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第8話

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8     パッシブスキル【管理者の加護】

 A男を探しながら、来た道を戻る道すがら、気になっていたのはレジェンドスキル、管理者の加護だ。

 俺はそれを確認する為にステータスを視界に広げる。

 レジェンドスキル管理者の加護は七色に表示されていて、念じると説明文が現れた。

 【パッシブスキル管理者の加護】

    【メインスキル 危機感知能力】

 自身に向けられた、気付かない敵意を管理者が知らせてくれる。
 また、他の転生者が近くにいた場合、管理者がその存在を教えてくれる。

 【サブスキル 基本身体能力上昇(大) 】

 腕力、脚力、俊敏性、持久力、瞬発力、打たれ強さ、発想力、思考能力、記憶力、性力が大幅に上昇する。

   
 なるほど!

 あの管理者セナの声はこのスキルが勝手に発動したという事か。

 このスキルがあれば、不意打ちや、闇討ちをくらう事は無いだろう。

 それに加え、他の転生者の接近を教えてくれるとは……。

 管理者セナは言っていた。

 転生者の方、皆様にプレゼントだと。

 となると、俺の事も他の転生者に知らされるという事だ。

 これにはどんな意味があるのだろうか?

 転生者同士、仲良くしろって事か?

 うーーん……願わくば会いたく無いな。
 
 何故かそう思った。

 サブスキルは基本身体能力上昇(大)。
 
 幅広く能力の上昇が見込めれそうだ。

 体の強化に、頭の強化、加えて性力も……??

 このサブスキルと俊敏性上昇(中)が先程の戦闘に活かされていたとなれば、殴った男が思いのほか吹っ飛んだ事も、剣をドタバタと構えた男がとても遅く見えた事も納得がいく。

 改めて、なるほどと思い。

 凄いスキルだと確認してからステータスを閉じた。

 ちなみに、俺のMPゲージは緑から黄色く変色し現在減少状態である。
 
 心読のスキルを5回使ったからと言えば当然の結果で、それなりの疲労感もある。

 ここで注目したいのは、残りのMPだ。

 俺のMPはMAXで40。
 心読のMP消費は1回につき5。
 という事はMPを25消費して残りは15になってないとおかしい。

 だが、今の俺のMPは23だ。

 回復している。

 管理者セナ曰く、個人差はあるもののMPは回復すると言っていた。
 
 体感だが、俺の場合3分に1MP回復するといったところか。

 そんな事を考えながら歩いて行くと、馬車から100メートル程離れた所でA男を発見した。
 
 A男は街道脇の草むらから足だけがひょっこり出ている状態で転がっていた。

 俺はA男の足を引っ張り街道に引きづり出すと、A男の首はあらぬ方向に曲がっていた。

 死んでいるな…。

 首が180度も回転していたら、誰でも死んでいるとわかる。

 馬車から落ちた時に捻ったのか…
 打ちどころがよく無かったのだろう。


 これで俺が殺したのは3人目か。

 
 首の曲がったA男を見下ろしながら、自分の着ている服が、血で染まっているのが気になった。

 それと、大きな胸の膨らみも。

 俺の胸はどんな胸なのだろうか?

 気になり服を捲りあげてみる。

 プルンと顔を出したのは、雪のように真っ白な、型の良い大きなおっぱい。2つ。

 その先端には、摘みやすそうなプックリとした薄紅色の乳首が付いていた。

 一言で言うなら、吸い付きたい。

 自分の胸だと言うのに、見惚れてしまいドキドキが止まらず変な気持ちになった。

 こんな時、男ならアソコが硬くなるのだろうに…

 だが、俺の股間にはもうアイツは付いていない。

 じゃあどうなっているんだ?

 と、思い確認の為に下も脱いでみる。

 ちなみに、履いていたズボンは綿のハーフパンツみたいな感じで、下着は付けていなかった。

 要はハーフパンツを脱いだら大事な所が丸出しになった訳だ。

 。。。







 
 パイパンかよ!!

 
 自分の下半身をみて最初に思ったパイパンという事実。

 そうだ、あの時キャラクターメイキングの時だ。

 思い出したのは、キャラクターメイキングの画面。

 種族獣人の体毛の濃さに、なんだか嫌だなと思った俺は、体毛の濃さの数値を0にセッティングしたんだった。

 なら、尻尾は?

 尻尾は髪の色と同じように金毛で短毛、
尾てい骨の付け根から可愛長く伸びている。

 今まで気にして無かったが、尻尾を動かす感じってこんな感じなんだなと改めて確認。

 
 クネクネ……クネクネ……
 うん。非常に面白い。


 それから、血に染まった服を全て脱ぎ捨てて、胸やら腹やら、太もも、尻、二の腕、脇、大事な所も、入念に触って確認した。

 結果、メチャクチャ良い身体をしていると判明。

 余談だが、大事なところは糸を引いていて、かなり大きめなクリトリスは小指の第1関節程に勃起していた。
 
 恐る恐る触ってみると、

 ビクンッ!!

「あッ。。」

 吐息が漏れた。
 
   ダメだ。これは…とても敏感だ。

 男で例えるなら、ムケた事の無いチンコを無理矢理ひんムいて、露になった亀頭を指で擦った時の感覚という感じか?
 
 獣人のクリトリスは大きくて敏感なのが常なのだろうか?

 少し話しがそれたが、自分の身体を確認して何を思ったかというと、
 俺が殺した男達が、人を殺してまで抱きたいと思った事に共感出来たという事だ。

 残念な事といえば、現状自分の顔を確認する事が出来ない事くらいか。

 まぁ……いずれわかる。

 来た道を戻ればアガルタとかいう街に着くだろう。その時に自分の顔は確認してみる事にする。


 さて、俺はA男の着ていた鎖帷子みたいな軽装備を脱がして、A男が着ていた下着以外を全て装着。

 小太りなA男であったが、身長はほぼ変わらない。

 少しダボっとした感じになったが、それなりに冒険者らしい格好になった。

 ちなみにA男の剣は手入れが行き届いて無かったので鞘だけ貰ってB男の剣を持っていく事にした。

 馬車まで戻りB男の剣と、荷台にあった肩掛け袋と目に留まった褐色のマントを頂いて羽織る。

 俺が着ていた血染めの服は切り裂いて荷台に置き、靴はゴブリン達が死体を引きずった時に出来た血痕の側に置いた。

 馬と馬車を繋いでいたワークハーネスを切り馬を野生に帰す。
 馬に乗れれば良かったと思うが、生憎、乗馬の経験など無い。

 馬の尻を叩き「行け」と合図した。

 あとはA男の死体を草むらの奥へと隠す。
 そのうちゴブリン達が回収してくれる筈だ。

 現場検証やら、指紋採取などはどう考えても無いだろうから、ゴブリン達に襲われて全滅した憐れな冒険者達として処理される事になるだろう。

 死人に口無しとはよく言ったものだな。
 これで完全犯罪と思いたい。

 俺は褐色のマントを翻して、馬車が来た道を戻る。

 目指すはアガルタという街だ。

 

 
 

 
 


 

 
 
 


 

 

 

 
 

 
 



 
 

 

    
    



 


 
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