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どうやって止める?
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セシルが走っていった方角に行ってみると、上級生が何人かで大暴れしている。
「うわっ、兄貴もいるし」
フランネの言う通り、フランネの兄のユーカスもその乱闘に混じって誰かをぶん殴っている。
セシルが一人一人に声をかけて、冷静になるように言っているが、何せ人数が多い。頭に血が上った連中を相手に、だいぶ手を焼いているようだ。
アスナは、ここまで騒ぎが大きくなるとは思ってもみなかったようで、焦ってオロオロしている。
アスナの奴、何で焚きつけたのだろう?この状況は良くない気がする。下手をすれば、これセシルが怪我をするかもしれない。
王太子であるセシルにも気づかないほどの乱闘……どうやって止めよう。
「誰も立っていなければ終わるだろ」
拳を構えるフランネ。
「おい、乱闘に混じる気か?」
慌てる俺。
「それ、いいな。二人で協力すれば負けないだろ」
マキノも応じる。
「いや、完全に暴れたいだけだろ? それ」
「じゃあ、リオスが全裸でセクシーポーズ?」
は? なんてことを!! マキノお前!!
「いいな、それ。悪名高き妖艶悪役令息のセクシーポーズ、皆振り返るだろう? どっかの女神が岩屋に隠れた時には、神話では裸踊りでおびき出したんだろう?」
フランネが、マキノに応じる。
だから、どこにそんな妖艶悪役令息なんて未知の物体が転がっているんだ。
「無理でしょ? だって、セシル様にも気づかないんですよ? リオス君程度の魅力じゃあ」
冷静なリンネが、反論してくれる。
助かる。助かるけれども、なんか引っ掛かる言い方だな。
「じゃあ、どうするんだよ」
「古来から、こういう乱闘を止める有効な手段は決まっているでしょう? かつて、街に軍が訪れて大人が皆恐れたのに、一人の少年がそれを止めましてね」
リンネがニコリと微笑む。
なんだか嫌な予感しかしないんだけれども。
え、なんで俺の肩をがっしり掴んでいるの???
乱闘をしている上級生たちの上に、液体が降り注ぐ。
「うわっなんだ!!」
上級生が驚いて慌てふためく。
乱闘する上級生の上に降り注ぐ液体。それは
……
……
……
炭酸水
「本当は、体から出るあの液体なんですよ。幼いゴドフロワ三世が、敵軍に向かって……」
歴史に詳しいリンネは、ご不満なようだ。ブツブツ文句を言っている。
いや、それ俺にさせようとしていたよね? ひどくない?
リンネとマキノとフランネと俺、四人で食堂から手に入れた炭酸水を勢いよくぶっ放す。
四方から取り囲むように炭酸水を浴びせかけられて、慌てる上級生。
「お前達!! 何をやっているんだ!!!」
セシルが、大きな声で制すれば、流石に王太子に気づいた上級生たちは、大人しく乱闘を止めて大人しくなった。
いつの間にかいなくなったアスナ。
「せ、先生だ!!」
誰かが叫ぶ。
職員室からクラウス先生が走ってくる。後ろからアスナが走って戻ってくるところをみると、先生を呼びに行っていたのだろう。
逃げ惑う上級生たちは、蜘蛛の子を散らしたようにいなくなる。
「またお前達か!!!」
俺達四人は、クラウス先生の餌食となった。
だって、さすがに乱闘を止めた方だし、逃げなくていいかと思ったんだ。
「うわっ、兄貴もいるし」
フランネの言う通り、フランネの兄のユーカスもその乱闘に混じって誰かをぶん殴っている。
セシルが一人一人に声をかけて、冷静になるように言っているが、何せ人数が多い。頭に血が上った連中を相手に、だいぶ手を焼いているようだ。
アスナは、ここまで騒ぎが大きくなるとは思ってもみなかったようで、焦ってオロオロしている。
アスナの奴、何で焚きつけたのだろう?この状況は良くない気がする。下手をすれば、これセシルが怪我をするかもしれない。
王太子であるセシルにも気づかないほどの乱闘……どうやって止めよう。
「誰も立っていなければ終わるだろ」
拳を構えるフランネ。
「おい、乱闘に混じる気か?」
慌てる俺。
「それ、いいな。二人で協力すれば負けないだろ」
マキノも応じる。
「いや、完全に暴れたいだけだろ? それ」
「じゃあ、リオスが全裸でセクシーポーズ?」
は? なんてことを!! マキノお前!!
「いいな、それ。悪名高き妖艶悪役令息のセクシーポーズ、皆振り返るだろう? どっかの女神が岩屋に隠れた時には、神話では裸踊りでおびき出したんだろう?」
フランネが、マキノに応じる。
だから、どこにそんな妖艶悪役令息なんて未知の物体が転がっているんだ。
「無理でしょ? だって、セシル様にも気づかないんですよ? リオス君程度の魅力じゃあ」
冷静なリンネが、反論してくれる。
助かる。助かるけれども、なんか引っ掛かる言い方だな。
「じゃあ、どうするんだよ」
「古来から、こういう乱闘を止める有効な手段は決まっているでしょう? かつて、街に軍が訪れて大人が皆恐れたのに、一人の少年がそれを止めましてね」
リンネがニコリと微笑む。
なんだか嫌な予感しかしないんだけれども。
え、なんで俺の肩をがっしり掴んでいるの???
乱闘をしている上級生たちの上に、液体が降り注ぐ。
「うわっなんだ!!」
上級生が驚いて慌てふためく。
乱闘する上級生の上に降り注ぐ液体。それは
……
……
……
炭酸水
「本当は、体から出るあの液体なんですよ。幼いゴドフロワ三世が、敵軍に向かって……」
歴史に詳しいリンネは、ご不満なようだ。ブツブツ文句を言っている。
いや、それ俺にさせようとしていたよね? ひどくない?
リンネとマキノとフランネと俺、四人で食堂から手に入れた炭酸水を勢いよくぶっ放す。
四方から取り囲むように炭酸水を浴びせかけられて、慌てる上級生。
「お前達!! 何をやっているんだ!!!」
セシルが、大きな声で制すれば、流石に王太子に気づいた上級生たちは、大人しく乱闘を止めて大人しくなった。
いつの間にかいなくなったアスナ。
「せ、先生だ!!」
誰かが叫ぶ。
職員室からクラウス先生が走ってくる。後ろからアスナが走って戻ってくるところをみると、先生を呼びに行っていたのだろう。
逃げ惑う上級生たちは、蜘蛛の子を散らしたようにいなくなる。
「またお前達か!!!」
俺達四人は、クラウス先生の餌食となった。
だって、さすがに乱闘を止めた方だし、逃げなくていいかと思ったんだ。
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