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18章

アールスローン戦記Ⅱ アニキの正体

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【 政府本部 】

ミックワイヤーが言う
「攻長閣下へ敬礼っ!」
重役たちが敬礼する ラミリツが重役たちを見て思う
(政府警察じゃなくて 政府本部に来るのは 本当に久し振りなせいかな?少し見ない間に 何だか 随分と顔ぶれが変わってる)
重役たちの中にフレイゼスが居て微笑する ラミリツがフレイゼスに気付くと思う
(けど きっとアイツが見ていてくれてるから 大丈夫だよね?)
ラミリツが頷くと ミックワイヤーがラミリツの合図に軽く礼をして言う
「直れ!では これより 本日の重役会議を始める!まず始めに…!」

【 メイリス家 食堂 】

フレイゼスが微笑して言う
「本日は政府の重役会議に ラミリツ殿がいらして下さったお陰で 普段とは比べられない程に 各局の局長を始め その他 重役職の方々へも 活が入りまして 何より ミックワイヤー長官の最初の号令から 異なりましたからね?やはり 政府の最高権力者である 政府長攻長閣下の存在感は 圧倒的でありましたかと …思ったのですが ラミリツ殿?」
フレイゼスとシェイムがラミリツを見る ラミリツが夕食を前に落ち込んでいて思う
(政府長攻長としての信用や信頼の為にって 久し振りに 政府の重役会議に出てみたけど …やっぱ 僕って周りを見られていないのかな?政府の重役会議なんて 時間が掛かるのは 今更で…)
シェイムが言う
「エーメレス?」
ラミリツが強く悔やんで思う
(今日の再販分所かっ!次の再々販売分の整理券すら 完売だなんてっ!)
ラミリツが消沈して落ち込む シェイムとフレイゼスが顔を見合わせた後 各々に想像し シェイムが怒りを抑える フレイゼスが苦笑し困りつつ言う
「えー… ラミリツ殿?何か… とても?…どちらかと言いますと 本日の政府の重役会議や 政府の何か と申しますより ラミリツ殿のこう言った 御消沈は… 恐らく ARTや… ”そちらのお方との”… と言った事ではないかと思われるのですが?…何か あられたのですか?」
シェイムが言う
「今日はエーメレスのART2は 休暇だったと言うのに…っ まさか また あの悪魔がっ!?」
ラミリツが言う
「ううん… 何でもない ただ…」
フレイゼスが言う
「ただ…?…もし その… 及ばずながらも 私どもから何か… ハブロ… …いえっ ARTの司令官様へ もう少々 お手柔らかに… と言った 言葉添え程度でしたら 出来ましょうかとも 思うのですが?」
シェイムが言う
「そうだぞ エーメレス?そもそも お前は 政府長攻長であるのだから 現在は …いやっ 以前から!あの悪魔などより 上の名誉で」
ラミリツが言う
「ううんっ ハブロス司令官は 何にも悪くない むしろ 色々アドバイスをもらってるのに 僕がそれに 全然追い付けなくて ホント… 申し訳ない位…」
シェイムが衝撃を受け呆気に取られて言う
「エ、エーメレス 何もそこまで…っ!?」
ラミリツが言う
「僕は政府長攻長として 政府の為にも もっと頑張らなきゃいけないと思うんだけど」
シェイムがハッとしてから微笑する フレイゼスが感動して言う
「そちらは とても良い志ですね?やはり ラミリツ殿は 政府長攻長としての…」
シェイムが頷いて言う
「はい!やはり エーメレスは このメイリス家の子です フレイゼス殿!エーメレスは メイリス家の信条のままに 悪を制し正義を貫く 正に親兵攻長の志を持って…っ!」
ラミリツが視線を落す

【 グレイゼスの家 】

グレイゼスがマーガレットをあやしている マリが夕食をテーブルへ持って来て言う
「ごめんね グレイ君 今日はお夕食の支度に 時間が掛かっちゃって」
グレイゼスが言う
「いや 大丈夫 こうして マーガレットと一緒に居られれば 時間なんてあっという間だよ?」
マリが微笑して言う
「マーガレットも 嬉しそう やっぱり こうして家族が皆で居られるのが 一番よね?」
グレイゼスが言う
「ああ 本当に …家族って こんなに良いものだったんだな?俺はずっと 仲間と一緒に居られれば それだけで良いんだと思ってたけど 違ったよ」
マリが微笑してキッチンへ向かう グレイゼスがマーガレットへ言う
「なー?マーガレットー?」
マーガレットが楽しそうに笑う グレイゼスが微笑すると TVでニュースが流れている キャスターが言う
『続いての話題です 本日は 人気バンド ナックキラーの最新アルバムが 再販されると言う事から』
グレイゼスが反応して言う
「お?そう言えば…」
マリが料理を運んで来て グレイゼスの様子に同じくTVを見る TVでキャスターが言う
『マイルズストリート100にあります CDショップの店頭には CDの再販開始を待つ 大勢のファンが列を成しました 中には前夜から並んでいたと言う 熱狂的なファンも多く』
映像にファンたちと共に隊員Nと隊員Vが映り叫んでいる
『『ナックキラー 最高ー!』』
グレイゼスが衝撃を受け 苦笑して言う
「あ、あいつら…」
グレイゼスが思う
(CDもDVDも持っている筈なのに 並んだの?しかも前夜から…?)
グレイゼスが苦笑して言う
「やれやれ… 本当に好きなんだな?」
マリが食卓に着いて微笑して言う
「うふふ 何だかとっても楽しそうね?」
グレイゼスが苦笑して言う
「まぁね?楽しいと言えば 楽しかったけど… なー?マーガレットー?」
グレイゼスがマーガレットに微笑み掛ける マーガレットが喜ぶ マリが疑問して言う
「え?楽しかったって…?」
TVでキャスターが言う
『列は時間を追うごとに長くなり 早朝には300人を越える列の中には 女性のファンも多く見受けられ…』
映像にシーナとエミーが映り叫ぶ
『『どーだ!最っ高ー だろーっ!?』』
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「シーナ君に… エミー君まで…」
マリが映像を見てからグレイゼスへ向いて言う
「シーナ君にエミー君?…あ、ひょっとして お仕事のお仲間の方?そう言えば 確か以前 電話で言っていた…」
グレイゼスが言う
「そうそう さっきちょっと映った女性二人の 左側の子が シーナ君で 元は俺と同じ所属の どっちかと言えば裏方と言われる サポート担当だったんだけど」
マリが言う
「女性だけど 前衛で戦う 機動隊員さんになったって言ってた… あの子だったのね?」
グレイゼスが言う
「うん 見ての通り 強気で元気な子だろ?」
マリが言う
「うふふっ そうみたいね?それに 早朝からの長い時間を ずーとお店が開くのを並んで待っているだなんて きっとそれだけの気力や体力も あるって事なんでしょうね?」
グレイゼスが言う
「まぁ そうかもしれないね?確かに 彼女は以前… 国防軍に居た時はそれこそ 徹夜は当たり前 2徹3徹って… 流石に 俺が注意をして 帰らせた事も有ったっけ?」
マリが軽く笑って言う
「本当に凄いんだ?でも それじゃ ご家族の方は 心配をしたりはしなかったのかな?」
グレイゼスが言う
「うーん そうだなぁ?彼女は中位富裕層の子だし そもそも女性だからね?心配されない筈は無いんだけど…」
TVでキャスターが言う
『…して 通常開店時間の3時間前 午前7時には予想数を遥かに越え 500を越えるファンが列を成した CDショップ前には…』
グレイゼスが呆気に取られて言う
「へ?あの店1軒の前に500人以上だってっ?とても信じられないよ… しかも そんな早い時間に…」
グレイゼスがコーヒーを手に取って言う
「俺なら それこそ 始業前に喫茶店で 1杯のコーヒーでも飲む方が」
マリが軽く笑う グレイゼスがコーヒーを口に含む TVでキャスターが言う
『そんなファンたちへ向けてのビックサプライズ なんとナックキラーバンドを乗せた1台のトラックが到着 ファンたちへ向け即興のライブステージが開かれ』
映像にアニキの姿が映る グレイゼスが衝撃を受けると 口に含んだコーヒーを噴き出しそうになって咽て言う
「ぶっ!?…ゴッ!ゴホッ!ゲホッ!」
マリが驚いて言う
「グ、グレイ君!?大丈夫!?」
TVからファンたちの声が聞こえる
『アニキー!』 『アニキ!最高ーっ!』
キャスターが言う
『長らくバンド活動を休止していた 同バンド1番人気のギターリスト アニキと呼ばれるメンバーの 活動再開と有った事からも その場に居合わせた多くのファンたちを 大いに…』
グレイゼスが苦笑して言う
「う、うん…っ 大丈夫 ちょっと その… びっくりしちゃって… まさか」
グレイゼスが思う
(今朝は珍しく 遅いと思っていたら…)
グレイゼスが息を整えて言う
「ご出隊前に 1杯のコーヒー所か 一曲キメてらしたとは…」
マリが疑問して言う
「一曲決めて?」
グレイゼスが慌てて言う
「ああっ!いやいやっ 何でも!それより… …わぁ 美味しそうだなぁ!?」
グレイゼスがテーブルの上の料理を見て喜んで言う
「それこそ 家族を得る前の俺には 考えられなかったご馳走だよ」
マリが苦笑して言う
「うふっ 私も 今日教わって 初めて作ったものばかりだから あんまり自信は無いんだけど… だから 遠慮無く 感想聞かせてね?グレイ君?」
グレイゼスが言う
「マリの作る料理は いつも美味しいじゃない?感想なんて 食べる前から分かっちゃうよ?」
マリが苦笑して言う
「それじゃ 上達しないから ちゃんと悪い所は教えてくれないと?ね?ART司令塔主任の中佐さん?」
グレイゼスが苦笑して言う
「痛い所を突かれちゃったなぁ?それを 言われちゃうと それこそ詳細なデータを 提出しないといけない 気がしちゃうから… やっぱ 家族といる時は それは無しで行こうよ?マリ?」
マリが言う
「うふふっ そうね?それじゃ 詳細は良いから 単純に1言で!」
グレイゼスが苦笑して言う
「う…っ それも 結構 厳しいんだけど… それじゃ 取り合えず…?」
グレイゼスがTVを見る キャスターが言う
『尚 再販分のCD及び発売のDVDは 即日売り切れ 再々販売用の整理券が配られたとの事で…』
グレイゼスが微笑してから言う
「頂きます!」
マリが微笑して言う
「はい どうぞ!」
TVでキャスターが言う
『そちらの整理券も 間も無くして…』
グレイゼスが料理を一口食べてから頷いて言う
「うん!…最高っ!」
マリが微笑む マーガレットが笑う 

【 メイリス家 食堂 】

シェイムが言う
「とは言え エーメレス お前は十分良くやっている 私にとっては本当に自慢の弟であって フレイゼス殿も言われるように 今日は政府のあの重役会議の空気を 変えるほどだったと言うではないか?そして… そんなお前を 現在の私は あの重役会議室へ入る事も許されない身で…っ」
シェイムが悔やむ フレイゼスが困り苦笑で言う
「誠に申し訳ありません… マスターシュレイゼス殿」
シェイムが気を取り直して言う
「いえっ!大丈夫ですっ 入る事は許されませんがっ!マスターの聴力を持ってすれば ドアの外からでも隣室からでも 室内の様子は伺えますのでっ!」
フレイゼスが衝撃を受けて言う
「え!?では まさか… 聞いておられたのですか?シェイム殿?」
シェイムが言う
「はいっ!何しろ もう何ヶ月ぶりになるでしょう?エーメレスが 自ら 政府本部へ向かうとは?その連絡を受け 私は居ても立っても居られずに ARTを飛び出し 政府本部へと向かいました!そして… 残念ながら 室内の音は聞こえようとも エーメレスは基本的に発言をしないお陰で そちらの活躍に関しては伺う事は叶いませんでしたが…っ」
フレイゼスが苦笑して言う
「そ、そうでしたか… そちらは えー… 何と申しましょうか?シェイム殿の方こそ ARTに置いてのご活躍の程は ご無事で…?」
シェイムがラミリツへ言う
「とは言え 室内の様子は フレイゼス殿に伺ったお陰で 想像は付きます!そして!やはりエーメレスは 本来の居場所である 政府に居るべき存在なのでしょう!?それが現在は…っ 現在はあの …悪魔のせいでっ!」
シェイムが怒りを抑える フレイゼスが苦笑して言う
「あの… シェイム殿?どうかそう… 今はご覧のようにラミリツ殿も お気を落とされておられる訳ですから?何かもっとこう… せめて お顔を上げて頂ける程度の 言葉でも良いと思いますので そう致しませんと 折角の暖かいスープも冷めてしまいますし?」
ラミリツが思う
(あぁ… 本当に…)
シェイムがハッとしてから言う
「そ、そうでした… 私も そのつもりだったのですが どうも…っ あの悪魔の事を思い出すと つい…」
ラミリツがテーブルの下で携帯画面を見ていて思う
(マイルズストリート100の あのCDショップだけじゃなくて 付近は勿論 何処のCDショップでも再販待ち… 前回のアルバムが割りと不調だったから 今回は控えめの生産だったのかな?再々販売の整理券は全て完売 追加分は購入予約をしなくちゃいけなくて その予約をするには…)
シェイムが言う
「とは言え そうですね 真に不本意では有りますが 今は これほどに気を落としてしまったエーメレスの… せめて 顔を上げさせる位には… そ、そうですっ 今こそ 今度は この私がっ!あの悪魔を使ってやるくらいの気持ちでっ!」
フレイゼスが苦笑して言う
「あ、あの… シェイム殿?どうかそう… 慣れない事は なさいませんように?ナノマシーンも 不得意な事は 容易に失敗を致しますので」
ラミリツが溜息を吐いて言う
「またIDが…」
シェイムとフレイゼスが疑問して言う
「「ID?」」
シェイムとフレイゼスが顔を見合わせる ラミリツが思う
(やっぱ僕は ハブロス司令官のように 上手く人を使う事は出来ないよ… だから そのハブロス司令官に… もう一度 お願いしてみようかな?アニキを教えてって… それか?それが駄目なら アニキに頼んでって …駄目かな?アニキに直接頼めば CDもDVDも手に入る筈だろうけど …これって 特権乱用?でも これ位しか僕には考えられない …そうなんだよね?僕はいつも ハブロス司令官なら きっと助けてくれるんじゃないかって そう思っちゃうか …ら?)
ラミリツが ふと気付いて言う
「あ… そうだ?そうだよねっ!?」
ラミリツがシェイムを見る シェイムが呆気に取られて言う
「え?」
ラミリツが言う
「そうだよっ!兄上の言う通り!」
シェイムが呆気に取られて言う
「わ、私の 言う通り… とは?」
シェイムがフレイゼスを見る フレイゼスが言う
「えぇっと…?」
ラミリツが気合を入れて立ち上がって言う
「やっぱ 僕って ハブロス司令官に頼らなきゃ 駄目みたいだからっ!」
シェイムとフレイゼスが衝撃を受け シェイムが言う
「エ、エーメレスっ!?」
ラミリツが意を決して言う
「だから 明日 ハブロス司令官に お願いしてみる!そうしないと 僕 政府の事どころか ARTの任務さえ 頑張れない!つまり…っ やっぱ僕には!アース・メイヴン・ハブロス司令官しか!頼れる人は居ないんだっ!」
シェイムが言葉を失っている フレイゼスが困る ラミリツが思う
(よしっ!決めたっ!)
ラミリツが食事を一気に食べ始める シェイムが衝撃を受けていて言う
「そ、そんな…っ!私と… 私と言う実の兄弟がっ …その実は実の兄弟ではないがっ それでもエーメレスにはっ 私と言う兄が居るというのにっ あんなっ!あんな 野蛮なアニキの何処が良いと言うのかっ!?私には!彼らのあの音楽と同様に …理解が出来ないっ!」
シェイムが両耳を塞いで顔を左右に振る フレイゼスがシェイムを心配して言う
「あ、あの…っ シェイム殿?一体何を耳にされて居られるのですか?あの音楽とは…?」
隣室の使用人室で使用人らが食事をしていて TVにナックキラーの話題が映されている

翌日

【 ART本部 】

出入り口

ラミリツが入って来るとIDを通しメンバーボードを見上げる メンバーボードにラミリツの名前の点灯を確認すると 視線を上げ その上に在るアースの名前が点灯しているのを見て 微笑すると言う
「ふふ…っ よーしっ!」
ラミリツが通路へ向かう

更衣室

ラミリツが入室してロッカーへ向かいながら思う
(ハブロス司令官には 色々教えてもらったけど やっぱ僕は 親兵攻長 …だから 自分の決めた正義と共に それを信じて突き進む事しか出来ない …それでも 周りを良く見て 使えるものを使いなさいって事は それこそ それを教えてくれたハブロス司令官が あの天使様の皇帝や 悪魔みたいなネロ・アーク・フォライサーを使っているのと同じ事!…つまり!僕は!)
ラミリツが自分のロッカーを前に意を決して言う
「僕はっ 政府長攻長の名誉を使ってっ!」
ラミリツがロッカーの取っ手を掴んで思う
(ハブロス司令官を使うよっ!大丈夫っ!だってハブロス司令官ならっ!きっと 僕が 使うまでも無くっ!)
ラミリツがロッカーを開けて言う
「その僕を 使いこなしてくれるからっ!…って あれ?」
ラミリツがロッカーに置かれていた袋の上にあるメモを手に取って言う
「何だろう?…っ!」
ラミリツが目を見開く
― ART2ラミリツ隊長 俺らと野郎どもの警備を Thank You!アニキ ―
ラミリツが呆気に取られて言う
「ア… アニキから…っ!?…えっ!?」
ラミリツが袋の中を取り出すと ナックキラーの最新アルバムとDVDが入っている ラミリツが驚いて思う
(ナックキラーの最新アルバムとDVD!それに…っ!)
ラミリツがCDの裏を見ると ナックキラーメンバーアニキを含む全員のサインがある ラミリツが思う
(アニキのサインが入った マスタースペシャル特典っ!?)
ラミリツが感激して言う
「さ…っ!」
ラミリツが思う
(最高ーっ!有難うっ!アニキっ!)
ラミリツがメモと共にそれらを握りしめて感激を抑える

更衣室 外

アースがアークの瞳を使って内部の様子を見ていた状態から 軽く息を吐いて言う
「…やれやれ」
アースが左目へ眼帯を付けながら言う
「まったく 世話の掛かるガキだな?」
アースが苦笑して思う
(まぁ その分は 思い切り使ってやるよ?俺に使われるのなら 最高だろう?)
アースが口角を上げてから立ち去ると 元居た場所に 白い羽根と黒い羽根が舞って消える

【 ART 第一訓練所 】

ハイケルがやって来ると顔を向けて言う
「うん?…そうか 今日からは ART1先行小隊に …シーナ隊員も?」
ハイケルの視線の先 Mシーナが訓練所内に起動している M隊員Bがやって来て言う
「少佐 少佐ぁー!お早う御座いますでありますー!少佐ぁー!」
ハイケルがM隊員Bへ向いて言う
「お早う バイスン隊員」
隊員Bが正面モニターに映るハイケルを見てから 別モニターへ向いて言う
「皆ー!少佐 来たよー!?」
ハイケルの前に M隊員A、M隊員F、M隊員Iに続いてM隊員Cが走って来て転ぶ 皆が次々に挨拶をする
「お早う御座います!少佐!」 「お早う御座います!少佐!」 「お早う御座います!少佐!」 「おは… イテッ!?お、お早う御座います!少佐!」
ハイケルが言う
「お早う アラン隊員、フレッド隊員、イリアス隊員、そして マスターラキンゼス隊員は無事か?」
M隊員Cが衝撃を受けた後言う
「は、はい 無事です…」
隊員Cが呆れて言う
「つーか 少佐はどうあっても 俺をマスターの名前で呼びたいんだな?流石は あの悪魔の司令官の家族である 悪魔の…」
別モニターで隊員Bが笑っている
『にひひっ』
別モニターに隊員Aが映っていて苦笑して言う
『そんな事言ったって それこそ少佐が ”サッちゃん隊員”とか 言う訳がないだろ?』
隊員Cが言う
「いや そーじゃなくてよっ!?それこそ以前と同じで ”サキシュ隊員”で良いだろっ!?」
隊員Aが苦笑して言う
『あぁ そう言ば…?』
隊員Cが言う
「だから そこを わざわざ マスターラキンゼス隊員に言い換えるって所が やっぱり…っ!」
ハイケルがM隊員Aたちを見てから 視線を変えて言う
「それはそうと…」
M隊員Aが衝撃を受けて言う
「えっ!?聞こえてた!?」
M隊員Cが衝撃を受けて言う
「えぇええっ!?」
ハイケルが一度M隊員Aたちへ向いて言う
「”そちらの条件下に置かれた際に 考えるであろう事を 想定しただけだ”」
M隊員Aたちが衝撃を受ける M隊員Bが言う
「あー!少佐ぁー!それは先日のー!」
ハイケルが言う
「ハブロス司令官の技を実行してみた …のだが 会話を行っていたのであろう事は想定が出来るが その内容に関しては… 私には想定が出来ないのだが?」
隊員Cがホッとして言う
「な、なんだぁ… 脅かしやがって…」
隊員Bが笑って言う
『にっひっひ それじゃー!俺が後で伝えて置いてあげるねー?サッちゃんー?』
隊員Cが怒って言う
「伝えんで宜しいっ!」
ハイケルが言う
「それで?それはそうと あちらのシーナ隊員 及び ナクス隊員とヴェイル隊員のマシーナリーが 停止している様だが?」
皆がMシーナとM隊員N、M隊員Vへ向くと 隊員Fが言う
「あ… その~ 彼らは…」
隊員Bが言う
「はー!少佐ぁー!あの3人は きっと もう少しすれば また動き出すでありますー!少佐ぁー!」
ハイケルが疑問して言う
「もう少しすれば また動き出す …とは?それは 一体 どう言う事だ?」
ハイケルが3人へ向く

【 ART 第二訓練所 】

Mラミリツが訓練所で停止している Mラミリツ内でラミリツが音楽イヤホンを付け聞いている CDプレイヤーにトラック8が表示されている ラミリツが思う
(ヘイトデビルズ…っ!昨日 新曲披露で聞いた曲だ!あぁ… こうして聞いているだけで 昨日の情景が思い出されて来る…っ)
ラミリツが目を閉じて微笑して言う
「ふふっ… 最高っ!」
ラミリツが思わず右拳を突き上げる

【 ART 第一訓練所 】

M隊員NとM隊員Vが叫ぶ
「「うぉおおーっ!最…っ」」
Mシーナが叫ぶ
「高ーっ!」
M隊員Nが言う
「…に ノって来たぜぃっ!ヴェイちゃん隊員っ!」
M隊員Vが言う
「おうよーっ!ナッちゃん隊員っ!」
M隊員NとM隊員VがMシーナへ向いて言う
「「って事で シーナ隊員っ!」」
Mシーナが言う
「おうよーっ!行くぜ 野郎どもーっ!GT700 発案技法11から22、23!ハデにキメるぜー!」
M隊員NとM隊員Vが叫ぶ
「「おうよーっ!」」
M隊員NとM隊員VがGT700を構える ハイケルが呆気に取られて言う
「あれは…?」
M隊員Cが言う
「わわーっ!また始まるぞっ!?」
ハイケルが無線イヤホンの電源を入れ 装着して言おうとする
「シーナ隊員 及び…」
イヤホンにナックキラーの曲が爆音で聞こえて来る ハイケルが衝撃を受けて言う
「ぐあっ!?」
ハイケルがイヤホンを外す M隊員Bが言う
「あー!少佐ぁー!今 あの3人に無線繋ぐと すっごくうるさいんで 気を付けて下さいでありますー 少佐ぁー?」
ハイケルが言う
「了解 バイスン隊員 …しかし 少々遅かったな そちらの警告は 2.36秒ほど 速くに行うべき警告だった」
M隊員Bが言う
「あー!そうだったかもー?それじゃ 了解のごめんなさいでありますー 少佐ぁー?」
ハイケルが言う
「分かったのなら良いんだ …では」
ハイケルが顔を向けると MシーナとM隊員N、M隊員Vが 訓練用蛍光弾の充填された GT700を撃ち回っている ハイケルが言う
「我々も 彼らに負けないよう 早速 実戦訓練を開始する 各自訓練用蛍光弾装填のメインアームを装備」
M隊員Aたちが言う
「「了解!少佐ぁー!」」

【 ART 第二訓練所 】

ラミリツが目を閉じて音楽に集中している CDプレイヤーにトラック8が表示されている ラミリツが思う
(ヘイトエンジェルズに続くヘイトデビルズ… この曲を聴いていると 僕が初めてナックキラーを… アニキを 知った時の事を思い出す…)

ラミリツが思う
(物心が付く頃には 僕はもう 父上から政府警察の隊長になる為の訓練を受けていた… 毎日毎日 辛くて苦しくて… 凄く嫌だった …そんな ある日)

幼いラミリツが俯いてマイルズストリートを歩いている

ラミリツが思う
(こんな辛い思いをする位なら 一層の事メイリス家から逃げ出してしまおうかって… 当時は最下層の人が多いと言われていた マイルズストリートへ行ったんだ …そしたら そこで)

子ラミリツが聞こえた音に顔を上げて言う
『…何?今の音?』
子ラミリツが向かうと不満そうに言う
『あぁ…』
アマチュアバンドが歌う
―政府警察なんかクソ食らえっ!法律なんか関係ねー!違法だの警告だのってうるせぇんだよっ!何が正義だクソッたれ!お前らの正義なんざ俺らにゃ関係ねぇ!―

ラミリツが思う
(当時から あの場所では 違法なストリートライブが行われていて けど 政府警察に見放されていた あの場所では 取り締まりもされていなかった だから あの場所でライブをするアマチュアバンドは多くて けど 僕は)

子ラミリツが言う
『何でそんなに 政府や警察を悪く言うんだろう?その僕らだって こんなに苦しい訓練をしているのに』

ラミリツが思う
(子供心にでも 僕は 政府警察の… 父上や祖父上の事を知っていたから 法律や警察を悪く言うだけの 彼らの歌は好きにはなれなかった そんな中で)

ナルが歌っている
― 人権ギリギリの最下層 神の勝手な判断でここに 堕(おと)されら俺らに 神に愛された小綺麗な奴らが嘲笑う けれど見てみろよ 野郎ども!―
=野郎ども!=
子ラミリツが反応して顔を向ける 子ラミリツの視線の先 ナルが歌っている
―奴らの世界の何処が綺麗なんだ?見た目が綺麗だって?あんな姿で歩いてみろよ?俺らの世界じゃ どうぞ私を殴って下さいと 言って歩いているみたいなもんだ だから奴らは歩かない ここは俺らの世界だ 胸を張って歩こうぜ野郎ども!俺らに恐れるものは無いぜ!クソッたれ!―
=クソッたれ!=
子ラミリツがナルたちの前に居るファンの中へ向かう 

ラミリツが思う
(直接 政府や警察… 法律とか 自分に関係するそれらの言葉を言わずに 自分たちで生きようとする その強い歌詞が 僕の興味を引いて …それで向かったのが最初だった そうしたら…)

子ラミリツがハッとする 子ラミリツの視線の先 アニキがバンドメンバーの中でエレキギターを弾いている 子ラミリツが呆気に取られて見詰める

ラミリツが思う
(他のメンバーが楽しそうに歌ったり弾いたりしている中 1人だけ… アニキだけは とても必死に弾いているように見えた それは 演奏が難しからとか 出来ないからと言うのではなくて …今より先へ もっと上へ向かおうって)

アニキがギターを弾き鳴らす ファンたちが喜ぶ 子ラミリツが圧倒されている 

ラミリツが思う
(その意識と まるで同調する様な エレキギターの独特の響きが とっても心地良くて もっともっと聞いていたいと思った …それで もっと… 僕もこの人と同じ様に もっと頑張りたい!って 思えたんだっ)

子ラミリツが嬉しそうに微笑む

ラミリツが思う
(アニキとナックキラーを知った僕は それから毎日訓練が終わった後 マイルズストリートへ向かった)

子ラミリツがストリートへ走って来ると 周囲を探しながら走る 

ラミリツが思う
(もちろん 彼らのストリートライブは 毎日やっている訳じゃない それは分かっているつもりだったけど それでも 何時やっているのかは分からなかったから 僕は毎日向かって 彼らナックキラーを探した)

子ラミリツが周囲を探していると エレキギターの音が聞こえる 子ラミリツがハッとして言う
『今日は もっと奥なんだ!?』
子ラミリツが走って向かう 子ラミリツが到着すると驚く 子ラミリツの前には大勢のファンが集まっている 

ラミリツが思う
(ナックキラーの人気は あっという間に広がって 見るたびにファンの数が増えていった そして…)

ファンたちが言う
『アニキー!最高ー!』
子ラミリツが顔を向ける ファンたちの視線の先でアニキがギターを速弾きしている 子ラミリツが表情を明るめ見つめる

ラミリツが思う
(アニキは やっぱりいつも 更なる高みを目指して 必死に弾いていて その音に酔いしれるファンたちは 皆 アニキのギターに 最高最高と賞賛を上げていた …だから 僕も ありったけの声で叫んだ)

子ラミリツが可能な限りアニキの近くへ向かい叫ぶ
『アニキ 最高ー!』
子ラミリツの声にアニキが子ラミリツを見る 子ラミリツが一瞬ハッとする アニキが微笑してから 再び ギターの演奏に戻る

ラミリツが思う
(それは …普段のアニキとは思えないほど 優しい微笑だった 普段は必死な想いが伝わる 食いしばった口元に描かれた笑みが まるで 苦痛を楽しむような あのバンドメイクの悪魔のを思わせる表情なのに 僕へ向けた あの一瞬)

子ラミリツが言葉を失っている 

ラミリツが思う
(あの時から 僕にとってアニキは 訓練に耐える支えと言うだけじゃなくて もっと… それ以上の人になったんだ)

別の日

子ラミリツが走って向かうと 既に多くの人だかりが出来ている 子ラミリツが背伸びをして前方を見ると ナックキラーのストリートライブが行われている アニキのギターが高鳴るとファンたちが喜ぶ 子ラミリツが人垣で見えない代わりに目を閉じて音に集中する 曲が終わりファンたちが叫ぶ
『最高ー!』 『ナックキラー 最高ー!』
子ラミリツが叫ぶ
『アニキー!最高ーっ!』
ファンたちが去って行くと ナックキラーメンバーたちが楽器を片付けて立ち去ろうとしているのが見える 子ラミリツが顔を向けると アニキが子ラミリツに気付き2人の視線が合う アニキが微笑して口ぱくする 
― Thank You ―
子ラミリツが気付き 嬉しそうに笑う

ラミリツが思う
(そして それが最後だった)

別の日

子ラミリツが走って来ると ファンたちが集まっていて話している
『メジャーデビューだってよっ!』 『やったぜー!ナックキラー 最高ー!』
子ラミリツが驚いてから喜んで言う
『メジャーデビューっ!?』
人垣の先にポスターが張られている 子ラミリツが駆け寄って見ると ポスターに殴り書きされている
= ナックキラー メジャーデビュー 決定!=
子ラミリツが喜んで叫ぶ
『最っ高ーっ!』

ラミリツが思う
(けど そこには)

子ラミリツが疑問してポスターの写真を見てから 驚いて言う
『…え?』
ポスターにはアニキの立ち位置にレッテが載っている 子ラミリツが呆気に取られる

ラミリツが目を開き視線を向ける CDプレイヤーの上に置かれているアニキからのメモを見てから微笑して言う
「これからはまた 一杯聞かせてよね?アニキ?レッテも良いけどさ?やっぱ アニキのギターは…」
ラミリツが喜んで叫ぶ
「最っ高ー!だよ!」
トラックナンバーが9を示す ラミリツが視線を向けて言う
「9曲目…っ」
ラミリツが思う
(アニキがヴォーカルヘルプをしたって曲っ!)
ラミリツが目を閉じて意識を向ける

【 ART 第一訓練所 】

ART1隊員たちがやって来て言う
「お早う御座いま… いぃいっ!?」
ART1隊員たちが呆気に取られる ART1隊員たちの前で ハイケルチームとシーナチームで激戦が行われている Mハイケルが2丁銃を構えて叫ぶ
「今だっ バイスン隊員!アラン隊員っ!」
M隊員BとM隊員Aが言う
「「了解!少佐ぁー!」」
M隊員BがB手榴弾を投げながら言う
「くーらえー!」
Mシーナが言う
「野郎ども!発案技法32だ!ハデにキメるぜーっ!」
M隊員NとM隊員Vが言う
「「おうよーっ!掛かって来いやぁあーっ!」」
M隊員AがM隊員Bの手榴弾へ銃を向けて言う
「俺とバイちゃんの ビフォアーバーストショット!この爆風からは 逃げられないぞっ!?ハデにキメるのは こっちだ!ショットっ!」
M隊員Aが発砲すると手榴弾が次々に爆発して M隊員Aが顔を上げて言う
「どうだっ!?…って えぇえっ!?」
M隊員Aへ蛍光弾が降り掛かって来る シーナチームが上空からGT700を放っている M隊員Bが言う
「アッちゃん!回避ー!」
M隊員Aが慌てて言う
「む、無理ーっ!ぎゃっ!」
M隊員Aが無数の蛍光弾に被弾する Mハイケルが顔を向けて言う
「アラン隊員の死亡を確認」
M隊員Aが蛍光塗料だらけで衝撃を受け言う
「せ、せめて 戦闘不能と…」
Mハイケルが顔を上げて言う
「しかし あの高さからでは 彼らの戦闘不能も 予定だ これで 今度こそ…」
Mハイケルが2丁銃を構えて言う
「確実に 奴らを仕留められる …予定だ!」
M隊員Bが言う
「予定ー?」
M隊員Cが塗料だらけの状態で倒れていて言う
「それじゃ 確実にって 言ってる意味ねぇし?」
Mハイケルが衝撃を受けM隊員Cを見る M隊員Cがハッとしてから 慌てて言う
「い、いえーっ!少佐ぁ!今は それよりっ!?」
M隊員Bが言う
「少佐ぁー!ターゲット 落下して来る 予定 でありますー 少佐ぁー?」
M隊員Aが言う
「予定っ!?」
Mハイケルが言う
「了解 バイスン隊員 …最高のサポートだった 感謝する」
M隊員Bが言う
「はー!最高ーでありますー 少佐ぁー!」
シーナチームが落下しながら言う
「俺らの最高はー!」 「そんな弱い言葉じゃねーんだよ!」 「おうよー!ナックソウルを舐めるなよーっ!」
Mハイケルが言う
「ターゲット ロックオン」
Mシーナが言う
「最後はハデにキメてやるよー!最新発案技法34!」
M隊員NとM隊員Vが言う
「「おうよーっ!」」
シーナチームが両手にB手榴弾を持つ 隊員Aと隊員Cが驚いて言う
「「なぁああーっ!?」」
蛍光弾に被弾していたM隊員FとM隊員Iが言う
「ア、アレは流石に…」 「まずいぞっ!?回避だっ!」
M隊員FとM隊員Iが逃げる M隊員AとM隊員Cが慌てて立ち上がって逃げ出す 隊員Bが言う
「えー?少佐ぁー?」
Mハイケルの中ハイケルの意識が困って言う
「あの量は… 予定外 …だ」
M隊員Bが言う
「えー?」
M隊員Aが振り返って言う
「バイちゃんっ!逃げろー!」
MハイケルとM隊員Bの上空にB手榴弾が降り注ぐと M隊員NとM隊員VがGT700を構えていて言う
「「最高に ショートッ!」」
M隊員NとM隊員VがGT700を放つ B手榴弾とその周囲に蛍光弾が降り注ぎ手榴弾にヒットした分が爆発する シーナチームがGT700の射撃反動で減速して着地すると M隊員NとM隊員Vがポーズをキメて言う
「「どーだ!最高だろうーっ!?」」
爆煙が落ち着くと Mハイケルと出隊したばかりのART1隊員たちが蛍光塗料だらけになっている Mシーナが言う
「最高ーっ!」
Mハイケルが言う
「私の死亡… 及び 通常時間出隊のART1隊員ら 本体の死亡を確認」
ART1隊員たちが自分らの身体を見て言う
「マジかよ…」 「おいおい…」 「どーすんだよ?この蛍光塗料」 「髪に付いたのは 落ちないって噂…」
Mハイケルの下から M隊員Bが現れ気付くと言う
「あー!カッコイイー!」
M隊員Aが衝撃を受けて言う
「えっ!?バイちゃんっ!?まさか少佐を盾にして…っ!?」
M隊員Bのコックピットが開き 隊員Bが飛び出してきて言う
「俺も 俺もーっ!」
隊員Cが言う
「しかも まさか…」
隊員BがART1隊員たちの周囲で 嬉しそうに言う
「どの色が一番カッコイイかなーっ!?ねー アッちゃん!?俺には どの色が似合うと思うー!?俺…」
隊員Fが苦笑して言う
「折角免れたのに…」
M隊員Aのモニターの中で隊員Bが言う
『アッちゃん好みの 俺になるからー!』
M隊員Aが慌てて言う
『バイちゃんっ!だから その言い方はっ!』
隊員Fが苦笑する

【 ART 第二訓練所 】

シュナイゼルが言う
「お早う御座います!隊…っ 長?」
シュナイゼルとART2隊員たちが呆気に取られる 爆発の中 Mラミリツが立ち上がり叫ぶ
「最っ高ーっ!だけど もっとっ!もっと もっと!僕もアニキと一緒に 最高を目指すんだーっ!やぁああーっ!」
Mラミリツが訓練所内の訓練用ターゲットを大破させている シュナイゼルが呆気に取られて言う
「さ… 流石は 我らが 政府長 攻長閣下… 正に鬼神のごとし 立ち回り これぞ正しく… アールスローンの騎士 親兵攻 長…?」
Mラミリツが左手に銃を持ち右手にセイバーを持って暴れている ART2隊員たちが呆気に取られる

【 ART 食堂 】

ラミリツがART2隊員たちと共にやって来る ラミリツが苦笑して言う
「ごめんね 皆?少しぐらい 大丈夫かな~?って思って 実戦訓練をしてたら… 思った以上に その… 色々壊しちゃってたみたいで?」
シュナイゼルが苦笑して言う
「いえ 元々 破損したターゲット標識は 基本的にセイバーを用いての 攻撃対象外の位置の物が大半でしたので 破損はしていても 表示されている事に意味が御座いますかと?」
ラミリツが言う
「う、うん でも… やっぱ そう言ったターゲット標識こそ 表示されたり消えたりしないと 標識の意味が無いから… 出来るだけ早めに直してもらえるように 僕の方からお願いして置くね」
シュナイゼルが言う
「いえっ!攻長閣下に その様な御手間を お掛け致します訳にはっ!」
ラミリツが言う
「良いの良いの!いつも言ってるけど ARTに居る時は 僕は 攻長閣下じゃなくて ART2隊長だからさ?」
シュナイゼルが言う
「はい… そちらは 心得て居りますが… しかし」
隊員Nと隊員Vの声が聞こえる
「「アニキーっ!」」
ラミリツがハッとして顔を向ける シュナイゼルが言う
「例え ART2の隊長と言われます そちらの地位であられましても やはり 我々にとりましては 我らがた… 隊長?」
シュナイゼルがラミリツを見ると ラミリツがART2隊員たちへ向いて言う
「ART2 総員っ!こっからは 各自 自由行動っ!それじゃ!」
シュナイゼルと隊員たちが言う
「「りょ、了解 隊 長…?」」
ラミリツが走って向かう シュナイゼルと隊員たちが顔を見合わせてから ラミリツの後姿を追う

【 ART 司令塔 】

グレイゼスがサンドイッチを手に言う
「ART1、ART2のマシーナリーの改善 これ以上となると… うーん やっぱり 現在の型式では限界と言う事になるかなぁ 各関節部品の剛性との兼ね合いがあるし 重量の軽量化もあまり過ぎると…」
グレイゼスが悩みつつサンドイッチを頬ばる オペ子Aが言う
「中佐?お食事中は 余り考え事をしない方が良いそうですよ?ストレスで消化吸収を 阻害されてしまうのだとか?」
グレイゼスが気付き苦笑して言う
「うん?ああ そうだね 心配してくれて有難う …あ、もしかして 皆 俺のせいで食堂に行けなかったかな?今は何も急ぎの任務なんかは無いから 皆 気にせずに行ってくれて良かったんだけど?」
オペ子Bが飲み物を持って来て言う
「いえ、今は丁度 ART1とART2の皆が使っていて 食堂が満員なので 少し後にしようって… 良かったら 中佐も飲みますか?給湯室に最新のコーヒーメイカーが入ったんですよ?」
オペ子Aが言う
「今まで以上に コーヒーの種類は勿論 抹茶ラテとかキャラメルマキアートとか色々増えていて 面白いんですよ?」
オペ子Aとオペ子Bが軽く笑う グレイゼスが軽く笑って言う
「へぇそうなの?じゃぁ1つ… 有難う …確かに ここのコーヒーメイカーは良い奴を使ってるから 俺が飲んでも悪くないって思えるものだけど …何?また 新しくなったの?」
オペ子Aが言う
「はい このART本部が本格稼動して1年ですが その間に4台目ですからね?確かに また って言われる位 速いですよね?」
オペ子Bが言う
「しかも 本格的なコーヒーが無料だし 種類も増えて迷っちゃうっ」
オペ子Aとオペ子Bが嬉しそうに笑う グレイゼスが軽く笑って言う
「あのコーヒーメイカーは 本来はそれなりの飲食店に置かれるものだし それの最新を維持してるとなれば… いや… 相変わらず 何でも1番が好きなお方が そちらにもきっと関係して…」
グレイゼスがコンソールを操作すると メンバーボードが表示され グレイゼスが思う
(おや?そちらのお方は 現在は 外出中か… それこそ こっちも最新のマシーナリーの供給に付いて ご相談をしたかったんだが)
オペ子Aが言う
「きっとまた3ヶ月もしたら 新しいのに変わってしまうと思うので 今の内に楽しんでおかないと!季節限定の飲み物は次のメーカーの時は 無くなっちゃいますから」
オペ子Bが言う
「また新しいのが入るから それはそれで 楽しみだけどね?」
オペ子Aとオペ子Bが立ち去る グレイゼスが苦笑して言う
「まぁ 彼女たちが楽しんでいるのなら 良いのかもしれないけど… 常に最新の物へと切り替えている あのコーヒーメイカーのリース代も 馬鹿にならないと思うんだよなぁ…」
グレイゼスが思う
(ともすれば これも ハブロス司令官の仰る 本来の金銭の使い方なのか…?)
グレイゼスが視線を向けると オペ子Aとオペ子Bが飲み物を飲んで話題に花を咲かせている グレイゼスが微笑して言う
「なら これも 有りなのかねぇ?」
グレイゼスが軽く息を吐き 抹茶ラテを手に取ってから コンソールを操作してTVチャンネルを回すと 衝撃を受ける

【 ART 食堂 】

TVを前に 隊員Nと隊員Vが叫ぶ
「「アニキー!ハデにキメて下さいー!」」
ラミリツが微笑する シーナが叫ぶ
「アニキー!」
ラミリツが衝撃を受けて シーナを見る 隊員Nと隊員Vが反応して言う
「おお!シーナ隊員もっ!?」 「アニキのファンだったのかっ!?」
シーナが言う
「はいっ!私は昨日初めて アニキを見たのですがっ!それでも 一目で 分かりましたよ!」
隊員Nと隊員Vが衝撃を受けて言う
「え!?わ、分かったって…!?」 「そ、それは…っ!?」
隊員Nと隊員Vが思う
((まさかっ!?アニキの正体がバレ…!?))
シーナが気合を入れて言う
「この人のソウルは 最っ高ーですっ!」
隊員Nと隊員Vが顔を見合わせてから言う
「おうよーっ!」 「アニキのソウルは 最高だぜーっ!」
隊員Nと隊員Vが思う
(どうやら バレては居ないみたいだぜっ!?) (おうよーっ 最高に 良かったぜっ!)
ラミリツが微笑して思う
(そうなんだ?初めて見たシーナ隊員にも アニキの最高のソウルは分かったんだ?そうだよね?僕だって アニキのソウルに…)
ラミリツが内ポケットに入っているアニキのメモを意識する TVから司会の声が聞こえる
『それでは早速 ナックキラーの最新アルバムから IN YOUR SOUL!』
隊員Nと隊員Vが言う
「おおーっ!IN YOUR SOULか!」 「どっちが歌うんだっ!?」
ラミリツが思う
(もしかして アニキがっ!?)

