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第3章

No.106 魔族の姿

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「ノアっ!!」

感情のままに、目の前のノアに抱きつく。

「久し振り!会いたかったよ!」
「僕も会いたかったよ」

そう言ってノアも抱きしめ返してくれる。
その時、フワッと優しい匂いがした。それは、記憶にあるノアの匂いだった。

(あぁ、本当にノアだ)

しばらくして、お互い離れる。

「ノア、久し振り」
「クリス。君は、全然変わってないね」
「そう?そういうノアは、色男になったね」

クリスもノアとの再会をとても喜んでいた。

「ノア君。ティア達を守ろうとしてくれて、ありがとう」
「ギルバートさん!お久し振りです」
「本当に、大きくなったな。アーノルドからの手紙で聞いてはいたが、本当に父親そっくりになったな」

(まさか、2日に1度の頻度で届いてた手紙って…)

一体、何処に魔王と手紙交換する勇者がいるのだ。
前世ではそんな話の小説は読んだ事がない。

「それより、何でノアがここにいるの?」

ノアは、魔国と人間国を安全に繋ぐ為にアーノルドさんの元で頑張っている筈なのだ。

「アーロンから此処で荷物の受け取りを頼まれたんだ」
「そうだったんだ」

何はともあれ、ノアに会えたのは嬉しい。

「それより、ティアを襲ったこの子は誰?」

ノアが冷たい目でアナを見下ろす。

「んー!んんー!!」
「何言ってるか全然分かんないんだけど。喋るなら分かるように喋ってくれる?」

(こんなノア、初めて見た…)

「ノア君、落ち着いて頂戴」
「アニーさん、僕は落ち着いてますよ」
「なら、その爪を抑えて頂戴」

その言葉にノアの手を見ると、魔族特有の真っ黒な爪が鋭く尖っていた。それに、艶のある黒い羊の様な捻れた角が露わになる。

「この子は、これから学園に連行して然るべき罰を陛下にくだしてもらうわ」
「……わかりました」

渋々納得して、角と爪を元に戻す。

「俺もこれから陛下に報告に行く。もう大丈夫だと思うが、一応警戒しろよ」

そう言って、お父さんとアニーさんがアナを連れて行った。












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