63 / 132
第3章
No.63 バロン②
しおりを挟む
店の中は、まだ完全な夜になっていないのに席は満席だった。そして、既に出来上がっている人々が数人。
「おっ!バロン、こっちだ」
声の方を向くと、カウンターに近い席に座るギルバート。
「遅くなってすみません」
「こっちが無理に誘ったんだ。気にするな」
ギルバートは、近くの胸元が大胆に開いた服を着た美人なウェイトレスに料理と酒を注文する。
「バロンは何にする?」
「同じ料理を。酒はいりません」
注文を受けたウェイトレスは、最後にギルバートに流し目をして形の良いお尻を見せつける様に動かしながら去って行く。周りの男達は、目をハートにしながらウェイトレスを見る。しかし、アプローチをかけられた当の本人は全く興味を示さずバロンに話しかける。
「騎士団はどうだ?」
「やっと、慣れてきたってとこですね。今年新しく新人も入って来たし、身が引き締まる思いですよ」
「そっか。すっかりバロンも立派な先輩だな。今日は、俺の奢りだから沢山食べろよ」
「ありがとうございます!」
暫くすると、料理と酒が運ばれて来た。先程の美人なウェイトレスが運んできたのだが、先程とは服が違っていた。先程は、胸元の開いた赤い服だった。だが今は、異国の踊り子の様なお腹が出ている青い衣装に着替えていた。
(あっ、これ本気でアプローチされてる)
豊かな金髪を高い位置で1つに纏め綺麗なうなじを晒している。目元には、紅い線が引かれ更に艶やかな雰囲気を出している。
「お待たせしましたぁ~」
そう言って、バロンの方に先に料理を置く。
次に、ギルバートの前に酒と料理を置いた。その時、彼女は豊満な胸をギルバートの顔にワザと当てる。
「きゃっ!胸が当たっちゃった。…ごめんなさい」
顔を赤く染め、潤んだ瞳でギルバートを見ながら胸の下で腕を組んで更に胸を強調した。周りの男達は既に彼女の虜だ。
ーーだが。
「あぁ、大丈夫だよ。俺は、君の胸に興味なんて無いから」
顔色1つ変えずにギルバートは答える。
「それじゃあ、食べようか」
唖然とする彼女を無視して食事を始める。
「おっ!この肉、上手いな!」
「…そうですね」
少しだけ、彼女が可哀想に思えた。
「おっ!バロン、こっちだ」
声の方を向くと、カウンターに近い席に座るギルバート。
「遅くなってすみません」
「こっちが無理に誘ったんだ。気にするな」
ギルバートは、近くの胸元が大胆に開いた服を着た美人なウェイトレスに料理と酒を注文する。
「バロンは何にする?」
「同じ料理を。酒はいりません」
注文を受けたウェイトレスは、最後にギルバートに流し目をして形の良いお尻を見せつける様に動かしながら去って行く。周りの男達は、目をハートにしながらウェイトレスを見る。しかし、アプローチをかけられた当の本人は全く興味を示さずバロンに話しかける。
「騎士団はどうだ?」
「やっと、慣れてきたってとこですね。今年新しく新人も入って来たし、身が引き締まる思いですよ」
「そっか。すっかりバロンも立派な先輩だな。今日は、俺の奢りだから沢山食べろよ」
「ありがとうございます!」
暫くすると、料理と酒が運ばれて来た。先程の美人なウェイトレスが運んできたのだが、先程とは服が違っていた。先程は、胸元の開いた赤い服だった。だが今は、異国の踊り子の様なお腹が出ている青い衣装に着替えていた。
(あっ、これ本気でアプローチされてる)
豊かな金髪を高い位置で1つに纏め綺麗なうなじを晒している。目元には、紅い線が引かれ更に艶やかな雰囲気を出している。
「お待たせしましたぁ~」
そう言って、バロンの方に先に料理を置く。
次に、ギルバートの前に酒と料理を置いた。その時、彼女は豊満な胸をギルバートの顔にワザと当てる。
「きゃっ!胸が当たっちゃった。…ごめんなさい」
顔を赤く染め、潤んだ瞳でギルバートを見ながら胸の下で腕を組んで更に胸を強調した。周りの男達は既に彼女の虜だ。
ーーだが。
「あぁ、大丈夫だよ。俺は、君の胸に興味なんて無いから」
顔色1つ変えずにギルバートは答える。
「それじゃあ、食べようか」
唖然とする彼女を無視して食事を始める。
「おっ!この肉、上手いな!」
「…そうですね」
少しだけ、彼女が可哀想に思えた。
1
お気に入りに追加
3,285
あなたにおすすめの小説
乙女ゲームに転生したらしい私の人生は全くの無関係な筈なのに何故か無自覚に巻き込まれる運命らしい〜乙ゲーやった事ないんですが大丈夫でしょうか〜
ひろのひまり
恋愛
生まれ変わったらそこは異世界だった。
沢山の魔力に助けられ生まれてこれた主人公リリィ。彼女がこれから生きる世界は所謂乙女ゲームと呼ばれるファンタジーな世界である。
だが、彼女はそんな情報を知るよしもなく、ただ普通に過ごしているだけだった。が、何故か無関係なはずなのに乙女ゲーム関係者達、攻略対象者、悪役令嬢等を無自覚に誑かせて関わってしまうというお話です。
モブなのに魔法チート。
転生者なのにモブのド素人。
ゲームの始まりまでに時間がかかると思います。
異世界転生書いてみたくて書いてみました。
投稿はゆっくりになると思います。
本当のタイトルは
乙女ゲームに転生したらしい私の人生は全くの無関係な筈なのに何故か無自覚に巻き込まれる運命らしい〜乙女ゲーやった事ないんですが大丈夫でしょうか?〜
文字数オーバーで少しだけ変えています。
なろう様、ツギクル様にも掲載しています。
ヤンデレお兄様に殺されたくないので、ブラコンやめます!(長編版)
夕立悠理
恋愛
──だって、好きでいてもしかたないもの。
ヴァイオレットは、思い出した。ここは、ロマンス小説の世界で、ヴァイオレットは義兄の恋人をいじめたあげくにヤンデレな義兄に殺される悪役令嬢だと。
って、むりむりむり。死ぬとかむりですから!
せっかく転生したんだし、魔法とか気ままに楽しみたいよね。ということで、ずっと好きだった恋心は封印し、ブラコンをやめることに。
新たな恋のお相手は、公爵令嬢なんだし、王子様とかどうかなー!?なんてうきうきわくわくしていると。
なんだかお兄様の様子がおかしい……?
※小説になろうさまでも掲載しています
※以前連載していたやつの長編版です
長女は悪役、三女はヒロイン、次女の私はただのモブ
藤白
恋愛
前世は吉原美琴。普通の女子大生で日本人。
そんな私が転生したのは三人姉妹の侯爵家次女…なんと『Cage~あなたの腕の中で~』って言うヤンデレ系乙女ゲームの世界でした!
どうにかしてこの目で乙女ゲームを見届け…って、このゲーム確か悪役令嬢とヒロインは異母姉妹で…私のお姉様と妹では!?
えっ、ちょっと待った!それって、私が死んだ確執から姉妹仲が悪くなるんだよね…?
死にたくない!けど乙女ゲームは見たい!
どうしよう!
◯閑話はちょいちょい挟みます
◯書きながらストーリーを考えているのでおかしいところがあれば教えてください!
◯11/20 名前の表記を少し変更
◯11/24 [13] 罵りの言葉を少し変更
転生したら避けてきた攻略対象にすでにロックオンされていました
みなみ抄花
恋愛
睦見 香桜(むつみ かお)は今年で19歳。
日本で普通に生まれ日本で育った少し田舎の町の娘であったが、都内の大学に無事合格し春からは学生寮で新生活がスタートするはず、だった。
引越しの前日、生まれ育った町を離れることに、少し名残惜しさを感じた香桜は、子どもの頃によく遊んだ川まで一人で歩いていた。
そこで子犬が溺れているのが目に入り、助けるためいきなり川に飛び込んでしまう。
香桜は必死の力で子犬を岸にあげるも、そこで力尽きてしまい……
婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~
tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!!
壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは???
一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【HIDE LEVELING】転生者は咎人だと言われました〜転生者ってバレたら殺されるらしいから、実力を隠しながらレベルアップしていきます〜
久遠ノト@マクド物書き
ファンタジー
【ステータス1の最弱主人公が送るゆるやか異世界転生ライフ】✕【バレたら殺される世界でハイドレベリング】✕【異世界人達と織り成すヒューマンドラマ】
毎日更新を再開しました。
20時に更新をさせていただきます。
第四創造世界『ARCUS』は単純なファンタジーの世界、だった。
しかし、【転生者】という要素を追加してしまってから、世界のパワーバランスが崩壊をし始めていた。挙句の果てに、この世界で転生者は罪人であり、素性が知られたら殺されてしまう程憎まれているときた!
こんな世界オワコンだ! 終末までまっしぐら――と思っていたトコロ。
▽『彼』が『初期ステータス』の状態で転生をさせられてしまった!
「こんな世界で、成長物語だって? ふざけるな!」と叫びたいところですが、『彼』はめげずに順調に協力者を獲得していき、ぐんぐんと力を伸ばしていきます。
時には強敵に負け、挫折し、泣きもします。その道は決して幸せではありません。
ですが、周りの人達に支えられ、また大きく羽ばたいていくことでしょう。弱い『彼』は努力しかできないのです。
一章:少年が異世界に馴染んでいく過程の複雑な感情を描いた章
二章:冒険者として活動し、仲間と力を得ていく成長を描いた章
三章:一人の少年が世界の理不尽に立ち向かい、理解者を得る章
四章:救いを求めている一人の少女が、歪な縁で少年と出会う章
──四章後、『彼』が強敵に勝てるほど強くなり始めます──
【お知らせ】
他サイトで総合PVが20万行った作品の加筆修正版です
第一回小説大賞ファンタジー部門、一次審査突破(感謝)
【作者からのコメント】
成長系スキルにステータス全振りの最弱の主人公が【転生者であることがバレたら殺される世界】でレベルアップしていき、やがて無双ができるまでの成長過程を描いた超長編物語です。
力をつけていく過程をゆっくりと描いて行きますので「はやく強くなって!」と思われるかもしれませんが、第四章終わりまでお待ち下さい。
第四章までは主人公の成長と葛藤などをメインで描いた【ヒューマンドラマ】
第五章からは主人公が頭角を現していくバトル等がメインの【成り上がり期】
という構成でしています。
『クラディス』という少年の異世界ライフを描いた作品ですので、お付き合い頂けたら幸いです。
※ヒューマンドラマがメインのファンタジーバトル作品です。
※設定自体重めなのでシリアスな描写を含みます。
※ゆるやか異世界転生ライフですが、ストレスフルな展開があります。
※ハッピーエンドにするように頑張ります。(最終プロットまで作成済み)
※カクヨムでも更新中
魔性の悪役令嬢らしいですが、男性が苦手なのでご期待にそえません!
蒼乃ロゼ
恋愛
「リュミネーヴァ様は、いろんな殿方とご経験のある、魔性の女でいらっしゃいますから!」
「「……は?」」
どうやら原作では魔性の女だったらしい、リュミネーヴァ。
しかし彼女の中身は、前世でストーカーに命を絶たれ、乙女ゲーム『光が世界を満たすまで』通称ヒカミタの世界に転生してきた人物。
前世での最期の記憶から、男性が苦手。
初めは男性を目にするだけでも体が震えるありさま。
リュミネーヴァが具体的にどんな悪行をするのか分からず、ただ自分として、在るがままを生きてきた。
当然、物語が原作どおりにいくはずもなく。
おまけに実は、本編前にあたる時期からフラグを折っていて……?
攻略キャラを全力回避していたら、魔性違いで謎のキャラから溺愛モードが始まるお話。
ファンタジー要素も多めです。
※なろう様にも掲載中
※短編【転生先は『乙女ゲーでしょ』~】の元ネタです。どちらを先に読んでもお話は分かりますので、ご安心ください。
うちの娘が悪役令嬢って、どういうことですか?
プラネットプラント
ファンタジー
全寮制の高等教育機関で行われている卒業式で、ある令嬢が糾弾されていた。そこに令嬢の父親が割り込んできて・・・。乙女ゲームの強制力に抗う令嬢の父親(前世、彼女いない歴=年齢のフリーター)と従者(身内には優しい鬼畜)と異母兄(当て馬/噛ませ犬な攻略対象)。2016.09.08 07:00に完結します。
小説家になろうでも公開している短編集です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる