溺愛パパは勇者！〜悪役令嬢の私のパパが勇者だった件〜

第1章

No.12 望んでいません

「…正気か？ティア嬢を危険な目に遭わせる事になるんだぞ？」
「大丈夫です。私がティアを守りますから」
「しかし、子供を魔王討伐に連れて行くなど聞いたことが無い」

（確かに）

一体、何処に自分の子供を魔王討伐に連れて行く親が居るのだ。

（…ここにいた）

パパを呆れた目で見上げてしまった。

「ん？大丈夫だよ。ティアの事はパパが守るからね」

うっとりするほど素敵な笑顔で頬擦りされる。

（守るくらいならそんな危険な場所に連れて行こうとしないで欲しい）

切実に願う。
こんな病弱体質の足手纏いでしかないか弱い貴方の娘には、そんなデンジャラスな冒険は出来ないです。

「………仕方ないな。私とて1人の子を持つ親だ。子を想う親の気持ちを理解出来ない訳では無い」

（そこは切実に、子の気持ちを理解して欲しい）

「わかった。どうか、ティア嬢と共に魔王討伐を宜しく頼む」
「貴方達に世界の命運は懸かっています」

王様とドレファスさんが私達に頭を下げる。

（マジか…）

たった5歳の病弱な子供になんて事させるんだ。世界の命運なんて大層なものを背負えるわけないのに。

「ティア、よかったね。丁度、何処かに旅行に行きたいって言ってたもんな？」

あのね、パパ。確かに旅行に行きたいって言ったけどこんなデンジャラスでスリリングな旅行は望んでいません。