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21章

アールスローン戦記Ⅱ 約束のレクイエム

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【 帝国 司令塔 】

皆が衝撃に身を伏せた状態から グレイゼスが顔を上げて叫ぶ
「直ちに各システムの確認と 現場の情報を収集っ!ART1!ART2!応答をっ!…ハブロス司令官っ!?」

【 帝国 城壁内 】

グレイゼスの声が聞こえる
『ART1!ART2!応答をっ!』
Mハイケルの中 ハイケルが目を開くと言う
「こちら ART1 隊長」
グレイゼスが言う
『ハイケル!…無事だったか』
ハイケルが言う
「私は無事だ ART1 及び ART2の隊員らも 同じく 無事だ」
Mハイケルの周囲で ARTマシーナリーたちが脱力するとコックピットが開かれ 隊員Aが出て来て言う
「皆っ!?大丈夫か!?」
隊員Bが隊員Aに抱き付いて言う
「アッちゃん!アッちゃんー!俺 超ー 怖かったーっ!」
隊員Aが衝撃を受け慌てて言う
「わ、分かったっ 分かったからっ バイちゃん 俺も怖かったよ けど ちょっと バイちゃん…っ」
隊員Cが呆れて言う
「お前ら… やっぱり…?」
Mシュナイゼルからシュナイゼルが出て来て言う
「またも 助かりました ハイケル少佐 咄嗟の事態に 御指示を頂きまして」
ハイケルが言う
「問題ない それに 『ART1総員退避』 よりも 『ART総員退避』 の方が 2言 発音数が少なく 咄嗟の事態に迅速に発言が出来た」
シュナイゼルが衝撃を受けた後苦笑して言う
「な、なるほど…」
ハイケルが言う
「それで?お前たちの隊長はどうした?…ラミリツ隊長は?」
ハイケルが周囲を見る 隊員Bが隊員Aから離れて言う
「あれー?そう言えばー?」

【 帝国 城壁 】

爆煙が風に消えて行く中 RDD001が防御体勢を解除し圧力を開放する

RDD001内

アースが息を吐きホッとして言う
「…自爆装置 …いや 自壊装置と言うべきか?彼らが任務を放棄するとなれば その彼らの正体や証拠を消し去る為にとでも 施されていたのか…?それとも…?いや 何にせよ」
アースがモニターを見る

RDD001が周囲を見渡す 周囲には機械兵士らの破片が散乱している RDD001が言う
「装置を施した者は 最低の者だっ その指示を行った者もっ!」

アースが怒り シートに拳を叩き付けると 立ち上がって言う
「ハッチを開けてくれ …救えなかった 彼らの下へと向かいたい」
アースがコックピットの近くへ向かう コックピットは開かれない アースが疑問して言う
「…どうした?ここを開けてくれ お前の周囲100メートル内であれば 異常電波の影響も防がれるのだろう?悔しいが 今はそちらの範囲にて済ませる ハッチを開いてくれ」
アースが顔を上げる コックピットは開かれない アースが疑問して言う
「何故だ?私の言葉を… 命令を聞かないとは?」
アースが振り返ると サブモニターが表示される アースがそれを見て呆気に取られる

【 ART 医務室 】

ラミリツが意識を取り戻し 目を開きながら言う
「ん…?」
ラミリツの視線の先でアースが気付きラミリツへ向く ラミリツがハッとして言う
「ハブロス司令官っ!」
ラミリツが飛び起きると ラミリツの視線の先にはエルムαが居る ラミリツが呆気に取られて言う
「…え?あれ…?エルム?」
ラミリツが目を擦る エルムαがラミリツを見て言う
「16時12分 対象の意識の覚醒を確認」
ラミリツが苦笑すると ハッとして言う
「エルム!戦いはっ!?ハブロス司令官はっ!?アニキは…っ!?…え、えっと… 僕は …どうなったの?ここは何処っ!?」
エルムαが言う
「対象の意識の混乱を認識 お前の記憶及び認識の確認を行う お前の所属と名を提示しろ」
ラミリツがハッとしてから 気を落ち着かせて言う
「あ… うん… 大丈夫 僕はART2所属 ラミリツ・エーメレス・攻長隊長」
エルムαが言う
「クリア 記憶及び認識のチェックを完了 お前の記憶と認識能力は正常だ 意識を失うの前後の記憶は 失われている可能性はあるが そちらは許容範囲 …だ」
ラミリツが言う
「うん… そうだね?それでも 覚えてるよ?僕は あの時…」

回想

ラミリツが慌てて言う
『バッテリー切れっ!?アニキが居るって時にっ こんな時に限ってっ!?ホントにもうっ!?』
ラミリツが思う
《僕って ナックキラーやアニキと関わる時に限って 本当に運が悪いってっ!》
ラミリツが手を握り締めて言う
『こうなったら…っ!』
MラミリツがRDD001マシーナリーの横で身構えて言う
『格闘術ででもっ!?』
ラミリツが意を決して言う
『さあっ 掛かって…っ!…って?…来ない?』
ラミリツがモニターに映る機械兵士らの様子に呆気に取られて思う
《どう言う事?まるで 彼らは…?僕らと同じ様に アニキのギターを聞いてる?なら 彼らの戦意をギターで… 音楽で戦いを止めさせた?》
ラミリツが呆気に取られた様子から微笑して言う
『ホントに 凄いよ アニ…』
グレイゼスの慌てた声が聞こえる
『緊急事態っ!戦地に居る者は総員!城壁内へ退避だっ!急げっ!!』
ラミリツが呆気に取られて言う
『…え?』
ラミリツが思う
《そんな?何で?だって…っ 彼らも 僕らと同じ様に アニキのギターを聞いて 戦いは…》
ラミリツがモニターを見ると 警告表示と共に機械兵士のサーモ上昇値を示している ラミリツが目を見開いて思う
《サーモの急上昇!?この数値は… 爆発するっ!?》
ラミリツが思う
《部隊指示をっ!》
ハイケルの声が聞こえる
『ART総員退避だ!』
ラミリツが思う
《ART総員… …ならっ!?》
Mラミリツの視線の先 RDD001が防御体制を取りシールドを展開する ラミリツが思う
《防御体勢!?この場で…っ!?――そっか!?あのマシーナリーなら!?大丈夫なのかもしれない!?このサーモ上昇値は 超高温プラズマ熱量に近いけど 防衛特化のRDD001マシーナリーなら…っ!?…だけどっ!》
ラミリツが叫ぶ
『アニキっ!』
RDD001がシールドを発している ラミリツが思う
《この体勢から シールドを解除して 退避するのでは間に合わないっ だったら…っ!?》
MラミリツがRDD001の後ろから両腕を回して思う
《これなら!?…ごめんね アニキ…っ 本当なら 両腕だけじゃなくて 正面に向かって このマシーナリーのボディも含めて 間違い無く貴方を守りたい!…だけどっ》
ラミリツが胸に秘めているナイトソウルを意識して思う
《…僕には 本当に守らなければいけない人がいるっ 守る為に…っ その人の為に!戦わなくちゃいけないっ だから ここで… 僕は死んでしまう訳には行かないからっ 今は この腕だけでも 貴方を 守って みせるっ!》
ラミリツが意を決すると モニターの中で臨界突破の文字が表示される Mラミリツの腕に力が入る 一面が真っ白になる

回想終了

ラミリツがエルムαへ向いて言う
「アニキは…っ!?…って言っても分からないかな?それなら ハブロス司令官に聞けば… あ、でも そうだよ!エルム!?」
ラミリツが気を取り直して言う
「今回の戦いで ARTに犠牲者は!?死傷者の情報はある!?」
エルムαが言う
「帝国にて行われた お前も参加をした 戦いの中で ARTの隊員に死傷者等 犠牲者の情報は無い」
ラミリツが肩の力を抜いて言う
「そう… 良かった… それなら… …って あれ?良く考えたら 死傷者の傷者… 怪我人は 僕が1人居るんじゃ…?」
エルムαが言う
「ラミリツ・エーメレス・攻長隊長は 無事だ 記憶や意識と共に 身体に置いても負傷は無い 従って 『帝国にて行われた お前も参加をした 戦いの中で ARTの隊員に死傷者等 犠牲者の情報は無い』 にて 問題ない」
ラミリツが自分の身体を見てから言う
「あ… そっか?そうだね?エルムの言う通りだね?それに何より… あの戦いの中で ARTの隊員に死傷者や犠牲者の情報は無いって言うんなら それは…」
ラミリツが思う
(あの時 アニキも 無事だったって事…)
エルムαが言う
「ARTの隊員は お前を含め問題ない お前が守るべき ハブロス司令官… アニキも無事だ」
ラミリツが反応して言う
「ホント!?良かった… アニキも… って あれ?ひょっとして…?エルムも アニキを知ってたの?」
エルムαが言う
「お前の言う ”アニキ”とは デスメタルバンド ナックキラーと言う名の部隊へ所属する際に 使用していた 奴の偽名だ 従って 本来の奴の名は…」
ラミリツが目を丸くして言う
「アニキの 本来の名は…っ!?」
ラミリツが思う
(エルムは 知って…!?)
エルムαが間を置いて言う
「…奴の名は スクナビコナ」
ラミリツが呆気に取られて言う
「…ス?」
ラミリツが疑問して言う
「スクナ…?って?…エルム?それ… その名前 ARTのメンバーボードに無いよね?それに そもそも それって?名前… なの?1構想の?」
ラミリツが思う
(アニキはマシーナリーを動かせる それに デスメタルバンドのメンバー… と言う事は 1構想の名前で最下層で… もしかしたら マスターなんじゃないか?…って言うのは それは シーナ隊員から アニキは高位富裕層の顔だと 指摘される前まで 僕が勝手に思い込んでいた事なんだけど…?)
ラミリツが言う
「それに もしそれが アニキの本来の名前だとしたら マスターでもないよね?」
エルムαが言う
「そうだな 奴は マスター …では無い」
ラミリツが言う
「なら…?」
ラミリツが思う
(僕らART2やART1の皆みたいに キーネックレスを用いて?それなら 特別に?ハブロス司令官が…)
ラミリツが苦笑して言う
「やっぱ ハブロス司令官に聞いてみないと 分かんないね?」
エルムαが言う
「そうだな 現在の奴は スクナビコナでは無く その名は ア… っ!」
エルムαが頭を抑える ラミリツが一瞬呆気に取られてから心配して言う
「…え?どうしたの?エルム?…大丈夫?」
エルムαが体制を戻して言う
「…問題ない 私は 何かを言おうとした しかし それは… 探索不能 情報は消去された」
ラミリツが心配して言う
「そう… なら ごめんね エルム?痛い思いさせちゃって それって 僕が エルムに 聞いてはいけない事を 聞いたせいだよね?」
エルムαが言う
「問題ない お前からの問いへ答える事で そちらの結果へ到達した事は確かだが その言葉 …その事実を お前へ伝え様と判断をしたのは 私の意思… 私の魂 …だ」
ラミリツが呆気に取られて言う
「魂…」
ラミリツがエルムαを見てから微笑して言う
「そう… それならさ?本当に… 有難う エルム」
エルムαが言う
「問題ない」
ラミリツが一瞬ガクッとしてから苦笑するとベッドから出る

医務室 外

ラミリツとエルムαがドアを出ると 歩きながら ラミリツが腕時計を見て言う
「16:20… エルム?ART2の皆は 今 何所にいるの?まだ帝国?」
エルムαが言う
「ART2 及び ART1隊員は ART整備部隊員と共に 戦闘終了後 帝国へと向かった」
ラミリツが反応して言う
「え?あ… そうなんだ?それじゃ ART2やART1の皆も 僕と同じで 一度はこっちに戻ったの?」
エルムαが言う
「そうだな」
ラミリツが言う
「そうなんだ?それで… 改めて 整備部の皆と?なら… 戦闘を終えて 一度休憩をしに来たって事かな?帝国じゃ 休憩所… みたいな所はあったとしても コーヒーや紅茶を飲まれる食堂なんかは 無いもんね?」
エルムαが言う
「そうだな …共に 転送による移動は 可能な限り 短時間にて終わらせる事が好ましい」
ラミリツが疑問して言う
「転送による移動はって…?それは…?あ、でも 良いや?あんまり難しい事を聞いても 僕は分からないし 分かるまで聞いてたら また エルムが怒られちゃうかもしれないもんね?何か …そんな感じ?」
エルムαが言う
「そうだな」
ラミリツが苦笑してから言う
「えっと… それじゃ ART2やART1の皆と同じ様に 僕も これから帝国へ向かうから エルムは こっちのART本部の警備を 宜しくね?」
ラミリツが出入り口の前でエルムαへ向き直る エルムαが言う
「了解 ラミリツ・エーメレス・攻長隊長」
ラミリツが微笑してから メンバーボードを見上げ苦笑して言う
「スクナビコナ… …やっぱ居ないよね?」
ラミリツが苦笑してから出入り口を出て言う
「それにしても 変わった名前… 一体 …何者なんだろう?アニキって…?」
出入り口の扉が閉まる エルムαが言う
「奴は… …の神 …っ」
エルムαが頭を抑えてから 間を置いて 周囲を見てから言う
『…各機関 異常無し …巡回警備 を 開始 …する』
エルムαが立ち去る

【 帝国 】

マシーナリー格納庫

ART1とART2隊員たちが居て 隊員Bが言う
「まだー?」
隊員Cが言う
「一度戻って 改めて来い言われた割には やる事ねぇって… 何だかなぁ?」
隊員Fが言う
「今は 一緒に来た 整備部の隊員たちが現場検証をしているから 俺たちの出番はその後じゃないかな?」
隊員Cが呆れて言う
「現場検証って…?そりゃよ…?」
ハイケルが顔を向け疑問する

帝国 外 屋上

アースが屋上から眺めている

帝国 城壁

RDD001が見下ろす RDD001の目下 エミーと整備士たちが機械兵士を解体していて言う
「このパーツは初めて見たな?」 「何のパーツだ?」 「位置的に…」
エミーが機械兵士の頭部を開いて言う
「機械と言えばAI!それで やっぱ AIの有りそうな場所と言えば…っ!あ~ったぁ~!?」
エミーが機械兵士の頭部の中にある脳の形をした脳パーツを取り上げる RDD001が見下ろしシーナの声が聞こえる
「いかにもAIです って感じだね?」
エミーが笑んで言う
「うんうん!これを解析すれば 全て解~決よぅ!さ~てさて~?ちょ~っと 見せて頂戴ね?アンタのAI!その脳味噌の中の構造を~っ!?」
エミーが脳型パーツを解体し始める RDD001の中 シーナが苦笑して言う
「もぅ… ホントにエミーは 機械のAIが大好きだね?」
モニターに映るエミーの後姿 エミーの声が聞こえる
『当ったり前じゃない~?AIは機械の脳味噌!自身で動く機械は 全てこの中に詰め込まれている 最新技術の粋を持して 動かされているんだから!それをさせるIAって凄いじゃないっ!?そうとなれば 勿論!?見てみたいじゃな~いっ!?』
シーナが疑問して言う
「私は そこに関してはエミーとは違って… どっちかって言うと 動かす元よりも 動かされる身体の方に興味があるかなぁ?人に作られる物って 作られるからこそ カッコ良く出来るって言うか?」
エミーの声が聞こえる
『シーナは見た目重視だもんね~?』
シーナが言う
「もちろんだよ?男もマシーナリーも 顔とソウルでしょ?」

マシーナリーの外

エミーがパーツを解体しながら言う
「アタシはやっぱ 男もマシーナリーも… AIとソウル かなー?…と?外装 外れた?」
Mシーナが言う
『AIとソウル… あれ?でも それってさ?同じ事2回言ってない?だって ソウルは… 言い換えれば その人の …考え方とか?想いとか…?それって つまり… 脳味噌みたいな?』
エミーがパーツを開きながら言う
「脳味噌は脳味噌でも それが機械のAIって奴で… 味噌じゃなくて 機械で… …てっ!?う…っ!?うきゃぁああーーっ!?」
エミーが機械兵士のAIを放って逃げる 周囲に居た整備士たちが驚いて顔を向ける RDD001が身を屈めて言う
「エミー!?どうかしたのっ!?」
エミーが嫌がって言う
「イヤァアアーッイヤッイヤァアアッ!ア、アタシっ ダメなのっ!アレ!あの…っ!ナ… ナマモノってぇええ~!」

シーナが言う
「ナ… ナマモノ …って?」

整備士たちがエミーの放ったAIを見る

帝国 司令塔

メインモニターに機械兵士のAIが映されている 司令塔隊員たちとグレイゼスが呆気に取られ オペ男Aが言う
「…マジかよ?つまり…」
オペ男Bが言う
「機械の頭の中に… 人間の脳核を?」
オペ子Bが表情を顰め口を手で押さえて言う
「…酷い」
グレイゼスが視線を強める

帝国 屋上

アースが言う
「…そう言う事か 通りで 人体の中に在る魂の光ではなく 機械兵士の周囲を徘徊する様な あの魂たちは… ともすれば 自身の奪われた身体を 探していたとでも言う事なのか…?」
グレイゼスの声が聞こえる
『ハブロス司令官 あの機械兵士らの簡易解析結果は以上ですが …どうしましょう?あの機械兵士らは ヒトの脳核が使われていたと言うAIの他は 特段 我々のマシーナリーを越える技術と言うものは 見受けられません それに ボディその物も 自爆による破損で 回収は困難だと思われますが 待機中のART1やART2を使って 可能な限りでもサンプルを集めて置きますか?』
アースが周囲を見渡して言う
「一見した所 彼らの自爆装置は 本体の中心付近に 備えられていたのか?その辺りの損傷が激しい様子だが?」
グレイゼスの声が聞こえる
『そうですね 自爆装置その物は 備えられていたと言うほどの物ではないのですが あの機械兵士らの燃料は 我々のマシーナリーとは異なり 恐らく液体状の物で それが 本体の大部分を占め 胴体部分に備えられていた為に そちらへ着火された事による爆発であったものと… ですので 結果としては ハブロス司令官の仰る通り 中央部分に備えられていたと言う事であって 変わりはありませんが』
アースが言う
「分かった では そちらはそうと お陰で 中央部分から遠い 頭部や手足のパーツは こちらからであっても原型の確認が出来る そうとあれば…」
アースが視線を向けると視線の先にモニターが現れ 機械兵士らのAIが映される エミーが嫌がっている近くで研究者が 脳核の入れられたケースを取り出し眺めている グレイゼスの声が聞こえる
『では ART1及びART2へ そちらの回収指示を伝えますか?』
アースが言う
「そうだな しかし 回収は… 彼らの頭部 AIにあると言う そちらの脳核だけで良い」
グレイゼスが言う
『え?脳核だけを?しかし ナマモ… いえっ そちらからでは 恐らく 何の情報も得られないと思いますが?』
アースが言う
「彼らからの情報は… もうこれ以上の探索は不要だ 彼らの脳核を回収し 供養を行なう」

帝国 司令塔

グレイゼスが呆気に取られて言う
「供養を…?彼らは…っ いえっ!?”奴ら”は!我々のアールスローン国へ侵略して来た 他国の兵士ですよっ?」
アースの声が聞こえる
『そうだな しかし 戦いが終われば 敵も味方も無いだろう?そして それを行う事が 人として …いや 同じ戦場で戦った者としての 最低限の礼節だ』
周囲の隊員たちが呆気に取られた後 顔を見合わせ頷く グレイゼスが言う
「…分かりました 待機中の ART1及びART2隊員らへも そうと伝えます」
アースの声が聞こえる
『機動隊員の彼らには 余計な言葉は伝えるな 行動指示だけを伝達しろ マスターグレイゼス中佐 命令だ』
グレイゼスが一瞬呆気に取られた後 気を取り直して言う
「…了解 司令官」

帝国 門前

バイクが到着し ラミリツがヘルメットを外すと帝国の門を見て言う
「流石に バイクで中に入っちゃうのは マズイよね?」
ラミリツがヘルメットをバイクへ付けながら言う
「ここからだと結構遠いんだけど… 走れば… 10分掛からないかな?」
ラミリツが門の中を覗いてから踏み入ると周囲を見てから言う
「もう 何回も通った… それに さっきは皆も通ったんだろうし?大丈夫… だよね?」
ラミリツが思う
(勝手に入っちゃっても…?)
ラミリツが言う
「大体 断ろうにも その相手が居ないん… …じゃあっ!?」
ラミリツが驚き呆気に取られる ラミリツの視線の先 黒い羽根が舞うと ネロが顔を上げて言う
「ほう?その方… 我の姿が 見えしと在るのか?」
ラミリツが呆気に取られたまま慌てて言う
「み、見えるよっ!?何でっ!?貴方は…っ!ネ、ネロ・アーク・フォライサー…!?どうして 貴方が ここにっ!?」
ラミリツがネロの前に急いで来ると顔を向ける ネロが微笑して言う
「どうして?と…?なるほど?我にとってのそちらは 今しがた 解を得たり …その方 力持つ石を得しと在る」
ラミリツが言う
「力持つ石…?あ!これの事?」
ラミリツがナイトソウルを引っ張り出す ネロが頷くと言う
「その石は 今も尚 かの者の想いを抱きしもの なれば その石が力貸さんとする その方もまた その想い 同じくと在りて」
ラミリツがナイトソウルを握って言う
「我は剣!我が王の敵を討つ!」
ネロが微笑し言う
「懐かしき響きよ」
ラミリツが微笑する ネロが言う
「その方が持つ光 その想いと共に 秘めたる力は 何と 強く 真っ直ぐにと 在らんとするのか… …その方は 正しく」
ラミリツが微笑する ネロが視線を逸らして言う
「馬鹿で… いや 剣である」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「えっ!?今 ちょっ!?凄く大切な所だったと 思うんだけどっ!?」
ネロが言う
「なれど 案ずる事 無きにして」
ラミリツが慌てて言う
「案じては居ないけどっ それより 今ん所っ!?」
ネロが言う
「例え馬鹿と在らんとも」
ラミリツが言う
「やっぱ そっちっ!?」
ネロが言う
「その方が抱きし力は 真 奴の力となりて」
ラミリツが呆気に取られて言う
「奴って…?」
ネロが言う
「この先へと 向かわんと あろう?して その理由も…」
ラミリツが微笑して言う
「うん!僕は ART2の!…ううん?本心を言っちゃうとね?やっぱ 僕は… ハブロス司令官の所へ行きたい ART2の任務へ合流しようって言うのは… その口実かもしれない 僕は ハブロス司令官の役に立ちたい ハブロス司令官は 僕の仕える王だって 決めた人だから」
ネロが言う
「なれば 既に 我が 問う必要は 無きにして 我は その方を受け入れたし …この先へと向かうが良い」
ネロがゲートを開く ラミリツが呆気に取られると思う
(あれは… ゲート?)
ラミリツが言う
「…有難う ひょっとして そのゲートの先は 直接 ART2の皆の所へ繋がっているのかな?」
ネロが言う
「ゲートの繋ぎし場所は その方が 願い求める地となりて その方が 求めたりとあれば その場所と在ろう」
ラミリツが微笑して言う
「なら ひょっとすると… ハブロス司令官の所へ 行っちゃうかもしれないけど… でも それならそれで 良いよね?ハブロス司令官なら この帝国のロストテクノロジーは もう 使いこなしているみたいだし?」
ネロが静かに頷く ラミリツがゲートへ向かうと気付いて言う
「…あれ?けどさ?どうして?」
ラミリツがネロへ向く ネロが視線で問うと ラミリツが向き直って言う
「どうして 貴方がここに?この城の持ち主で… アールスローンの神様と言われてる あの皇帝なら兎も角 貴方が僕に力を貸してくれるのは?だって 貴方は…?」
ネロが口角を上げると言う
「なれば 我は 改め その方へ 問うべきと在るのか?」
ラミリツが疑問すると ネロが言う
「”その方が歩みし この道は”」
ラミリツが驚き呆気に取られて言う
「その台詞…っ」
ネロが言う
「”神の下へと向かし道 用無き者は 立ち去るが良い 力無き者 弱き者は 辿り着く事さえ 叶わぬもの”」
ラミリツが言う
「アールスローン信書に書かれた 帝国の通路で問われる問い… それは 貴方の台詞だったの?」
ネロが微笑する

帝国 マシーナリー格納庫

グレイゼスの声が聞こえて言う
『…って構造だ 技術的に俺たちに劣る 手足のパーツは勿論 数も多いから 頭部のパーツさえも集めれば かさばってしまうから その頭部にある ごく小さな 脳核の納められた部分を集めるだけで 丁度良いと思う 相手方の技術参考の為にも そいつを集めて来て欲しい』
ハイケルが言う
「ART1 了解 …では 総員 話は聞いていたな?ART2副隊長 シュナイゼル副隊長?」
ハイケルがモニターを見ると モニターに映るシュナイゼルが言う
『はい それでは 我々ART2は こちらの格納庫の出入り口前方から 作業を開始致します』
ハイケルが言う
「了解 では こちらのART1も同じく こちらの格納庫の出入り口前方から 作業を開始する」
シュナイゼルが言う
『了解 それでは…』
隊員Bが言う
「やっと 俺らの出番ー!」
隊員Cが言う
「出番っつっても 唯のパーツ拾いだぜ?それって 喜ぶ所かよ?」
隊員Bが言う
「えー?」
グレイゼスが言う
『あぁ 一応言って置くが…』

帝国 司令塔

グレイゼスが言う
「機械兵士らの頭部を開くまでは良いが その先に関しては 十分 慎重にな?何しろ…」
グレイゼスの右後方にゲートが開きラミリツが現れ 周囲を見渡しグレイゼスを見ると近付いて来る グレイゼスは気付かずに言う
「相手は 機械とは言え その中にある 脳核は 人間の物なんだ …つまり 言い換える所の マシーナリーのコックピットを開いて 操縦者を救出する …と言った所かな?」
隊員Bの声が聞こえる
『操縦者の救出ー?そっかー それじゃー?』
隊員Cが言う
『なるほど?…まぁ そうと言えば そうなのかもしれねぇけど?』
隊員Fが言う
『確かに 少し複雑ではあるけど …でも やろう!皆?』
隊員Nの声が聞こえる
『ああ、ここまで待ったんだしな?』
隊員Vが言う
『本日最後の一仕事!気合入れて行くぜぃ!』
隊員Nが言う
『おうよーっ!』
ハイケルが言う
『ART1 了解』
グレイゼスが苦笑する ラミリツが反応して言う
「操縦者を救出って…?」
グレイゼスが反応し顔を向けて言う
「うん?あ ラミリツ隊長?身体は 大丈夫ですか?」
ラミリツが微笑して言う
「うん 大丈夫 遅くなって ごめん 今は何をしているの?さっきのは どう言う事?それに ハブロス司令官… あ… えっと… …そうじゃなくて ART2は?皆には 何をさせているの?」
グレイゼスが一瞬呆気に取られた後 苦笑して言う
「はい 今丁度 そのハブロス司令官からのご命令である 敵 機械兵士らのパーツの回収作業を指示していました」
ラミリツが言う
「パーツの回収?けど さっき言ってたのは 確か… 操縦者の救出って?」
グレイゼスが言う
「あ、はい それは その…」

帝国 屋上

アースが目下のART1とART2の作業を見ている 視線を別へ向けると ART2側の出入り口からMラミリツが現れ合流する アースが僅かに微笑する

帝国 城壁 ART2側

MラミリツがART2マシーナリーたちの下へやって来ると Mラミリツが言う
「皆 遅くなって ごめん それに…」
ART2マシーナリーたちが言う
「隊長!」 「隊長!ご無事でしたか!」
Mラミリツが言う
「うん 僕は大丈夫」
ラミリツがモニターに映るART2マシーナリーたちを前に言う
「皆 ごめんね 僕… あの時…」
ラミリツが思う
(ART2の皆を退避させる その号令を言うべきだった 僕は…)
ラミリツが視線を落すと サブモニターにシュナイゼルが映り微笑して言う
『ご心配には及びません 隊長』
ラミリツがハッとしてシュナイゼルの映っているサブモニターを見る

Mシュナイゼル内

サブモニターにラミリツが映っている シュナイゼルが微笑して言う
「我々でしたら 大丈夫です 我々はラミリツ・エーメレス・攻長隊長のART2ですので あの様な場面に置かれれば 自ずと隊長の御真理を 理解出来ます」
ラミリツが驚く ART2隊員たちが微笑して頷く

Mラミリツ内

シュナイゼルの声が聞こえる
『隊長は 攻長の御使命のままに動かれるだろうと… そうとなれば 我々は 隊長の隊員として 取るべき行動を取ります その中には 隊長と共に 後の戦いに従事する為にと 己らの保身を考え退避する事も 含まれます』
ラミリツが呆気に取られている シュナイゼルが言う
『そちらへ加え あの瞬間は 司令塔主任のマスターグレイゼス中佐だけでなく ART1のハイケル少佐からも ”ART総員退避”との ご指示を頂けておりましたので』
ラミリツが苦笑して言う
「うん… ありがとう… 皆は 僕にとって 本当に 頼りになる 部下たち… ううんっ!仲間だよっ!」
シュナイゼルやモニター類に映るART2隊員たちが微笑する ラミリツが言う
「よしっ!なら今は その皆と僕も含めて 全員で任務を遂行しよう!ART2はこっちの出入り口から 作業を開始しているんだよね?それなら 直線前方向から南へ対し90度を10度ずつ割り振って 手分けをしよう?遺留品捜索手順の初期作戦みたいにね?」
ART2隊員たちが言う
『『了解!隊長!』』
ラミリツが微笑してから Mラミリツが顔を上げる 視線の先 帝国屋上にアースが居るのが見える ラミリツが微笑すると 気を取り直して言う
「うん!それじゃ!捜索班は1班から9班 10班は各班の回収物の運搬を!」
ART2マシーナリーたちが作業を開始する

帝国 城壁 ART1側

機械兵士の脳パーツが開かれると中心部に脳核の入ったガラス管がある 隊員Cが表情を顰めて言う
「うへぇ… 気色悪ぃ …回収物は これか?」
隊員Cが操縦桿を動かす M隊員Cの指先がガラス管に近付いた所で 隊員Bの声が聞こえる
「とーれたー!」
隊員Cが衝撃を受け顔を向けて言う
「…とっ!?…お、おいっ バイスン隊員っ!?細かい作業をするんだからっ 近くで大きな声出すなよっ!?びっくりして 回収物 ぶっ壊しちまうかもしれないだろっ!?」
M隊員Bが指先にガラス管を挟んだ状態で言う
「えー?だってー?」

M隊員F内

サブモニターに映る隊員Bが言う
『この作業ってー?頭の中のケースを外す所までは良いんだけどー その後が 超ー緊張するからー?』
隊員Fが苦笑して言う
「バイスン隊員が その成功に 思わず はしゃいじゃう気持ちも分かるよ?」
サブモニターの隊員Bが振り向いて言う
『でしょでしょー!?さっすが フッちゃん!女の子にもモテモテの 超ーイケメンー!』
隊員Fが衝撃を受け苦笑して言う
「あ… ありがとう…」
サブモニターの隊員Cが呆れて言う
『ヘイヘイ 俺はどうせ ART1で一番カッコが付かない サッちゃん隊員ですよー?』
隊員Fが苦笑して言う
「い、いや?俺は そんな事… 無いと思うけど…?」
隊員Cが頬を染めて言う
『え?…ほ、ほんとか?』
サブモニターに隊員Nが映って呆れて言う
『さっすが フッちゃん隊員ー 本物のイケメンは 心までイケメンー?』
隊員Cが衝撃を受ける 隊員Fが困り苦笑で言う
「ナ、ナクス隊員っ!」

M隊員N内

隊員Nが言う
「『こっちの隊員さんより あっち隊員さんと写真取りたいー!』って言われた こっちの隊員さんの俺には やっぱ 真似出来ねぇなぁ?」
サブモニターに映る 隊員Vが言う
『あぁ… あの時のショックはよぉ まるで ナックキラーのライブのチケットが 目の前でソールドアウトするのと 同じ位のショックだったぜ…っ』
隊員Nが衝撃を受け泣きながら言う
「そいつは 悲しいぃーっ!」
隊員Vが言う
『おうよーっ!』
隊員Aが苦笑して言う
『分かったから 皆… 作業しようよ?』
隊員Nがコロッと気を取り直して言う
「あぁ そうだった?」
隊員Vがコロッと気を取り直して言う
『おうよー?』

M隊員Nが言う
「って 言われてもよ?さっきっから 頭のパーツをぶっ壊す所までは出来るんだけどよ… その中の この… ちっこいガラス管みてぇなのを 外すって言うのがさぁ?」
隊員Vの声が聞こえる
『分かる 分かる!俺も既に それが取れねぇ所まで開けて ストップ状態ってぇのが 3つあるんだが…?』
M隊員Nが言う
「あんま 途中までのが増えても困るし… バイちゃん隊員が取れたって言うなら 俺も…?」
隊員Bの声が聞こえる
『2つ目ー も とーれたー!』
隊員Nが苦笑して言う
「…何だ?結構 簡単に…」
隊員Nが操縦桿を動かすと バリンッと音がする 隊員Nが呆気に取られて言う
「…て?あ、ありゃ?」
サブモニターに映っている隊員Vが驚いている

帝国 司令塔内

隊員Nの悲鳴が聞こえる
『あぁあああぁあ~!?や、やべぇっ!?割れたぁあっ!?』
隊員Vの声が聞こえる
『えぇえっ!?や、やっちまったっ!?ナッちゃん隊員 やっちまったぁっ!?』
隊員Nが言う
『ど、どうしようっ!?直ぐに回収すれば…っ!?あっ あ~!?な、何かっ 蒸発して行ってる~!?』
隊員Vの声が聞える
『まじでーっ!?蒸発ってっ!?む、無理無理っ!?俺やっぱ ここまでで止めとくー!』
隊員Bの声が聞こえる
『ナッちゃんー?ちょっと 声 おっきくて 作業してる皆の 邪魔になっちゃうよー?』
隊員Nが言う
『そうは言われてもよっ!?ど、どうするっ!?これっ!?消えちゃったっ!?干からびちゃった~!?これから作業する 皆さんー!最高に 気を付けてぇえー!?』
隊員Fの声が聞こえる
『そ… それを 言われちゃうと』
隊員Iが言う
『俺も… やっぱり そこを取るのは 後にしようかな…?もし 失敗したら… 何か 明日の目覚めが 悪くなりそうだし…?』
隊員Cが言う
『そりゃ ぜってぇ 無理だわ…っ』
隊員Nの悲鳴が聞こえる
『それって 最高に どう言う意味だー!?イッちゃん隊員ー!?』
隊員Iが言う
『え?そ、それは…』
グレイゼスが苦笑してから言う
「確かに この部分をマシーナリーの指先で取れって言うのは… 豆粒を箸で摘むようなものか?よし それなら… 現在回収作業中の ART1 及び ART2 諸君!」

帝国 城壁 RDD001付近

エミーが言う
「よいっしょっ!っと」
エミーが工具を使って 機械兵士の頭部を開閉すると 脳パーツを取り出し それを差し向けて言う
「はいっ!これっ!後は宜しく!」
整備士が苦笑して言う
「了解 エミー先輩」
エミーが苦笑して言う
「うん 助かるわぁ~ あ~ それじゃ?どうかな?アタシは この調子で 頭部の開口作業に従事するからさ?アンタは その続きで… その後の作業をするって言うの?」
整備士が言う
「え?あ、はい?自分は構いませんが?しかし 女性のエミー先輩に重い機材を使わせる そちらの作業を任せて 男の自分が その後の 軽い作業をするというのは 如何なものかと…?」
エミーが言う
「あーっ 良いの良いのっ!アタシは こう見えてもさ!力はある方だからっ!?」
エミーが力こぶを作る振りをする 整備士が苦笑して言う
「…まったく 無い様に 見えますが?」
エミーが衝撃を受ける グレイゼスの通信が聞こえる
『あ、いや?現在回収作業中の ART1 及び ART2 更に 整備部 諸君へ伝達だ』
エミーが疑問して言う
「ん?アタシらにも?」
整備士が反応して無線に集中する

帝国 城壁 ART2側

グレイゼスの声が聞こえる
『作業内容の変更を伝える 作業手順の最後にして 最終目的である そちらのガラス管を取り出す作業は 身体も力も大きなマシーナリーで行なうには 少し 繊細過ぎる だから ART1及びART2の隊員諸君は その前段階の脳パーツの回収までとする』
MラミリツがART2マシーナリーたちを見て言う
「そ?それなら 作業も 大幅に早まるね?」
Mシュナイゼルが言う
「はい とても助かります」

帝国 城壁 ART1側

M隊員Nが悲鳴を上げる
「最高に もっと 早く言って欲しかったーっ!」
グレイゼスが言う
『あぁ すまない しかし これはART1のナクス隊員のお陰で 変更を思い立った事だから…?』
M隊員Nが落ち込んで言う
「そうっすか… それなら… 明日の目覚めの悪いのは 俺が1人で済んだって言うなら… それで」
M隊員Vが言う
「ナッちゃん隊員っ!最高にイケメンだぜっ!」
M隊員Cが言う
「よし 今だけは 俺も そいつを認めてやるぜ?ナクス隊員?」
M隊員Nが言う
「ART1で最高にカッコの付かない サッちゃん隊員に認められても… 嬉しくねぇええー!」
M隊員Cが衝撃を受けて言う
「何で それを 今 言っちゃうかなーっ!?」
グレイゼスが言う
『なら こいつはフォローになるか分からないが 諸君も周囲を見ての通り…』
ART1隊員たちが周囲を見る グレイゼスの声が聞こえる
『機械兵士の中には 戦闘中に頭部を損傷した者や 集団自爆の際に他の仲間のそれで 頭部まで破損された者も居る!つまり 全体の内の何割かは 既に その回収が不可能な状態なんだ だから 回収の作業中に… うっかりと?破損させてしまったのは それらと同じく仕方が無い …と?少なくとも…』

帝国 城壁 ART2側

ART2隊員たちが周囲を見ている グレイゼスの声が聞こえる
『戦いの中で 敵意を持って壊されたり 自分たちの敗北の中で壊れてしまった それでは無くて 戦いが終わって 敵も味方も無い今 俺たちの善意で回収中に起きた不慮の事故で 壊れてしまったんだ …だったら?彼らも… 許してくれるんじゃないか?…何てったってぇ 俺たちはぁ?戦いを終えた彼らを 供養してやろうだなんてぇ?…あっ痛ぁ!?』
ラミリツが疑問して言う
「…あれ?ひょっとして 今の?」

帝国 司令塔

グレイゼスが頭を抑えていて視線を上げると アースが握り拳と共に言う
「彼らへは 余計な事は 伝えるなと?」
ラミリツの声が聞こえる
『ナノマシーンに 怒られちゃったんじゃない?大丈夫?マスターグレイゼス中佐?』
グレイゼスが苦笑して言う
「は、はい お心遣いを有難う御座います ラミリツ隊長 大丈夫ですが… ナノマシーンにと言いますより むしろ そのナノマシーンの悪戯を…?」
アースが握り拳と共に視線を向ける グレイゼスが衝撃を受ける ラミリツが言う
『え?ナノマシーンに 頭痛を起こされたんじゃなくって?』
グレイゼスが苦笑して言う
「ほ、本来 ナノマシーンを保有するマスターは 人に殴られる事は無いんですけど… それをする… あっ!…く魔様にっ 怒られたと言いますか…っ?」
グレイゼスが苦笑して身をそらす アースが視線を向けている ラミリツが言う
『…そう?何か良く分かんないけど とりあえず 僕らは ハブロス司令官からの指示を 続行するから…?あ、それで?回収は作業工程を1つ繰り上げて 脳パーツの回収までへの変更だよね?だったら それを運ぶ先は?とりあえず マシーナリー格納庫内に 集めたら良いかな?』
グレイゼスが言う
「あっ!いや、待った!それは 城壁内へ入れる前に…」

帝国 城壁 整備部側

エミーが青ざめて言う
「ま、まさかっ!?」
グレイゼスの声が聞こえる
『脳核の収納が確認されている そっちのガラス管は兎も角 その周りの脳パーツに関しては 様々な機械が確認されている そして その機能が 破損後にも有効かどうかは兎も角として やっぱり それをそのまま 城壁内へ回収と言うのは しない方が良いと思うんだ 万が一にも その機能に帝国内の様子を探られても困るだろ?従って 念には念を押して そう言った機械の類は城壁の外で破壊して置きたい …となれば?』
ハイケルの声が聞こえる
『では 回収した脳パーツは 現在も シーナ隊員が警備を行っている 整備部の下へと 運ばせれば良いか?』
エミーが衝撃を受けて言う
「いっ!?」
グレイゼスが言う
『そう言う事!…って訳だから?整備部の皆は 総掛かりで 回収された脳パーツから 脳核の回収を!』
エミーが悲鳴を上げて言う
「イヤァアアーッ!」
グレイゼスが言う
『全力で頼むわぁ?あぁ それと 回収を済ませた脳パーツの破壊は シーナ隊員?そのRDD001で 一思いに やっちまってくれ?そのマシーナリーは 整備部の皆の滞在の為に シールドの展開を行なっているだけだから それ位のサポートは可能だよな?』
シーナが言う
「了解 中佐!大丈夫ですっ!」
グレイゼスが言う
『ああ 心強いな?シーナ隊員』
シーナが言う
「はい!私は AIとソウルより 顔とソウルですからっ!」
グレイゼスが疑問して言う
『え?…えっと~?』
エミーが青ざめて言う
「ナ… ナマモノ… ナマモノ 嫌ぁ… ナマモノ 嫌ぁ… …ッ!?」
ART2マシーナリーがやって来て言う
「では 早速 こちらをお願いします この後も 続けて運んで参りますので…」
ART2マシーナリーが 腕一杯の脳パーツをエミーの前に置く エミーが悲鳴を上げて言う
「イヤァアアアーッ!」
ART2隊員が呆気に取られて言う
「…え?」
RDD001が見下ろして言う
「ほら エミー?急がないと 就業時間過ぎちゃうよ?」
エミーがRDD001の足にしがみ付いて言う
「ナマモノ 嫌… ナマモノ… ナマモノ…ッ」
エミーが顔を左右に振っている

帝国 屋上

アースが携帯で時間を確認してから 視線を向けて言う
「どうやら 作業は終業時間までに 終わりそうだな?」
アースの視線の先 脳パーツの回収作業を行うART1とART2 脳核の回収を行なう作業部の隊員たちの姿が見えている エミーが魂の抜けた表情で作業をしながら言う
「ナ… ナマモノ… ナマモノが… ナマモノ… ナママ… マ… モ、モノ…」
アースが苦笑してから言う
「…さて?そちらはそうと …回収は目に見えて進んでいるが しかし… そちらに随行する筈の 彼らの魂は?」
アースが視線を細めると 視界にまだらな魂の光が見える アースが思う
(これは一体…?)

帝国 城壁外

エミーが脳パーツから 脳核を取り出すと言う
「ナマモノ… これで 最後… お、終わった…?」
エミーが倒れそうになる RDD001がエミーの身体を支えると エミーの手にあった脳核を整備士がキャッチして回収トレーに乗せて言う
「司令塔 応答を!こちら整備部 機械兵士らの脳核の回収作業 終了しました 共に…」
シーナが言う
「よい… しょっ!」
RDD001が踏み付けると 脳パーツが飛散する 整備士が言う
「脳核の外された AIパーツの廃棄処理も 完了しました!中佐!」
グレイゼスの声が聞こえる
『ああ ご苦労様 整備部の皆も ART1とART2の隊員たちも 良く頑張ってくれた お陰でギリギリとは言え 終業時間前に回収作業は終了した これなら…?』
皆が顔を見合わせ微笑すると 皆が顔を上げる

帝国 屋上

アースの下にグレイゼスの声が聞こえる
『ハブロス司令官!機械兵士たちの 脳核の回収作業 完了しました!』
アースが視線を向けると 城壁外に居るART隊員たちが見上げているのが見える アースがその近くにある脳核の詰められたケースを見てから視線を細める グレイゼスの疑問した声が聞こえる
『…と?あの?…ハブロス司令官?』
アースが言う
「…ああ、分かった 作業に従事した隊員諸君 ご苦労だった」
アースが視線を戻すと思う
(彼らの… 残されたヒトの身であった 脳核は回収された… 回収が不可能であった そちらは在るにせよ この状況は?一体何故?)
グレイゼスの疑問した声が聞こえる
『…あの?ハブロス司令官?何か…?』
アースが視線を細めて思う
(何故 彼らの魂は 未だ この戦場に在り続け様とする?回収がなされた 脳核の下へと向かわない?)
グレイゼスが言う
『…何だか 御満足されて居られない様な… 御様子ですが?何か?…有りましたかね?』
アースがハッとして思う
(…っ そうだっ 気にはなる所ではあるが 作業に従事した彼らへの振る舞いとしては 今の私では不十分だ …このままでは 作業を終えた彼らへ慰労所か 逆に 不安を…)
アースが気付くと言う
「不安?…そうかっ そう言う事か?」
グレイゼスが言う
『はい?何か?』
アースが言う
「いや 何でもない ART1 及び ART2の隊員らへは 帰還の指示を… この時間であるなら 今日はもう 本部へ向かう必要は無い この場にて一時解散とする そして 整備部の者たちへは… そうだな?そちらも 一時解散で良い 回収した脳核は 後は私が …処理を考える」
グレイゼスが言う
『…あ、はい 了解… では?その様に… 自分の方から 隊員たちへ指示を出しますか?』
アースが言う
「ああ そちらは頼む」
グレイゼスが言う
『え?あ… そうですか?…了解 では…』
アースが一度ART隊員たちを見てから 戦場へ視線を戻して思う
(…分かったぞ お前たちも 不安なのだろう?戦いは終わったとは言え ここはアールスローン… お前たちにとっては異国の土地 そして その地で 身動きも取られなくなった お前たちを… 我々が… 私がどの様にしようと 考えているのか?例え 私が 本心から お前たちの供養を 願っていようとも…)
アースが胸の前で手を握って思う
(この想いが… 私の魂が… お前たちには伝わらない …だから 未だに 不本意ながら乗せられた 機械兵士の機械の体からも逃れ切られずに そして 残された 己のヒトの部分へと向かう事も出来ずに お前たちは… 怯えているのだな?)
アースが表情を悲しめ 周囲を見る 夕方の薄暗くなり始めた空の下を 照らすほどに 魂の光がうごめいている

帝国 城壁

Mハイケルが言う
「ART1了解 では ART1総員は」
Mラミリツが言う
「ART2総員 本日の任務は完了とする …皆 本当に お疲れ様 明日は24時間休暇だから ゆっくり休んでね?それじゃ ART2 一時解散!」
ART2隊員たちが言う
「「了解!隊長!」」
MハイケルがART2を見ていた様子で沈黙してから ART1マシーナリーたちへ向いて言う
「ART1 総員も… 同じだ!」
ART1マシーナリーたちが転びそうになり M隊員Fが苦笑して言う
「…やっぱり」
M隊員Cが呆れて言う
「相変わらずと言うか…」
Mハイケルが言う
「何か問題か?」
隊員Bが言う
「はー!了解でありますー!少佐ぁー!」
隊員Aが苦笑して言う
「まぁ 少佐の言葉に 感情が足りないのは 今に始まった事じゃないだろ?」
サブモニターに映る隊員Cが言う
『そりゃ そうだけどよぉ?』
隊員Eが言う
「感情が足り無い… …と言うと 何だかさ?今日の…」
隊員Dが言う
「ああ ハブロス司令官だろ?」
隊員Dのサブモニターに映る隊員Cが言う
『え?ハブロス司令官が?』
隊員Fが言う
「そう言えば… いつもと… ちょっと違ったかな?なんと言うか… その… 悪く言うと 冷たい って言うか?」
隊員Iが言う
「ああ、俺も それは感じたよ いつもなら もう少し?」
隊員Fが言う
「うん もう少し… 温かみのある言葉を掛けてくれたと思うんだけど 俺たちは 今回はハブロス司令官からの 直接の任務を 終わらせた所なんだしさ?」
隊員Cが言う
「そうだよな?割と面倒なご命令を 終わらせたんだもんな?」
サブモニターの隊員Fが苦笑して言う
『…まぁ その命令を… 指示を与えたのは マスターグレイゼス中佐だけど』
隊員Iが言う
「ひょっとして… 何か ご不満だったのかな?俺たちの任務は… 成功じゃなかった… とか?」
サブモニターの隊員Nが衝撃を受けて言う
『ギクッ』
隊員Iがハッとする サブモニターの隊員Aが苦笑して言う
『ま、まぁまぁ?』
隊員Nが落ち込んで言う
「お… 俺のせいで…っ?」
サブモニターの隊員Vが言う
『そんな事ねぇって!ナッちゃん隊員っ!』

Mラミリツの内

隊員Vの声が聞こえている
『俺らのアニキがっ そんな ちっせぇ事に 気を悪くする奴の筈がねぇだろっ!?アニキは もっと デカイ ソウルの持ち主なんだからよっ!?』
隊員Nの声が聞こえる
『お、おうよーっ!そうだよなっ!?ヴェイちゃん隊員っ!?』
隊員Vの声が聞こえる
『おうよーっ!』
ラミリツが考えながら言う
「…また アニキって呼んでる… まぁ ハブロス司令官の事を あのアニキの様に 慕っているんだっていうのなら 分かるんだけど…?」
MシュナイゼルがMラミリツを見て言う
「隊長?ではひとまず 格納庫へ戻られませんか?」
ラミリツがハッとすると思う
(…あ、いけない そうだよね?隊長の僕が動かなかったら 皆だって…)
Mラミリツが言う
「うん そうだね?それじゃ…」
MラミリツがART1マシーナリーたちを見ると ラミリツが思う
(…って あれ?ART1の連中も 動いていない…?)
ラミリツが疑問すると 隊員Bの声が聞こえる
『ねー?何かー?変な色じゃないー?夕方だからってー?空の色ってー あんな変な色してたっけー?』
ラミリツが疑問して言う
「空の…?」
Mラミリツが空を見上げると ラミリツが呆気に取られて言う
「…え?」
ART2マシーナリーたちが次第に空を見上げる

帝国 屋上

アースの視線の先 夕日が沈む中 魂の光が目立ち始める アースが胸に当てた手を下げつつ思う
(やはり 伝わらないか… この帝国のシステムであるなら 私の胸の内にある想いを 彼らへ伝える事も 可能かと思ったのだが…)
アースが言う
「それなら 音で… 言葉で言えば 伝わるか?私はもう お前たちを敵視しては居ないっ!戦いを終えた今 私はお前たちを…っ!」
アースが思う
(…駄目か?まったく変化が見られない それ所か 彼らの不安の色は増すばかりだ… どうしたら良い?どうしたら?…言葉や想いでは伝わらないモノを 彼らへ伝える事が出来る?お前たちを… お前たちの その魂を 救いたいと願っている この私の魂を 届ける事が出来るっ!?)
アースが表情を悲しめ視線を落すとハッとする ARTマシーナリーたちが自分を見上げている アースが呆気に取られて言う
「…彼らは?…マスターグレイゼス中佐?聞こえるか?ART隊員らへ 任務の完了と一時解散の指示を 伝えてはいなかったのか?…マスターグレイゼス中佐?」
アースが疑問して言う
「…伝わらない?司令塔?応答をっ …ART司令塔!?」

帝国 司令塔

誰も居ない司令塔の中 アースの声が聞こえる
『…そうか 司令塔の彼らは 機動隊員の彼らとは異なり 先の転送にて こちらへ送っていたのだったな?そうとなれば…』

帝国 屋上

アースがARTマシーナリーたちを見てから言う
「司令塔のシステムが落ちているとなると 通信を用いての そちらは出来ないが… それならそうと 目下に居る彼らへ対してならば 例え この帝国の力を用いずとも 伝達の術はいくらでもあるのだが」
アースが気を取り直すと思う
(…いや それよりも やはり 今は こちらが先か?恐らく ARTの彼らへは マスターグレイゼス中佐から解散指示は伝えられているだろう それでも 彼らが留まっているのは… ともすれば 今は これほどに強い光を発している あの魂の光が?彼らにも 見えているのか?)
アースの視線の先 多くの魂の光が 夕日の中で赤く光っている

帝国 城壁

Mシュナイゼルが言う
「…なんとも おぞましいと感じるまでに 赤い空ですね?隊長?」
Mラミリツが言う
「赤い空…?ううん これは 空が赤いんじゃないよ 暗くなっていく青空を 無数の光が… 魂の光が 赤く染めているんだ」
Mシュナイゼルが驚いて言う
「た… 魂の光… ですか?」
ラミリツが服の上からナイトソウルを握って思う
(確か ハブロス司令官が 言ってた… 魂の色で その人の想いが分かるって… それなら?この恐ろしいとさえ見える 赤い魂の光たちは 何を示しているの?…ハブロス司令官なら?)
Mラミリツがアースを見上げると反応する 皆がMラミリツの動きにつられてアースを見上げると 静かな空にヴァイオリンの音が聞こえる 皆が反応する

帝国 屋上

アースがヴァイオリンを弾いていて思う
(自爆の直前… あの時までは 確かに 彼らは 私の音を聞いていた… あのエレキギターの音を… それならば?)
アースがヴァイオリンを弾きながら思う
(楽器は異なるが 今の私が奏でられるモノは こちらでしかない …このヴァイオリンでも 伝えられるか?私の想いを… お前たちを 救いたいと願うっ 私の この魂を 彼らへ届けてくれっ!)
アースが魂を込めてヴァイオリンを弾く

帝国 城壁

Mハイケルが見上げている M隊員Bが言う
「ヴァイオリンー?少佐も弾ける ヴァイオリンでありますー 少佐ぁー?」
Mハイケルが言う
「そうだな バイスン隊員 私も弾けるヴァイオリン だが… しかし 私には この曲は 真似をする事は出来ない」
M隊員Bが言う
「えー?けどー 少佐はー?」
Mシュナイゼルが言う
「トルツァーモのレクイエム… と思われますが とても 強く編曲がなされていて 個性的ですね?それに何より」
ラミリツが手を握り締めて口を紡ぐ シュナイゼルの声が聞こえる
『とても強く 伝わって来る様な… これは…?この胸に響くモノは 一体…?』
ラミリツが言う
「ハブロス司令官は あの魂たちに 伝えようとしてるんだよ きっと… でも それは…?」
ラミリツが胸を押さえて思う
(何だろう?とても強い想いなのに 優しくて… 儚くて…)
ラミリツがハッとすると ARTマシーナリーたちが驚いて空を見る 隊員Nがモニターを見て呆気にとられていると 隊員Nの腕から魂が1つ出て来る 隊員Nが衝撃を受けて言う
「はわぁあっ!?な、何だっ!?コイツッ!?」
隊員Nが怯えていると 魂の光が去って行く 隊員Nが呆気に取られてモニターを見ると モニターにM隊員Nの腕から出て行った魂の光がアースの下へ向かうのが見える M隊員Nが呆気に取られて見上げる

帝国 屋上

アースがヴァイオリンを弾いていると 魂の光たちがアースの周囲に集まり 渦巻きながら無数の光の色へ変わる アースの意識の中に様々な光景が見える アースがヴァイオリンを弾きながら気付くと思う
(…何だ?意識の中に何かが?この光景は…?彼らが…?彼らの魂が 私へ?…何かを伝えているのかっ!?)
アースの意識に様々な光景が広がる アースがその光景に思う
(森… 深い森だ これほどの森は アールスローンには無い そして この川は…?広い川の近くに見える あちらは?村か?小さな村が… 質素ではあるが家屋が有り 家族… 友人か?何所を見ても 笑顔の見える とても平和な村だ)
アースがハッとすると 森が真っ赤に燃え 驚く人々の前に機械兵士らが現れマシンガンを構える アースが目を見開く 光景が変わり アースが呆気に取られて思う
(今度は…?先ほどとは正反対に 近代化が見られる部屋 周囲に見えるモノは 全て機械か…?この部屋は?先程の光景との繋がりは…?)

複数回のフラッシュと思われる強い光

アースが呆気に取られる中 村人たちが 研究者たちに処理をされ 機械兵士の脳パーツにされ 元の人の身体が捨てられている アースが怒りに唇を噛むと言う

「誰だっ!?誰がっ お前たちを…っ!?お前たちの 全てを奪い去ったっ!?その者はっ!?」

アースの周囲をすべての魂の光が覆うと 大量の記憶が流れ込み 後に 強く1人の人物が表示される アースの目の前で男が笑む アースが言う

「…貴様かっ!?彼らの…っ 私の敵かっ!お前は…っ!?」

アースの脳裏に 研究者の声が聞こえる
『新たな機械兵が 80機ほど ご用意出来ました 司令官』
男が言う
『これでやっと5千機を越えたか?唯でさえ 使えん木偶の棒だ せめて数ぐらいは 揃えてやらねばな?そいつらに 自壊システムを備えてやれば 動く爆弾程度にはなるだろう?』
研究者が言う
『はい 仰せのままに クレター司令官』
アースが視線を強めて言う
「クレター…っ!」
アースが思う

(それが お前たちを苦しめた 奴の名かっ!ならば …待って居ろ クレター!アールスローンの地で散った 貴様が奪った 彼らの尊い命と その魂の想いをっ!アールスローンの悪魔である この私がっ まとめて 貴様へと 返してくれるっ!)

アースが強い意思を向けると 黒い羽根が舞い散る 魂の光が強い赤い色を放つ アースが気を落ち着かせて思う

(そして お前たちには… 私に出来る事は 奴の行いを 止めさせる事のみ… 既に その身と共に 故郷さえも失ってしまった 今のお前たちへ 行なってやれる事は 何も無い… …だが)

魂の光が淡い緑色を示す アースが微笑すると 意識の中に森や村の光景が見える アースが思う

(分かっている お前たちは 戻りたいのだろう?お前たちの故郷へ… その土地へ… 例え お前たちの記憶にある 緑豊かなその森も 家も… 全てが無くなってしまったとしても …ならば 私は 送り届ける事を 約束をしよう お前たちの 残された身体を その土へ眠らせると!)

アースが言う
「我が魂に誓うっ」

アースがヴァイオリンを弾き切って終える 魂の光が緑に色に輝くと 脳核の納められたケースへ注がれる エミーと整備士たちが驚いて 呆気に取られる アースが微笑する

帝国 城壁

皆が呆気に取られる中 空に星が見えて来る ラミリツが言う
「魂の… 光が…」
ラミリツが思う
(まるで ハブロス司令官に 導かれたみたいに)
隊員Aが言う
「色が変わっただけじゃなくて あの… 俺たちが回収したアレに 吸い込まれて行った みたいだけど?」
隊員Bが言う
「ハブロス司令官… 何か すっげー… 神様みたいー?」
隊員Cが衝撃を受け言う
「か、神様!?」
Mハイケルがアースを見上げる 皆がアースを見上げるていると アースの声が聞こえる

「任務完了だ!ART1 ART2 及び 整備部 総員 ご苦労だった!既に ARTの就業時間は終えている 総員 直ちに 一時解散とし 帰還しろ!」

皆がホッとすると言う
「「了解!司令官!」」
ラミリツが微笑すると思う
(うんっ!やっぱ 司令官 …だよね?ハブロス司令官は 僕らARTの!…なら 僕だって!)
ラミリツが言う
「ART2!ハブロス司令官の指示の通りに 一時解散とするっ!」
ART2隊員たちが言う
「「了解!隊長!」」

Mハイケルが言う
「ART1!も 同じだっ!」
ART1隊員たちが衝撃を受けてから言う
「「了解!少佐ぁー!」」
ARTマシーナリーたちが城壁へ向かって行く

整備隊員たちが顔を見合わせて言う
「俺たちも?」 「ああ 一時解散だ!」 「と言っても 俺らの場合は本当に一時解散 明日も出隊だぞ?」
整備隊員たちが笑ってから 整備士がエミーへ向いて言う
「エミー先輩は 本当に大丈夫ですか?もし明日も 調子が悪い様でしたら お休みをされても?」
エミーがキョトンとして言う
「へ?何でアタシが?」
整備士が言う
「え?何でって… アレを見て 気分を悪くしていたんじゃ?」
エミーが言う
「アレって?…何だっけ?」
整備士が言う
「へ?ア、アレは… あの… エミー先輩が まるで何かに取り付かれた様に 言い続けていた 『ナマモノ…』 って?」
エミーが疑問して言う
「ナマモノ?…何だっけ?」
整備士が呆気に取られて言う
「何っだっけって…?」
エミーが言う
「それより 今の!見た!?凄かった!ホント すっごい!ソウルだったっ!アタシ ちょっと 本気で感動したっ まるで… そうっ!あの!」
エミーが振り返ってRDD001へ言う
「シーナと初めて会った ナックキラーのメジャーデビュー 初凱旋ライブの時みたいにっ!」
シーナが言う
「おうよーっ!あの時は 凄かったよね!競争率50倍のチケットを お互い取り逃した組みで ゲートの外で立ち聞きだったけど エミーとは初対面で 意気投合しちゃって!」
エミーが言う
「そうそう!オマケにその時起きた ライブ襲撃事件に続いて 盛り上がったライブ!今思い出しても さいっこーだった!」
シーナが言う
「うん!うん!襲撃事件自体は 良く無い事だったけど!それを乗り越えた ナッククルーの盛り上がりは さいっこーだったよね!」
エミーが言う
「そうなのよ!そうなのよ!あーっ!話してたら聞きたくなっちゃった!」
シーナが言う
「私も!それじゃ エミー?任務も終わったし!」
エミーが言う
「おうよー!それじゃ 今夜は久し振りに ナッククルーズバーへ行く!?」
シーナが言う
「おうよー!行こう!行こう!」
エミーとRDD001が城壁へ向かって行く 整備士が呆気に取られて言う
「ナマモノ… 大丈夫になったのかな?」
整備士が首を傾げてから城壁へ向かう 皆が城壁へ向かう中 夜空に流れ星が流れる アースが空を見上げていて微笑すると 目下の隊員たちを見下ろしてから 身を翻して立ち去る


続く
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