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それからの生活
これって? まさか! 22
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ある日の夜だった。モドキとマロンが、やたらと私の体をフンフンと嗅いでいる。
「何よ。どうしたっていうの?」
禁酒で水道水で味気ない晩酌している私が、水を飲みながら尋ねれば、
「匂いが変わっている。なあ、マロン?」
「ワン」
モドキとマロンがそう言う。
それは、禁酒をしているから? そうかな?
酒が抜けて、匂いが変わったとかかもしれない。
だって、もう一ヶ月以上飲んでいない。
偉いな! 私。
「薫。妊娠検査薬持っていないのか?」
「妊娠検査薬? モドキ、雑誌をずいぶんと読み込んでるわね。そんな単語まで覚えて」
「儂のことは今良いだろう? ほれ、持っていないのか? 妊娠検査薬!」
無い!
だって、まさかそんな、すぐに妊娠する者でもないと思うから。
妊娠したところで、出てくるのは、十月十日後でしょ? そんなに気にする必要もないでしょう。
「全く。これだから……」
「ちょっと! どこに連絡入れようとしているのよ」
「柏木だ。妊娠検査薬を買って来させようと……」
「モドキ!! それは駄目だって!」
そんなことをしたら、優一さんはきっと慌てる。
もう子どもが出来たような大騒ぎをするに違いない。そして、検査の結果出来ていなかったら、ものすごく落胆する。それはそれは、大騒ぎになる。
「分かったから。明日、会社の帰りに絶対買って帰るから。優一さんには頼まないで!」
「絶対だからな! 明日、帰った時に忘れたら、柏木に即連絡するからな!」
モドキが私を脅す。
そんなに脅さなくたっていいと思うんだけれども。
「いいか? 薫。妊娠すれば、その時点で、酒はもちろんのこと、カフェインも薬も駄目なんだぞ?」
カフェイン……お茶やコーヒーも駄目になるということか。
風邪を引いても、風邪薬も飲めなくなるのか。
けっこう大変そうだ。
「特に、妊娠初期は、子どもが流れてしまいやすい。安定期になるまでは油断できないし、安定期となっても、薬やカフェインが駄目な事には変わりないのじゃ!」
モドキは、ずいぶん学習している。
私がほとんど雑誌を読んでいないのに、モドキすごいな。
……まあ、それだけ私を心配してくれているということか。
「そうなんだ」
素直に私は、モドキの話を聞く。
「良いか? 妊娠とは、人間一人を胎で作り上げる行為。人間という精密な生き物を、造り上げる大変な作業なのじゃ。そのために、体のバランスも崩れるし、子に身体に必要になるから、母親の体の栄養は、子に奪われて体はボロボロになってしまうことも多いのじゃ」
はあ……。
思っていたのと、イメージは違う。
妊娠て、わあ! 赤ちゃん動いた♪ 程度のフワフワしたイメージしかなかった。
「絶対だからな! 明日、買って帰るのじゃ! とにかく、妊娠しているのかどうか調べることが大切じゃ!」
モドキが、何度もそうやって釘を刺してきた。
「何よ。どうしたっていうの?」
禁酒で水道水で味気ない晩酌している私が、水を飲みながら尋ねれば、
「匂いが変わっている。なあ、マロン?」
「ワン」
モドキとマロンがそう言う。
それは、禁酒をしているから? そうかな?
酒が抜けて、匂いが変わったとかかもしれない。
だって、もう一ヶ月以上飲んでいない。
偉いな! 私。
「薫。妊娠検査薬持っていないのか?」
「妊娠検査薬? モドキ、雑誌をずいぶんと読み込んでるわね。そんな単語まで覚えて」
「儂のことは今良いだろう? ほれ、持っていないのか? 妊娠検査薬!」
無い!
だって、まさかそんな、すぐに妊娠する者でもないと思うから。
妊娠したところで、出てくるのは、十月十日後でしょ? そんなに気にする必要もないでしょう。
「全く。これだから……」
「ちょっと! どこに連絡入れようとしているのよ」
「柏木だ。妊娠検査薬を買って来させようと……」
「モドキ!! それは駄目だって!」
そんなことをしたら、優一さんはきっと慌てる。
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「分かったから。明日、会社の帰りに絶対買って帰るから。優一さんには頼まないで!」
「絶対だからな! 明日、帰った時に忘れたら、柏木に即連絡するからな!」
モドキが私を脅す。
そんなに脅さなくたっていいと思うんだけれども。
「いいか? 薫。妊娠すれば、その時点で、酒はもちろんのこと、カフェインも薬も駄目なんだぞ?」
カフェイン……お茶やコーヒーも駄目になるということか。
風邪を引いても、風邪薬も飲めなくなるのか。
けっこう大変そうだ。
「特に、妊娠初期は、子どもが流れてしまいやすい。安定期になるまでは油断できないし、安定期となっても、薬やカフェインが駄目な事には変わりないのじゃ!」
モドキは、ずいぶん学習している。
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……まあ、それだけ私を心配してくれているということか。
「そうなんだ」
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はあ……。
思っていたのと、イメージは違う。
妊娠て、わあ! 赤ちゃん動いた♪ 程度のフワフワしたイメージしかなかった。
「絶対だからな! 明日、買って帰るのじゃ! とにかく、妊娠しているのかどうか調べることが大切じゃ!」
モドキが、何度もそうやって釘を刺してきた。
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