上 下
38 / 48
三年生 卒業の年編

38 ニアとの再会

しおりを挟む
私は、生徒会室で選ばれた生徒会の仲間と自己紹介をしようとしている。みんな、見渡すと緊張した顔をしていた。少し、顔が堅いと言うべきなのだろうか。みんな、対面で座っていて気まずい。そんな中、一人の少女が言う。

「あの、まず自己紹介さっさと終わらせましょう」

そう言われると、みんな堅かった顔の表情が少し和らいだ。私もそれに合わせて少し表情を和らげる。少女が続けて言う。

「私は、三年生のマリアよ。苗字は言う必要あるかしら」

突然、質問を投げられてみんな困惑していたがみんな首を横に振っていた。私も、周りに合わせて首を横に振る。

「じゃぁ、苗字は名乗らなくていいわね」

そう言いマリアは椅子に腰をかけた。次に誰が、発表するか…みんな譲り合って誰も自己紹介をしようとしない。

私が、立とうとした時男子が立った。男子は勢いよく立ちすぎて椅子が倒れてしまった。椅子を直して言う。

「俺は、二年生のマリクです。よろしくお願いします」

マリクは丁寧にお辞儀をして椅子に座った。すると、次の少女が立った。私は、彼女の方に体を向ける。

「私の名前はエマです…え、えーと学年は三年です」

彼女は急いで、椅子に座って生徒会室に椅子の座る音が響いた。すると、残りは私と男子のみ…どちらが言うか私は彼の目を見る。すると、彼は立ち上がり言う。

「俺は、ファインよろしく。三年だ」

そう言い座る。そして、私が最後になってしまった。私は、椅子からゆっくりと立って言う。

「私の名前はソフィ。三年よ」

そう言うと、マリアが指揮をとるかのように言う。

「じゃぁ自己紹介終わったから役割を決めるわよ」

そう言うと、再び生徒会室は沈黙に包まれた。またもや、気まずい空気が漂う。すると、マリクが言う。

「一番票が多かったソフィは生徒会長で良くないですか?」

私の名前が突然呼ばれて私は驚く。私が動揺しているとエマが言う。

「私は賛成です」

続けて、ファインとマリアも賛成と言った。私は理解が追いつかない。すると、マリアが言う。

「生徒会長はソフィで決定ね!」

マリアに、ウィンクされながら言われてしまう。こんな状況で断れる理由がなかった。私は、生徒会長になったのだった。

その後の話し合いで、決まったのが…

マリアは副会長。ファインとマリクが幹部。そして、経理兼秘書がエマとなった。
私たちは早速、生徒会の仕事に取り掛かった。生徒会の仕事は、小難しく考えて人の意見を聞かないと処理できる仕事がない。

処理できても、最終確認のエマのチェックで不自然な点があったらやり直し。生徒会は案外過酷なものだった。

私たちは、放課後をフルで使い処理できた仕事が二件くらいだ。このペースでやっていると途方もない時間がかかってしまう。

そして、処理しても新しい仕事が来るので処理して…新しい仕事が来る。この無限ループだ。
みんなが生徒会室を出て行く時間になった。私は言う。

「みんなはもう帰っていいよ」

そう言うと、マリアが荷物を持って言う。

「え?生徒会長は帰らないんですか?」

そう聞かれて私はどう言い訳しようか考えていると、書類を見ていたエマが言う。

「私がいるので大丈夫ですよ」

エマが、私をフォローしてくれた。私は後で感謝をしようと思った。
みんなが帰っても私たちは仕事が山積みだった。エマが手を止めて言う。

「もう、外薄暗いですし先生に報告して帰りましょうか」

私は後でエマに言われて気がついたが外がもう薄暗かった。私は頷いた。
生徒会室を出て廊下を歩いていると…目の前に誰かが歩いている

エマと私は怪しんだ。こんな時間に学校を出歩いている人はいないはず…
私たちは、少し急足で音を立てないように近づく。そして、怪しい人の肩を叩く。

「あなたは誰?」

そう言うと、怪しい人はゆっくりとこちらに振り向く。すると、その顔は…

「エマ!」

私は…えっ?と思った。この声は絶対にニアだ。私は疑問に思いながら言う。

「ニア、ここで何をしていたの?」

そう聞くと、ニアはこちらに向いて静かに呟く。

「二人が心配だった…」

それを聞いて私たちは少し微笑んんだが…

「ニア…ダメでしょう?こんな時間に学校に居ては…」

そう言うと、ニアはしょんぼりしていた。私は言う。

「私の部屋寄ってく?」

そう言うと、ニアは喜んでいた。私たちは小声で話しながら部屋まで言った。
本当は部屋と部屋の移動は禁止だが…秘密裏でやっている。ニアは、部屋に入ると少し感動してベットに飛び込んだ。

そのあとは、部屋の中でニアとお話を楽しんだ。そして、数時間が経った頃。ニアが言う。

「私もう帰るね」

「そう?」

そう言いながら私は時計を見た。

「そうね、もう帰ったほうがいいわね」

そう言うと、ニアは帰る準備をして…

「またね」

ニアは手を振ってくれた。私はその手を振り返した。

ニアの笑顔は久しぶりに見た。久しぶりに話すのは楽しかった。この一年間でニアは成長したなと思ったのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

冷宮の人形姫

りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。 幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。 ※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。 ※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので) そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。

転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
転生したら奴隷の赤ん坊だった お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。 全力でお母さんと幸せを手に入れます ーーー カムイイムカです 今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします 少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^ 最後まで行かないシリーズですのでご了承ください 23話でおしまいになります

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

糞ゲーと言われた乙女ゲームの悪役令嬢(末席)に生まれ変わったようですが、私は断罪されずに済みました。

メカ喜楽直人
ファンタジー
物心ついた時にはヴァリは前世の記憶を持っていることに気が付いていた。国の名前や自身の家名がちょっとダジャレっぽいなとは思っていたものの特に記憶にあるでなし、中央貴族とは縁もなく、のんきに田舎暮らしを満喫していた。 だが、領地を襲った大嵐により背負った借金のカタとして、准男爵家の嫡男と婚約することになる。 ──その時、ようやく気が付いたのだ。自分が神絵師の無駄遣いとして有名なキング・オブ・糞ゲー(乙女ゲーム部門)の世界に生まれ変わっていたことを。 しかも私、ヒロインがもの凄い物好きだったら悪役令嬢になっちゃうんですけど?!

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33
ファンタジー
初めての小説です..! ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

転生したら大好きな乙女ゲームの世界だったけど私は妹ポジでしたので、元気に小姑ムーブを繰り広げます!

つなかん
ファンタジー
なんちゃってヴィクトリア王朝を舞台にした乙女ゲーム、『ネバーランドの花束』の世界に転生!? しかし、そのポジションはヒロインではなく少ししか出番のない元婚約者の妹! これはNTRどころの騒ぎではないんだが! 第一章で殺されるはずの推しを救済してしまったことで、原作の乙女ゲーム展開はまったくなくなってしまい――。    *** 黒髪で、魔法を使うことができる唯一の家系、ブラッドリー家。その能力を公共事業に生かし、莫大な富と権力を持っていた。一方、遺伝によってのみ継承する魔力を独占するため、下の兄弟たちは成長速度に制限を加えられる負の側面もあった。陰謀渦巻くパラレル展開へ。

転生幼女具現化スキルでハードな異世界生活

高梨
ファンタジー
ストレス社会、労働社会、希薄な社会、それに揉まれ石化した心で唯一の親友を守って私は死んだ……のだけれども、死後に閻魔に下されたのは願ってもない異世界転生の判決だった。 黒髪ロングのアメジストの眼をもつ美少女転生して、 接客業後遺症の無表情と接客業の武器営業スマイルと、勝手に進んで行く周りにゲンナリしながら彼女は異世界でくらします。考えてるのに最終的にめんどくさくなって突拍子もないことをしでかして周りに振り回されると同じくらい周りを振り回します。  中性パッツン氷帝と黒の『ナンでも?』できる少女の恋愛ファンタジー。平穏は遙か彼方の代物……この物語をどうぞ見届けてくださいませ。  無表情中性おかっぱ王子?、純粋培養王女、オカマ、下働き大好き系国王、考え過ぎて首を落としたまま過ごす医者、女装メイド男の娘。 猫耳獣人なんでもござれ……。  ほの暗い恋愛ありファンタジーの始まります。 R15タグのように15に収まる範囲の描写がありますご注意ください。 そして『ほの暗いです』

薬屋の少女と迷子の精霊〜私にだけ見える精霊は最強のパートナーです〜

蒼井美紗
ファンタジー
孤児院で代わり映えのない毎日を過ごしていたレイラの下に、突如飛び込んできたのが精霊であるフェリスだった。人間は精霊を見ることも話すこともできないのに、レイラには何故かフェリスのことが見え、二人はすぐに意気投合して仲良くなる。 レイラが働く薬屋の店主、ヴァレリアにもフェリスのことは秘密にしていたが、レイラの危機にフェリスが力を行使したことでその存在がバレてしまい…… 精霊が見えるという特殊能力を持った少女と、そんなレイラのことが大好きなちょっと訳あり迷子の精霊が送る、薬屋での異世界お仕事ファンタジーです。 ※小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

処理中です...