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稽古
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拓真は翌日から剣の稽古を始めた。
全然相手にされなかったのが悔しかった。
とりあえず素振りから始めてみた。
剣というのは竹刀と違い重かった。
(買うときに初心者向けのものと言ったんだがこれで初心者向けのものなのか・・・)
手にまめが出来そうなくらいの重さだった。
「あー。疲れた・・・」
そう言い草の上に仰向けに転がった。
「そんな鍛錬の仕方じゃ上達しねぇぞ」
突然声をかけられ驚き、声がしたほうを見た。
すると木の上で寝そべっている男がいた。
「誰だ!!?」
拓真は剣を構えた。
「へぇ、珍しい構え方だな。俺はレイという者だ」
「こんな森の奥で何をしている」
拓真は昨日の事を思い出しレイに威嚇してみせた。
レイは木からひょいっと飛び降りてきた。
身長は180cmの大柄な男だった。
長い黒髪を後ろで束ねている。
レイはマントを纏っていた。
服は上等なもので、醸し出す雰囲気は少し威圧的。
右目には眼帯がついていた。
「ここは静かだから少し休ませてもらっていたんだ」
「そうか」
それを聞いて拓真は安心した。
(また、ランを狙ってきたのかと思った)
「あそこの家には誰が住んでいるんだ?」
レイは拓真に聞いた。
「あれは・・・俺の家だ」
「へぇ、そうなんだ」
意外そうにそう言われた。
「・・・俺はもう家に帰る」
「え?もう鍛錬を止める気か?」
「?」
「俺、今暇なんだ。少しなら付き合ってやるよ」
そう言うなり男はいきなり剣を振り上げてきた。
拓真は予想外の事だった為に剣で受け止めず、思わずかわしてしまった。
「おいおい、ちゃんと受け止めろよ。それじゃあ、上達しねぇぞ」
「なっ」
拓真は再度振り下ろされた剣を剣で受け止めた。
森にキィンっという重たい音が響く。
その後もレイの攻撃がやむことはない。
「ほら、ほら。しっかり受け止めろ」
「くそっ」
キィンキィンと剣と剣がぶつかる音が響き渡る。
30分くらいそうしていたと思う。
レイは息一つ切らしていない。
拓真だけ息を切らしてる。
(何者なんだこの男・・・)
「じゃあ、俺そろそろ行くな。護りたい者がいるんならしっかり鍛錬して強くなれよ」
そう言い残しレイはマントを翻して去って行った。
(何なんだ今の男は・・・)
「いった!」
一撃一撃が重く受け止めていた手が痺れ、肉刺ができ血がにじんでいた。
「練習に付き合ってくれるのはありがたいが・・・もう少し手加減してほしいな」
(またランに心配をかけてしまう)
「あのレイとかいう男、本当はランを見に来たんじゃないのか?」
どうしても彼の存在が気になった。
彼はただものじゃないと拓真の本能が告げていた。
あれだけ動いても息一つ切らさず、動き続けるのは凄い事だ。
並の人間にはできない。
帰るとテールの上に出来立ての料理が並んでいた。
ランを見つけると拓真は声をかけた。
「ただいま、救急箱借りてもいいか?」
「え!?怪我したんですか!?」
「あっいや、剣の練習をしていて・・・気がついたら肉刺ができてた」
(嘘はついていない)
全て本当の事だ。
レイの事を話てみても大丈夫だろうか・・・?
ランは消毒をし、包帯を巻いてくれた。
「こんなになるまで練習するなんて・・・」
「・・・」
「黙り込んでどうしたんですか?」
「あのさ、お前知り合いにレイって髪の長い男で右目に眼帯しているやつ知らないか?」
ランは何だか複雑な表情を浮かべた。
「祖母に聞いたことがあります。同族にもう一つの一族がいるって。そこの頭領が確かレイという名前だったと思いますが・・・それが何か?」
(同族ってことはメデューサの末裔ってことか)
「いや、今日、実はそいつに会ったんだ」
「まさか、ここに居るはずありません」
「彼らはずっと遠くにいて旅をしながら生活しているんですから」
「じゃあ、人違いだな」
「・・・たぶん。そうだと思います」
そう言うと彼女はにっこり笑った。
そうそうメデューサの末裔がいるはずない。
まぁ、今日は鍛錬に付き合ってくれたし悪い奴じゃないのかも・・・。
そう思いながら夕食に手を付けた。
全然相手にされなかったのが悔しかった。
とりあえず素振りから始めてみた。
剣というのは竹刀と違い重かった。
(買うときに初心者向けのものと言ったんだがこれで初心者向けのものなのか・・・)
手にまめが出来そうなくらいの重さだった。
「あー。疲れた・・・」
そう言い草の上に仰向けに転がった。
「そんな鍛錬の仕方じゃ上達しねぇぞ」
突然声をかけられ驚き、声がしたほうを見た。
すると木の上で寝そべっている男がいた。
「誰だ!!?」
拓真は剣を構えた。
「へぇ、珍しい構え方だな。俺はレイという者だ」
「こんな森の奥で何をしている」
拓真は昨日の事を思い出しレイに威嚇してみせた。
レイは木からひょいっと飛び降りてきた。
身長は180cmの大柄な男だった。
長い黒髪を後ろで束ねている。
レイはマントを纏っていた。
服は上等なもので、醸し出す雰囲気は少し威圧的。
右目には眼帯がついていた。
「ここは静かだから少し休ませてもらっていたんだ」
「そうか」
それを聞いて拓真は安心した。
(また、ランを狙ってきたのかと思った)
「あそこの家には誰が住んでいるんだ?」
レイは拓真に聞いた。
「あれは・・・俺の家だ」
「へぇ、そうなんだ」
意外そうにそう言われた。
「・・・俺はもう家に帰る」
「え?もう鍛錬を止める気か?」
「?」
「俺、今暇なんだ。少しなら付き合ってやるよ」
そう言うなり男はいきなり剣を振り上げてきた。
拓真は予想外の事だった為に剣で受け止めず、思わずかわしてしまった。
「おいおい、ちゃんと受け止めろよ。それじゃあ、上達しねぇぞ」
「なっ」
拓真は再度振り下ろされた剣を剣で受け止めた。
森にキィンっという重たい音が響く。
その後もレイの攻撃がやむことはない。
「ほら、ほら。しっかり受け止めろ」
「くそっ」
キィンキィンと剣と剣がぶつかる音が響き渡る。
30分くらいそうしていたと思う。
レイは息一つ切らしていない。
拓真だけ息を切らしてる。
(何者なんだこの男・・・)
「じゃあ、俺そろそろ行くな。護りたい者がいるんならしっかり鍛錬して強くなれよ」
そう言い残しレイはマントを翻して去って行った。
(何なんだ今の男は・・・)
「いった!」
一撃一撃が重く受け止めていた手が痺れ、肉刺ができ血がにじんでいた。
「練習に付き合ってくれるのはありがたいが・・・もう少し手加減してほしいな」
(またランに心配をかけてしまう)
「あのレイとかいう男、本当はランを見に来たんじゃないのか?」
どうしても彼の存在が気になった。
彼はただものじゃないと拓真の本能が告げていた。
あれだけ動いても息一つ切らさず、動き続けるのは凄い事だ。
並の人間にはできない。
帰るとテールの上に出来立ての料理が並んでいた。
ランを見つけると拓真は声をかけた。
「ただいま、救急箱借りてもいいか?」
「え!?怪我したんですか!?」
「あっいや、剣の練習をしていて・・・気がついたら肉刺ができてた」
(嘘はついていない)
全て本当の事だ。
レイの事を話てみても大丈夫だろうか・・・?
ランは消毒をし、包帯を巻いてくれた。
「こんなになるまで練習するなんて・・・」
「・・・」
「黙り込んでどうしたんですか?」
「あのさ、お前知り合いにレイって髪の長い男で右目に眼帯しているやつ知らないか?」
ランは何だか複雑な表情を浮かべた。
「祖母に聞いたことがあります。同族にもう一つの一族がいるって。そこの頭領が確かレイという名前だったと思いますが・・・それが何か?」
(同族ってことはメデューサの末裔ってことか)
「いや、今日、実はそいつに会ったんだ」
「まさか、ここに居るはずありません」
「彼らはずっと遠くにいて旅をしながら生活しているんですから」
「じゃあ、人違いだな」
「・・・たぶん。そうだと思います」
そう言うと彼女はにっこり笑った。
そうそうメデューサの末裔がいるはずない。
まぁ、今日は鍛錬に付き合ってくれたし悪い奴じゃないのかも・・・。
そう思いながら夕食に手を付けた。
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