4 / 7
お菓子作り
しおりを挟む
「もうすぐバレンタインだし・・・チョコレート渡そう!!」
そう思いチョコレートのお菓子作りの練習が始まった。
色々作っているうちに琴音はふと思った。
翔はあまいもの、好きなのだろうかと。
翔はいつも喫茶店でブラックコーヒーしか頼んでいなかった。
もしかすると甘いものが苦手なのかもしれない。
でも、告白するにはどうしてもバレンタインにチョコレートを渡したかった。
普段言えない言葉と共にー・・・。
台所を片付けているとふいに着信があった。
それは翔からのものだった。
薄力粉のついた手でスマホを取った。
「今何してる?」
「あ、えっと部屋の片づけかな」
片づけをしているので嘘ではない。
「じゃあ、今日は会えないか?」
「え!?そんな事無いです!会いたいです!!」
琴音は慌てて答えた。
ほぼ毎日琴音と翔は喫茶店で会っていた。
琴音はまだ高校3年生で翔は今年から社会人になったばかりだった。
いつも定時で帰ってきてくれて夕方には会えるようにしてくれている。
翔は気遣いもできる良い男性だと琴音は思っている。
「いつもの喫茶店で待っているからな」
「はい。すぐ行きます!」
「あんまり焦ると危ないからゆっくりでいいぞ」
心配され嬉しくなってしまった琴音だった。
やっぱり翔は優しい。
そんな翔と出会って1ヶ月が経とうとしていた。
学生で働いていない琴音はいつも喫茶店で翔に奢ってもらっている。
申し訳ない気持ちもあってそのお礼にチョコレートを渡したかった。
いつも言えない言葉を添えて。
「わわ!急がなきゃ」
急いで台所を片付けて翔の待つ喫茶店へ向かった。
台所を綺麗にしておかないと母に怒られてしまう。
だから結構時間がかかってしまった。
「まだ待ってくれているかな」
不安に駆られながらも一生懸命走った。
家から徒歩15分の場所にある喫茶店。
走れば10分くらいで着くだろう。
(早く会いたい)
琴音の頭の中は翔の事ばかりだった。
(甘いもの好きか今日聞いてみよう・・・)
そう思い喫茶店まで猛ダッシュした。
ドアノブを引くとカランっと喫茶店のドアが音を立てた。
店内を見渡すと一番奥の席に翔の姿があった。
急いで翔の元へ向かった。
乱れた呼吸はまだ治まらない。
心配そうに翔が声をかけてくれた。
「大丈夫か?」
「はい。少し走って来ちゃいました」
「・・・急に連絡して悪かった」
「ち、違うんです!私がとろいのが悪いんです」
慌てて否定するとくすりと笑われてしまった。
まぁ、椅子に座ってお水でも飲んで落ち着いて」
「・・・はい」
言われた通り水を飲むと少し落ち着いてきた。
「落ち着いたら何か頼もう」
「でもいつも奢ってもらっているじゃないですか、申し訳ないです」
「俺はこう見えても社会人だぞ?」
確かにスーツ姿がよく似合っている。
「素直に甘えておきなさい」
「・・・はい・・・」
結局押し切られいつものように奢ってもらう事になった。
「で?今日は何していた?」
「・・・秘密です」
「ふぅん・・・」
長い琴音の髪を一房手に取った翔は匂いを嗅いだ。
「何だか甘い匂いがするな」
「!!」
「菓子作りか?もうすぐバレンタインだもんな」
ギクっとか体が反応してしまった。
「誰か好きな奴でもいるのか?」
「と、友達にあげるチョコです!」
咄嗟に嘘をついてしまった琴音だった。
「好きな奴はいないのか?」
「いいえ、います」
「そいつにチョコをやるのか?」
「もちろんです」
あからさまに翔の機嫌が悪くなった。
翔と琴音はまだ付き合っているわけではない。
「ど・・・どうかしたんですか?」
「否、何でもない」
(とてもそんな風には見えないんですけど・・・)
不機嫌な翔を目の前にして飲むココアの味は美味しくなかった。
そう思いチョコレートのお菓子作りの練習が始まった。
色々作っているうちに琴音はふと思った。
翔はあまいもの、好きなのだろうかと。
翔はいつも喫茶店でブラックコーヒーしか頼んでいなかった。
もしかすると甘いものが苦手なのかもしれない。
でも、告白するにはどうしてもバレンタインにチョコレートを渡したかった。
普段言えない言葉と共にー・・・。
台所を片付けているとふいに着信があった。
それは翔からのものだった。
薄力粉のついた手でスマホを取った。
「今何してる?」
「あ、えっと部屋の片づけかな」
片づけをしているので嘘ではない。
「じゃあ、今日は会えないか?」
「え!?そんな事無いです!会いたいです!!」
琴音は慌てて答えた。
ほぼ毎日琴音と翔は喫茶店で会っていた。
琴音はまだ高校3年生で翔は今年から社会人になったばかりだった。
いつも定時で帰ってきてくれて夕方には会えるようにしてくれている。
翔は気遣いもできる良い男性だと琴音は思っている。
「いつもの喫茶店で待っているからな」
「はい。すぐ行きます!」
「あんまり焦ると危ないからゆっくりでいいぞ」
心配され嬉しくなってしまった琴音だった。
やっぱり翔は優しい。
そんな翔と出会って1ヶ月が経とうとしていた。
学生で働いていない琴音はいつも喫茶店で翔に奢ってもらっている。
申し訳ない気持ちもあってそのお礼にチョコレートを渡したかった。
いつも言えない言葉を添えて。
「わわ!急がなきゃ」
急いで台所を片付けて翔の待つ喫茶店へ向かった。
台所を綺麗にしておかないと母に怒られてしまう。
だから結構時間がかかってしまった。
「まだ待ってくれているかな」
不安に駆られながらも一生懸命走った。
家から徒歩15分の場所にある喫茶店。
走れば10分くらいで着くだろう。
(早く会いたい)
琴音の頭の中は翔の事ばかりだった。
(甘いもの好きか今日聞いてみよう・・・)
そう思い喫茶店まで猛ダッシュした。
ドアノブを引くとカランっと喫茶店のドアが音を立てた。
店内を見渡すと一番奥の席に翔の姿があった。
急いで翔の元へ向かった。
乱れた呼吸はまだ治まらない。
心配そうに翔が声をかけてくれた。
「大丈夫か?」
「はい。少し走って来ちゃいました」
「・・・急に連絡して悪かった」
「ち、違うんです!私がとろいのが悪いんです」
慌てて否定するとくすりと笑われてしまった。
まぁ、椅子に座ってお水でも飲んで落ち着いて」
「・・・はい」
言われた通り水を飲むと少し落ち着いてきた。
「落ち着いたら何か頼もう」
「でもいつも奢ってもらっているじゃないですか、申し訳ないです」
「俺はこう見えても社会人だぞ?」
確かにスーツ姿がよく似合っている。
「素直に甘えておきなさい」
「・・・はい・・・」
結局押し切られいつものように奢ってもらう事になった。
「で?今日は何していた?」
「・・・秘密です」
「ふぅん・・・」
長い琴音の髪を一房手に取った翔は匂いを嗅いだ。
「何だか甘い匂いがするな」
「!!」
「菓子作りか?もうすぐバレンタインだもんな」
ギクっとか体が反応してしまった。
「誰か好きな奴でもいるのか?」
「と、友達にあげるチョコです!」
咄嗟に嘘をついてしまった琴音だった。
「好きな奴はいないのか?」
「いいえ、います」
「そいつにチョコをやるのか?」
「もちろんです」
あからさまに翔の機嫌が悪くなった。
翔と琴音はまだ付き合っているわけではない。
「ど・・・どうかしたんですか?」
「否、何でもない」
(とてもそんな風には見えないんですけど・・・)
不機嫌な翔を目の前にして飲むココアの味は美味しくなかった。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
JC💋フェラ
山葵あいす
恋愛
森野 稚菜(もりの わかな)は、中学2年生になる14歳の女の子だ。家では姉夫婦が一緒に暮らしており、稚菜に甘い義兄の真雄(まさお)は、いつも彼女におねだりされるままお小遣いを渡していたのだが……
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
ヤクザの若頭は、年の離れた婚約者が可愛くて仕方がない
絹乃
恋愛
ヤクザの若頭の花隈(はなくま)には、婚約者がいる。十七歳下の少女で組長の一人娘である月葉(つきは)だ。保護者代わりの花隈は月葉のことをとても可愛がっているが、もちろん恋ではない。強面ヤクザと年の離れたお嬢さまの、恋に発展する前の、もどかしくドキドキするお話。
妻と夫と元妻と
キムラましゅろう
恋愛
復縁を迫る元妻との戦いって……それって妻(わたし)の役割では?
わたし、アシュリ=スタングレイの夫は王宮魔術師だ。
数多くの魔術師の御多分に漏れず、夫のシグルドも魔術バカの変人である。
しかも二十一歳という若さで既にバツイチの身。
そんな事故物件のような夫にいつの間にか絆され絡めとられて結婚していたわたし。
まぁわたしの方にもそれなりに事情がある。
なので夫がバツイチでもとくに気にする事もなく、わたしの事が好き過ぎる夫とそれなりに穏やかで幸せな生活を営んでいた。
そんな中で、国王肝入りで魔術研究チームが組まれる事になったのだとか。そしてその編成されたチームメイトの中に、夫の別れた元妻がいて………
相も変わらずご都合主義、ノーリアリティなお話です。
不治の誤字脱字病患者の作品です。
作中に誤字脱字が有ったら「こうかな?」と脳内変換を余儀なくさせられる恐れが多々ある事をご了承下さいませ。
性描写はありませんがそれを連想させるワードが出てくる恐れがありますので、破廉恥がお嫌いな方はご自衛下さい。
小説家になろうさんでも投稿します。
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる