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第三章 思い出

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中から出てきたお母さんは言った。

「あんた久々に帰ってきたわね~あら!玲奈もいるなんてもっと珍しいわ」

お母さんは口に手を当てながら驚いていた。俺はお母さんに対して会釈をした。お母さんは小さく返して葵に言った。

「この子誰なの?」

「私と玲奈の好きな人」

そういうとお母さんは驚いた顔をして固まった。あれ今俺なんて紹介されたんだ?好きな人まぁ確かに好きな人だが…と頭の中で整理をしていると葵が言った。

「さぁさぁ入ってー」

静止しているお母さんをどけて無理やり葵は入っていった。すると、お母さんは動き出して…

「さぁ入って頂戴…」

そういわれて俺は「お邪魔します」と一言言ってからは言った。初めて入った葵の実家。
リビングに行くと強面な男性がいた。俺はみて足が止まってしまう。葵はその男性の隣に座っていった。

「この人私のお父さん!」

そういいお父さんはこっちをにらんでから言った。

「どうも…うちの娘がお世話になってるね…明人君」

俺の名前を呼ばれて驚いたがソファに座ってどうぞといわれたので俺は静かに座った。
お父さんが笑顔で言った。

「そんなに緊張しなくていいから…楽にしていいよ」

そんなことを言われても俺は緊張してしまう。お茶が出てきたところでお父さんの表情が変わった。
真剣な表情で言った。

「君はうちの娘が好きみたいだね?」

俺は静かに頷いた。横目で葵と玲奈を見ると二人も真剣な表情だった。

「好きになってくれたのはありがたいんだが…余命が二人ともないんだ…」

「ちょっと待ってください…玲奈ってこの家のものだったんですか?」

「あれ?アキ君にはいってなかったけ?」

聞かれて俺は頷く。お父さんが少し表情を和らげていった。

「うちの娘は葵と玲奈は双子なんだ。一応葵が姉で玲奈が妹な」

そういわれてもっと状況の把握が追いつかなくなった。それに追い打ちをかけるようにお父さんは言った。

「君には…どっちかを選んでほしい二人がいる間にね…」

お父さんがそういうと二人はほほ笑んだ。俺はどうしようか考えたが結論は出なかった。
黙っていると…お父さんは言った。

「別に選ばないという選択肢もあるぞ。」

「それはありません!どっちかの最後には付き添います!!」

俺は咄嗟に言ってしまったが後悔はしていない。すると。お父さんはほほ笑んで言った。

「こんな男が娘の彼氏…ありがとう明人君」

そんなことを言われて泣きそうになったが…お父さんはやがてどこかに行ってしまった。
お母さんもどこかに行ってしまった。残ったのは俺と葵と玲奈だった。

気まずい空気の中葵が切り出した。

「あのさ…」

その声に俺と玲奈は葵に注目してしまう。葵は恥ずかしがりながらも言った。

「みんなで…思い出を見ない?」

俺たちは頭にはてなを浮かべえ葵がどこかに行って帰ってくるのを待った。
持ってきたのはアルバムだった。しかも何冊も。
どれだけも思いでを保管しているんだと思ってしまった。

アルバムの中には俺がちょこっとう移っていた。なんだか懐かしい気持ちになった。
彼女たちは「懐かしいと」言う言葉を何度も言ってアルバムをめくっていた。

俺もアルバムをめくるが一枚の写真がページの狭間に入っていた。それは…病院の中にはを背景に俺と玲奈と葵が移っているものだった。

俺はその写真をポケットに入れた。すると…玲奈が俺のことを呼び出した。
唐突に呼ばれたので俺は何なのだろうと思いながらついていくと玲奈の部屋に入った。

そして…玲奈にベットに押し倒された俺はドキドキしながら玲奈を見た。

玲奈の顔は真っ赤になっていた。
やがて玲奈は俺の上に騎乗位でのり…

「私の初めてもらって…」

そういい彼女と長い濃いキスをした。
そのあとは、彼女のやりたいように俺は力を抜いて彼女に任せたのだった。

この思い出が彼女との最後の思い出になるとは思いもしなかった。
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