19 / 36
第二章
新たな生活
しおりを挟む
城から荷物が届いた。
荷物はたくさんあった。
その中には竜への貢物も入っていた。
その荷物を見てヒスイは溜息をついた。
(国を守護すると約束したんだったな)
そこにひょいっと現れたローゼはヒスイに訊ねた。
「その荷物がどうかしたんですか?」
「いいや、何でもない」
戦がある度に出動要請があった。
竜の力は偉大でそれに敵う者はいなかった。
アーロン国はヒスイによって守られていた。
今もそうだ。
今はセルク国と争っている。
ヒスイはセルク国には個人的に恨みがあるので滅ぼす気でいる。
(人間は弱いくせに戦や諍いを好むんだな・・・不思議な生き物だ)
本気でヒスイはそう思っていた。
ローゼには心配をかけたくないので約束の見返りに戦に参加していることは秘密にしている。
いつか彼女にはバレるだろう。
彼女は勘が鋭い所がある。
ローズの生まれ変わりがローゼだと知られたらまたセルクの王はローゼを狙ってくるかもしれない。
「ヒスイ様?何を考え込んでいるの?」
そう問われ、彼は頭を横に振り否定した。
「いいや、なにも考えていない」
「そう?それならいいけど・・・怖い顔していたわよ」
彼女はそう言うと荷物を城の中へ運び入れようとしていた。
ヨタヨタしながら歩いていく姿が庇護欲を掻き立てる。
「俺が全部運ぶ」
そう言い、荷物とローゼをひょいっと抱えて城へ歩き始めた。
「降ろしてください、私はこう見えても立派な淑女です」
「はははははっ、そうか。それは悪いことをした」
ヒスイは笑いながらゆっくりローゼを下ろした。
「・・・ヒスイ様。今笑った!」
「?」
「ヒスイ様が声を立てて笑う所初めて見たわ」
ローゼは嬉しそうにそう言った。
ヒスイは自分の口に手を当て、自分が笑っていたことに気がついた。
ローズを失ってからヒスイは感情を閉ざしていた。
その名残で感情を表に出すことが苦手になっていた。
そんな彼が笑ったという些細なことがローゼにとってかなり嬉しい出来事だったらしい。
(俺が笑ったくらいであんなに喜ぶのか・・・)
ヒスイはローゼのその反応に驚いた。
(無邪気な彼女が好きだ・・・今度こそ何があっても守らなくてはいけない)
二度も同じことを繰り返したくはない。
ヒスイはそう思った。
「ローゼ」
「はい?」
ヒスイはローゼの頬にキスした。
ローゼは真っ赤になり照れた。
「ですから、外でこういうことは控えてくださいと・・・」
そう言いかけるとヒスイの唇がローゼの唇に重ねられた。
それからローゼはヒスイに抱きしめられ、耳元で囁かれた。
「俺だって色々したいのを我慢しているんだ。これ位いいだろう」
「~っ」
ローゼはさっきより真っ赤になっていた。
そうして二人は城の中に荷物を運び入れ終えた。
「疲れましたね、今お茶の準備をしますね」
「それよりこっちに来てくれ」
「何ですか?」
「魔石で作ったお守りだ。これを必ず身につけておいてくれ」
そう言いながら首から魔石のペンダントをつけてやった。
魔石の色はローズクォーツと同じ色をしていてとても綺麗だった。
「ありがとうございます」
「これさえあれば一度は身を守ってくれる」
「もう矢で射られたり、剣を突き立てられることもないだろう。ただし効果は一回きりだ。その事をしっかり覚えておけ」
「はい」
ローゼは魔石を嬉しそうに眺めていた。
荷物はたくさんあった。
その中には竜への貢物も入っていた。
その荷物を見てヒスイは溜息をついた。
(国を守護すると約束したんだったな)
そこにひょいっと現れたローゼはヒスイに訊ねた。
「その荷物がどうかしたんですか?」
「いいや、何でもない」
戦がある度に出動要請があった。
竜の力は偉大でそれに敵う者はいなかった。
アーロン国はヒスイによって守られていた。
今もそうだ。
今はセルク国と争っている。
ヒスイはセルク国には個人的に恨みがあるので滅ぼす気でいる。
(人間は弱いくせに戦や諍いを好むんだな・・・不思議な生き物だ)
本気でヒスイはそう思っていた。
ローゼには心配をかけたくないので約束の見返りに戦に参加していることは秘密にしている。
いつか彼女にはバレるだろう。
彼女は勘が鋭い所がある。
ローズの生まれ変わりがローゼだと知られたらまたセルクの王はローゼを狙ってくるかもしれない。
「ヒスイ様?何を考え込んでいるの?」
そう問われ、彼は頭を横に振り否定した。
「いいや、なにも考えていない」
「そう?それならいいけど・・・怖い顔していたわよ」
彼女はそう言うと荷物を城の中へ運び入れようとしていた。
ヨタヨタしながら歩いていく姿が庇護欲を掻き立てる。
「俺が全部運ぶ」
そう言い、荷物とローゼをひょいっと抱えて城へ歩き始めた。
「降ろしてください、私はこう見えても立派な淑女です」
「はははははっ、そうか。それは悪いことをした」
ヒスイは笑いながらゆっくりローゼを下ろした。
「・・・ヒスイ様。今笑った!」
「?」
「ヒスイ様が声を立てて笑う所初めて見たわ」
ローゼは嬉しそうにそう言った。
ヒスイは自分の口に手を当て、自分が笑っていたことに気がついた。
ローズを失ってからヒスイは感情を閉ざしていた。
その名残で感情を表に出すことが苦手になっていた。
そんな彼が笑ったという些細なことがローゼにとってかなり嬉しい出来事だったらしい。
(俺が笑ったくらいであんなに喜ぶのか・・・)
ヒスイはローゼのその反応に驚いた。
(無邪気な彼女が好きだ・・・今度こそ何があっても守らなくてはいけない)
二度も同じことを繰り返したくはない。
ヒスイはそう思った。
「ローゼ」
「はい?」
ヒスイはローゼの頬にキスした。
ローゼは真っ赤になり照れた。
「ですから、外でこういうことは控えてくださいと・・・」
そう言いかけるとヒスイの唇がローゼの唇に重ねられた。
それからローゼはヒスイに抱きしめられ、耳元で囁かれた。
「俺だって色々したいのを我慢しているんだ。これ位いいだろう」
「~っ」
ローゼはさっきより真っ赤になっていた。
そうして二人は城の中に荷物を運び入れ終えた。
「疲れましたね、今お茶の準備をしますね」
「それよりこっちに来てくれ」
「何ですか?」
「魔石で作ったお守りだ。これを必ず身につけておいてくれ」
そう言いながら首から魔石のペンダントをつけてやった。
魔石の色はローズクォーツと同じ色をしていてとても綺麗だった。
「ありがとうございます」
「これさえあれば一度は身を守ってくれる」
「もう矢で射られたり、剣を突き立てられることもないだろう。ただし効果は一回きりだ。その事をしっかり覚えておけ」
「はい」
ローゼは魔石を嬉しそうに眺めていた。
0
お気に入りに追加
152
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる