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21話 逮捕
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寝ていたら玄関のベルが鳴った。寝巻きの上にカーディガンを羽織り出てみると、警察だというじゃない。
「木本 紗世さん、澤田 充希さんが殺害された件で、任意同行をお願いします。」
「どういうことですか?」
「まずは、警察に来てください。」
「着替えるので、少しお待ちください。」
私は、警察署に連行され、取調室で刑事から、問い詰められた。
「澤田 充希さんは知っていますよね。」
「誰でしょうか? 知りませんが。」
「じゃあ、木村 拓人さんはご存知ですよね。」
「知っています。会社の先輩で、付き合っていました。」
「木村さんは、付き合って欲しいとつきまとわれて困っていたと言っていましたよ。その後に、木村さんが付き合っていたのが澤田さんなんですよ。知っていたでしょ。」
「まず、誤解なので言っておきますけど、先輩とは私は付き合ってました。でも、突然、振られて、私も、そこまでではなかったんで、じゃあいいやと思っただけです。だから、その後、誰と付き合うとか詮索せずに、終わらせたんです。それで、澤田さんでしたっけ、そんな人、知りませんけど。」
「でもね、澤田さんが、あなたに殺されたと証言しているんですよ。」
「意味がわからないですけど。澤田さんは、殺害されたって言ってましたよね。」
「殺害されたことになっているんですけど、実は、生きてるんですよ。」
「どういうことですか?」
「ホームから転落して、体がめちゃくちゃになったんですけど、脳だけはなんとか助かって、現在、培養液の中で、意識はあります。そして、メタバースの世界では、普通の女性として生きてるんですよ。」
「そんなことがあるんですね。でも、どうして私が殺したことになるんですか。」
「彼女が、メタバース東京を歩いている時に、あなたを見つけたんです。ホームで、後ろから突き落とした犯人を。彼女は背中を押され、仰向きにホームに転落する時に、あなたの顔をしっかり見たと証言しています。」
「そんな証言、嘘かもしれないじゃないですか。他人の空似かもしれないし。」
「そう、そこで警察も監視カメラとか調べたんです。犯行現場は映っていなかったんですが、すぐ近くであなたが映っていたんです。」
「偶然じゃないですか。それだけで、犯人にされるなんてひどい。」
「いや、それだけじゃないんです。その映像に写っていた別の人も見つかり、その人も証言をしたんです。あなたが突き落としたと。」
「今更?」
「そう、その人は、あなたが暴力団とかと関係があるんじゃないかと怖かったようですけど、時間が経ち、証言しなくてはいけないと勇気を出してくれました。そして、あなたは澤田さんのこと知らないと言ってましたけど、澤田さんのちぎれた服から、あなたのDNAが検出されたんです。もう逃げられませんよ。」
「電車の中で、すれ違った時についたかもしれないじゃないですか。」
「そうかもしれませんが、あなたが家と違う方向の電車に乗って、澤田さんと同じホームに、事故のその時にいて、DNAが一致している澤田さんの服の破片があった。更に、その女性が付き合っていた男性があなたの元カレだった。こんな偶然なんて、ありますか?」
「・・・・」
「今度はだんまりですか。」
そう、私が付き合っていた先輩から、元カノとよりを戻すから別れると告げられた。そんな突然にってびっくりしたけど、先輩は去ってしまった。
私のどこが悪いの。先輩だって、私のこと可愛いって言ってくれたし、私のことが大好きだったはず。先輩は、ずっと、私の目を見つめてくれてたもの。
確かに、私のこと抱いてくれたことはなかったけど、それは大事なものを大切にしたかったからなの。もしかして、そんなことしたら、私との関係が壊れちゃうかもと心配だったのよね。
