16 / 20
魔界(番外編)
しおりを挟む
魔界はまゆが思っていた世界とは全く違った。
本で見たような不気味さはなく景色は山々に囲まれている。
魔王城がある街は活気に溢れていた。
まゆはジオンの自室で生活することになった。
ジオンはまゆを肩から降ろして跪いた。
「?・・・どうしたの?」
「左手を出せ」
まゆは戸惑いながら左手を出した。
するとジオンがまゆの薬指に金色の小さな指輪をはめた。
指輪にはルビーが付いていた。
もうすっかりジオンの目は美しい漆黒の瞳に戻っていた。
ルビーを見ると少し人間界でのことが思い出された。
まゆはジオンを見つめた。
「これは婚約指輪だ」
「こんやく・・・?魔界にも指輪を贈る風習があるの?」
ジオンは真っ赤になり答えた。
「お前も女だからこういったものを好むと思っただけだ」
「あ、ありがとう」
魔界には指輪の風習は無いらしい。
ただ、まゆを喜ばせるために贈ったようだった。
「まゆ、俺はジンの所に行ってくる」
「うん」
「その間にクローゼットに入っているドレスに着替えておいてくれ」
「え?」
(いつの間に用意したのだろう)
そう思いつつクローゼットを開いた。
すると大量のドレスがぎゅうぎゅうに入っていた。
「!?」
一体どれを着ればいいのか戸惑っているとドアからノックの音が聞こえた。
「はい」
まゆは反射的に答えてしまった。
「ジオン魔王様よりまゆ様のお世話をするように命じられた者です」
「ジオンから?」
「はい、入室してもよろしいですか?」
「・・・」
その声には悪意は無かった。
”それ以前に城の者はお前に危害を加えない”っとジオンから言われていた。
「はい、どうぞ」
カチャっとドアが開くと1人の年若い女性がメイド服姿で立っていた。
「何かお困りのことがあれば何なりと」
「あ、えっと、ジオンに着替えるように言われたんですがどれを着たらいいのかわからなくて・・・」
まゆを上から下までじっくり観察してから侍女はてきぱきとクローゼットから衣装を取り出してきた。
「この中からお選びください。きっとまゆ様にお似合いになると思います」
侍女はそう言うと微笑みながらまゆを見つめた。
まゆは5着のドレスから好きな色のドレスを選んだ。
まゆが選んだドレスはふわふわふりふりの黄色のドレスだった。
「それでは着付けをしますね」
「はい、お願いします」
まゆはこんな贅沢していいのか少し迷ったが、ジオンから言われた通り大人しく着替えることにした。
この世界の身分の高い女性はこのような格好をするらしいと侍女から聞いた。
(まるで魔界というよりおとぎの世界ね)
日の光の差し込む部屋に天蓋付きのベッド、赤い絨毯。
何もかもが元いた世界と違いすぎて呆然としてしまう。
まゆは着替えさせてもらい、部屋でジオンの帰りを待った。
本で見たような不気味さはなく景色は山々に囲まれている。
魔王城がある街は活気に溢れていた。
まゆはジオンの自室で生活することになった。
ジオンはまゆを肩から降ろして跪いた。
「?・・・どうしたの?」
「左手を出せ」
まゆは戸惑いながら左手を出した。
するとジオンがまゆの薬指に金色の小さな指輪をはめた。
指輪にはルビーが付いていた。
もうすっかりジオンの目は美しい漆黒の瞳に戻っていた。
ルビーを見ると少し人間界でのことが思い出された。
まゆはジオンを見つめた。
「これは婚約指輪だ」
「こんやく・・・?魔界にも指輪を贈る風習があるの?」
ジオンは真っ赤になり答えた。
「お前も女だからこういったものを好むと思っただけだ」
「あ、ありがとう」
魔界には指輪の風習は無いらしい。
ただ、まゆを喜ばせるために贈ったようだった。
「まゆ、俺はジンの所に行ってくる」
「うん」
「その間にクローゼットに入っているドレスに着替えておいてくれ」
「え?」
(いつの間に用意したのだろう)
そう思いつつクローゼットを開いた。
すると大量のドレスがぎゅうぎゅうに入っていた。
「!?」
一体どれを着ればいいのか戸惑っているとドアからノックの音が聞こえた。
「はい」
まゆは反射的に答えてしまった。
「ジオン魔王様よりまゆ様のお世話をするように命じられた者です」
「ジオンから?」
「はい、入室してもよろしいですか?」
「・・・」
その声には悪意は無かった。
”それ以前に城の者はお前に危害を加えない”っとジオンから言われていた。
「はい、どうぞ」
カチャっとドアが開くと1人の年若い女性がメイド服姿で立っていた。
「何かお困りのことがあれば何なりと」
