暗殺者と少女

えりー

文字の大きさ
上 下
5 / 6

暗殺者引退

しおりを挟む
ラインは翌日、警察署長の元へ行った。
「どうした、暫く仕事はないぞ」
ラインははっきりした声で言った。
「暗殺業引退しようと思う」
署長は不思議そうな顔をして理由を尋ねた。
「何故?」
「恨みを買うような仕事をしているとミーナにいつか危害が及ぶかもしれないからな」
「お前・・・その娘が絡むと随分人間らしくなるな・・・」
「どうとでも。今日はその報告に来たんだ」
そう言うとラインは部屋から出て行こうとした。
「ライン、幸せにな」
署長がそういうとラインは後ろを向いたまま片手をあげ振ってみせた。
「ミーナか・・・凄い娘だな。あの悪魔を更生できるのか」
署長とラインが出会ったのはちょうど5年前だった。15歳だった彼を5年間育ててみたが悪魔のような歪みきった心を治すことなどできなかった。
そもそも感情というものを持ち合わせていないようにも感じた。
そんな彼が一人の女の為に暗殺業をやめてまっとうな仕事に就く気らしい。
(・・・やっていけるんだろうか?)
正直署長はそう思ったがあえて口には出さなかった。

「ただいま、ミーナ」
嬉しそうにラインが帰ってきた。
「・・・おかえり。どこへ行っていたの?」
ミーナがそう問うと意外な答えが返ってきた。
「暗殺業辞めてきた」
「え?」
「昔のような俺になればまた好きになってくれるんだろう?」
(誰もそこまで言っていないが・・・)
「・・・そうね。人殺しは好きじゃないわ」
ラインはそれを聞くとじゃれつくようにミーナに抱きついた。
「わ!」
ミーナは椅子から転げ落ちそうになった。
すかさずラインが助け起こした。
二人とも目が合い、見つめあい自然とキスをした。
ラインが嬉しそうに笑っている。
(懐かしい)
気がつくとミーナはラインと一緒に微笑みあっていた。
「頭の中ではまだ混乱しているけど今のラインは好き・・・みたい」
そういうとラインは顔を赤くした。
こんなラインの姿を見ることができるのは自分だけなのだとミーナは知っている。
ラインはきっとミーナの為に暗殺業をやめてきたのだ。
ミーナにはそれがしっかり伝わっていた。
「ねぇ、もう逃げないからこの鎖外してくれない?」
「うーん・・・もう少しこのままでいたいんだけど」
うなりながらラインが言った。
「どうして!?好きだと言ったじゃない」
「まだ、安心できないから。それに独占していたいから」
満足そうに堂々と独占宣言をされてしまった。
ラインの歪んだ愛情はまだまだミーナを困らせそうだ。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。

矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。 女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。 取って付けたようなバレンタインネタあり。 カクヨムでも同内容で公開しています。

【R-18】となりのお兄ちゃん

熊野
恋愛
となりの家のお兄ちゃんは…【R18】

若妻シリーズ

笹椰かな
恋愛
とある事情により中年男性・飛龍(ひりゅう)の妻となった18歳の愛実(めぐみ)。 気の進まない結婚だったが、優しく接してくれる夫に愛実の気持ちは傾いていく。これはそんな二人の夜(または昼)の営みの話。 乳首責め/クリ責め/潮吹き ※表紙の作成/かんたん表紙メーカー様 ※使用画像/SplitShire様

イケメン幼馴染に処女喪失お願いしたら実は私にベタ惚れでした

sae
恋愛
彼氏もいたことがない奥手で自信のない未だ処女の環奈(かんな)と、隣に住むヤリチンモテ男子の南朋(なお)の大学生幼馴染が長い間すれ違ってようやくイチャイチャ仲良しこよしになれた話。 ※会話文、脳内会話多め ※R-18描写、直接的表現有りなので苦手な方はスルーしてください

とりあえず、後ろから

ZigZag
恋愛
ほぼ、アレの描写しかないアダルト小説です。お察しください。

美少女幼馴染が火照って喘いでいる

サドラ
恋愛
高校生の主人公。ある日、風でも引いてそうな幼馴染の姿を見るがその後、彼女の家から変な喘ぎ声が聞こえてくるー

どうして隣の家で僕の妻が喘いでいるんですか?

ヘロディア
恋愛
壁が薄いマンションに住んでいる主人公と妻。彼らは新婚で、ヤりたいこともできない状態にあった。 しかし、隣の家から喘ぎ声が聞こえてきて、自分たちが我慢せずともよいのではと思い始め、実行に移そうとする。 しかし、何故か隣の家からは妻の喘ぎ声が聞こえてきて…

辺境騎士の夫婦の危機

世羅
恋愛
絶倫すぎる夫と愛らしい妻の話。

処理中です...