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関わりたくないのに

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その日から、関わりたくないのに二宮和樹は一ノ瀬唯奈に構うようになった。
和樹は問題児で遅刻は当たり前、よく暴力沙汰も起こしている問題児だ。
魔王の息子が何故、人間界にいるのか唯奈は不思議だった。
唯奈は少し体が弱くてよく保健室で体を休ませていた。
保健室で眠っていると体に重みを感じた。
「ん・・・?」
薄っすら目を開けて見るとそこには美しい和樹の顔があった。
「な、何!?」
「お前、よく保健室に来ているがどこか悪いのか?」
薄茶色の瞳で見据えられて答えなければいけないような状況になっている。
(何でこんな状況に・・・)
「・・・小さい頃心臓の手術をしてそれから体がまだ悪いの」
「ふぅん」
せっかく話したのに興味のなさそうな返事が返ってきた。
「だから、私の上からどいてくれない?あまり心臓に負担をかけたくないの」
「俺がその病気治してやろうか?」
「え?」
「俺に抱かれれば病は治るぞ?」
「だっ・・・!」
いきなり飛び出してきた言葉に唯奈は耳を疑った。
「お前には外からじゃ魔術が効かないから内側から魔術をかければ効くはずだ」
「いい!!このままでいい!」
「お前もしかして処女か?」
「!」
(何てデリカシーのない言葉を平気で使うのだろう)
唯奈は真っ赤になった。
「どうやら図星みたいだな」
「・・・それの何かいけないの」
「いけないわけではない。むしろ処女の方が良い」
「何で!?」
「処女を抱くと魔力の増幅に繋がるからな」
そんな事の為に抱かれては敵わない・・・。
「なぁ、魔界に興味はないか?」
「魔界に?」
興味はあるが悪魔やらがわんさかいる世界は想像するだけでも怖い。
「・・・ないわ」
「だが、正体を知られた以上唯奈を人間界に置いておくことは出来ないんだ」
「え?」
「決まりだ。記憶操作ができない人間は魔界に連れて行かなければならない」
そういうとシーツに唯奈を包み横抱きにして保健室にある姿見の鏡の中に入って行った。
暗闇の中を和樹は唯奈を抱えて飛ぶ。
「魔界への通路はいろんなところにある」
「そんなことより私を監視するんじゃなかったの!?」
「それを拒んだのは唯奈の方だろう?」
確かに拒んだが魔界へ行くことになるのなら恋人になった方が良かったのかもしれない。
「魔界へ行くなんて嫌よ!私を元の世界へ帰して!!」
「もう遅い。もう魔界についている。人間は一度行くともう人間界には戻れない」
その言葉を聞き、さぁーっと唯奈は青ざめた。
「嫌ぁ!帰る!!」
「だからもう帰れないと言っているだろう」
「じゃあ、これから私はどうやって生きていけばいいの!?」
「・・・俺の嫁になるしかないな」
(恋人をすっ飛ばして嫁!?)
「冗談じゃないってば!!」
「俺は本気だ。唯奈の事を気に入っているしな」
今までのやり取りで気に入られることなどなかったはずだ。
「一体私の何を気に入ったの!?」
「気の強い所かな。唯奈は俺を恐れなかっただろう?」
「そうだけど・・・」
「父に紹介するから一緒に来てもらう」
「死にたくなければ俺と話を合わせろよ?」
和樹の瞳は真剣そのものだった。
「~っ!」
唯奈は今から魔王の元へ連れて行かれるらしい。
(困ったことになったな・・・どうしよう)
唯奈は急に怖くなった。
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