【 ART 司令塔 】

TVから司会の声が聞こえる
『この曲は アルバムの中ではヴォーカルヘルプとして アニキさんが歌っていますが 今回はナルさんのヴォーカルにて TV初公開で…!』
グレイゼスがヘッドホン出力にして思う
(まぁ それは そうでしょうね?いくら大丈夫だったとは言え そもそもヴォーカルの居るバンドで そのヴォーカルが健在となれば当然 …それはそうと 流石に このARTでデスメタルバンドの音楽を 流す訳には行かないから ここからは ヘッドホンで…)
ラキンゼスが言う
「なぁ皆!?もう少し 音量上げて良いか?やっぱ デスメタは大音量で聞きたいからさぁ!?」
グレイゼスが衝撃を受け 慌てて言う
「君も ヘッドホンで聞きたまえっ!ライム大尉っ!」
周囲の隊員たちが疑問してグレイゼスを見る

【 ART 食堂 】

隊員Nと隊員Vが曲に合わせて歌う
「「be coming!」」
テーブルに着いているハイケルが顔を向ける 隊員Aが苦笑して言う
「相変わらず 好きだなぁ?」
隊員Bが言う
「何か 面白そうかもー?」
隊員Aが言う
「じゃぁ バイちゃんも混ざって来たらどうだ?」
隊員Bが言う
「えー?それじゃー?アッちゃんも一緒にー!?」
隊員Aが言う
「いや、俺は…」
隊員Fが苦笑して言う
「それより バイスン隊員は… その髪の色は落さないと まずいんじゃないか?」
隊員Bが言う
「えー?フッちゃん 何でー?これカッコイイのにー?」
隊員Fが言う
「それは カッコは良いかもしれないけど それじゃ まるで… それこそ あのTVに映ってる バンドのメンバーみたいじゃないか?」
隊員Bが言う
「あー?」
皆がTVを見る TVの映像でアニキのギター速弾きが映っている 隊員Nと隊員Vが言う
「うおぉおおー!ギターソロ 来たぁあー」 「アニキ!最高ーっ!」
シーナが言う
「アニキー 最っ高ーっ!」
ラミリツが言葉を抑えて思う
(うぅ…っ 僕も叫びたいっ …けどっ)
ラミリツが横目に ART2隊員たちがテーブルに着いているのを見る ラミリツが思う
(流石に そこまでは 出来ないよね…っ?)
シュナイゼルがラミリツの背を見ながら苦笑して思う
(ご本人が 我々に気付かれていないと 思われているのなら… そのままにしておいた方が 良いのだろうか…?)
ART2隊員たちが苦笑する

【 ART 司令塔 】

グレイゼスの前のモニターにデータが表示されていて グレイゼスがコンソールを操作してから思う
(…うん 大丈夫だ 音声はもちろん 映像からも…)
グレイゼスがモニターを見る ヘッドホンに曲の終わりが聞こえると グレイゼスがホッとしてヘッドホンを外しながら言う
「やれやれ… 折角の昼休憩も 何だか 俺1人で妙な緊張を…」
オペ子Aが言う
「あの右側のギターの人が アニキって人なんだー?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「えっ!?」
オペ子Bが言う
「私たちと同じ このARTに居るんだよね?誰なんだろうねー?」
グレイゼスが思う
(あれ?ひょっとして 皆も見て…)
グレイゼスが正面を見ると衝撃を受けて言う
「がっ!?」
正面モニターにTV映像が流れている オペ男Aが言う
「やっぱり 映像もある状態で聞くと 迫力があって良かったなー?」
グレイゼスが思う
(なんだよ 皆して見てたのか… てっきり 俺と もう一人位かと…)
グレイゼスがラキンゼスを見る オペ男Bが言う
「折角なら 普段も ここで弾いてもらえたら良いのにな?」
グレイゼスが思う
(いや、それは…)
ラキンゼスが言う
「ああ!じゃ今度来たら 直接本人に頼んでみっかっ!?」
グレイゼスが慌てて言う
「こらーっ!元マスターラキンゼスっ!それは 絶対に 言ったら駄目だからっ!」
皆が驚く ラキンゼスが疑問して言う
「あれ?そうだっけ?」
グレイゼスが頭を抑えて言う
「うぅ… また 悩みの種が…っ」
オペ男Bが言う
「うん?元マスターラキンゼス大尉は アニキが誰だか知ってるのか?」
ラキンゼスが言う
「おう!マスターの仲間は皆知ってるよ ナノマシーングレイゼスが 教えてくれたからな?」
オペ男Bが言う
「え?それってつまり…」
オペ男Bがグレイゼスを見る グレイゼスが思う
(うぅ… そう 元はと言えば 俺のグレイゼスがマスターの皆に…っ)

【 ART 食堂 】

隊員Cが言う
「あいつらに加わりたいなら 曲が終わった時にでも 一緒に”最高ー!”って言えば 良いんだろ?」
隊員Bが言う
「えー?それだけー?」
隊員Cが言う
「ああ、それだけだって …見てろよ?」
隊員Cと隊員Bが TVの前に居るメンバーを見る TVで曲が終わる 司会の声が聞こえる
『ナックキラー 最新アルバムから IN YOUR SOUL でしたー!』
隊員Cが言う
「ほら 来るぞ?」
隊員Bが言う
「最高ー?」
ラミリツが思う
(うーん… アニキのギターソロは やっぱ最高だったけど…)
隊員Nと隊員Vが顔を見合わせてから言う
「なんか… 微妙だったな?」 「…だなぁ?」
隊員Cが言う
「…あれ?言わねぇ?」
隊員Bが言う
「最高ー?」
シーナが首を傾げて言う
「うーん… なんて言うか ちょっと”そう”ですね… ん?そう!」
隊員N、Vとシーナとラミリツが声を合わせる
「「「「ソウルが足りない!」」」」
ラミリツがハッとして思う
(あっ… しまった つい…)
隊員Nが言う
「ですよね!?ラミリツ隊長っ!?俺も そう感じましたぜ!」
隊員Vが言う
「おうよっ 俺のソウルも そう感じてましたぜ!ラミリツ隊長!」
ラミリツが後方のART2を気にして困りつつ言う
「あーっ いや!うん、ソウ… そうそう…っ!?ちょっと その… 歌に 魂が 足りなかった かなぁ~?なんて?」
ラミリツがハッとして思う
(あ… そっか?)
隊員Nと隊員Vが言う
「そっかっ!」 「流石 ラミリツ隊長っ!」
シーナが言う
「やっぱり TVだとCDより ソウルが減っちゃうんですかね?」
隊員Nが言う
「違うぜっ!シーナ隊員っ!」
隊員Vが言う
「おうよっ!アニキのソウルは 凄かったからなっ!流石のナルでも 最高のアニキのソウルには 敵わないって事よ!」
ラミリツが小声で言う
「僕は… あの曲の歌詞は アニキの雰囲気にぴったりだからさ?それを アニキのヴォイスで聞いちゃった後だから… それで、ちょっと 足りなく感じるのかな?…って 思ったんだけど…?」
ラミリツがART2隊員たちを意識する 隊員Nが言う
「おおっ!言われてみればっ!」
隊員Vが言う
「流石 ラミリツ隊長!…ってか それより俺らと一緒に 最前席のここに居るって事は?ひょっとして ラミリツ隊長も…?」
隊員Nと隊員Vとシーナがラミリツを見る ラミリツがハッとして周囲を見てから言う
「えっ!?あ!え、えーと…っ」
ラミリツが焦って思う
(あぁ どうしようっ!?今は!?今度は何で僕が ナックキラーの映像が映っているTVの前に居るのかっ!?このTVの警備なんていらないしっ!?ど、どうしよう!?助けてっ アニキーっ!?)

【 スタジオ前 】

大勢のファンが門前に集まっている ナックキラーのメンバーがファンに拳を上げて応えつつトラックへ乗り込むと トラックが発車する

【 車内 】

ドラムメンバーがトラックを運転しつつバックミラーを見ると言う
「ああ、やっぱ 追っ手があるな?んじゃ いつもの通り スタジオに寄って荷物を送るか?」
ドラムメンバーがルームミラーを見ると コネクトウィンドに居るアニキが言う
「ああ、そちらで頼む 手間を掛けるな?」
ドラムメンバーが笑んで言う
「良いって事よ!…とは言え もちろん着払いだけどな?」
アニキが苦笑してから 荷台へ向かう 荷台でメンバーたちが衣装を着替えている ナルが言う
「皆 悪ぃ… 今日のは 最高じゃなかったよな?」
メンバーが反応する レッテが言う
「何か ノれて無かったみたいだけど… どうかしたのか?ナル?」
メイクを落したアースがナルを見る ナルが困って言う
「うーん… なんっつーか… 歌い始めてみたらよぉ… やっぱ違ぇなぁ?…って 感じちまって」
アースが言う
「違うとは?何か 歌い辛い歌詞があっただろうか?」
ナルが言う
「あ、いやぁ 歌詞が 歌い辛いって訳じゃなくて… これは 俺が歌う歌じゃねぇなって 感じちまったんだよ」
アースが言う
「それは やはり 歌詞が歌い辛いと言う事だろう?もう少し視点は戻した方が良いか?あの曲は確かに 少々こちらへと 向け過ぎたかもしれない ナックキラーはあくまで デスメタルバンドだ 戦いを行うのなら 対象は神ではなく 自分たちが置かれている環境や 強いて言うのであれば ライバルバンドなど その辺りに対しての方が 良いのかもしれないな?」
レッテが疑問して言う
「え?なら アニキたちが戦ってるって言う その対象が神って… アニキたちのARTは 一体何と戦って…?」
レッテがアースを見る アースがARTの制服に着替えている ナルが言う
「いやぁ?待てよアニキ?違うって… そう言うんじゃ無くて …いや そうなのかもしれないけどよぉ?」
アースが微笑して言う
「気にするなよ ナル?ヘイトデビルズは 気に入ってくれたのだろう?今度はそちらにしよう あれならクルーたちのノリも悪くなかった」
ナルが言う
「うーん 確かに ヘイトデビルズは良いけどよ?今の人気投票でも IN YOUR SOULはアルバム上位の人気なんだから 楽しみにしているクルーは多いし 完全には外せないと思うんだよ …もちろん 俺も気に入ってる」
アースが微笑して言う
「ならば 最高のソウルを込めて 歌えば良いだろう?他に何がある?」
ナルが言う
「ああ そりゃそうだ?…あれ?えーと?」
キーボードパートが軽く笑って言う
「っははっ また ナルがアニキに遊ばれてら?」
ナルが言う
「え?」
ベースパートが笑う アースが微笑してからコネクトウィンドウを見て言う
「さて そろそろだな?」

