緑の守り神

えりー

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第二章 

新たな生活

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城から荷物が届いた。
荷物はたくさんあった。
その中には竜への貢物も入っていた。
その荷物を見てヒスイは溜息をついた。
(国を守護すると約束したんだったな)
そこにひょいっと現れたローゼはヒスイに訊ねた。
「その荷物がどうかしたんですか?」
「いいや、何でもない」
戦がある度に出動要請があった。
竜の力は偉大でそれに敵う者はいなかった。
アーロン国はヒスイによって守られていた。
今もそうだ。
今はセルク国と争っている。
ヒスイはセルク国には個人的に恨みがあるので滅ぼす気でいる。
(人間は弱いくせに戦や諍いを好むんだな・・・不思議な生き物だ)
本気でヒスイはそう思っていた。
ローゼには心配をかけたくないので約束の見返りに戦に参加していることは秘密にしている。
いつか彼女にはバレるだろう。
彼女は勘が鋭い所がある。
ローズの生まれ変わりがローゼだと知られたらまたセルクの王はローゼを狙ってくるかもしれない。
「ヒスイ様?何を考え込んでいるの?」
そう問われ、彼は頭を横に振り否定した。
「いいや、なにも考えていない」
「そう?それならいいけど・・・怖い顔していたわよ」
彼女はそう言うと荷物を城の中へ運び入れようとしていた。
ヨタヨタしながら歩いていく姿が庇護欲を掻き立てる。
「俺が全部運ぶ」
そう言い、荷物とローゼをひょいっと抱えて城へ歩き始めた。
「降ろしてください、私はこう見えても立派な淑女です」
「はははははっ、そうか。それは悪いことをした」
ヒスイは笑いながらゆっくりローゼを下ろした。
「・・・ヒスイ様。今笑った!」
「?」
「ヒスイ様が声を立てて笑う所初めて見たわ」
ローゼは嬉しそうにそう言った。
ヒスイは自分の口に手を当て、自分が笑っていたことに気がついた。
ローズを失ってからヒスイは感情を閉ざしていた。
その名残で感情を表に出すことが苦手になっていた。
そんな彼が笑ったという些細なことがローゼにとってかなり嬉しい出来事だったらしい。
(俺が笑ったくらいであんなに喜ぶのか・・・)
ヒスイはローゼのその反応に驚いた。
(無邪気な彼女が好きだ・・・今度こそ何があっても守らなくてはいけない)
二度も同じことを繰り返したくはない。
ヒスイはそう思った。
「ローゼ」
「はい?」
ヒスイはローゼの頬にキスした。
ローゼは真っ赤になり照れた。
「ですから、外でこういうことは控えてくださいと・・・」
そう言いかけるとヒスイの唇がローゼの唇に重ねられた。
それからローゼはヒスイに抱きしめられ、耳元で囁かれた。
「俺だって色々したいのを我慢しているんだ。これ位いいだろう」
「~っ」
ローゼはさっきより真っ赤になっていた。
そうして二人は城の中に荷物を運び入れ終えた。
「疲れましたね、今お茶の準備をしますね」
「それよりこっちに来てくれ」
「何ですか?」
「魔石で作ったお守りだ。これを必ず身につけておいてくれ」
そう言いながら首から魔石のペンダントをつけてやった。
魔石の色はローズクォーツと同じ色をしていてとても綺麗だった。
「ありがとうございます」
「これさえあれば一度は身を守ってくれる」
「もう矢で射られたり、剣を突き立てられることもないだろう。ただし効果は一回きりだ。その事をしっかり覚えておけ」
「はい」
ローゼは魔石を嬉しそうに眺めていた。


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