23 / 29
新たなピンチ!
しおりを挟む
「れ、連くん!
その言い方は……」
「だって、場合によっては、俺たちの事も全て筒抜けなわけでしょ?
それは、危ないと思うよ」
「危ない?」
「そうだなぁ、例えば……」
連くんは、私でも分かるように説明してくれる。
「転生した俺たちって、不思議生命体みたいなものだと思う」
「う、宇宙人、みたいな?」
「まあ、それに近い感じ。
妖精を作ることが出来る人が、不思議生命体を放っておくと思う?
普通は、詳しく調べたいって思うんじゃないかな?」
「つ、つまり……」
連くんは頷く。
口元に、ひくついた笑みを浮かべて。
「もしソフィアに捕まったら、俺たちも宇宙人みたいに実験されるかもって事」
「え、えええぇぇ!?」
いや、いやいやいや!
それは絶対イヤ!
だって、なんか怖すぎるし!!
「どうにかして逃げよう! 連くん!」
「逃げるのは無理だよ。
俺は王子で、ミアは王女だしね。
何をしてても、どこにいても目立っちゃうから……。
ソフィアは変装の名人らしいし。
俺たちの居場所は、常に把握されてると思っていいかもね」
「えぇ!?」
大声を出すと、丸めていた手の中から痛みが走る。
「ミア、うるさい」
どうやら、ネネちゃんに蹴られたみたい……。
一言謝って、深呼吸。
連くんとロロに、提案してみる。
「じゃあ、皆で逃げよう!」
「無理」
「無理だな」
うお! すぐに却下!?
ロロまで!
「俺たちが王子と王女の座を退いたとなれば、いつソフィアが、どういった形で、その座を狙うか分からない。
繰り返すけど。
さっきロロは、”ソフィアは変装の名人”と言っていた。
俺かミアに扮して城内に紛れ込むのは、そう難しい事じゃないと思う」
「う゛……」
それは、一番イヤかも。
私以外の人が「ミア王女」になりきって、国を動かすなんて。
考えただけで、ゾッとする。
ってか、そもそも「変装の名人」って所がすごい厄介じゃない!?
だって、今だってどこかの誰かに紛れてても、おかしくないって事だよね!?
「なんか、お化けみたいで怖くなってきた……」
「お化けって、ミアお前な……」
「だって~!」
神様、あんまりです!
異世界に飛ばすだけじゃなく、私に、こんな恐怖まで用意するなんてー!
元の平和な世界が懐かしいです!
帰りたいです!!
「うえぇ~……!」
弱気になった私に、連くんは「大丈夫だよ」と頭を撫でてくれる。
「とりあえず、ハート国とスター国が仲良くなったわけだし。
ソフィアの事を両国に話して、そして調査・監視する。
こうやって、ソフィアに自由を与えなければ、きっと世界は平和なままだよ。大丈夫」
「連くん……」
連くんが「大丈夫」と言うと、本当に大丈夫な気がするから不思議。
好きな人の言葉って、なんて勇気を貰えるんだろう……!
感動していると、ロロが手を挙げた。
「さっきの話に戻るけど」と添えて。
「さっき、俺がスパイをしていないって事実。それを証明するものは、ない」
「え」
ロロ、言い切っちゃうの!?
目の色を変えた連くんに、ロロは「でも!」と、眉にシワを寄せた。
「俺はミアを裏切ってない。
それだけは、信じて欲しい」
「ロロ……」
「俺は、ミアの純粋な優しさに、いつも……」
と、ロロがそこまで言った時だった。
私は、ロロの背後に、変な物を見る。
「ねぇロロ。
いつもの蝶々の羽は、どこに行ったの?」
「は?」
「だって、後ろに綺麗な白い羽が生えてるよ?
まるで天使みたいな」
「!!」
その時、ロロの顔がすごい険しくなる。
しかも――
「逃げろ!!!!」
大声を出して、ロロは素早く私達から遠ざかった。
「え、ロロ!?」
心配する私。
だけど、次に聞こえたのは、
「美亜、危ない!!」
連くんの、大きな声。
それに、私を抱きしめる、強い力。
「連くん!?」
「また黒い塊だ!俺たちを狙ってる!」
「えぇ!?」
見ると、私たちの真上に、いつ現れたか分からない黒い塊があった。
それは、確かに校舎裏で見たものと似ていて……。
咄嗟に私の頭が、ズキズキと唸り始める。
「痛っ!」
「美亜! 大丈夫!?」
「わ、私の事は、いいの……。
それより!」
ロロを見る。
すると、ロロは天使の大きな羽に包み込まれ――
シュンッ
そして、羽もろとも姿を消した。
「え、ロロ……?」
呆然とする私。
だけど、そんな私にも危険は迫る。
黒い塊が、
もうすぐそこまで、
迫ってきていた。
「きゃあ!?」
「絶対に俺から手を離さないで、美亜!」
「うんッ!」
ギュッ、と。
私たちは、抱きしめ合う。
離れないように、強く強く。
すると、黒い塊は、まるで私たちを食べるように呑み込んだ。
そして――
コチ、コチ
一定のリズムで、大きな時計が時を刻む。
だけど、その場には、誰もいない。
今まで賑わっていた王子の部屋は、突如として――
もぬけの殻になったのだった。
その言い方は……」
「だって、場合によっては、俺たちの事も全て筒抜けなわけでしょ?
それは、危ないと思うよ」
「危ない?」
「そうだなぁ、例えば……」
連くんは、私でも分かるように説明してくれる。
「転生した俺たちって、不思議生命体みたいなものだと思う」
「う、宇宙人、みたいな?」
「まあ、それに近い感じ。
妖精を作ることが出来る人が、不思議生命体を放っておくと思う?
普通は、詳しく調べたいって思うんじゃないかな?」
「つ、つまり……」
連くんは頷く。
口元に、ひくついた笑みを浮かべて。
「もしソフィアに捕まったら、俺たちも宇宙人みたいに実験されるかもって事」
「え、えええぇぇ!?」
いや、いやいやいや!
それは絶対イヤ!
だって、なんか怖すぎるし!!
「どうにかして逃げよう! 連くん!」
「逃げるのは無理だよ。
俺は王子で、ミアは王女だしね。
何をしてても、どこにいても目立っちゃうから……。
ソフィアは変装の名人らしいし。
俺たちの居場所は、常に把握されてると思っていいかもね」
「えぇ!?」
大声を出すと、丸めていた手の中から痛みが走る。
「ミア、うるさい」
どうやら、ネネちゃんに蹴られたみたい……。
一言謝って、深呼吸。
連くんとロロに、提案してみる。
「じゃあ、皆で逃げよう!」
「無理」
「無理だな」
うお! すぐに却下!?
ロロまで!
「俺たちが王子と王女の座を退いたとなれば、いつソフィアが、どういった形で、その座を狙うか分からない。
繰り返すけど。
さっきロロは、”ソフィアは変装の名人”と言っていた。
俺かミアに扮して城内に紛れ込むのは、そう難しい事じゃないと思う」
「う゛……」
それは、一番イヤかも。
私以外の人が「ミア王女」になりきって、国を動かすなんて。
考えただけで、ゾッとする。
ってか、そもそも「変装の名人」って所がすごい厄介じゃない!?
だって、今だってどこかの誰かに紛れてても、おかしくないって事だよね!?
「なんか、お化けみたいで怖くなってきた……」
「お化けって、ミアお前な……」
「だって~!」
神様、あんまりです!
異世界に飛ばすだけじゃなく、私に、こんな恐怖まで用意するなんてー!
元の平和な世界が懐かしいです!
帰りたいです!!
「うえぇ~……!」
弱気になった私に、連くんは「大丈夫だよ」と頭を撫でてくれる。
「とりあえず、ハート国とスター国が仲良くなったわけだし。
ソフィアの事を両国に話して、そして調査・監視する。
こうやって、ソフィアに自由を与えなければ、きっと世界は平和なままだよ。大丈夫」
「連くん……」
連くんが「大丈夫」と言うと、本当に大丈夫な気がするから不思議。
好きな人の言葉って、なんて勇気を貰えるんだろう……!
感動していると、ロロが手を挙げた。
「さっきの話に戻るけど」と添えて。
「さっき、俺がスパイをしていないって事実。それを証明するものは、ない」
「え」
ロロ、言い切っちゃうの!?
目の色を変えた連くんに、ロロは「でも!」と、眉にシワを寄せた。
「俺はミアを裏切ってない。
それだけは、信じて欲しい」
「ロロ……」
「俺は、ミアの純粋な優しさに、いつも……」
と、ロロがそこまで言った時だった。
私は、ロロの背後に、変な物を見る。
「ねぇロロ。
いつもの蝶々の羽は、どこに行ったの?」
「は?」
「だって、後ろに綺麗な白い羽が生えてるよ?
まるで天使みたいな」
「!!」
その時、ロロの顔がすごい険しくなる。
しかも――
「逃げろ!!!!」
大声を出して、ロロは素早く私達から遠ざかった。
「え、ロロ!?」
心配する私。
だけど、次に聞こえたのは、
「美亜、危ない!!」
連くんの、大きな声。
それに、私を抱きしめる、強い力。
「連くん!?」
「また黒い塊だ!俺たちを狙ってる!」
「えぇ!?」
見ると、私たちの真上に、いつ現れたか分からない黒い塊があった。
それは、確かに校舎裏で見たものと似ていて……。
咄嗟に私の頭が、ズキズキと唸り始める。
「痛っ!」
「美亜! 大丈夫!?」
「わ、私の事は、いいの……。
それより!」
ロロを見る。
すると、ロロは天使の大きな羽に包み込まれ――
シュンッ
そして、羽もろとも姿を消した。
「え、ロロ……?」
呆然とする私。
だけど、そんな私にも危険は迫る。
黒い塊が、
もうすぐそこまで、
迫ってきていた。
「きゃあ!?」
「絶対に俺から手を離さないで、美亜!」
「うんッ!」
ギュッ、と。
私たちは、抱きしめ合う。
離れないように、強く強く。
すると、黒い塊は、まるで私たちを食べるように呑み込んだ。
そして――
コチ、コチ
一定のリズムで、大きな時計が時を刻む。
だけど、その場には、誰もいない。
今まで賑わっていた王子の部屋は、突如として――
もぬけの殻になったのだった。
10
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
超ポジティブ委員長の桂木くん
またり鈴春
児童書・童話
不登校の私の家に委員長がやって来た。
「この僕がいるのに、なぜ学校に来ないのですか?」
「……へ?」
初対面で、この発言。
実はこの人、超ポジティブ人間だった。
「同じクラスで僕と同じ空気を吸う、
それは高級エステに通ってると同じですよ」
自己肯定感の塊、それが委員長の桂木くん。最初は「変なヤツ」って思ってたけど…
バカな事を大まじめに言う桂木くんを、「学校で見てみたい」なんて…そんな事を思い始めた。
\委員長のお悩み相談室が開幕!/
超イケメン男子たちと、ナイショで同居することになりました!?
またり鈴春
児童書・童話
好きな事を極めるナツ校、
ひたすら勉強するフユ校。
これら2校には共同寮が存在する。
そこで学校も学年も性格も、全てがバラバラなイケメン男子たちと同じ部屋で過ごすことになったひなる。とある目的を果たすため、同居スタート!なんだけど…ナイショの同居は想像以上にドキドキで、胸キュンいっぱいの極甘生活だった!
【完結】アシュリンと魔法の絵本
秋月一花
児童書・童話
田舎でくらしていたアシュリンは、家の掃除の手伝いをしている最中、なにかに呼ばれた気がして、使い魔の黒猫ノワールと一緒に地下へ向かう。
地下にはいろいろなものが置いてあり、アシュリンのもとにビュンっとなにかが飛んできた。
ぶつかることはなく、おそるおそる目を開けるとそこには本がぷかぷかと浮いていた。
「ほ、本がかってにうごいてるー!」
『ああ、やっと私のご主人さまにあえた! さぁあぁ、私とともに旅立とうではありませんか!』
と、アシュリンを旅に誘う。
どういうこと? とノワールに聞くと「説明するから、家族のもとにいこうか」と彼女をリビングにつれていった。
魔法の絵本を手に入れたアシュリンは、フォーサイス家の掟で旅立つことに。
アシュリンの夢と希望の冒険が、いま始まる!
※ほのぼの~ほんわかしたファンタジーです。
※この小説は7万字完結予定の中編です。
※表紙はあさぎ かな先生にいただいたファンアートです。
大嫌いなキミに愛をささやく日
またり鈴春
児童書・童話
私には大嫌いな人がいる。
その人から、まさか告白されるなんて…!
「大嫌い・来ないで・触らないで」
どんなにヒドイ事を言っても諦めない、それが私の大嫌いな人。そう思っていたのに…
気づけば私たちは互いを必要とし、支え合っていた。
そして、初めての恋もたくさんの愛も、全部ぜんぶ――キミが教えてくれたんだ。
\初めての恋とたくさんの愛を知るピュアラブ物語/
忠犬ハジッコ
SoftCareer
児童書・童話
もうすぐ天寿を全うするはずだった老犬ハジッコでしたが、飼い主である高校生・澄子の魂が、偶然出会った付喪神(つくもがみ)の「夜桜」に抜き去られてしまいます。
「夜桜」と戦い力尽きたハジッコの魂は、犬の転生神によって、抜け殻になってしまった澄子の身体に転生し、奪われた澄子の魂を取り戻すべく、仲間達の力を借りながら奮闘努力する……というお話です。
※今まで、オトナ向けの小説ばかり書いておりましたが、
今回は中学生位を読者対象と想定してチャレンジしてみました。
お楽しみいただければうれしいです。
がらくた屋 ふしぎ堂のヒミツ
三柴 ヲト
児童書・童話
『がらくた屋ふしぎ堂』
――それは、ちょっと変わった不思議なお店。
おもちゃ、駄菓子、古本、文房具、骨董品……。子どもが気になるものはなんでもそろっていて、店主であるミチばあちゃんが不在の時は、太った変な招き猫〝にゃすけ〟が代わりに商品を案内してくれる。
ミチばあちゃんの孫である小学6年生の風間吏斗(かざまりと)は、わくわく探しのため毎日のように『ふしぎ堂』へ通う。
お店に並んだ商品の中には、普通のがらくたに混じって『神商品(アイテム)』と呼ばれるレアなお宝もたくさん隠されていて、悪戯好きのリトはクラスメイトの男友達・ルカを巻き込んで、神商品を使ってはおかしな事件を起こしたり、逆にみんなの困りごとを解決したり、毎日を刺激的に楽しく過ごす。
そんなある日のこと、リトとルカのクラスメイトであるお金持ちのお嬢様アンが行方不明になるという騒ぎが起こる。
彼女の足取りを追うリトは、やがてふしぎ堂の裏庭にある『蔵』に隠された〝ヒミツの扉〟に辿り着くのだが、扉の向こう側には『異世界』や過去未来の『時空を超えた世界』が広がっていて――⁉︎
いたずら好きのリト、心優しい少年ルカ、いじっぱりなお嬢様アンの三人組が織りなす、事件、ふしぎ、夢、冒険、恋、わくわく、どきどきが全部詰まった、少年少女向けの現代和風ファンタジー。
たった一度の、キセキ。
雨音
児童書・童話
「幼なじみとか、昔の話だし。親しくもないやつからこんなんもらったって、気持ち悪いだけだろ」
片思いする幼馴染み・蒼にラブレターを渡したところ、教室で彼が友達にそう言っているところを聞いてしまった宮野雛子。
傷心の彼女の前に現れたのは、蒼にそっくりな彼の従兄・茜。ひょんなことから、茜は雛子の家に居候することになる。突然始まった、片思いの人そっくりな年上男子とのひとつ屋根の下生活に、どぎまぎする雛子だが、
どうやら彼には秘密があるようで――。
守護霊のお仕事なんて出来ません!
柚月しずく
児童書・童話
事故に遭ってしまった未蘭が目が覚めると……そこは死後の世界だった。
死後の世界には「死亡予定者リスト」が存在するらしい。未蘭はリストに名前がなく「不法侵入者」と責められてしまう。
そんな未蘭を救ってくれたのは、白いスーツを着た少年。柊だった。
助けてもらいホッとしていた未蘭だったが、ある選択を迫られる。
・守護霊代行の仕事を手伝うか。
・死亡手続きを進められるか。
究極の選択を迫られた未蘭。
守護霊代行の仕事を引き受けることに。
人には視えない存在「守護霊代行」の任務を、なんとかこなしていたが……。
「視えないはずなのに、どうして私のことがわかるの?」
話しかけてくる男の子が現れて――⁉︎
ちょっと不思議で、信じられないような。だけど心温まるお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる