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トラルの契約者の救出
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実姫はこの世界で生きていくことを選んでいたがヒューイはまだ迷っていた。
今のまま彼女をこの屋敷に閉じ込めるようにして守っていいていいのか。
彼女は日の当たる場所へ帰してやるべきではないのだろうかと。
しかし、本人がそれを拒む。
ヒューイは困り果てた。
本音を言えば、彼女と片時も離れたくないと思っている。
そして、もとの世界にも返したくないと思っていた。
でも、ヒューイの友人からは帰すべきだと進められていた。
どちらにしてもヒューイは彼女に甘い。
本人の意思に任せようと思った。
そして、彼女の望み通り毎晩彼女を抱いた。
彼女のその気持ちを嬉しく思う。
今も彼女は隣で幸せそうに眠っていた。
ヒューイの服を掴んだまま。
ヒューイは彼女を本気で愛していた。
「ヒューイ、もう起きたの?」
そう言って彼女が目を覚ました。
「ああ」
そろそろまたあいつらがやって来る頃だからな。
そう言い服を整え、外へ出て行こうとした。
「実姫、今日はちゃんと約束を守るんだぞ?」
「・・・はい」
昨日は約束を破ってひどい目にあった実姫はもう懲りていた。
実姫は昨日どういう風に彼が戦っているのか気になり約束を破り窓からのぞいていた。
それがバレて、あの最中に酷い目にあった。
さすがに昨日の今日で同じことはしない。
ヒューイは実姫の返事を聞き、外へ出ようとした。
するとその瞬間風が入ってきてヒューイの友人の悪魔トラルが現れた。
どうやら込み入った話があるらしい。
トラルも上級悪魔らしい。
「何だトラル、突然の訪問は迷惑だぞ。もしあの最中だったらどうするんだ」
「・・・俺の契約者が捕まった。もう3日目になる。俺には助けに行く力がない」
思い詰めた様子のトラルに二人は驚いた。
「お前ほどの奴でもそんなミスするんだな」
「・・・」
トラルは黙って下を向いている。
「俺はあいつを愛しているんだ。助けに行ってくれないか?」
「対価は払う」
「いらん」
ヒューイの友人はゲイだ。
相手はもちろん男性の契約者だろう。
まるで他人ごとではないような出来事だった。
はぁー・・・っと深いため息をつき、ヒューイは助けに行くことにした。
「だが、もう殺されているかもしれないし、生きて連れ帰れるという保証もないぞ?」
「それでも、亡骸だけでも手元に置いておきたい」
必死な様子にヒューイは折れた。
「分かったよ、行ってやるよ。場所はどこだ?」
大まかな場所を聞き彼はトラルの契約者の救出に向かった。
「・・・」
きまずい雰囲気の中、実姫とトラルは残された。
「トラルさんの契約者ってどんな人なんですか?」
「・・・可愛い人だ」
(男の人に対して可愛いとは・・・)
「二人は愛し合っているんですか?」
実姫は少しでもトラルを励まそうと声をかけた。
「いいや、俺の片思いだ。俺は愛し合っているお前たちが羨ましい」
(・・・という事は無理やりやっているだろうか?)
さすがにそんな立ち入ったことは聞けなかった。
トラルは見ていて痛々しいほど落ち込んでいた。
そのころヒューイはトラルから教えられた場所に来ていた。
そこは低級悪魔の巣だった。
力は低いが数が多いと手こずる。
「!」
「ヒューイだ」
「上級悪魔が乗り込んできた!!」
悪魔の巣は大騒ぎになった。
その中をよく見ると縛られ、横たわっている人間を見つけた。
その人間は意識を失っていた。
ヒューイは、悪魔達の中をかいくぐりその人間を担ぎ上げると巣から飛び出した。
巣から何匹かの低級悪魔が出てきて戦いを挑んできた。
ヒューイは人間を地面に置き、戦闘態勢に入った。
低級悪魔はやはり弱い。
呆気なく倒せた。
辺りは血の海と化している。
返り血を浴びたヒューイも真っ赤に染まっていた。
「おい、人間。大丈夫か?」
「・・・」
どうやらまだ意識は戻っていないようだ。
もう一度担ぎ上げ、ヒューイは屋敷は帰った。
屋敷へ帰るとトラルが勢いよく出てきた。
「・・・良かった。生きている。ありがとう、ヒューイ。今度礼をするから」
「いらん」
何をされるかわかったもんじゃないと思いヒューイは短く答えた。
「これからどうするつもりだ?もし、そいつを抱くんなら部屋を貸すぞ?」
(本当に相手は男性だったんだ・・・)
実姫はその人をジロジロ眺めた。
怪我はしていない様子だった。
ただ意識を失っていた。
「・・・いや、もうこいつは人間界へ帰す。時を戻してからな」
「待ってください、愛しているって言っていたじゃないですか!本当に良いんですか?」
「・・・良くはないが、愛する者を危険にさらしてまで傍においておけるほど俺は強くはない」
そう言い彼は自分の屋敷へと戻って行った。
トラルの顔は悲しそうだった。
今にも泣き出してしまいそうな表情だった。
残されたヒューイと実姫はまるで今の自分たちを見ているようで胸が痛んだ。
今のまま彼女をこの屋敷に閉じ込めるようにして守っていいていいのか。
彼女は日の当たる場所へ帰してやるべきではないのだろうかと。
しかし、本人がそれを拒む。
ヒューイは困り果てた。
本音を言えば、彼女と片時も離れたくないと思っている。
そして、もとの世界にも返したくないと思っていた。
でも、ヒューイの友人からは帰すべきだと進められていた。
どちらにしてもヒューイは彼女に甘い。
本人の意思に任せようと思った。
そして、彼女の望み通り毎晩彼女を抱いた。
彼女のその気持ちを嬉しく思う。
今も彼女は隣で幸せそうに眠っていた。
ヒューイの服を掴んだまま。
ヒューイは彼女を本気で愛していた。
「ヒューイ、もう起きたの?」
そう言って彼女が目を覚ました。
「ああ」
そろそろまたあいつらがやって来る頃だからな。
そう言い服を整え、外へ出て行こうとした。
「実姫、今日はちゃんと約束を守るんだぞ?」
「・・・はい」
昨日は約束を破ってひどい目にあった実姫はもう懲りていた。
実姫は昨日どういう風に彼が戦っているのか気になり約束を破り窓からのぞいていた。
それがバレて、あの最中に酷い目にあった。
さすがに昨日の今日で同じことはしない。
ヒューイは実姫の返事を聞き、外へ出ようとした。
するとその瞬間風が入ってきてヒューイの友人の悪魔トラルが現れた。
どうやら込み入った話があるらしい。
トラルも上級悪魔らしい。
「何だトラル、突然の訪問は迷惑だぞ。もしあの最中だったらどうするんだ」
「・・・俺の契約者が捕まった。もう3日目になる。俺には助けに行く力がない」
思い詰めた様子のトラルに二人は驚いた。
「お前ほどの奴でもそんなミスするんだな」
「・・・」
トラルは黙って下を向いている。
「俺はあいつを愛しているんだ。助けに行ってくれないか?」
「対価は払う」
「いらん」
ヒューイの友人はゲイだ。
相手はもちろん男性の契約者だろう。
まるで他人ごとではないような出来事だった。
はぁー・・・っと深いため息をつき、ヒューイは助けに行くことにした。
「だが、もう殺されているかもしれないし、生きて連れ帰れるという保証もないぞ?」
「それでも、亡骸だけでも手元に置いておきたい」
必死な様子にヒューイは折れた。
「分かったよ、行ってやるよ。場所はどこだ?」
大まかな場所を聞き彼はトラルの契約者の救出に向かった。
「・・・」
きまずい雰囲気の中、実姫とトラルは残された。
「トラルさんの契約者ってどんな人なんですか?」
「・・・可愛い人だ」
(男の人に対して可愛いとは・・・)
「二人は愛し合っているんですか?」
実姫は少しでもトラルを励まそうと声をかけた。
「いいや、俺の片思いだ。俺は愛し合っているお前たちが羨ましい」
(・・・という事は無理やりやっているだろうか?)
さすがにそんな立ち入ったことは聞けなかった。
トラルは見ていて痛々しいほど落ち込んでいた。
そのころヒューイはトラルから教えられた場所に来ていた。
そこは低級悪魔の巣だった。
力は低いが数が多いと手こずる。
「!」
「ヒューイだ」
「上級悪魔が乗り込んできた!!」
悪魔の巣は大騒ぎになった。
その中をよく見ると縛られ、横たわっている人間を見つけた。
その人間は意識を失っていた。
ヒューイは、悪魔達の中をかいくぐりその人間を担ぎ上げると巣から飛び出した。
巣から何匹かの低級悪魔が出てきて戦いを挑んできた。
ヒューイは人間を地面に置き、戦闘態勢に入った。
低級悪魔はやはり弱い。
呆気なく倒せた。
辺りは血の海と化している。
返り血を浴びたヒューイも真っ赤に染まっていた。
「おい、人間。大丈夫か?」
「・・・」
どうやらまだ意識は戻っていないようだ。
もう一度担ぎ上げ、ヒューイは屋敷は帰った。
屋敷へ帰るとトラルが勢いよく出てきた。
「・・・良かった。生きている。ありがとう、ヒューイ。今度礼をするから」
「いらん」
何をされるかわかったもんじゃないと思いヒューイは短く答えた。
「これからどうするつもりだ?もし、そいつを抱くんなら部屋を貸すぞ?」
(本当に相手は男性だったんだ・・・)
実姫はその人をジロジロ眺めた。
怪我はしていない様子だった。
ただ意識を失っていた。
「・・・いや、もうこいつは人間界へ帰す。時を戻してからな」
「待ってください、愛しているって言っていたじゃないですか!本当に良いんですか?」
「・・・良くはないが、愛する者を危険にさらしてまで傍においておけるほど俺は強くはない」
そう言い彼は自分の屋敷へと戻って行った。
トラルの顔は悲しそうだった。
今にも泣き出してしまいそうな表情だった。
残されたヒューイと実姫はまるで今の自分たちを見ているようで胸が痛んだ。
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