先輩は、私のことをあまり聞いてくれなかったけど、それは、仕事のことで頭がいっぱいだったから。男性は仕事に生きるのよ。女性のことばかり気にして生きてる男性なんて、くだらない。
そう、先輩は、私にネックレスもプレゼントしてくれた。私の一番のお気に入り。つけると可愛いと言ってくれた。私のために、時間をたっぷり使って、私の笑顔を思い描いて選んでくれたんだから。
だから、そんな先輩が私のことを振るなんて、先輩の気持ちがわからなくて、毎日、寂しくて、寂しくて、泣いてばかりいた。家からも出れなくなった。でも、そのうち、私から先輩を奪った元カノへの憎しみが膨らんでいったの。
そこで、先輩が帰る道を尾行して、女と腕を組んで歩いている先輩を見つけた。この女ね。私から先輩を奪ったのは。元カノとか言っていたけど、大したことのない女じゃないの。大学の頃、女性経験が少ない先輩は騙されたんだと思う。
そして、大学の時、先輩と別れてから出会いもなくて、先輩により戻してって泣きついたんだと思う。だって、レベルが低くすぎて、どんな男性からも見向きもされないって感じだし。
スタイルは良さげだから、女の体を使って先輩を振り向かせたのね。穢らわしいメス豚、許さないから。
今度は、彼女のことを調べ始めた。そして、旅行会社で旅行企画をしている、先輩と同年齢の女性だと分かった。そうそう、バスの添乗員のおばさんって感じ。ピッタリだわ。
今日は、どうも会社の同僚の女子会って感じかしら、仕事の後に3人の女性でその女は飲みに行った。珍しく現実社会の居酒屋で、周りはおじさんばかりだったから、居づらかったけど、寂しい女性のふりして横に座って聞いてたら、とんでもないことを言っていたの。
「拓人は、私にぞっこんなのよ。この前も、帰してくれないんから、朝まで一緒になっちゃった。」
それは、あの女が、体を使って先輩を誘惑しているからでしょ。先輩の体が汚れちゃうじゃないの。もしかしたら、現実世界でも先輩とやってるの。ひどい。気持ち悪い。先輩が汚れちゃう。
そして、彼女が帰る後をついて行ってみると、あの女は、西国分寺の駅から乗り換え、人がほとんどいない武蔵野線のホームに、酔っぱらったのか、少し、ふらふらしながら立っていたの。
その女の顔を見たら、怒りが沸々と湧いてきた。お前のようなメス豚なんて、この世に生きている価値がないのよ。そして、気づいたら、その女を、ホームから突き落としていたの。そして、貨物列車が通り過ぎ、その女を轢いた。
その女の体は、バラバラに切り裂かれ、ほとんどは前に飛ばされた後に、再度、レールの上で列車に潰され、いずれも、原型はとどめなかったように見えた。そう、この世から消えて当然だものね。
周りを見ると、人も見えなかったし、監視カメラもなさそうだったので、目の前の人が飛び込んだという感じで驚いたふりをして、その場から逃げたわ。その後、どうなったかわからない。
でも、その女がホームに転落していく時に、私の顔を見つめながら、誰なのという驚いた顔をしていた。そう、この女は私のこと知らないものね。でも、あの顔は、今でも忘れられない。目をまん丸にして、時間が止まったようだった。
私は、普通の女性。殺すつもりなんてなかったの。でも、私から先輩を奪ったことに対する当然の報いなの。そうよ、私が悪いわけじゃない。
さらに、警察は、佐伯っていう商社で、社内システムを管理している社員の殺害も、私だといい始めた。私の髪の毛が佐伯の部屋に落ちていて、DNA鑑定をしたら、私のDNAと一致したって。
「電車とかで、たまたま髪の毛が服についたんじゃないですか? 何がなんでも私を犯罪者にしたいのね。ひどい。」
「佐伯さんが住んでいるアパートの防犯カメラにあなたが写ってたんですよ。なんで、そんなところにいたんですか。説明がつかないでしょ。」
「私と似た人じゃないの?」
「今のカメラをばかにしちゃいけません。あなたの顔が、200度ぐらいの角度で、くっきりと写ってましたよ。AIでも99.8%あなたの顔という判定になりました。もう、言い逃れはできません。やったんでしょ。」
