ウチのクソ親父が冒険者だったようです

ねこ沢ふたよ

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そして冒険は始まりて

行こうぜ! ダンジョン!

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 ギルドで書類を書いて出てくると、リリーナさんたちが待ち構えている。


「ちゃんと手続きは終わったようね! ようこそ! 神聖・太陽平原マッサンドルフへ!」

 あ……リリーナさんの言葉を聞いて初めて気づく。
 「マッサン」「ドルフ」ではないんだ。「マッ」「サンドルフ」。意味は、真の太陽の平原的な。決して、マッサンという名前の怪しい人間の運営しているフィールドということではない。

「サンドルフは、英雄の門の守護国として、独立しているのよ」

 どや顔して語るリリーナさん。
 かつて国を救った英雄が現れたという大切な門。
 その門を守護することが、この国の役目。魔王は五十年ほど前に英雄に滅ぼされてから現状復活していないから、残党である魔物たちを退治することが、この国の人の生業。
 要は、ロールプレイングの始まりの村。英雄の門とギルドの街で、ここは冒険者が仲間を見つけ旅に出るための街。
 今は、魔王が復活していないが、魔王が復活してしまえば、それこそ血気盛んで我こそは魔王を討ち滅ぼさんと息巻く若者でにぎわうそうだ。

「さあ、せっかくだから、保志と悠里もダンジョンに行きましょう! 隆さん、いいでしょ?」

 ウキウキしているリリーナさん。
 口には出さないが、ゲボルグさんもワクワクしているのが、シッポの動きでなんとなく分かる。

「行きたいか?」

 俺と悠里に親父が聞く。
 そんなのもちろん決まっている。
 行きたい! だって、そんな機会は、今後いつあるか分からない!

「じゃあ、基本装備を揃えてから……」

 リリーナさんが、バラバラと武器を魔法で出してくれる。
 なるほど、冒険者はこんな風にあの膨大な量の防具や武器を運んでいるんだ。

 ダンジョンの中で見つけた物を運ぶとか、どうやっているんだろう? って、不思議だった。
 まあ、この異世界独特の方法かもしれないが、魔法で収納した物を、また魔法で出してくる感じ。

 魔法が使えない人はどうしているのか?

「保志と悠里にはこの袋をあげますね! この袋には、この収納魔法をかけてあります! だから、今出した武器や防具で、気に入ったものを遠慮なく袋につめこんでね!」

 おお、これは、あの国民的アニメの青いロボットの道具のようなアイテム! この小さな手のひらサイズの袋の中に薬草も剣も盾も全部入るのか!

 親父やゲボルグさん、リリーナさんに教えてもらいながら、俺と悠里は、装備を揃える。

「ふふっ! これでダンジョンで見つけた宝物を元手に、もっと良い物を揃えてね!」

 よほど行きたかったダンジョンなのだろう。リリーナさんは浮かれている。
 俺も、人生初のダンジョンに、心躍っている。

 いくぜ! ダンジョン!!


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