【 ART 食堂 】

ラミリツが言う
「それで あのエレキギターの音は 何だったのか?と言う事を 確認した所 その返答として ナックキラーと言うバンドのギターを弾いている彼が このARTにいると言う話を聞いたもので それで… それで 私は…」
隊員Nが言う
「なんだー それじゃ ラミリツ隊長も 俺らの仲間の ナッククルーなのかと思ったら 違ったのかー?」
隊員Vが言う
「ラミリツ隊長も 俺らの仲間のナッククルーだったら 最高だったのになー?」
シーナが言う
「そうですね?それじゃ 結局 最低では無いですけど 最高でもないですね?」
ラミリツが思う
(いや… 僕としては最低だよ 本当は僕の魂だって 最高!って叫んでいるのに それを口に出来ないなんて…)
ラミリツがART1メンバーのテーブルに一緒に居て ハイケルが言う
「それで?」
隊員Bが言う
「それで それでー!?何でー ラミリツ隊長もー?あのTVの前に 居たのでありますかー?ラミリツ隊長ぉー?」
ラミリツが苦笑して言う
「え?あぁ… だから それで その… アニキと言う人が 誰なのかな?と… あ、いや!?どんな人なのかなっ!?と? …それが気になったもので?それで 先ほどのTVを 拝見しに…」
隊員Aが言う
「…と言う事は つまり ラミリツ隊長は ナックキラーを知らなかった訳ですね?」
ラミリツが反応して言う
「え?」
隊員Fが言う
「そうだよな?知ってたら TVを見たって あのメイクなんだから もし このARTで顔を合わせていても 分かったもんじゃないからな?」
ラミリツが言う
「あ… そ、そうだね?そう… かも?」
ラミリツが思う
(本当は この話は広めない様にって あの時ハブロス司令官から言われたのに… でも お陰で 何とか僕がファンだって事は誤魔化せた それに 誰が見たって アニキの正体は分からないんなら それなら…)
ラミリツが苦笑して言う
「本当に 顔を見ただけでは 分からなかったので 結局 意味が無かったけど でも… このARTの仲間が 活動していると言うのなら 同じ仲間として やっぱり… えっと… 応援は したいかな?」
隊員Nが言う
「おうよーっ!流石は ラミリツ隊長っ!」
隊員Vが言う
「おうよーっ!それなら ラミリツ隊長も 俺らと同じ ナッククルーだぜぃ!」
ラミリツが思う
(え?僕も彼らと同じナッククルー!?それはっ …それは 嬉しいかもっ!)
隊員Bが言う
「えー?けど ラミリツ隊長はー ナッちゃんたちみたいに 最高ー!って叫ばないけど?」
ラミリツが衝撃を受けて思う
(う…っ そ、それは… 叫ばないんじゃ無くて 叫べないのであって…)
ラミリツが横目にART2隊員たちを見る 隊員Nが言う
「あ、そっか?」
隊員Vが言う
「確かに 最高ーを 叫ばない ナッククルーは ナッククルーじゃないよな?」
ラミリツがショックを受けて思う
(うぅ…っ 最高ーを叫ばない ナッククルーは ナッククルーじゃない それ… 凄くキツイ言葉なんだけど…)
シーナが言う
「あ ですけど?私、最高ーって叫ばない ナッククルーを知ってますよ?」
隊員Nと隊員Vとラミリツが反応して言う
「え?」 「そんなナッククルーが?」 「居るの?」
3人が顔を見合わせて思う
(最高ー!を叫ばないナッククルーなんざっ) (ナッククルーじゃねぇって!) (思うけどねっ!?僕はっ!)
3人が頷き合う 隊員Aが呆れの汗を流して言う
「何か… 通じ合ってるみたいだけど?この3人…」
隊員Bが言う
「えー?それじゃー?」
シーナが言う
「特に 私と同じで ここ最近アニキのファンになった女子には 多いですよ?普通は皆さん アニキ 最高ー!って叫びますけど 彼女たちはそうじゃなくて アニキ 素敵ー!って叫びます」
3人が衝撃を受けて言う
「「「えぇええーっ!?」」」
ラミリツが言う
「え?いや… それは…?気持ちは… 分かるけどさ?」
隊員Nと隊員Vが顔を見合わせて言う
「そりゃ… 確かに… なぁ?」 「あ、ああ… 本物は… なぁ?」
隊員Bが言う
「えー?素敵ーって?それって カッコイイー って事ー?アッちゃんー?」
隊員Aが苦笑して言う
「えーっと… まぁ そうと言えば そうなかもしれないけど?」
隊員Cが苦笑して言う
「マジかよ?だって あの悪魔の顔だぜ?有り得ないだろ?」
シーナが言う
「何言ってるんですか?メイクをする女子の目を 甘く見てはいけませんよ?本物のイケメンは 隠したって分かるものです!」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「そうなのっ!?」
ラミリツが思う
(アニキは イケメンだったんだ!?それなら…っ!?)
隊員Nと隊員Vが顔を見合わせて思う
(え?それって…!?) (もしかして バレるって事か!?)
シーナが言う
「しかも このARTに居るって事は!これは かなり絞られて来ましたよっ!」
ラミリツが言う
「ほ、ホントに!?それなら 女性ならっ!?シーナ隊員なら 分かるって事っ!?」
ラミリツが思う
(アニキが 誰なのかっ!)
隊員Nと隊員Vが顔を見合わせて思う
(えぇえっ!?ど、どうする ヴェイちゃん隊員っ!?) (どうしようっ!?ナッちゃん隊員っ!?)
隊員Bが言う
「アッちゃん アッちゃん?イケメンって何ー?ラーメンみたいなもの?」
隊員Aが苦笑して言う
「バイちゃん 食べ物の話じゃないよ?」
隊員Bが言う
「えー?」
隊員Fが言う
「バイスン隊員流に言えば 顔がカッコイイ人だって事だよ」
隊員Bが言う
「あー!それなら 俺も見たいかもー!」
隊員Cが言う
「だーからっ そうは言っても 誰がそのアニキって人なのか 分からないんだって 話をしてるんじゃないかよ?それすら分かってなかったのかよ?」
隊員Bが言う
「あー!サッちゃん 俺の事馬鹿にしてるー?俺はー ちゃんと話しを聞いて それなら 方法あるじゃんー 言ってるのにー?」
隊員Cが言う
「言ってないだろう!?」
隊員Bが言う
「えー?サッちゃん そんなんだから ハブロス司令官に」
隊員Nと隊員Vが衝撃を受ける 隊員Bが言う
「”分からないのかー!”って怒られるんだよ?サッちゃん?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「う…っ そ、そうだったのか…っ」
隊員Bが言う
「サッちゃん そんなんじゃ マスター失格だよー?サッちゃんー?」
隊員Cが言う
「それこそ 分からないのかよっ!?俺はマスター失格だから サッちゃんなんだろっ!?」
ラミリツが言う
「それより バイスン隊員 さっきの!」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「う…っ ラミリツ隊長に 完全にスルーされた…」
隊員Aが軽く笑う ラミリツが言う
「方法があるって言うのは?それは?」
隊員Bが言う
「はー!ラミリツ隊長 それはー そのラーメンの人 って言うのはー」
ラミリツが言う
「ラーメンじゃないけど その人って言うのは?」
隊員Cが衝撃を受ける 隊員Fが苦笑して言う
「突っ込み所は 防がれちゃったな?サッちゃん隊員?」
隊員Cが言う
「俺の出番が…」
隊員Aが言う
「また ハブロス司令官に作ってもらえば良いじゃないか?サキ?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「そー言う事 言うの止めてくれるっ!?マジでっ!?」
ハイケルが隊員Cたちの会話を聞いていた状態から隊員Bへ向く 隊員Bが言う
「その人はー このARTの隊員だって言うのならー 出入り口のメンバーボードに 名前が有る筈でありますー!」
皆が呆気に取られる ラミリツが言う
「…え、えーと それは… その…」
隊員Cが呆れて言う
「なんだよ 結局そんなオチかよ?」
隊員Bが言う
「えー?」
隊員Aが苦笑して言う
「バイちゃん… バイちゃんだって 知ってるだろう?あのメンバーボードに 『アニキ』なんて名前は無いじゃないか?つまり アニキって言うのは」
隊員Bが言う
「あー!もしかして アッちゃんまで 俺の事 馬鹿にしてるー?」
隊員Aが言う
「いやぁ… 馬鹿にはしていないけど 何て言うか その…」
隊員Bが言う
「俺だって アニキって名前が メンバーボードに無い事は知ってるし アニキって言うのが 芸名だって事位分かるよー?」
隊員Aが呆気に取られて言う
「あれ?分かってたの…?」
隊員Cが言う
「意外だったな?」
隊員Aが言う
「うん とっても…」
隊員Bが不満そうに言う
「えー?アッちゃん チョー酷いー 俺傷付いちゃったかもー?」
隊員Fが苦笑して言う
「バイスン隊員は 何しろ少佐も公認の メンバーボード確認係りなんだから アニキって名前が無い事だって 当然知っていただろうし …それで?」
隊員Bが言う
「さっすが フッちゃん!俺公認の イケメンー!」
隊員Iが言う
「あれ?何だ 言えたんだ?」
隊員Fが苦笑して言う
「それは… 逆に ラーメンだって 思われていたらどうしよう?」
シーナが思わず笑って言う
「ふふ…っ 流石は元ART1サポート係りであった私公認の 命中率1番のフレッド隊員!狙い所は外しませんね!?」
隊員Fが照れる 隊員Cが不満そうに言う
「完全に俺の出番が 持ってかれた上に 女性のシーナ隊員に 褒められてるし…」
隊員Cが落ち込む ラミリツが言う
「それで つまり?」
隊員Bが言う
「はー!ラミリツ隊長ー!つまり さっきのTVってー 生放送だったんだからー」
皆がハッとする ハイケルが言う
「なるほど 流石は バイスン隊員」
隊員Bが言う
「はー!少佐ぁー!だから今 メンバーボードで 外出中 か 休暇中 のラーメンの人が アニキって人だと思うでありますー ラミリツ隊長ぉー?」
ラミリツが駆け出す 皆が一瞬驚いた後 隊員Bが立ち上がって言う
「あー!俺も 俺もー!待ってーっ!ラミリツ隊長ぉー!」
シーナが立ち上がって言う
「あ!私もっ!」
隊員Bとシーナがラミリツを追って駆け出す 残ったメンバーが顔を見合わせた後 隊員Aが言う
「…あれ?それで?」
隊員Fが言う
「ラミリツ隊長の反応には驚いたけど それこそ俺らART1公認のアニキさんのファンである ナクス隊員とヴェイル隊員の2人は 行かなくて良いのか?」
皆が隊員Nと隊員Vを見る 2人が顔を見合わせて言う
「どうする?ヴェイちゃん隊員?」 「これは… ヤバイぞっ!?ナッちゃん隊員!?」
2人が立ち上がり言う
「「どうするっ!?」」
隊員Aが言う
「とりあえず… 行ったら良いんじゃないか?」
隊員Nと隊員Vが駆け出す 隊員Fが言う
「何だろう?あんなに普段は喜んでいるのに あの2人は アニキさん本人には 会いたくないのかな?」
皆が疑問する中 ハイケルが言う
「…複雑な心境だ」
皆が疑問する

【 ART 通路 】

ラミリツが走りながら思う
(ハブロス司令官には 仲間として 情報を守れって…  話題を広めるなって 言われたけど やっぱ 僕には我慢出来ないよっ!だって アニキは…っ アニキは!僕にとって ずっと…っ!)
ラミリツが意を決して言う
「ずっと 魂の支え だったんだっ!」
ラミリツが走って行く ラミリツが給湯室の前を走り去った所に グレイゼスが手にコーヒーを持って現れて言う
「あらら~?今のは ラミリツ隊長?またまた~ 通路を走るなんて事をしてると 帰ってきたアニキさんに 怒られちゃっても知りませんよ?『このガキがっ!通路を走るな!』な~んてね?プクク… …おっとっ!?」
グレイゼスの身体がナノマシーンに回避されると シーナが横を過ぎ去って言う
「あっ!失礼しましたっ!中佐っ!」
グレイゼスがコーヒーを庇ってから言う
「…っとと?シーナ君まで?一体…?」
隊員Nと隊員Vが走って来て言う
「「中佐ぁああーっ!」」
グレイゼスが驚いて言う
「えっ!?君たちはっ?」
隊員Nと隊員Vが グレイゼスの前に立ち止まって言う
「マスターG!一大事ですっ!」 「アニキが バレますっ!」
グレイゼスが驚いて言う
「なっ!?何だってっ!?それはっ!?一体っ!?」

隊員Bが走りながら言う
「あれー?俺 ナッちゃんとヴェイちゃんに 負けるなんてー?やっぱ ナックソウルとか言うの… がっ!?」
隊員Bの横を何かが過ぎ去る 隊員Bが呆気に取られて言う
「えー?今のってー?何か マスターみたいに 速い人が通ったみたいだけどー?…まぁ良っかー?」
隊員Bが走って行く

【 ART 出入り口 】

ラミリツが息を切らせてから メンバーボードを見上げ そこにある名前を見ながら言う
「あの人は知ってるけど アニキとは身長が大分違うしっ あの人も…っ 体格が違うっ …他にはっ!?」
ラミリツが思う
(僕が知らない人…っ!?もしくは 背格好が近い人は…っ!?)
シーナが到着する ラミリツが言う
「シーナ隊員は 技術部の人 結構詳しいよね?だったら 背格好も分かる!?」
シーナが息を整えつつ言う
「はぁ はぁ… はいっ 技術部の人は 名前と顔が一致しています!」
ラミリツが言う
「それじゃ あの右上の人は!?」
シーナが言う
「あの人は 間違いなく 違いますっ その下も 違うと思います!」
ラミリツが言う
「なら その3つ下の…」
シーナが言う
「マルカスさんっ!?えーと… どうでしょう?背格好は近いかもしれませんが… 私、アニキを見たのは さっきのTVで2回目で 後は写真だけなので…」
ラミリツが言う
「それじゃ 候補って事でも良いから 他には!?候補になりそうな人は!?」
シーナが言う
「はい!えーと…っ」
隊員Bが到着して 周囲を見て言う
「あれー?俺より先に行ったのにー?ナッちゃんと ヴェイちゃんはー?」

【 ART 司令塔 】

グレイゼスがコーヒーを置いて言う
「…ふぅ これで 良し」
オペ子Aがモニターに気付くと 振り返って言う
「あ、中佐?つい先ほど メンバーボードに表示が ハブロス司令官が お戻りになったみたいですが?」
グレイゼスが微笑して言う
「あー!良いの良いの!また 後で 大丈夫だから?」
オペ子Aが疑問して言う
「え?あ、はぁ…?そうですか?」
グレイゼスが言う
「うん!有難う!」
オペ子Aがモニターへ向き直って疑問して言う
「ハブロス司令官に 早急に 新しいマシーナリーの供給を お願いするんじゃなかったのかな?」

【 ART出入り口 】

シーナがメンバーボードを見ながら言う
「後は… 可能性として…」
ラミリツが言う
「僕の知っている人では 可能性としてって言うのでも 近い人はいないかな?アニキは結構 身長もあるし体格も… 標準と言うか細いと言う程でもないし …あぁ でも 機動隊員だとしたら 身長の割には 少し細い方かな?」
シーナが言う
「私は体より 顔の方ばかり見ていたので… でも メイクの上から見ても 目は切れ長だと思いますし 輪郭も白いファンデをしていても 太く見えないって事は 元は かなり端正な顔立ちの人だと思うんです」
ラミリツが言う
「端正?それじゃ 尚更 僕の知る人には…」
ラミリツが思う
(…と言っても 良く考えたら 女性のシーナ隊員から見た 端正な顔って 男性の僕から見る 端正とは違うのかな?…まぁ イケメンはイケメンだろうけど?例えば…)
ラミリツがメンバーボードを見て言う
「…あ、そうだ それならさ?ちょっと聞きたいんだけど?シーナ隊員?」
シーナが言う
「はい?何ですか?」
ラミリツが言う
「例えばだけど?今 ART3の隊長… マスターシュレイゼスが休暇で消灯してるけど …シーナ隊員から見て 可能性は?」
ラミリツが思う
(まぁ 兄上が アニキである可能性は 無いって事は 僕は 分かりきってるんだけど…)
シーナが言う
「それは無いです」
ラミリツが苦笑して言う
「あぁ そうだよね?シーナ隊員だって マスターシュレイゼスが 僕の…」
ラミリツが思う
(兄上だって事は知ってるだろうし?)
シーナが言う
「あの人は 細いだけで イケメンじゃないですから」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「嘘ぉおっ!?」
ラミリツが思う
(あれ?イケメンじゃない…?僕の中では 兄上は 割と… イケメンだと思うんだけど?…やっぱ 女性と男性の思うイケメンって違うのかな?)
ラミリツが苦笑して言う
「やっぱ 顔からの判断は シーナ隊員に頼った方が良いかな?僕だと ちょっと 分からないかも…?」
シーナが言う
「そんな事無いと思いますよ?だって 顔を見れば… 分かりますよね?」
シーナがラミリツを見る ラミリツが疑問して言う
「え?分かるって?」
シーナが苦笑して言う
「階級って言うのが」
ラミリツがハッとする シーナが苦笑して言う
「やっぱり 血筋ですからね?本当に端正な人って言うのは 男性とか女性とか 度外視ても 分かると思います」
ラミリツが呆気に取られて言う
「そう… なんだ?」
シーナが言う
「はい ですから …失礼ですけど マスターの名を持つ方では まず無いと思います」
ラミリツが反応して言う
「あ… そ、そう?そう言う 事…」
ラミリツが思う
(あぁ… でも 良く考えたら 兄上は元々メイリス家の養子だから… 最下層の孤児ではないんだけどね?政府の教会に居たんだから)
シーナが言う
「うーん… やっぱり そう考えると 可能性があるのは …あの3人だけですね?」
ラミリツが反応して言う
「3人…」
ラミリツが顔を上げて思う
(つまり その人たちは… あの3構想の名前を持つ 3人)
ラミリツがメンバーボードを見上げていると エルムαが動き出す ラミリツが反応して視線を向けると 出入り口が開き 配達員が言う
「ちはー!アールスローン特急便でーす!お荷物の お届けですー!」
エルムαが言う
『了解』
配達員が言う
「サインかハンコ お願いしますー!」
ラミリツが言う
「あ…」
ラミリツが思う
(エルムは字が書けないから なんなら 僕が…?)
エルムαが言う
『了解』
ラミリツが呆気に取られると エルムαがハンコを押す ラミリツが思う
(あれ?ハンコなんて持ってたんだ?…まぁ こんな事もあるんだから?)
配達員が言う
「したーっ!」
配達員が立ち去る エルムαが荷物を運ぶ 隊員Nと隊員Vが到着して言う
「それで それでー!?」 「誰が アニキだか 分かったんですかー?」
ラミリツが言う
「あ、そうだったっ!今は!…それじゃ あの3人が 出隊したらシーナ隊員 悪いんだけど 一緒に確認してもらえるかな?」
シーナが言う
「おうよー!勿論です!私たちで アニキの正体を見破りましょうっ!ラミリツ隊長!」
隊員Nと隊員Vが衝撃を受けて顔を見合わせる ラミリツが言う
「あ… う、うん それは まぁ… そうなんだけど …でも シーナ隊員?アニキが もし その3人の誰であっても 僕らARTの仲間である事は間違いないんだからさ?だから その… TVとか雑誌とか?そう言う 誰かに知らせちゃうっていうのは 駄目だから…」
隊員Nと隊員Vが反応して微笑を合わせる シーナが言う
「え?あ… そうなんですか?…別に 隠す必要も無いと思いますけど?」
隊員Nと隊員Vが衝撃を受ける ラミリツが反応して言う
「え?あれ…?そうだっけ?」
隊員Nと隊員Vが慌てて顔を見合わせ心配する ラミリツがメンバーボードを見てから言う
「これが… 例えば 僕だったり… ハブロス司令官だったりしたら」
隊員Nと隊員Vが衝撃を受ける ラミリツが苦笑して言う
「隠す必要も あるのかもしれないけど?よく考えたら 普通は そんな必要は ないよね?」
シーナが言う
「そうですよ?そもそもバンドを組むのって 有名になりたいからじゃないですか?それなのに 隠れていたら意味が無いじゃないですか?」
ラミリツが考えてから言う
「うーん でも… 僕らの候補にしたその3人だって 3構想の名前だからね?その地位や名誉からして デスメタルバンドのメンバーだって言うのは ちょっと 駄目なのかも?」
シーナが言う
「え?そうですか?まぁ 私は余り考えないですけど?私は地位や名誉より 男はっ!顔とソウルで 勝負だと思いますから!」
ラミリツと隊員Nと隊員Vが衝撃を受けて思う
(((か、顔とソウル…)))
ラミリツが苦笑して言う
「そ、そうなんだ?…ソウルは分かるけど …もう1つが 顔なんだ?」
ラミリツが思う
(その辺りは 流石 女性と言うか…)
隊員Nと隊員Vが顔を見合わせて言う
「どっちにしても…」 「俺ら アニキには 敵わないな?」
隊員Nと隊員Vが頷いて言う
「「うんうん…」」
シーナが言う
「あら?違いましたか?それでは ラミリツ隊長は 男は何だと思うんですか?」
ラミリツが言う
「え?僕は… 男は…」
隊員Nと隊員Vが言う
「ラミリツ隊長にとっての…」 「男とは…!?」
ラミリツが苦笑して言う
「身長とソウル だと思う…」
ラミリツ以外の3人が転ぶ ラミリツが言う
「モデルをやっててもさ?いつも そこで引っかかるんだよ?シーナ隊員の言う通り それこそ メイリス家の血筋だからね?しょうがないんだけど…」
隊員Nと隊員Vが顔を見合わせて言う
「どっちにしても…」 「ラミリツ隊長も アニキには 敵わないな?」
ラミリツが衝撃を受けてから 苦笑して言う
「う…っ それは 僕も知ってる…」
シーナが言う
「そんな事ありませんよ!?ラミリツ隊長っ!?ラミリツ隊長は そこが良いんですからっ!」
ラミリツが疑問して言う
「え?そこがって…?」
シーナが言う
「ですから!さっきも言った通り 女性にとっての男とは 顔とソウルですから!身長は 顔に合っていれば良いんです!」
ラミリツが反応して言う
「そうなんだ?あ… それなら合ってるかも?僕 いつも ハブロス司令官に」
隊員Nと隊員Vが衝撃を受け慌てる ラミリツが言う
「子ども扱いされてるし?」
ラミリツがメンバーボードを見る 隊員Nと隊員Vがラミリツの視線を追うと メンバーボードのアースの名前が点灯している ラミリツが苦笑して言う
「これで もし ハブロス司令官の名前が消灯していたら もしかして?って思ったんだけど… 違ったね?」
隊員Nと隊員Vがホッとする シーナが気付いて言う
「あ!言われてみれば ハブロス司令官は 一番アニキに近いかもしれませんね?」
隊員Nと隊員Vが慌てる ラミリツが苦笑して言う
「でも ハブロス司令官は 館内に居るみたいだし …そもそも あのハブロス司令官がだよ?エレキギターを弾いている姿なんて」
隊員Nと隊員Vの脳裏にアースのエレキギターを弾いている姿が浮かんでいる ラミリツが言う
「想像も出来ないよ?」
隊員Nと隊員Vの脳裏にあった姿が掻き消える シーナが言う
「ですよね?何しろ 超高位富裕層ハブロス家の ご当主様ですよ?有り得ないですよ!」
ラミリツが軽く笑って言う
「うんうん!」
隊員Nと隊員Vが沈黙している ラミリツが言う
「あ、そろそろ 休憩時間が終わるし 戻らないと?」
シーナが言う
「あ!そうでしたね!行きましょう!」
ラミリツとシーナが立ち去る 隊員Nと隊員Vが溜息を吐いて言う
「ふぅ…」 「何とか助かった…」 「「はぁ~~…」」
隊員Nと隊員Vが脱力する エルムαが言う
『周囲100メートル 敵影無し』
荷物が内側から蹴破られ アースが現れて言う
「あのガキがっ!」
隊員Nと隊員Vが衝撃を受けて言う
「「アニキーっ!?」」