どうして、私は不幸なのかしら。私への攻撃を排除しただけなのに。周りのみんなが悪いのよ。私は、何も悪くないじゃない。
「木本 紗世さん、澤田 充希さんが殺害された件で、任意同行をお願いします。」
「どういうことですか?」
「まずは、警察に来てください。」
「着替えるので、少しお待ちください。」
私は、警察署に連行され、取調室で刑事から、問い詰められた。
「澤田 充希さんは知っていますよね。」
「誰でしょうか? 知りませんが。」
「じゃあ、木村 拓人さんはご存知ですよね。」
「知っています。会社の先輩で、付き合っていました。」
「木村さんは、付き合って欲しいとつきまとわれて困っていたと言っていましたよ。その後に、木村さんが付き合っていたのが澤田さんなんですよ。知っていたでしょ。」
「まず、誤解なので言っておきますけど、先輩とは私は付き合ってました。でも、突然、振られて、私も、そこまでではなかったんで、じゃあいいやと思っただけです。だから、その後、誰と付き合うとか詮索せずに、終わらせたんです。それで、澤田さんでしたっけ、そんな人、知りませんけど。」
「でもね、澤田さんが、あなたに殺されたと証言しているんですよ。」
「意味がわからないですけど。澤田さんは、殺害されたって言ってましたよね。」
「殺害されたことになっているんですけど、実は、生きてるんですよ。」
「どういうことですか?」
「ホームから転落して、体がめちゃくちゃになったんですけど、脳だけはなんとか助かって、現在、培養液の中で、意識はあります。そして、メタバースの世界では、普通の女性として生きてるんですよ。」
「そんなことがあるんですね。でも、どうして私が殺したことになるんですか。」
「彼女が、メタバース東京を歩いている時に、あなたを見つけたんです。ホームで、後ろから突き落とした犯人を。彼女は背中を押され、仰向きにホームに転落する時に、あなたの顔をしっかり見たと証言しています。」
「そんな証言、嘘かもしれないじゃないですか。他人の空似かもしれないし。」
「そう、そこで警察も監視カメラとか調べたんです。犯行現場は映っていなかったんですが、すぐ近くであなたが映っていたんです。」
「偶然じゃないですか。それだけで、犯人にされるなんてひどい。」
「いや、それだけじゃないんです。その映像に写っていた別の人も見つかり、その人も証言をしたんです。あなたが突き落としたと。」
「今更?」
「そう、その人は、あなたが暴力団とかと関係があるんじゃないかと怖かったようですけど、時間が経ち、証言しなくてはいけないと勇気を出してくれました。そして、あなたは澤田さんのこと知らないと言ってましたけど、澤田さんのちぎれた服から、あなたのDNAが検出されたんです。もう逃げられませんよ。」
「電車の中で、すれ違った時についたかもしれないじゃないですか。」
「そうかもしれませんが、あなたが家と違う方向の電車に乗って、澤田さんと同じホームに、事故のその時にいて、DNAが一致している澤田さんの服の破片があった。更に、その女性が付き合っていた男性があなたの元カレだった。こんな偶然なんて、ありますか?」
「・・・・」
「今度はだんまりですか。」
そう、私が付き合っていた先輩から、元カノとよりを戻すから別れると告げられた。そんな突然にってびっくりしたけど、先輩は去ってしまった。
私のどこが悪いの。先輩だって、私のこと可愛いって言ってくれたし、私のことが大好きだったはず。先輩は、ずっと、私の目を見つめてくれてたもの。
確かに、私のこと抱いてくれたことはなかったけど、それは大事なものを大切にしたかったからなの。もしかして、そんなことしたら、私との関係が壊れちゃうかもと心配だったのよね。
先輩は、私のことをあまり聞いてくれなかったけど、それは、仕事のことで頭がいっぱいだったから。男性は仕事に生きるのよ。女性のことばかり気にして生きてる男性なんて、くだらない。
そう、先輩は、私にネックレスもプレゼントしてくれた。私の一番のお気に入り。つけると可愛いと言ってくれた。私のために、時間をたっぷり使って、私の笑顔を思い描いて選んでくれたんだから。
だから、そんな先輩が私のことを振るなんて、先輩の気持ちがわからなくて、毎日、寂しくて、寂しくて、泣いてばかりいた。家からも出れなくなった。でも、そのうち、私から先輩を奪った元カノへの憎しみが膨らんでいったの。
そこで、先輩が帰る道を尾行して、女と腕を組んで歩いている先輩を見つけた。この女ね。私から先輩を奪ったのは。元カノとか言っていたけど、大したことのない女じゃないの。大学の頃、女性経験が少ない先輩は騙されたんだと思う。
そして、大学の時、先輩と別れてから出会いもなくて、先輩により戻してって泣きついたんだと思う。だって、レベルが低くすぎて、どんな男性からも見向きもされないって感じだし。
スタイルは良さげだから、女の体を使って先輩を振り向かせたのね。穢らわしいメス豚、許さないから。
今度は、彼女のことを調べ始めた。そして、旅行会社で旅行企画をしている、先輩と同年齢の女性だと分かった。そうそう、バスの添乗員のおばさんって感じ。ピッタリだわ。
今日は、どうも会社の同僚の女子会って感じかしら、仕事の後に3人の女性でその女は飲みに行った。珍しく現実社会の居酒屋で、周りはおじさんばかりだったから、居づらかったけど、寂しい女性のふりして横に座って聞いてたら、とんでもないことを言っていたの。
「拓人は、私にぞっこんなのよ。この前も、帰してくれないんから、朝まで一緒になっちゃった。」
それは、あの女が、体を使って先輩を誘惑しているからでしょ。先輩の体が汚れちゃうじゃないの。もしかしたら、現実世界でも先輩とやってるの。ひどい。気持ち悪い。先輩が汚れちゃう。
そして、彼女が帰る後をついて行ってみると、あの女は、西国分寺の駅から乗り換え、人がほとんどいない武蔵野線のホームに、酔っぱらったのか、少し、ふらふらしながら立っていたの。
その女の顔を見たら、怒りが沸々と湧いてきた。お前のようなメス豚なんて、この世に生きている価値がないのよ。そして、気づいたら、その女を、ホームから突き落としていたの。そして、貨物列車が通り過ぎ、その女を轢いた。
その女の体は、バラバラに切り裂かれ、ほとんどは前に飛ばされた後に、再度、レールの上で列車に潰され、いずれも、原型はとどめなかったように見えた。そう、この世から消えて当然だものね。
周りを見ると、人も見えなかったし、監視カメラもなさそうだったので、目の前の人が飛び込んだという感じで驚いたふりをして、その場から逃げたわ。その後、どうなったかわからない。
でも、その女がホームに転落していく時に、私の顔を見つめながら、誰なのという驚いた顔をしていた。そう、この女は私のこと知らないものね。でも、あの顔は、今でも忘れられない。目をまん丸にして、時間が止まったようだった。
私は、普通の女性。殺すつもりなんてなかったの。でも、私から先輩を奪ったことに対する当然の報いなの。そうよ、私が悪いわけじゃない。
さらに、警察は、佐伯っていう商社で、社内システムを管理している社員の殺害も、私だといい始めた。私の髪の毛が佐伯の部屋に落ちていて、DNA鑑定をしたら、私のDNAと一致したって。
「電車とかで、たまたま髪の毛が服についたんじゃないですか? 何がなんでも私を犯罪者にしたいのね。ひどい。」
「佐伯さんが住んでいるアパートの防犯カメラにあなたが写ってたんですよ。なんで、そんなところにいたんですか。説明がつかないでしょ。」
「私と似た人じゃないの?」
「今のカメラをばかにしちゃいけません。あなたの顔が、200度ぐらいの角度で、くっきりと写ってましたよ。AIでも99.8%あなたの顔という判定になりました。もう、言い逃れはできません。やったんでしょ。」
どうして、私は不幸なのかしら。私への攻撃を排除しただけなのに。周りのみんなが悪いのよ。私は、何も悪くないじゃない。
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