「あ、えっと、ジオンに着替えるように言われたんですがどれを着たらいいのかわからなくて・・・」
まゆを上から下までじっくり観察してから侍女はてきぱきとクローゼットから衣装を取り出してきた。
「この中からお選びください。きっとまゆ様にお似合いになると思います」
侍女はそう言うと微笑みながらまゆを見つめた。
まゆは5着のドレスから好きな色のドレスを選んだ。
まゆが選んだドレスはふわふわふりふりの黄色のドレスだった。
「それでは着付けをしますね」
「はい、お願いします」
まゆはこんな贅沢していいのか少し迷ったが、ジオンから言われた通り大人しく着替えることにした。
この世界の身分の高い女性はこのような格好をするらしいと侍女から聞いた。
(まるで魔界というよりおとぎの世界ね)
日の光の差し込む部屋に天蓋付きのベッド、赤い絨毯。
何もかもが元いた世界と違いすぎて呆然としてしまう。
まゆは着替えさせてもらい、部屋でジオンの帰りを待った。
0
お気に入りに追加
32
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
[R18] 18禁ゲームの世界に御招待! 王子とヤらなきゃゲームが進まない。そんなのお断りします。
ピエール
恋愛
R18 がっつりエロです。ご注意下さい
えーー!!
転生したら、いきなり推しと リアルセッ○スの真っ最中!!!
ここって、もしかしたら???
18禁PCゲーム ラブキャッスル[愛と欲望の宮廷]の世界
私って悪役令嬢のカトリーヌに転生しちゃってるの???
カトリーヌって•••、あの、淫乱の•••
マズイ、非常にマズイ、貞操の危機だ!!!
私、確か、彼氏とドライブ中に事故に遭い••••
異世界転生って事は、絶対彼氏も転生しているはず!
だって[ラノベ]ではそれがお約束!
彼を探して、一緒に こんな世界から逃げ出してやる!
カトリーヌの身体に、男達のイヤラシイ魔の手が伸びる。
果たして、主人公は、数々のエロイベントを乗り切る事が出来るのか?
ゲームはエンディングを迎える事が出来るのか?
そして、彼氏の行方は•••
攻略対象別 オムニバスエロです。
完結しておりますので最後までお楽しみいただけます。
(攻略対象に変態もいます。ご注意下さい)
前略、旦那様……幼馴染と幸せにお過ごし下さい【完結】
迷い人
恋愛
私、シア・エムリスは英知の塔で知識を蓄えた、賢者。
ある日、賢者の天敵に襲われたところを、人獣族のランディに救われ一目惚れ。
自らの有能さを盾に婚姻をしたのだけど……夫であるはずのランディは、私よりも幼馴染が大切らしい。
「だから、王様!! この婚姻無効にしてください!!」
「My天使の願いなら仕方ないなぁ~(*´ω`*)」
※表現には実際と違う場合があります。
そうして、私は婚姻が完全に成立する前に、離婚を成立させたのだったのだけど……。
私を可愛がる国王夫婦は、私を妻に迎えた者に国を譲ると言い出すのだった。
※AIイラスト、キャラ紹介、裏設定を『作品のオマケ』で掲載しています。
※私の我儘で、イチャイチャどまりのR18→R15への変更になりました。 ごめんなさい。
悪役令嬢は王太子の妻~毎日溺愛と狂愛の狭間で~
一ノ瀬 彩音
恋愛
悪役令嬢は王太子の妻になると毎日溺愛と狂愛を捧げられ、
快楽漬けの日々を過ごすことになる!
そしてその快感が忘れられなくなった彼女は自ら夫を求めるようになり……!?
※この物語はフィクションです。
R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。
そんなに妹が好きなら死んであげます。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』
フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。
それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。
そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。
イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。
異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。
何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる