花売り娘は身代わり花嫁

えりー

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マリーとリーゼ

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マリー令嬢の家は父親の不正がバレて財産をほとんど没収された。
マリーはウィザードの事を嫌っているが彼が持っている財産目当てでウィザードに会いに行った。
そして、結婚相手であるリーゼを見て思った。
自分とほとんど同じ外見ならばリーゼではなくて自分でも良いのではと。
父親が不正なんてしなければあんな男の所には行かなかった。
このままだと生活が出来なくなってしまう。
社交界で良い嗤いものになってしまう。
そう思うと居てもたっても居られなくなった。
リーゼと呼ばれていた少女は元は花売りをしていた貧しい娘だったと聞いた。
その話を聞いて驚いた。
そして今日、彼女に会ったがウィザードに守られて幸せそうに暮らしていた。
今のマリーからすると憎しみが湧いてくる。
花売りはまた花売りに戻ればいい。
ウィザードの家と相応しいのは自分の家だと思った。
今は落ちぶれているがウィザードの財産さえあれば立て直せる。
ウィザードが何故リーゼにあんなに入れ込んでいるのかは知らないが、何としても彼の財産が欲しい。
マリーはウィザードの留守を狙ってリーゼに会いに行くことにした。

「リーゼ様、言いにくいのですが・・・またマリー令嬢が来られています」
(ウィザードからは相手にするなと言われているけど・・・)
「わかりました。客間に通してください」
「やめたほうがよろしいと思いますよ、リーゼ様」
フィナンがそう言ってきた。
「でも、せっかく訪問してくださったのだから話くらいは聞かないと・・・」
(それに目的も知りたい)
一体マリー令嬢は今になって何をしたいのか、何を考えているのかを。
マリー令嬢は当たり前のようにソファでくつろいでいた。
まるで自分の家の様に。
見ていてあまり気分のいいものではない。
「マリー様、今日はどうなさったんですか?」
「貴方、卑しい身分のくせに令嬢ぶるのやめてくださらない?」
早速攻撃されてしまった。
「ウィザード様に恥をかかせていることが分からないの?」
「恥?」
「そうよ、もと花売りの娘が妻だなんて恥だわ」
「マリー令嬢の目的は存じませんがウィザード様に恥をかかせたのはお互い様じゃないですか」
「・・・」
マリーは黙った。
「今になって離縁だの何だの貴方に言われる筋合いありません!!」
「貴方、本当に品がないわね」
「品が無くて結構です。ウィザード様を傷つけておいて今更のこのこよく顔が出せますね」
「私にも事情があるのよ!あんな男なんて今も嫌いよ」
その言葉を聞いてリーゼは頭に来た。
「その嫌いな男を頼って来るなんて余程の理由がおありなのでしょうね」
「~っ!!」
マリーは紅茶をリーゼにかけた。
幸い紅茶は冷えていた。
「今日の所は失礼するわ!!ウィザード様と直接話します!」
(酷い事するのね・・・貴族令嬢でもこんなことするのね・・・)
マリーの様子を見たリーゼは思った。
彼女は切羽詰まっていた。
今日来た理由は分からないが私とウィザード様を別れさせようとしているとしか思えなかった。
紅茶で濡れたリーゼを見てフィナンは顔を青くした。
「大丈夫ですか!?」
「はい、紅茶は冷めてましたから」
「・・・喧嘩する声が聞こえたんですが大丈夫でしたか?」
フィナンは心配してくれている。
これ以上心配かけたくない。
「大丈夫ですよ、マリー様何か切羽詰まった様子でした」
「・・・」
「今度はウィザード様に会いに来ると言っていました」
「あー・・・多分会わないでしょうね」
リーゼもそう思った。
しかし、あの様子だと何としても会おうとするだろう。
ウィザードとリーゼは面倒なことに巻き込まれてしまった。

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