33 / 87
ゼンマイ仕掛けのご老体
しおりを挟む
ゼンマイ仕掛けの 時計の街は
チクチク タクタク チクチク タクタク と細長い秒針 いやいや 振り子の針でしょうか?
1分1秒狂わずにチクチクタクタク……
行ったり来たりを繰り返し、時間を正確に刻みます。
ボーーーン ボーーーン ボーーーン
カラーーン カラーーン カラーーン
カーーン コーーン カーーン コーーン
丁度真上を指す時計の針に、街中一斉に鐘が鳴る鳴る。
その正確さには、クリスチャン・ホイヘンスもビックリするだろう。
そんな時計の街に男が1人、迷い込んだそうな。見るからにルネッサンス期、真っ只中という出で立ちで、
男はビックリするだろう。
「何という…………何という街だ!!!」
ほらね……言わんこっちゃない。
『時計の父』と呼ばれた男は、目を丸くしてついでに腰も抜かしてビックリ仰天、はなはじめ。驚き文句は後にして、
「いやぁぁ まさか こんな至る場所に 時計が溢れているなんて……」
それはもう見渡す限り時計、時計、時計。街の至る所に時計が埋め込まれているって訳。
時計塔は勿論数多く、石畳の橋、何気なく立っている街灯、公園の塀の柱、更に遊具、木のベンチにも、他にもまだまだありそうで、数えたら切りが無さそうだから辞めしよう。
男は感動して、
「おぉぉぉ神よ なんと素晴らしい進歩を人類は遂げたというのか……」
と言いました。
そこにびっこを引いた老人が、疲れた様子で1つ1つ時計のゼンマイを巻いています。
老人は言います。
「誰がこんなモン作ったんだよ!!」
って。
「こんなモンをどっかの誰かが作ったおかげで……俺達ゃぁぁこんなモンに縛られて生きていかなきゃならねぇ……」
「あぁぁ懐かしき自由の日々よ……
日の出と共に起き、腹が減ったら飯を食らい、夕日を眺め、夜は静かに寝たもんだ……こんなモンが出来たおかげで……
時間だ。時間だって……何もかも自由じゃなくなっちまったじゃねぇぇか!!
クソヤローー
バカヤローー
コノヤローー
ヘッヘーーンだってんだ
コンチクショーがッ」 などなど……
老人はブツブツ文句を垂れながら、
クリスチャン・ホイヘンス=時計の父 と呼ばれた男の前を通り過ぎて行きました。
時計の父はバツが悪そうに頭を掻きむしり、
首からぶら下げた懐中時計の針を止めて
一言。
「それでも時間は 進んでく」
そんな捨て台詞を吐いたとか吐いてないとか
でも確かに 時計は止めれても 時間は止めれませんね。
チクチク タクタク チクチク タクタク と細長い秒針 いやいや 振り子の針でしょうか?
1分1秒狂わずにチクチクタクタク……
行ったり来たりを繰り返し、時間を正確に刻みます。
ボーーーン ボーーーン ボーーーン
カラーーン カラーーン カラーーン
カーーン コーーン カーーン コーーン
丁度真上を指す時計の針に、街中一斉に鐘が鳴る鳴る。
その正確さには、クリスチャン・ホイヘンスもビックリするだろう。
そんな時計の街に男が1人、迷い込んだそうな。見るからにルネッサンス期、真っ只中という出で立ちで、
男はビックリするだろう。
「何という…………何という街だ!!!」
ほらね……言わんこっちゃない。
『時計の父』と呼ばれた男は、目を丸くしてついでに腰も抜かしてビックリ仰天、はなはじめ。驚き文句は後にして、
「いやぁぁ まさか こんな至る場所に 時計が溢れているなんて……」
それはもう見渡す限り時計、時計、時計。街の至る所に時計が埋め込まれているって訳。
時計塔は勿論数多く、石畳の橋、何気なく立っている街灯、公園の塀の柱、更に遊具、木のベンチにも、他にもまだまだありそうで、数えたら切りが無さそうだから辞めしよう。
男は感動して、
「おぉぉぉ神よ なんと素晴らしい進歩を人類は遂げたというのか……」
と言いました。
そこにびっこを引いた老人が、疲れた様子で1つ1つ時計のゼンマイを巻いています。
老人は言います。
「誰がこんなモン作ったんだよ!!」
って。
「こんなモンをどっかの誰かが作ったおかげで……俺達ゃぁぁこんなモンに縛られて生きていかなきゃならねぇ……」
「あぁぁ懐かしき自由の日々よ……
日の出と共に起き、腹が減ったら飯を食らい、夕日を眺め、夜は静かに寝たもんだ……こんなモンが出来たおかげで……
時間だ。時間だって……何もかも自由じゃなくなっちまったじゃねぇぇか!!
クソヤローー
バカヤローー
コノヤローー
ヘッヘーーンだってんだ
コンチクショーがッ」 などなど……
老人はブツブツ文句を垂れながら、
クリスチャン・ホイヘンス=時計の父 と呼ばれた男の前を通り過ぎて行きました。
時計の父はバツが悪そうに頭を掻きむしり、
首からぶら下げた懐中時計の針を止めて
一言。
「それでも時間は 進んでく」
そんな捨て台詞を吐いたとか吐いてないとか
でも確かに 時計は止めれても 時間は止めれませんね。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる