社畜だった私は異世界転生をする 〜第一王女なんて聞いてません〜

『祭』と事件。そして第一王女としての立場

10

私は場所を変えて話した。今の所は、全く凶暴ではない気がする……
城の外にある丘の木下で私は聞いた。

「どうしてさっきはあんなことをしたの？」

「それは……」

長い髪の毛の子は少し黙ってから言った。

「あなたと昔に約束したことを果たしたいからです！」

「約束って？」

私が聞くと長い髪の毛の子は髪の毛をどかして顔を見せながら言おうとしたのだが……

「アリフィア様！」

下の方で兵士の声が聞こえてきた。すると、長い髪の毛の女の子は言った。

「どうやら、タイムリミットみたいですね……最後に……私は二重人格ですから……気をつけください」

そう言い、森の方に入ってしまった。私は彼女を止めようとしたが、私が止めたところで彼女の危害を加えるだけだと思い、手を止めた。

丘の下から息を切らした兵士がやってきて言った。

「アリフィア様何をされておられるのですか……」

「あら、私が外に出て悪かったかしら？」

兵士は首を大きく横に振りながら言った。

「そんなことはございません……こんな身分で指摘してしまい申し訳ございません」

「そんなに言わなくていいのよ……私も外に出たい時くらいあるわよ……」

私は空を見上げた。あの女の子と結んだ約束とはどんな約束なのか……そして、二重人格ということを言い残していってしまった。

もう一つの人格は凶暴で手に負えない。いつ出てくるのかもわからない。
だが、もう一つの人格は「約束を破った」と言って気がする。もしかして、人格ごとに約束したことが違うのか？とか考えていると兵士は言った。

「早く戻りましょう……怒られますよ」

「えぇ……そうね……行きましょう」

考えながら丘を下っていくのだった。


ー数年前ー

アリフィアはある人を助けていた。
その人とは、森の中で迷子になりモンスターに襲われそうになっている彼女を助けた。

そして、その時に約束をした。

「私を背負って欲しい」と。

その時のアリフィアは全く理解していなかった。この言葉がどんな意味を持っているのか。
まだ幼いアリフィアにはわからなかったが、約束をしてしまったのだ。

そして、またある日。アリフィアは城を抜け出し街を歩き回りいたずらばかりをしていた。
そんな時、約束をした子が路地で座っていた。

アリフィアは思わず声をかけてしまう。

「どうした？」

アリフィアの声に応えるように女の子は言った。

「誰ですか？」

アリフィアは困惑した。前に会ったことがあるのにと思っていたのだが……アリフィアは初対面のように話し合い……最後にアリフィアこんな約束をする。

「私を殺して欲しい」

この言葉もアリフィアには理解ができなかった。
アリフィアは理解をしようともしなかった。


だが、そんな約束も今となっては忘れてしまっておるのである。

ー現在ー

私は部屋に戻ると、お父さんとお母さんがベットに座っていた。
少し気まずい空気になり、廊下に出た。お母さんとお父さんは慰め合っていた。何を話しているのかはわからない。

すると、メイドが来て言った。

「どうされました？」

そうして、私はドアを少し開けて状況を見せた。
すると、メイドは少し察し静かにドアを閉めた。

私はメイドに対して言った。

「どう？わかった？」

「はい……」

メイドは気まずそうな顔を表しながら言った。そんなメイドに私は背中を優しく叩き………

「違うところ行ってらっしゃい」

そう言うと、メイドは静かにどこかに行った。そんなメイドの背中姿を見せて私はどうしようか考えていると……

「アリフィア？どうしたの？もしかしてお父さんとお母さん仲良さそうに見えた？」

元気になったお母さんが出てきた。私は驚きながらも言った。

「……お母様！元気になられてよかったです……」

「あら？心配してくれてるのね……優しい子…」

そう言い、お母さんはルンルンなままどこかに行ってしまった。私はそんな後ろ姿を見て思った。
お母さん人変わった？と。今まであんなにルンルンなお母さんを見たことがなかった。すると、私を肩を優しく叩きながらお父さんは言った。

「……変わったろ？」

「はい……どうしたのでしょうか」

「どうもないさ……あれが本当のお母さん……」

そう言い、お父さんはどこかに行ってしまった。
私は近々行われる『祭』について部屋に入って考えるのだった。