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火属性のウィザード

19話 アーリィーとメール交換

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レイモンド邸  アールモンドの部屋

アーサーが紅茶を飲んで言う
「美味しいぃい!アーリィーと こうして紅茶を飲むのも  凄く久し振りだね?アーリィー?」

アールモンドが言う
「全くだぜ  あの  単細胞な火属性の 馬鹿シュイのせいでな?」

アーサーが苦笑して言う
「あははっ  確かにちょっと  思い込みが激しいと言うか?考えが短絡的な所は 在るかもしれないけれど  シュイさんも  やっぱり  ウィザード様だよね?」

アールモンドが言う
「お前…  サラッと  俺よりキツイ事言ってっけど  やっぱ  アイツの事許せねぇのかよ?アーサー?」

アーサーが衝撃を受けて言う
「えぇえ?俺 キツイ事 言っちゃってるぅ?俺は アーリィーが言った言葉を  和らげようと思ったんだけどっ?」

アールモンドが言う
「何処がだよ…  まぁ良い  お前が許すと言ったからには  俺に それ以上をする気はねぇが…  本当に良かったのか?今ならまだ?」

アーサーが微笑して言う
「俺は十分満足してるよ?アーリィー シュイさんとの誤解は 解けたし!ケイさんとは お友達になれたし!それに…」


回想

アールモンドが言う
『…で?結局  今までのアーサーへの仕打ちは  つまり  お前の勘違いって事かよ  シュイ?』

シュイが強く目を閉じて 拳を震わせる

アーサーが心配して言う
『それは そうだったとしても シュイさんは  大切なお母様や  ご兄弟を想っての…』

シュイがアーサーへ頭を下げて言う
『すまなかったっ!アーサー・スペイサー!』

アーサーが衝撃を受け驚いて言う
『えぇええっ!?あの…  本当に?』

アーサーが呆気に取られる

ケイがシュイと共に頭を下げて言う
『自分からも お詫びいたします!自分の言葉が足りなかった事も 有りますが  兄が ご迷惑をお掛けしてしまい  申し訳御座いませんでした!先ほど伺った 弁償の方は  自分が一生を掛けて  返済を行わせて頂きますので  どうか  お許しを!』

シュイが驚き慌てて言う
『ま、待てっ  ケイ!それは  お前が負うべき物ではないっ  私が…っ!』

ケイが言う
『兄さんは 払えないでしょう?ウィザードは生活が保護される反面  収入は無いって言ってたじゃない?』

シュイが言う
『それはっ  そうだが…っ  しかし  お前は…っ!』

アールモンドが言う
『…アーサー?どうする?』

皆がアーサーへ注目する

アーサーが呆気に取られて言う
『ふえ?どうするって?』

アールモンドが言う
『俺は お前の判断に任せるぜ?被害を受けたのは  お前だ  お前自身が2度殺され掛けた慰謝料に  ぶっ壊された黒曜石の指輪が1つ 携帯と腕時計が2つずつ…  金額に換算すっと?それこそ  庶民の男が一生掛けたって  返済は出来ねぇだろうけどな?』

ケイが頭を下げたまま息を飲む  シュイが困り視線を泳がせる

アーサーが呆気に取られた状態から苦笑して言う
『お金は  俺  要らないですよ?ケイさん?』

ケイが驚いて目を見開き シュイがアーサーへ向く

アーサーが微笑して言う
『確かに  シュイさんから受けた  魔法攻撃は  死ぬほど辛かったですけど!』

シュイが衝撃を受けて言う
『本当にすまなかった…っ』

アーサーが微笑して言う
『いえ  俺も2度目には  反撃もしましたし?あ  でも  そう言えば?最初の時には  俺  マリアちゃんのご自宅に 3日間もお世話になっちゃって?その お詫びとお礼をしなくては いけないのですが  シュイさん  出来ればそれを手伝って貰えますか?』

シュイが言う
『手伝う…  とは?』

アーサーが言う
『えっと…?それなら!一緒に行って  誤解は解けたと!それを伝えれば  マリアちゃん  シュイさんの事も心配していましたから?』

シュイが言う
『わ、分かった  その程度の事で  許されるのなら…』

アールモンドが言う
『随分安い弁償だな?それこそ  ケイが一生を掛けても 払いきれねぇ返済が  その程度かよ?相手が庶民だからって  甘過ぎンじゃねぇか?アーサー?』

ケイが言う
『4億の黒曜石の指輪の返済は難しくとも  支払える金額は払いますっ  アーサー様への慰謝料や  先ほど仰っていた  携帯や腕時計の代金も!』

アールモンドが言う
『そうだな?俺も  そンくれぇは払わせても良いと思うぜ?実際  レイモンド家が負った負債だ』

アーサーが言う
『あ…っ  そうだね?レイモンド家に…  旦那様にお返しをしないと?それなら…  さっきのは  やっぱり  俺が1人で行きますので?』

シュイが言う
『分かった  それは  私が自分で払う  それと  アーサー・スペイサーの言っていた  マリア奉者への謝罪と礼の話も行う』

アーサーが呆気に取られて言う
『え…?』

アールモンドが言う
『おう  そンくれぇはやるよな?そうでなけりゃ  アーサーは許しても  俺は許しちゃやれねぇよ?俺の従者へ手を出したンだからな?』

アーサーが言う
『アーリィー…  けど  シュイさん?本当に大丈夫ですか?あの…  携帯と腕時計の分は兎も角  俺への慰謝料は要らないですけど…』

シュイが言う
『いや  慰謝料も含めてくれ  それで  いくらになる?』

アーサーが苦笑して言う
『えっと…  それじゃ  慰謝料は俺も確認をしないと分からないので  後日お伝えしますが  携帯がトコモの最新携帯なので1台23万!』

シュイが衝撃を受けて言う
『1台23万…っ!?2台で…  46万か…っ』

シュイが思う
《マズいっ  思っていた以上に高額だったっ  …これでは  その他全てを払った時点で  ウィザードになる以前に 貯めて居た貯金が…》

アーサーが言う
『で…  携帯は  それ位なので  まだ良いんですが  腕時計の方が…』

シュイが疑問して思う
《腕時計の…?では  割と高い物だと言う事か?…まぁ  そうかもな?アーサー・スペイサーは  自身が庶民ではあろうと  仕えるウィザードはレイモンド卿…  先祖は町を統括していた王であったと言われている  その従者ともなれば…?》

アーサーが言う
『俺も後で調べて驚いたんですけど  これ…』

アーサーが腕時計を見せて言う
『B.ランケ&ゾーネって  ブランドメーカーで  1台772万8千もする  超高級腕時計で…』

シュイが雷に撃たれた様な衝撃を受ける

アーサーが困り苦笑で言う
『黒曜石の指輪程では無いですけど  2倍にすると  1545万6千  携帯も合わせると 1550万2千と  庶民の俺にとっては  結構凄い金額になりますけど  同じく庶民出身のウィザード様は 大丈夫ですか?シュイさん?』

ケイが慌てて言う
『兄さんっ!?そんな貯金あるのっ!?俺  結婚資金は貯めていたけれどっ  とても  そんな金額なんてっ!?』

シュイが言う
『母さんには悪いが…』

ケイが言う
『兄さん?』

シュイが言う
『魔法使いに戻って  蜀魔台の灯魔作業に励んで来るっ!』

ケイが驚いて言う
『えっ!?』

アーサーが言う
『えぇえっ!?』

アールモンドが呆れて居る


アーサーが紅茶を注いで言う
「それにしても  シュイさんが  魔法使いに戻る だなんて言ったのには  驚いたけど  実際に  そんな事って 出来るの?アーリィー?」

アールモンドが言う
「理論的には  出来なかねぇだろうが  ウィザードになってから手に入れた魔力を  全て失っちまう上に  もう一度  あの魔鉱石の投射を 受けて苦しむだなンて  俺には耐えられねぇけどな?ま、そンだけ  アイツにとっては 大切なンだろう?残された家族である  ケイの奴がよ?」

アールモンドが紅茶を飲み干して思う
(そうだな?俺も  もし…?)

アールモンドがそのまま  横目にアーサーを見る

アーサーがカップを手に微笑んで言う
「俺もそれは  分かる気がするよ?俺だって  アーリィーの為だったら  何でも出来ちゃうからね!?」

アールモンドが衝撃を受けて言う
「だっ!?…からっ  ンでお前はそう言う言葉を  恥ずかしげも無くっ!?」

アーサーがポカーンとして言う
「え?それは勿論  俺は  ”アーサー”だからだよ?アーリィー?」

アーサーが微笑する

アールモンドが一瞬呆気に取られてから 苦笑して返事をし掛ける
「お…」

部屋の電話が鳴る

2人が反応して  アーサーが言う
「あれ?旦那様から  アーリィーへの直通電話が?どうする  アーリィー?俺  出ようか?」

アールモンドが言う
「お前から  今回の事の報告と謝罪の連絡をしたンだろ?それで賠償に関しても 聞いたって お前 言ってなかったか?だったら  その返事なンじゃねぇか?」

アーサーが言う
「その連絡はしたのだけど  事前の打ち合わせ通り  相手はシュイさんじゃなくて  ケイさんだって伝えたら  賠償は必要ないって?庶民に請求をする程  レイモンド家は落ちぶれては居ないって 旦那様は そう仰っていたから  多分  その話ではないと 思うのだけど?」

アールモンドが言う
「そうか…  なら…?…まぁ良い  どの道  俺に替わるンだ」

アールモンドが受話器を取って言う
「俺だけど?なンだよ  親父?…ああ  アーサーなら無事だ  携帯と腕時計はぶっ壊れちまったけど…  誤解っつーか  その騒ぎは収まったからよ?この次はねぇよ?…他の連中は分からねぇけどな?」

アーサーが一瞬呆気に取られるが  苦笑して服の上からネックレスの指輪を握って アールモンドを見る

アールモンドが言う
「で?弁償はさせなくて良いンだろ?とは言っても  相手がどおしてもって言うから  携帯だけはもう  買わせちまったぜ?」

アーサーが携帯を見て微笑して言う
「ケイさん  これ位は絶対って  譲らなかったからね?シュイさんの方が 困っちゃう位で  可笑しかったけど  やっぱりここぞと言う時には  あれ位の押しの強さが無いと?勝負にも勝てないもんね?」

アーサーが微笑んでいる

アールモンドがその様子に言う
「いくら相手が庶民だからって  そンくれぇなら良いだろ?全く払わせねぇってのも  相手を蔑む事になるしよ?」

受話器からアールモンド父の声が聞こえる
『そうか  お前も大分 大人になった様だな?アールモンド?』

アールモンドが衝撃を受けて言う
「…るせぇよ  …で?本題は?」

アーサーが一瞬疑問した後 苦笑して携帯を見ると気付いて言う
「あれ?シュイさんからLIME来てる?『本当に賠償は要らないのか?』 だって?シュイさん  気にしていたんだ?ケイさんと一緒に居る時には  言わなかったのに  それじゃ  俺も返事をしないと…  えっと…」

アールモンドが電話へ言う
「…ああ  俺の調子は問題ねぇよ  灯魔作業はまだやってねぇけど  今日の非公開の方はもちろん  明日っから再開する  公開灯魔作業の方も…」

アーサーが携帯へ入力しながら言う
「賠償は要らないですよ  ケイさんに 携帯を買ってもらいましたので  十分です  …と?これで良いかな?送信!」

アールモンドが電話へ言う
「…え?ソッチじゃねぇって?なら…?」

アーサーがアールモンドへ向くと  携帯がバイブレーションする

アーサーがハッとして言う
「わっ!?またLIME?シュイさんから?『それなら  私に出来る事があれば言ってくれ  アーサー・スペイサーの 私用であっても構わない』わぁ…?シュイさんから  俺の私用に  付き合ってくれるなんて 言われる日が来るだなんて  思わなかったぁ~!それじゃっ!」

アーサーが携帯へ入力をして言う
「シュイさんも  これからは俺の事を  アーサーって呼んで下さい!っと  これで送信!えへへ~?シュイさん  何て返して来るかなぁ?」

アールモンドが衝撃を受けて言う
「はぁっ!?ちょっと待てっ!?誰が誰とだってっ!?」

アーサーが驚いて アールモンドへ向くと 携帯がバイブレーションする

アーサーが再び驚いて言う
「わっ!?シュイさん返信早いっ!?入力慣れてるのかな?俺なんて  口で言うよりずっと遅いのに?えっと… 『分かった  今日の所はそれで』 え?今日の所はって?それって  明日も何かあるって事?」

アールモンドが言う
「ああ!全く考えてねぇよっ 俺はウィザードで これまでも これからも変わらねぇ 話はそれだけか?切るぜ!」

アールモンドが受話器を叩き置いて言う
「…ったく」

アーサーがアールモンドへ向いて言う
「アーリィー…  大丈夫?何かあったの?」

アールモンドが言う
「いや?下らねぇ話だった…っ」

アーサーが言う
「そう…?アーリィーが大丈夫なら 良いんだけど…?」

アールモンドが言う
「何も気にすることはねぇよ?灯魔作業の予定は  3時過ぎだったよな?」

アーサーが言う
「うん  3時半に予定を入れてあるよ?アーリィー?」

アールモンドが言う
「よし  それなら時間は問題ねぇ  昼寝する」

アールモンドが寝室へ向かう  アーサーが言う
「それじゃ  カーテンを…」

アーサーの携帯がバイブレーションする  アーサーが反応して携帯を確認する

アールモンドが言う
「誰からだ?」

アーサーが言う
「今度はマキちゃんからだ?『アーサーさんもLIME始めたんですね?』って?えっと…  それじゃ  返信しないと…?」

アールモンドが言う
「…ンだか  慌ただしいな?」

アーサーが苦笑して言う
「そうだね?メールと違って  比較的短い文章だから  まるで  常に  声の届く所に  皆が居て  声を掛けられるみたいな感じだね?」

アールモンドが言う
「そうかよ…  面白れぇか?」

アーサーが言う
「俺もさっき紹介されて  始めたばかりだから  何とも言えないけど  便利ではあるかなぁ?電話やメールよりも  話しやすい気がして?」

アールモンドが言う
「…ふーん?」

アールモンドとアーサーが寝室へ入り アールモンドがベットへ向かう アーサーがカーテンを閉じ  アールモンドの近くへ来て ブランケットを整えて言う

「それじゃ  1時間後に…」

アーサーの携帯がバイブレーションする  アーサーが一瞬反応してから続きを言う
「…起こしに来るね?アーリィー?」

アールモンドが沈黙してから言う
「…おう」

アーサーが微笑してから立ち去って行く  道中にもアーサーの携帯がバイブレーションして  アーサーが一瞬止まり携帯を取り出して  歩きながら確認して 部屋を出て行く

アールモンドがそれを見ていて言う
「…気に入らねぇ」

アールモンドが背を向けて眠る  ドアが閉まる


起床時間前

アーサーの声が聞こえる
「…に関しては  俺も…  けど…」

アールモンドが目を覚まして思う
(…ン?何だ?アーサー?誰かと話して…?)

アーサーの声が聞こえる
「…だと駄目かなぁ?やっぱり今回の事が原因なんだろうし…?でもそれなら…?って!は、早っ!次のLIME来ちゃった!?えっと…?いや!?それは違うからっ!?違うよ…って?あーけど気持ちは分からないでもないし?えっとだから…  違うじゃなくて…  あぁっ  もう電話しちゃおうかなぁ?」

アールモンドが思う
(いや  これは違ぇな…  アーサーの何時ものヤツだ…  アイツは考えることがあると  思考が口に出ちまう…  ま、お陰で  分かりやすくて  俺も助かるンだけど…  こいつは?)

アーサーの声が聞こえる
「えっと  けど…  これって  そこまで俺が 深入りしちゃっても 良いのかな?電話で話したら  また色々と誤解が生まれちゃったり するかもしれないし?それに…  あっ!もうこんな時間っ!?えーっと?"ごめんねマキちゃん  灯魔作業に行ってきます"送信!これで…っ!」

バタバタと足音が聞こえ  ドアが開き  アーサーが入って来て言う

「アーリィー  起きて!時間…!」

アールモンドが言う
「るせぇっ」

アーサーが気付き苦笑して言う
「ごめーん  アーリィー?1人でもう起きてたんだね?珍しいね?それで調子はどお?アーリィー?」

アールモンドが言う
「最悪だ」

アーサーが衝撃を受け心配して言う
「えぇえっ!?最悪って?アーリィー  何処か調子が悪いのっ?大丈夫?」

アーサーが心配してアールモンドの顔を覗き込む  アールモンドがアーサーの瞳を見て気を取り直して言う
「…いや  …最悪は言い過ぎたかもしれねぇ  ただ…」

アールモンドが思う
(そうだ  俺はまた  何  ガキみてぇな事 言ってンだ?ンな余計な事を考えなくったって  アーサーは  俺の…っ)

アールモンドが口を開き掛けると  アーサーの携帯がバイブレーションする アーサーが反応して携帯を入れているポケットを意識する その様子に アールモンドが衝撃を受け  ぷいっと顔を背けて言う

「やっぱ  最悪だっ!」

アーサーが衝撃を受けて言う
「えぇえっ!?えっと…?ごめーん  アーリィー?ひょっとして  俺が?アーリィーを怒らせちゃってる?だとしたら…  ごめんなさい!アーリィー?俺  どうしたら良い?」

アールモンドが思う
(そうだっ  コイツはこう言う奴だっ  俺の為なら何だってやるっ  それを疑っちゃ居ねぇしっ  強要するつもりもねぇっ!けど…  けど…っ!)

アーサーの携帯がバイブレーションする  アーサーが反応して携帯へ意識を向ける

アールモンドがキレて言う
「俺を見ろよっ  アーサー!?携帯ばっか  意識してンじゃ…っ!」

アールモンドがハッとして思う
(やべぇっ!?思わず口にっ!?)

アールモンドが驚き息を飲む
「…っ!?」

アーサーがアールモンドを抱きしめて言う
「ごめんね  アーリィー  けど  これには訳があって!聞いてくれる?アーリィー?」

アールモンドが呆気に取られて言う
「…訳って?」


シュイの家

シュイが目を覚ますと言う
「…何時だ?」

シュイが周囲の散らかりの中から 携帯を漁り出し モニターを映して言う
「1時半か…  うん?アーサー・スペ…  いや  アーサーからLIMEが来てたのか…  何だ?何か俺に…?」

シュイがメッセージを見て軽く驚く

『シュイさん  俺  LIMEは止める事にしたので  今後は電話かメールでお願いします!』

シュイが言う
「電話やメールなどよりも使い易いと思うんだが…?まぁ良い  分かった  …と?」

シュイが送信をタップして間を置いて言う
「…にしても?何かあったのか?"何かあったのか  アーサー?"…ふん?」

シュイが送信をタップして間を置いて言う
「…うん?既読にならない?と言う事は…」

シュイが思う
(今は見られない状況なのか?もしくは  既に  アプリを消してしまったのか…?)

シュイが言う
「まぁ良い…」

シュイが立ち上がり 部屋を出て行きながら思う
(アーサーの言う様に  用があれば  電話は…  しなくとも  メール位なら…)

シュイがキッチンへ向かい冷蔵庫を開けようとすると  テーブルの上に飲みかけのコーラのペットボトルがある

シュイが気付いて言う
「それはそうと…?」

シュイが飲みかけのコーラを飲み衝撃を受けて思う
(アールモンドの奉者ではなく  俺の奉者は何をしている?)

シュイが歩き出す


奉者の部屋

シュイがドアを開けて言う
「おい  マキっ!予定はどうなっているっ?無くとも 起こしにぐらいは!…っ?」

シュイがドアの先を見て言葉を止め  呆気に取られて言う
「…マキ?」

部屋の中は もぬけの空になっている


レイモンド邸  アールモンドの部屋

アールモンドが言う
「マキ奉者が  シュイの奉者を辞めてぇって?」

アーサーが言う
「うん  それで  俺  最初は  言葉だけだと思って  話を聞いてたんだけど  どうやら本気だったみたいで?どうしたら良いかと思って?アーリィーが お昼寝している間  俺も  ずっと考えて居たのだけど…」

アールモンドが言う
「…で?」

アーサーが言う
「え?あー…  うん  それで…  …どうなったんだろうね?」

アールモンドが衝撃を受けて言う
「ど、どうなったんだろうって!?確認して ねぇのかよっ!?」

アーサーが言う
「俺はそこまでで  LIMEは辞めるって送って  アプリも消しちゃったし?俺にとっても  危ない所だったから!」

アールモンドが衝撃を受け言う
「そ…  そおだな?」

アールモンドが沈黙する

アーサーがアールモンドの様子を見て 時計を確認して言う
「そろそろ灯魔台神館へ 行こっか?アーリィー?」

アールモンドが言う
「ンな事よか  気になンねぇのかよ  アーサー?」

アーサーが言う
「え?気になるって?何が?」

アールモンドが衝撃を受けて言う
「なっ  何がって…?マキ奉者と シュイの奴の事だっ」

アーサーが言う
「え?ああ… それは気にはなるよ?切欠はやっぱり  俺が関わった今回の事だろうし?」

アールモンドが言う
「だったら…?」

アーサーが言う
「けど  切欠には携わったとしても  元々は2人の問題なのだから  俺が口を出す事じゃないのかも知れないと思って?それに  アプリも消しちゃったし  アーリィーの気分を悪くするような物は  俺   持ちたくは無いからね?」

アールモンドが反応して言う
「…そうかよ」

アーサーが言う
「うん!」

アーサーがアールモンドの表情を伺う

アールモンドが考えていて思う
(2人の問題…  そりゃそうだ  だから俺らが 口を出す問題じゃねぇ…  …そりゃ  そうだ  …けど?だからって…  ナンも助けてやれねぇのか?俺らの時は どおだった?確か先輩が  …俺を𠮟ってくれたンじゃねぇか?俺が馬鹿みてぇに  小せぇプライドを守ろうとして  アーサーを失う所だった  それを…)

アーサーが言う
「アーリィー?」

アールモンドが言う
「アーサー」

アーサーが言う
「うん?なあに?アーリィー?」

アールモンドが言う
「行くぜ?」

アールモンドがドアへ向かう

アーサーが言う
「え?あ、うん?灯魔台神館の場所は…」

アーサーがアールモンドに法衣を着せて帽子をかぶせると  アールモンドが一度杖を突いてから掲げる

アーサーが慌てて言う
「って!?ちょ、ちょっと待ってっ アーリィー!?部屋の中から…っ!?」

アーサーがアールモンドの身体に掴まると  2人が風に消える


シュイの家

シュイが呆気に取られたまま言う
「マ、マキ?何処へ…?」

シュイが室内を見渡していると ハッとして振り返る 振り返った先に一瞬 雷を纏った風が舞い  アールモンドとアーサーが現れる

シュイが言う
「アールモンド?アーサー?何故  お前たちが?」

アールモンドが言う
「それよか聞かせろよ  シュイ?マキ奉者は?」

シュイが言う
「マ、マキは…」

アーサーが部屋の様子に気付いて言う
「あぁ…  これは  マキちゃん  本気だね?」

アールモンドが言う
「そりゃ  どう言う意味だ?アーサー?」

アーサーが言う
「うん アーリィー この部屋  マキちゃんの部屋でしょ?奉者協会が用意する  ウィザードの住宅には  奉者の部屋も付随しているのだけど  この様子だと…  荷物をまとめて  出て行っちゃったって?そんな感じだよ?アーリィー?」

アールモンドが言う
「チッ…  遅かったって事か?」

シュイが言う
「遅かったとは?どう言う事だ?お前たちが?マキの…  何を知っている?何故…?マキの荷物が?」

アールモンドが衝撃を受けて言う
「はぁ?シュイ…  てめぇには ”失うかもしれねぇ”って危機感が  微塵もねぇンだな?」

シュイが言う
「失う?…何を?」

アーサーが言う
「マキちゃん  シュイさんの奉者を辞めるって  俺とLIMEで話してて…」

シュイが驚いて言う
「なっ!?バカなっ!?冗談が過ぎるぞっ!?アーサー・スペイサーっ!!」

シュイがアーサーへ一歩近付く  アーサーが困って下がると  アールモンドが間に入ってシュイを睨む

シュイがハッとして下がって言う
「いや… すまない  危害を加えるつもりはない  ただ…  何故…?本当に…?マキと その様な…?」

シュイがアーサーを見る

アーサーが言う
「俺も最初は  ただの愚痴だと思って 聞いていたのだけど…」

アールモンドが言う
「この部屋を見りゃ  分かンだろ?出て行ったンだっ  お前のもとから  離れてったンだよっ!」

シュイが言う
「… 有り得ない…っ」

アーサーが言う
「シュイさん…」

シュイが言う
「マキは何と?」

アーサーが言う
「え?えっと…  俺も  途中までは  ちゃんと読んで無かったって言うか?読み切れなくて?マキちゃん  文章送るの早いから?」

シュイが言う
「画面を開けば良いだろうっ!見せろっ!?」

シュイが近付く

アーサーが言う
「画面と言われてもっ  俺  アプリはもう消しちゃったから  見られないしっ?」

シュイが言う
「…そうだった  …では  お前は?何と返事を返していたんだっ?大体の内容は  分かっていたのだろうっ!?」

アーサーが言う
「えぇっと…  俺  何て答えたっけ?シュイさんは… そうだ?アーリィーとは違って  確かに  ちょっと  こっちの話を聞いてはくれない  感じかなぁ?とか?」

シュイが衝撃を受ける

アーサーが言う
「アーリィーは  俺の話  聞いてくれるもんね?それにアーリィーは  俺だけじゃなくって  皆の話も聞くもんね?アーリィー?」

アールモンドが言う
「ンなの  当たりめぇだろ?」

シュイが沈黙して言う
「…っ  …他には?」

アーサーが言う
「他には…?えっと…  シュイさんはマキちゃんが立てた  行動予定に従わなくて  ドタキャンするから  その度に  灯魔台神館や奉者協会に 謝るのが大変だって?マキちゃん そう言ってたから?」

シュイがギクッとする

アールモンドが言う
「ンな  しょっちゅう  ドタキャンしてンのかよ?」

シュイが言う
「それは…っ  仕方が無いだろう?そう言う時だって…っ」

アーサーが言う
「アーリィーは 俺と居る時に  ドタキャンした事は無かったし  ギリギリまで頑張る人から  どうしてもキャンセルする時は  俺  全然 大変では無いよ?って答えたら  マキちゃんから  羨ましいです  って返信が来たのだけど…?あれって  どう言う意味だったのかなぁ?」

シュイが衝撃を受け怒って言う
「分からないのかっ!?アーサー・スペイサーっ!!」

シュイの周囲に火が舞う

アーサーが驚き  アールモンドを盾にして言う
「えぇえっ!?ご、ごめんなさいっ!?アーリィーっ!?俺  何か悪い事  言っちゃってるぅうっ!?」

アールモンドが言う
「別に?ただ  シュイに取っては  バツが悪かったってだけだ」

アーサーが言う
「え?それじゃ…?」

シュイが視線を逸らしている

アールモンドが言う
「それで?お前はどぉなンだよ?シュイ?」

シュイが反応して言う
「私は…?」

アールモンドが言う
「マキ奉者に  この部屋へ  帰って来て欲しいのかよ?」

シュイが言う
「それは…  …  …当たり前だっ  私は…っ!いや 俺は…っ」

シュイが手を握る

アーサーが気付き微笑して言う
「それなら!迎えに行かないと?」

シュイがアーサーを見る

アーサーがアールモンドに甘えて言う
「アーリィーなら  俺を迎えに来てくれるよね?俺  来て欲しいなぁ~?アーリィ~?」

アールモンドが言う
「行ってやンよ?お前は  俺の奉者だろ  アーサー?」

シュイが視線を強める

アーサーが言う
「ありがと!アーリィー!俺  嬉しいぃ~!」

アールモンドが言う
「行けよ  シュイ?行かねぇのかよ?この腰抜け野郎っ」

シュイが言う
「うるさい…っ  俺だって  行きたいが…っ」

アールモンドが首を傾げて言う
「あン?」

シュイが悔やんで言う
「私はっ  アイツの居場所が分からないんだっ!」

アールモンドが衝撃を受けて言う
「お前もかよっ!?」

アーサーが疑問して言う
「え?お前もって?アーリィー?」

アールモンドが衝撃を受け言う
「い、いや…っ  気にすンなっ  100%従者のお前なら  今はもう同じこったっ」

アーサーが言う
「そうなんだ?ならいっか?」

アールモンドが言う
「そおだ  なら  同じだ  シュイ!お前も  何かっ  マキ奉者の魔力が分かる物を…っ  つっても  この部屋の様子じゃ  無さそうだな?空気中にも魔力は残ってねぇし?なら…?」

アールモンドが周囲を見渡してから考える

アーサーが言う
「アーリィー?何か探し物?俺  手伝えないかなぁ?」

アールモンドが言う
「つっても  お前には  魔力は見えねぇから…  …ン?そおか?おい  アーサー?お前  ひょっとして?マキ奉者と連絡が取れっか?」

アーサーが言う
「え?マキちゃんと?うん  取れると思うよ?アプリは消しちゃったけど  俺  マキちゃんの携帯番号もメールアドレスも知ってるし?」

アールモンドが言う
「なら  電話して聞けっ  マキ奉者は  今  何処に居る?」

アーサーが携帯を取り出して言う
「うん  アーリィー  それじゃ  俺  電話してみるね?」

シュイが視線を逸らす アールモンドがその様子を見ている

通話が繋がり マキの声が聞こえる
『…もしもーし?マキでーす?』

シュイが反応して顔を向ける

アーサーが携帯へ言う
「こんにちは!マキちゃん!アーサーでーす!」

マキが言う
『あ、はい  こんにちは…  えっと  それで…?アーサーさん  アタシに何か?』

アーサーが言う
「うん!ちょっと  マキちゃんと お話がしたくて!今  そっちへ行きたいんだけど  大丈夫かなぁ?」

マキが言う
『え?アタシと?…はい  こっちは大丈夫ですけど?』

アーサーが言う
「良かった!それじゃ  マキちゃんは  今  何処に居るの?」

マキが言う
『アタシは今…  ファースト町の中央公園って所に 居るんですけど…』

アーサーが言う
「ファースト町の中央公園だね?」

マキが言う
『はい  あの…  けど  結構広い公園なんで  南門から真っ直ぐ行った  一番大きな噴水の前なんですけど…』

アーサーが言う
「南門から真っ直ぐ行った 一番大きな噴水の前!それなら…!分かるよね?」

アーサーが視線を向けた先  炎を纏った風が吹き  シュイが消える

アーサーが微笑して言う
「それじゃ  今から そこへ行くから!」

アールモンドが杖を突く


ファースト町  中央公園

噴水の前でマキが言う
「分かりました  あ、でも?アーサーさんの町から遠いですよね?どの位掛かりそうですか?アタシ  引っ越しの最中で  もう直ぐ業者のトラックが…?」

携帯からアーサーの声が聞こえる
『大丈夫!今すぐに!』

マキの周囲に雷の風が舞う

マキが振り返った先に  アールモンドとアーサーが現れて  アーサーが言う
「行けるから…  ね?」

マキが一瞬呆気に取られた後 苦笑して携帯の通話を止めて言う
「なぁんだぁ?アールモンドさんも 一緒だったんジャン?アタシ  てっきり?」

アーサーが言う
「うん!そうなんだ!けど  用があるのは  俺たちじゃなくって?」

マキが言う
「え?それじゃ…?」

マキの後方にシュイが居る  アーサーが微笑する  マキがハッとして振り返り  驚いて言う
「…っ  シュイ…っ」

シュイが沈黙する

マキが一度視線を落とすと  気を取り直して  シュイへ向いて言う
「…何?何か用っ?アタシは…っ  アタシは  もう…っ  シュイの奉者なんてっ!」

シュイがマキの前まで近付く

マキが一歩後退るが  気を強めて言う
「元はと言えばっ  そっちがっ!」

シュイが頭を下げて言う
「すまなかったっ!」

マキが衝撃を受けて言う
「にゃぎゃあっ!?…え?ええっ!?な、何コレ?シュイじゃ  ない…っ?」

マキがシュイを突っ突く

アーサーとアールモンドが呆気に取られた後ぷっと噴き出す  シュイが衝撃を受け頭を下げたまま怒りを噛み殺すと周囲に火が舞う

マキが衝撃を受けて言う
「にゃっ!?やっぱ  コレ  シュイだ…」

マキが手を引く

シュイが言う
「…正直に言えば  …俺の何が悪かったのかは  分からないが…」

アーサーが衝撃を受けて言う
「分かんないのぉおっ?」

アールモンドが言う
「馬鹿だろ」

シュイが衝撃を受け  怒りを押し殺しつつ言う
「…っ  それでも…っ  こうする以外に  方法など…っ  無いのだろう?俺は…  ただ…  お前と… 一緒に居たい」

マキが驚き言う
「にゃっ!?」

マキが赤面する

アーサーが言う
「わおっ  シュイさんってば  直球的ぃい~!」

アールモンドが言う
「ただの馬鹿じゃねぇのか?」

シュイが衝撃を受け 手を握り 怒りを押し殺しつつ言う
「…ぐぅっ  俺は…  確かに  短絡的で…っ  優しさも無く…っ  ウィザードとしての力も低く…っ  その為  奉者のお前に  多くの迷惑を掛けていた 様だが…っ」

アーサーが言う
「シュイさん…  ちゃんと言えて良かった!」

アールモンドが言う
「分かってンじゃねぇか?」

シュイが怒りに顔を引きつらせつつ言う
「それでもっ  俺はっ  必ずっ!…  …  …お前を守って見せるっ」

マキが呆気に取られて言う
「シュイ…」

アーサーが苦笑して言う
「アーリィー?俺たち  ちょっと  おじゃまかも?」

アールモンドが言う
「付き合ってらんねぇぜ?帰ンぞ?アーサー?」

アーサーが言う
「うん!アーリィー!それじゃっ  後は お二人で~?」

アールモンドが言う
「とっとと  爆発しやがれ」

アールモンドが杖を掲げ  アールモンドとアーサーが風に消える

シュイが横目にそれを確認して言う
「これから  改善出来る… とは  言えないが…  それでも…っ  俺は…」

マキが言う
「もう良いよ   シュイ…  アタシ…っ  アタシだって  駄目な所  沢山あるけどっ  けど  シュイは  アタシのそー言う所  怒った事無いし  アタシはっ  シュイの良い所だって  一杯知ってる!」

シュイが呆気に取られて言う
「…っ  俺の良い所?」

マキが言う
「駄目な所の方が多過ぎて  埋もれちゃうけどねっ!」

シュイが衝撃を受けて言う
「…っ  …その言葉は  今は余計じゃないか?」

マキが衝撃を受けて言う
「にゃにゃっ!?そ、そうかも…っ?で、でも  だから  その…っ  ア、アタシだってっ! シュイの傍に居たいよっ!?奉者も彼女も続けて居たいっ  シュイが言ってくれた言葉  信じたいよっ?けど…っ  けど  シュイは…っ  アーサーさんを…っ  アタシを騙して  誘い出すための  餌にして…っ」

シュイが言う
「それは…っ」

マキが言う
「それにっ!どうして  アーサーさんに  あんな事するのかっ  理由を教えてくれなくてっ  どうしても  やらなきゃいけない  そんな強い理由ならっ  アタシっ  教えて欲しかったっ!」

マキが泣きながら言う
「ねぇっ  どうして  教えてくれなかったのっ!?何でっ!?」

シュイが言う
「それは…っ  …騙してまで  言わなかったのは  言えば…  お前を  巻き込むと思ったからだ」

マキが言う
「え…?」

シュイが言う
「理由を共有せずにさえ居れば  …お前には  非は無いだろう?奉者として  仕えているのだと  そうと言えば…っ  知らなければ  言えるだろう?だから…  言わなかった…」

マキが泣きながら言う
「だからって  そんなの…っ  そんなんじゃ…っ   アタシ  嬉しくないっ!アタシはっ  …何があっても  シュイの味方だって  言ったジャン!?良い所が悪い所で埋まっちゃう位でも…っ  そんなシュイが  好きなんだって  言ってるジャン!?馬鹿ぁあっ!  ―っ!?」

マキが驚き目を見開く  シュイが自分の口でマキの唇を塞いでいる  マキが涙を流して  シュイに抱き付く

シュイがマキを抱きしめて言う
「…もう2度としない  それだけは直す  だから…  あの部屋へ  戻って来てくれ  マキ…」

マキが言う
「…にゃ~  この卑怯者~っ!」

マキがシュイの胸に顔をうずめる  シュイがホッとして周囲を見渡してから  杖を光らせ2人が風に消える  周囲の結界が崩れ消えると  周囲に居た人たちが一瞬疑問して  元の行動へ戻る

――…

レイモンド邸  邸内

アールモンドとアーサーが歩いていると  アーサーの携帯がバイブレーションする  アーサーが反応して考える

アールモンドが言う
「…どおした?確認しねぇのかよ?」

アーサーが言う
「これってそう言えば?マナーモードじゃなくて  サイレントって設定にした方が  音も震えもしないから  良いのかなぁ?」

アールモンドが言う
「別に…  電話やメールの確認ぐれぇは 構わねぇよ  ただ…  あの何とかって奴は  …ンか気に入らなかっただけだ」

アーサーがドアを開け アールモンドが入室する

アールモンドが思う
(完全にアーサーの意識が  持ってかれちまう…  ンな気がして)

アーサーがアールモンドに続いて入室して  アールモンドの帽子と法衣を脱がせて言う

「そうだね?確かに…  アーリィーの前なのに  他の人と内緒話してるみたいで  嫌だよね?」

アールモンドが衝撃を受けて言う
「…うっ  …あぁ  まぁ…  ンな感じかもな?」

アールモンドが思う
(チッ…  バレバレかよ?情けねぇ…)

アールモンドがソファへ向かおうとして驚き動作を止める
「っ!?」

アーサーがアールモンドを 後ろから抱きしめる形で 携帯を操作して言う

「でも  それなら?こうすれば  良かったのかもね?あ、マキちゃんからのメールだ!えっと…?『アーサーさんにアールモンドさん!ウチの馬鹿シュイがお世話になりました!今から引っ越し Uターンでーす!』だって?あははっ  それも大変そうだよね?」

アールモンドが言う
「お前が声に出して読むなら  俺が見る必要はねぇだろ?」

アーサーが言う
「あ、そっか?言われてみれば?」

アールモンドが進もうとすると  アーサーの手にある携帯がバイブレーションする  アールモンドが衝撃を受ける

アーサーが言う
「あ?今度は…?シュイさんからメール!えっと…?『世話になった』?短っ!?シュイさん  完全にLIME書き!?…わっ!?」

携帯がバイブレーションする

アーサーが言う
「シュイさんから  もう一通?えっと…『それと  今更だろうが  アールモンドへも 伝えてくれ』だって?アーリィー?あ、アーリィー?折角だし  アーリィーが返信してみる?」

アールモンドが言う
「はぁ!?俺が?ンでだよっ!?」

アーサーが言う
「相手は同じウィザードのシュイさんだし?ウィザードだって  携帯を持ってたりする時代なら  そのシュイさんからのメールに返信する位  良いんじゃないかな?」

アールモンドが言う
「ふーん?なら…  ここを押すのか?」

アーサーが言う
「そう!そこが あ行で隣が か行  2回押すと あ行 なら いになる感じ?それで変換押して…  そうそう  そんな感じで!って…  あーっ!」

アールモンドが言う
「送信…  はん?簡単じゃねぇか?ケンカを売るなら持って来いだな?」

アーサーが苦笑して言う
「アーリィーっ!?」


シュイの家

シュイの携帯が鳴る  シュイが反応して言う
「メールか…  アーサーから?」

シュイがメールを読んで衝撃を受ける

『俺の事は  アールモンド卿と呼べよ  庶民出身の 出来損ないウィザード』

シュイが怒りを抑えると 周囲に火が舞う  携帯が鳴る

シュイが疑問して言う
「アーサーから  もう一通?」

シュイがメールを読む

『ごめんなさい  シュイさん  アーリィー  シュイさんからのメールが嬉しかったみたいで  悪い言葉で誤魔化してるけど  これからも四露死苦!って事だから!どうかこれからも 末永く  仲良くして下さい!』

シュイが呆気に取られてから 苦笑して言う
「なるほど  流石は  あのアールモンドの奉者だ  …うん?」

シュイが気付いて思う
(そうか  同じだ…  マキもきっと  アーサーの このメールと同じ様に  俺のドタキャンの謝罪を…  それなら  これからも  やはり  変わらずとも…?)

シュイの携帯が鳴る

シュイが呆気に取られて言う
「また  アーサーから メールが?」

シュイが呆気に取られる

『庶民出身の 出来損ないウィザードでも  女泣かせンじゃねぇよ  末永く爆発してろ』

シュイが苦笑して携帯を操作する


レイモンド邸  アールモンドの部屋

アーサーの携帯がバイブレーションする  アールモンドが衝撃を受けて言う

「またシュイかよっ!?しつけぇ奴だなっ」

アーサーが苦笑して言う
「メールは来たら返して  また返してって?終わらなくなっちゃうんだよね?だから  お互いに  区切りの良い挨拶をすると良いのだけど?」

アールモンドが言う
「区切りなら完璧だろ?爆発して  終わったじゃねぇかよ?」

アーサーが衝撃を受けて言う
「それは終わらせちゃ ダメなトコだけどっ?あっ  アーリィーっ!?俺  まだ見てないのにっ!?」

アールモンドがアーサーから携帯を取り上げて言う
「『余計なお世話だ  アールモンド』?てめぇ…っ  この返しなら  卿を付けろよっ!?悪口も  出来損ないな野郎だなっ!?ったく!」

アーサーが苦笑して言う
「あははっ  悪口は  下手であっても良いと思うけどね?」

アールモンドが言う
「ンな下手クソじゃ  返信も出来ねぇ」

アーサーが呆気に取られてから苦笑する

アールモンドがアーサーへ携帯を向けて言う
「んっ」

アーサーが微笑して受け取って言おうとすると 携帯がバイブレーションする
「うん  それじゃ  ありがと!アーリィ…  ああっ!?」

アールモンドが瞬時に手を引いて携帯を確認する

アーサーがバランスを崩して倒れて言う
「イタタ…っ  あははっ  アーリィー?すっかり  お気に入りになっちゃったね?それで?シュイさんは  なんだって?」

アールモンドが言う
「…この消去って奴を 押せば消えンのか?」

アーサーが言う
「え?あ、うん?そうだけど?」

アールモンドが言う
「ン…  おう  消えたな?」

アーサーが衝撃を受けて言う
「え?アーリィーっ!?俺  まだ見て無いしっ  聞いても居ないよっ!?」

アールモンドが言う
「見なくても聞かなくても良い  シュイの野郎が  また  下手クソな悪口言ってっから  消してやった  これで  黙ンだろ?」

アーサーが言う
「あ…  うん?話の流れが悪くなっちゃった時には  メールを返さないのも手だよね?LIMEと違ってメールは読んだかどうかも 分からないし?」

アールモンドが言う
「ま、もう良いぜ  飽きた  やっぱ携帯なンかよか  魔法を操作する方が  よっぽど面白れぇからな?」

アーサーが言う
「それはそうかもしれないね?って言っても  俺は  魔法を使った事は無いけれど?」

アールモンドが言う
「そうだな…  アーサー 時間は?」

アーサーが言う
「え?あ…  時間は…  えっと?」

アーサーが一度無い腕時計を確認してから  部屋の時計を見上げて言う
「今は4時15分だから…  夕食の時間までは  まだ1時間45分あるけれど?」

アールモンドが言う
「そうか…  なら  1時間くれぇ  修行して来る」

アールモンドが立ち上がる

アーサーが言う
「あれぇ?珍しいね  アーリィー?いつもは  灯魔作業の後になんて  やらないのに?」

アールモンドが言う
「アイツらのせいで  あんまりにも  ウィザードらしくねぇ事 しちまったからな?気分を入れ直して来ンぜ」

アーサーが言う
「そういう事?なるほど  それじゃ…  はいっ!行ってらっしゃい!アーリィー!」

アーサーがアールモンドへ法衣と帽子を纏わせ 見送りをする


シュイの家

シュイの手に携帯がある

『そうだな  こっちは  俺が泣く羽目になるからな』

シュイが苦笑して言う
「分かっているのなら…」

シュイが思う
(…いや?ともすれば  何か理由があるのか?アーサーへ  お守りを持たせられない理由が…  だとしたら?)

シュイが気付いて言う
「戻ったか?」

家のドアが開き  マキが入って来て言う
「やっと着いたぁ~  今日一日で  町3つ往復するとか  もーすっごい疲れた上に  また荷物ほどかなきゃイケないしぃ~?」

マキが腰を折って疲れを見せると 首についているネックレスが下がり  お守りの魔石がぶら下がっている

シュイが気付いて軽く笑って思う
(それに比べると俺は…  アールモンド  もし  お前に  借りを返せるとしたら  その時は)

シュイが窓の外を見る  遥か遠くに  黄色い光が2つ見える

シュイが思う
(母の願いを叶えてくれた  黒曜石の指輪…  それを  与えてくれた  お前への礼は  必ず  果たす  俺の中に残る  母の魔力と共に)

シュイが手を握る

遠くから業者の声が聞こえる
「ミンディーグさーん?この荷物はどちらにー?」

マキが言う
「あー  荷物は全部  その部屋でーす!」

業者が言う
「えっ!?入りきりませんよっ!?」

マキが向かいながら言う
「えー?朝まで入ってたものなんで  入りますってー?」

シュイがマキの姿を目で追って言う
「ならば  俺は…」

シュイが杖を掲げる  マキが言いながら戻って来る
「あっ  ソッチの  大きいのを後にしないと  入らないんでー  ちょっと?シュイ?手伝…  って?居ないジャン!?もぉー!シュイーー!!」

シュイが屋根の上に居て言う
「今日は絶好の  修行日和だ」

シュイが微笑して屋根の上に寝転んでいる  屋根の下では  マキが慌ただしく作業している

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