、どうして…」

何故ここにクリスが居るのだろう。

「ティアが学園長に呼ばれたのが気になって来たんだ。………何されたの?」
「えっ?」

そう言ってクリスは、私の目元を優しく撫でる。
その指先には小さな雫。

「………誰に何をされたの?」
「クリス?」

今まで見た事ないほど冷たい表情でクリスはフォレン先生を見る。

「フォレン先生に何かされたの?」

そう言って、クリスは私を背後に庇うとフォレン先生に向かって手を掲げる。

「ちょっ!待てフィーラング!!」
「待って!クリス!本当に待って!」

慌てて先生と2人でクリスを止める。

「違うから!ただ、安心して涙が出ただけだから!」
「…本当に?」

クリスは私の顔を心配そうに覗き込む。
私は、必死に首を縦に振る。

「………よかった」

すると、クリスは私を抱き締めて来た。

「くくく…クリス!?」

(先生の目の前で何してるの!?)

フォレン先生は、さり気無く視線を横に向けていた。その姿が途轍もなく居た堪れない。クリスを引き離そうと肩に手をかける。

「………クリス?」

その触れた肩が震えている事に気が付いた。

「…よかった。ティアが泣くなんて、何があったのかと」

そう言ってクリスは、私の両頬を包み込む。

「ティアに何かあったら…」

(近い近い近い!!)

互いの額がくっ付いていて、とても恥ずかしい。

「んんっ!あー、もういいか?」

何処か気まずそうなフォレン先生の声に慌ててクリスから離れる。何処か不満そうなクリスを無視して先生に向き直る。

「はい!いつでも大丈夫です!」

私の返事に先生は、笑って口を開く。

「ムーンライド。さっきの話だが、無理はしなくていい。泣きたい時は泣け。お前には、心配してくれる友達がいるんだからな。………まぁ、友達枠かは微妙だが」

最後の方はよく聞こえなかったが、先生の言葉に頷く。それを見た先生は、片手を上げて歩いて行った。



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