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庭へ外出

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今日も唯奈は窓の外を眺めていた。
「唯奈、今日は庭に連れて行ってやろうか?」
「え・・・いいの?」
唯奈は振り返り和樹を見た。
「そろそろ、外へ出たいだろう?」
和樹はなるべく優しい声で誘った。
「うん!行きたい」
「そういえばどうして毎日制服を着ているんだ?」
「え・・・ドレスがどれも豪華すぎて・・・」
言いづらそうに唯奈は言った。
そう答えた唯奈にドレスを選び始めた。
「このドレスは地味だぞ。制服以外の装いも見てみたい」
「でも・・・きっと似合わないわ」
そのドレスは淡い水色のドレスだった。
「いいから着ろ。その姿だと目立つ」
そう言い残し部屋から出て行ってしまった。
「可愛いデザイン・・・」
女の子ならきっとこういうドレスを好むだろう。
落ち着いた色合いの少しフリルがあしらわれているドレスだ。
「着てみよう」
唯奈は覚悟を決めて制服を脱ぎ、ドレスに着替えた。
ドレスとセットで靴も用意されていた。
少しヒールのある靴だったがサイズはぴったりだった。
「・・・何で靴のサイズと服のサイズを知っているの・・・?」
色んな意味で怖くなった。
(ストーカーなのかしら・・・)
「おい、着替えたか?」
「あ、うん」
「入るぞ?」
ガチャっと戸を開け和樹が入ってきた。
「どう?変じゃない?」
「ああ、よく似合っている」
唯奈は真っ赤になりながらお礼を言った。
「あ、ありがとう」
2人はそれから庭の散策へ行った。
庭は広くいつも見ている花畑に行きたいと言うと和樹は唯奈を横抱きにして飛んで連れて行ってくれた。
「しっかり捕まっておけよ」
「きゃっ!」
花畑は近くにあるように見えたのに結構遠くにあった。
白い百合が咲き乱れていた。
「少し摘んで帰ってもいいかな?」
和樹にそう聞くと和樹は頷いた。
大輪の白い百合を唯奈は3本摘んだ。
白い百合と唯奈は絵になっていた。
とても神聖な感じがした。
「魔界でもこんなに綺麗な花が咲くのね」
「ここは父上の魔術で自然を保っている」
「え!?そうなの!?これ摘んでも良かったの?」
「ただ咲いて枯れていくより愛でられた方が花も喜ぶ」
「・・・花に水をあげたいからもう部屋に戻ろう」
「もういいのか?」
「うん」

廊下を歩いていると魔王と出会ってしまった。
和樹が唯奈を守るように一歩前に出た。
「父上・・・」
「庭は楽しかったか?ユイナ」
「はい」
唯奈が手に大事に抱えている花を見て魔王は嬉しそうに言った。
「正妃もその花が好きだったな」
(え?過去形?・・・ってことはもう亡くなっているの?)
唯奈はそんな大事な花を摘んできてしまったことを後悔した。
「すみません、知らなかった事とはいえそんな大事な花を摘んでしまって・・・」
「かまわん。ユイナの好きに過ごせばよい」
意味ありげな笑みを浮かべ魔王はその場を去って行った。
さすがは魔王。
凄い威圧感だった。
「良かった。叱られなかったわ」
「ああ。もし何かあったら俺が全力で守ってやる」
「?」
(どういう意味だろう?)
よくわからないといった表情で唯奈は和樹を見上げた。
すると唇を奪われた。
「なっ、いきなり・・・何をするの!?」
「今日の唯奈は可愛らしい格好をしているからついキスをしてしまった」
「やっぱり制服で過ごそうかしら」
ぼそりと呟くと和樹が謝ってきた。
「悪かった。もう廊下でこんなことしないから他のドレスも着てくれ」
「何でそんなにドレスを着せたがるの?」
「この世界の服だからだ。早くこの世界に馴染んで欲しいんだ」
「・・・もう帰れないから?」
「そうだ」
「本当に人間界に帰る術はないの?」
「無い」
きっぱり言われるとこれが現実なのだと受け入れざる得ない。
唯奈はポケットに何か入っていることに気がついた。
ポケットに手を入れると手紙が入っていた。
カサっとした音がする。
手紙の中身が気になるが何故か和樹の前で読まない方が良いような気がした。
「ほら、花瓶に花を活けるんだろう?行くぞ」
和樹は唯奈の腕を引き歩き出した。
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