Lost Heroines

距離感

その日からヒバリは悟と距離を取るようになった。
必要なときのみしゃべることにしたのだ。
それを不審に思ってライラックがヒバリに訊ねた。
「ヒバリと・・・マネージャー・・・喧嘩した？」
「違うわ。どうしてそう思うの？」
「丸わかりー！！」
そこでネイルが乱入してきた。
レッスンの休憩中に２人に理由を話した。
「あー・・・なるほど！」
「喧嘩じゃない・・・良かった・・・」
ネイルとライラックは薄々ヒバリの想いを感じ取っていた。
だから悟に告白したと聞いた時もそんなに動揺しなかった。
「私達もマネージャーの事好きだもんねー」
「ね・・・」
ネイルたちはからかうように言った。
恥ずかしくて顔が赤くなるのをヒバリは感じた。
「私、後もう一つ２人に話さなきゃいけないことがあるの」
「なにー？」
「ん・・・？」
ヒバリはポケットから小瓶を取り出した。
すると青い液体は半分溜まっていた。
「うっそー！」
「・・・いつの間に・・・」
「よくわからないけど私の恋愛感情に反応したみたいなの」
「じゃぁ・・・もうすぐ元の世界へ帰れるの？」
「かえれる・・・？」
「・・・」
ヒバリは黙って俯いた。
「どうしたのー！？」
「帰りたく・・・ないの？」
「・・・帰りたいとは思うけど・・・私は・・・残りたい気持ちもあるの」
ヒバリとライラックはその言葉を聞き本気でヒバリはマネージャーの事が好きなのだと思った。
「よし！私はヒバリの事応援するー！」
「私も・・・応援する・・・」
その言葉を聞きヒバリは泣き始めた・・・。
「どうしたのヒバリ！！」
「ヒバリ泣いちゃ駄目・・・」
ライラックはヒバリを抱きしめた。
「ありがとう・・・２人・・・」
そう言いライラックを抱きしめ返した。
ヒバリはなるべく普通に悟と接しようと思った。
悟の気持ちは分かっているが事務所が恋愛禁止をしている。
その事も２人に相談した。
「バレなきゃ大丈夫！！」
「そうだよ・・・」
２人とも全力で応援してくれている。
ヒバリはその事が嬉しかった。
「ヒバリ・・・泣き止んで・・・」
ライラックが泣きそうにヒバリの顔を覗き込んだ。
ヒバリはライラックに微笑みかけた。
その笑みは作り笑いではなく心からの笑みだった。
「とりあえず！あと半分液体溜めよう！！」
「そうね・・・とりあえずこの青い液体溜めましょう」
「・・・頑張る・・・」
３人はそう誓った。

翌日の朝、３人は悟の家へ向かった。
悟は寝ぼけながら玄関のドアを開けた。
するとヒバリ、ネイル、ライラックが立っていた。
「ど、どうしたんだい？こんなに朝早く」
今は朝の７時半だった。
「・・・お願いがあってきました」
「マネージャー、お願い」
「・・・お願いきいて・・・」
どうやら真剣なお願いのようだ。
悟は３人を部屋にあげた。
３人からのお願いは驚くべき内容だった。