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第6章 暗闇へ(回想)
5話 殺害
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私は、酔っ払って帰ってくる、この男性が住むアパートで待ち伏せ、階段を上がってくる時に、上から思いっきり突き飛ばした。こいつは、1階まで頭から落ち、頭から血を出していた。
私が近づくと、手をあげ、救急車を呼んでくれと声が聞こえた。まだ生きている。私は、持っていた紙袋から金槌を出し、こいつの頭を3回、おもいっきり殴ったら、動かなくなった。
早く逃げないと。私は、美花の部屋に戻った。そして、血がついた金槌は綺麗に洗い、紙袋は翌日、フライパンの上で焼いて、灰は捨てた。あのアパート周辺は、監視カメラもないことは確認しているし、証拠はもうないと思う。
美花、仇を打ってあげたからね。今夜は、久しぶりに1回も起きずに寝れた。
そういえば、階段にいたときにタクシーが通ったように感じたけど、普通は、寂れたアパートなんか見ないで通り過ぎたでしょ。また、あれだけ酔っ払っていれば、階段から落ちても不思議じゃないし。
今の警察は忙しいから、明らかに殺人と思えなければ事故で処理されるって聞いたことがある。今回も、そうなるはずよ。
翌日、アパートの住人が、酔っ払って階段から落ち死亡したということで警察が集まっていた。
「酔っ払いすぎるのもいけないですね。これから気をつけよう。」
「おい、そんなに簡単じゃないかもよ。」
「どうしてですか? どうみても、酔っ払って階段から落ちたようにしか見えないですけど。」
「それにしては、頭の傷が多過ぎないか。いくら自分の体重の重みがかかったとしても、こんなに何回も頭をぶつけるか?」
「調べてみますか?」
「警察も忙しいし、上からは、仕事を増やすなと言われているから、事故に見えるなら、放っておくのもいいが。ただ気になるな。」
俺は、事故直前に、この男性が居酒屋で女性と一緒に飲んでいたという情報は得ていたが、それから家までの情報は全くなかった。ただ、その女性は、遅れて被害者と合流し、先に出て行ったということに違和感があった。彼女なら、遅れてくることはあっても、一緒に帰るだろう。
でも、それで別れたんだから、その女性が犯人ということはないだろうが、何かに絡んでいるような気がする。被害者を調べたが、特に友達とかおらず、地味なサラリーマンというレベルで、それ以上の特徴はほとんど出てこなかった。
会社も訪問したが、特に揉め事とかはなかった。淡々と、毎日、定時にきて、言われたことだけやって、定時に帰るという、なんとも存在感がない人だった。
プライベートの交流関係も調べたが、友達とかはおらず、特に揉めている人とか、嫌われているとかはなく、というより、被害者のことを知っている人は、ほとんどいないという感じだった。
実家は仙台だが、大学に入る前も同じで、存在感が全くない人で、逆に恨まれそうにない。そうなると、本当に事故だったのかもしれない。
まず、一番、違和感がある居酒屋で一緒にいた女性を探そう。こんな存在感がない被害者に彼女がいるとも思えないし。
1週間ぐらいかかって、その女性らしい人物の候補が出てきた。現在、司法修習生をしている女性だった。司法試験を現役で受かる優秀さ、その美貌、どうみても、あの被害者の彼女になりそうもないが、居酒屋の店主からは、写真で、一緒にいたのは、この女性だったと証言を得た。
その女性のところにいき、被害者とどういう関係なのかを聞いた。
「警察で、この近くの事件を捜査しているんですが、ご協力をお願いします。」
「大変ですね。なんですか?」
「その被害者、この写真の方なんですが、あなたが、その被害者と居酒屋で飲んでたと聞いたんです。本当ですか?」
「あ、この人と飲んでいました。ただ、お店が混んでいたから、相席しただけで、会ったのは、その時が初めてで、それ以降も会っていません。この人がどうしたんですか?」
「亡くなったんです。」
「え、そうなんですか。それは、それは。でも、今、生きていても、私のこと、覚えていないんじゃないかってぐらい、居酒屋では酔っ払っていましたよ。」
「あなたぐらいお若い女性だったら、男性と相席すると言われたら、他のお店に行くのが普通だと思いますけど。」
「その日は、本当に疲れていて、食事作る気になれなかったし、駅から家に帰るときに、ふらっと立ち寄れる居酒屋だったので、もうここで食べたいと思っただけですよ。そんな時もあるでしょ。」
「ないとは言えないですけど、この男性と仲良く話していたそうじゃないですか。初対面の男性とそんなことしますかね。」
「相手が話してきて、無視すると雰囲気が悪くなるので、話しを合わせていただけですよ。相席して、話しかけてきて無視したら、殴りかかってきたりとか、何されるかわからないから怖いでしょう。相当、酔っ払っていたし。だから、早々に食べて、席を立ったんです。」
もともと、過去を調べても接点はないし、言っていることに矛盾はなく、被害者とこの女性が付き合うというイメージもできなかったので、捜査線上からは外れた。その後、それ以上の事実が出てこなかったので、酔った上での事故として、捜査は終結することになった。
私が近づくと、手をあげ、救急車を呼んでくれと声が聞こえた。まだ生きている。私は、持っていた紙袋から金槌を出し、こいつの頭を3回、おもいっきり殴ったら、動かなくなった。
早く逃げないと。私は、美花の部屋に戻った。そして、血がついた金槌は綺麗に洗い、紙袋は翌日、フライパンの上で焼いて、灰は捨てた。あのアパート周辺は、監視カメラもないことは確認しているし、証拠はもうないと思う。
美花、仇を打ってあげたからね。今夜は、久しぶりに1回も起きずに寝れた。
そういえば、階段にいたときにタクシーが通ったように感じたけど、普通は、寂れたアパートなんか見ないで通り過ぎたでしょ。また、あれだけ酔っ払っていれば、階段から落ちても不思議じゃないし。
今の警察は忙しいから、明らかに殺人と思えなければ事故で処理されるって聞いたことがある。今回も、そうなるはずよ。
翌日、アパートの住人が、酔っ払って階段から落ち死亡したということで警察が集まっていた。
「酔っ払いすぎるのもいけないですね。これから気をつけよう。」
「おい、そんなに簡単じゃないかもよ。」
「どうしてですか? どうみても、酔っ払って階段から落ちたようにしか見えないですけど。」
「それにしては、頭の傷が多過ぎないか。いくら自分の体重の重みがかかったとしても、こんなに何回も頭をぶつけるか?」
「調べてみますか?」
「警察も忙しいし、上からは、仕事を増やすなと言われているから、事故に見えるなら、放っておくのもいいが。ただ気になるな。」
俺は、事故直前に、この男性が居酒屋で女性と一緒に飲んでいたという情報は得ていたが、それから家までの情報は全くなかった。ただ、その女性は、遅れて被害者と合流し、先に出て行ったということに違和感があった。彼女なら、遅れてくることはあっても、一緒に帰るだろう。
でも、それで別れたんだから、その女性が犯人ということはないだろうが、何かに絡んでいるような気がする。被害者を調べたが、特に友達とかおらず、地味なサラリーマンというレベルで、それ以上の特徴はほとんど出てこなかった。
会社も訪問したが、特に揉め事とかはなかった。淡々と、毎日、定時にきて、言われたことだけやって、定時に帰るという、なんとも存在感がない人だった。
プライベートの交流関係も調べたが、友達とかはおらず、特に揉めている人とか、嫌われているとかはなく、というより、被害者のことを知っている人は、ほとんどいないという感じだった。
実家は仙台だが、大学に入る前も同じで、存在感が全くない人で、逆に恨まれそうにない。そうなると、本当に事故だったのかもしれない。
まず、一番、違和感がある居酒屋で一緒にいた女性を探そう。こんな存在感がない被害者に彼女がいるとも思えないし。
1週間ぐらいかかって、その女性らしい人物の候補が出てきた。現在、司法修習生をしている女性だった。司法試験を現役で受かる優秀さ、その美貌、どうみても、あの被害者の彼女になりそうもないが、居酒屋の店主からは、写真で、一緒にいたのは、この女性だったと証言を得た。
その女性のところにいき、被害者とどういう関係なのかを聞いた。
「警察で、この近くの事件を捜査しているんですが、ご協力をお願いします。」
「大変ですね。なんですか?」
「その被害者、この写真の方なんですが、あなたが、その被害者と居酒屋で飲んでたと聞いたんです。本当ですか?」
「あ、この人と飲んでいました。ただ、お店が混んでいたから、相席しただけで、会ったのは、その時が初めてで、それ以降も会っていません。この人がどうしたんですか?」
「亡くなったんです。」
「え、そうなんですか。それは、それは。でも、今、生きていても、私のこと、覚えていないんじゃないかってぐらい、居酒屋では酔っ払っていましたよ。」
「あなたぐらいお若い女性だったら、男性と相席すると言われたら、他のお店に行くのが普通だと思いますけど。」
「その日は、本当に疲れていて、食事作る気になれなかったし、駅から家に帰るときに、ふらっと立ち寄れる居酒屋だったので、もうここで食べたいと思っただけですよ。そんな時もあるでしょ。」
「ないとは言えないですけど、この男性と仲良く話していたそうじゃないですか。初対面の男性とそんなことしますかね。」
「相手が話してきて、無視すると雰囲気が悪くなるので、話しを合わせていただけですよ。相席して、話しかけてきて無視したら、殴りかかってきたりとか、何されるかわからないから怖いでしょう。相当、酔っ払っていたし。だから、早々に食べて、席を立ったんです。」
もともと、過去を調べても接点はないし、言っていることに矛盾はなく、被害者とこの女性が付き合うというイメージもできなかったので、捜査線上からは外れた。その後、それ以上の事実が出てこなかったので、酔った上での事故として、捜査は終結することになった。
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