【 ART 第一訓練所 】

Mハイケルが言う
「ART1、A班は ナクス隊員を B班はヴェイル隊員を 完全マークだ その他の者は 私と共に 彼らナッククルーの隊長 シーナ隊員を撃破する!」
隊員Bが言う
「了解 少佐ぁー!ナッちゃん 最高ーに くーらえーっ!」
M隊員BがB手榴弾をM隊員Nへ投げ付ける M隊員AがB手榴弾へ狙いを付けて言う
「今度こそ 最高に ショット!」
M隊員Aが射撃する M隊員Nの中 隊員Nがホッとして言う
「はぁ~… アニキの正体がばれなくて 最高に良かった… …って!?」
コックピット内に警告音が鳴る 隊員Nがハッとすると 慌てて悲鳴を上げる
「な、何だー!?」
M隊員Nの周囲でB手榴弾が爆発する

隊員Cが言う
「さっきのお返しだ!そら!食らえー ヴェイル隊員!」
隊員CがB手榴弾を投げ付ける M隊員Vの中 隊員Vが言う
「けど まぁ?アニキ公認の スペシャルナッククルーである俺たちは 無事任務を達成させたんだから …やっぱ 最っ高ー!」
M隊員Vが拳を突き出す 突き出した拳にB手榴弾が跳ね返る 隊員Vが気付かずに言う
「ってな?…ん?」
M隊員Vが疑問して言う
「俺のナックソウルに 何か当たったか?」

Mハイケルが2丁銃を構えて言う
「ターゲットは特殊な回避の技を取得している 従って まずは私が注意を引き付ける 後は頼むぞ!フレッド隊員!」
隊員Fが言う
「了解!少佐!お任せを!」
Mシーナの中 シーナが考えながら言う
「でも どう考えても エルフンさんは有り得ないと思うし…?マルリスさんだって アニキにしてはソウルが足りない… パラスさんは ラミリツ隊長の言う通り 背格好は近いけど …やっぱり 違う イケメンじゃない… あ?」

爆発が起き M隊員Nが蛍光塗料にまみれて倒れている 隊員Aが呆気に取られて言う
「あ、あれ…?勝った?」
隊員Nが言う
「気が抜け過ぎて 俺のナックソウルが 最低に…」
隊員Bが言う
「あー!ナッちゃんのマシーナリー カッコイイー!俺も 俺もー!」
M隊員BがM隊員Nの下へ走って行く M隊員Aが衝撃を受けて言う
「って バイちゃんっ!?またっ!?」

Mハイケルが2丁銃を下ろして言う
「ターゲットの死亡を確認」
Mシーナが蛍光塗料にまみれていて シーナが言う
「あぁ… つい アニキのイケメンな素顔を考えていたら… 私のマシーナリーの 最高のピンクの塗装が…」
Mシーナが言う
「最低~」
M隊員Fが小銃を構えた状態で呆れの汗を流して言う
「あの… 俺の出番 来ませんでしたが?少佐?」
Mハイケルが言う
「そうだったな フレッド隊員 私の予定ではなかったのだが フレッド隊員の出番は 予定になったな」
隊員Fが衝撃を受け苦笑して言う
「えっと… そう言うのは 予定とは言わずに… むしろ 不発と言うのでは?」
Mハイケルが衝撃を受けて言う
「そうなのか?フレッド隊員?」

隊員Cが言う
「…で?」
M隊員Cが蛍光塗料だらけになっていて怒って言う
「やっぱ こんなオチかよっ!?」
M隊員Bが顔を上げて言う
「見て 見てー!アッちゃん!俺のマシーナリー チョーイケメンー!」 
M隊員Aが苦笑して言う
「う、うん… そうだな?サキのマシーナリーと同じで チョーイケメンだよ バイちゃん…」
M隊員Bが振り返ってM隊員Cを見ると言う
「えー?それじゃぁ… やっぱラーメンー?」
M隊員Cが衝撃を受けて言う
「ちょっと待てっ!?何で俺と一緒だと イケメンがラーメンになるんだよっ!?それから ラーメンに謝れ!」
隊員Bが言う
「えー?」

【 ART 司令官室 】

アースが言う
「そうか それで 外出中でありながらも メンバーボードの私の名前が 点灯していたと言う事か」
グレイゼスが苦笑して言う
「はい ナッククルーの彼らの 迅速な連絡が無ければ もう少しで 危うい所でした」
アースが苦笑して言う
「なるほど?確かに 彼らの様子は 半日の訓練を終えただけにしては 随分と疲れ切った様子だったな?」
グレイゼスが言う
「むしろ 機動隊員の彼らにしてみれば 肉体的な訓練より身に応えた筈です …ですので これからは 何かもう少し 対策を取って頂けませんと?自分もメディアでアニキ様のお姿を見る度に 冷や冷やして… それこそ 昼食所じゃないですから」
アースが言う
「そのお前は 機動隊員では無いだろう?ならば 問題は無い筈だが?」
グレイゼスが苦笑して言う
「それはそうですが…」
アースが言う
「司令塔の管理者として 精神的な訓練としては 良いかもしれないな?」
グレイゼスが困り苦笑で言う
「う…っ それは…」
アースが苦笑して言う
「ふっ 冗談だ 通常の者であるならば兎も角 その様な事にナノマシーンを使用して 使える人材の寿命を削られては 無駄と言うものだろう?そうとなれば そちらの対策は…」
グレイゼスが言う
「対策でしたら ここは1つ 一番的確に迅速な方法として」
アースがグレイゼスを見る グレイゼスが微笑して言う
「思い切って ラミリツ隊長へも お知らせをして差し上げると言う…」
アースが言う
「却下する」
グレイゼスが衝撃を受ける アースが言う
「これからは 先だってお前へスケジュールを伝えて置く それならばメンバーボードの表示は勿論 その他の対策も取られるだろう?」
グレイゼスが言う
「それは… そうかもしれませんが いえ、ですから?」
アースが言う
「では そちらで十分だな?その上で そちらの対策さえ取られない精神であると言うのでは このARTの司令塔主任は任せられないぞ?マスターグレイゼス中佐?」
グレイゼスが苦笑してから言う
「う…っ 了解 司令官…」
アースが微笑する

【 グレイゼスの店 】

マーガレットが嬉しそうに笑う ハイケルが無表情に抱き上げている グレイゼスが苦笑して言う
「何で お前の仏頂面を見ても 泣き出さないのか 不思議だよ… やっぱ 俺の娘だからかなぁ?マーガレットは~?」
ハイケルがマーガレットを抱いた状態で言う
「それを言うのなら お前の娘だからではなく マリーニ・アントワネット・ライネミア・アーミレイテスの娘であるからなのだと 推測される」
マーガレットが嬉しそうにハイケルへ手を向ける グレイゼスが衝撃を受け不満そうに言う
「それは… それこそ どういう意味だよ?ハイケル?」
グレイゼスがハイケルの前にコーヒーを置く マリが軽く笑っている ハイケルが言う
「そのままの意味だ 俺の最も古い記憶にある お前は 俺の姿を見て怯えていた しかし、マリーニ・アントワネット・ライネミア・アーミレイテスは 俺を見ても 怯えはしなかった」
グレイゼスが呆気に取られる マリが言う
「それじゃ ハイケル君… 孤児院に居た時 私がハイケル君を見ていたのを 知っていたの?」
ハイケルが言う
「知っていた」
グレイゼスとマリが顔を見合わせた後 グレイゼスが苦笑して言う
「なんだよ?知ってたんなら それこそ 声でも掛ければ良かったのに …相変わらず 可愛くないのっ!」
ハイケルが言う
「可愛くないのは結構だ」
ハイケルがマーガレットを見る マーガレットが興味を向けてハイケルへ手を向ける ハイケルがそれを見た後コーヒーを手に取って飲む グレイゼスが苦笑して言う
「…って なぁ?ハイケル?お前がそう言うのは分かるんだが 折角そう… 昔のマリや 今のマーガレットが お前に興味を向けているって事が 分かるって言うんならさ?もう少し その… それに応えてやろうとかは 思わないのか?」
ハイケルがコーヒーを見てから グレイゼスへ向いて言う
「思わない」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「そ… そう…?」
マリがくすくす笑う ハイケルが言う
「それよりも グレイゼス」
グレイゼスが言う
「うん?それよりも…?」
ハイケルが言う
「お前の コーヒーの味が落ちた 何か問題か?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「そっちーっ!?」
マリが笑っている ハイケルが言う
「俺にとっては ”そっち”の問題の方が問題だ」
グレイゼスが苦笑して言う
「あぁ… そりゃまぁ… 確かにな?そっちの問題の方が 問題だ…」
ハイケルが言う
「では やはり ARTに関係する問題か?」
グレイゼスが苦笑して言う
「相変わらず 可愛くないねぇ?そう言う事には 気付くんだからな?」
ハイケルが言う
「お前ほどのマスターが 問題とするほどの問題と言えば それ以外に想定が出来ないと言うだけだ」
グレイゼスが苦笑して言う
「それはまぁ… そうと言えば そうなんだが… むしろ その…」
ハイケルが言う
「むしろ その…?」
グレイゼスが言う
「その マスターさえ 悩ませるっ!お前の伯父様の あの相変わらずな ご趣味をねぇ!?何とかしてもらえないのかなぁっ!?」
ハイケルが鋭く気付いて言う
「…と言う事は やはり お前も… 命を 狙われたのか?グレイゼス?」
グレイゼスが言う
「そっちじゃなくてっ!」
マリが疑問する マーガレットが楽しんでいる

【 ART 司令塔 】

グレイゼスが表情を引きつらせる グレイゼスの手に予定の詰め込まれたメモがある エレキギターの包みを背負ったアースが横目に言う
「では 後は頼んだぞ?ART司令塔主任 マスターグレイゼス中佐?」
グレイゼスが言う
「何の嫌がらせです?この量は…?」
アースが言う
「心外だな?私はこのARTの最高責任者として 果たすべき任務へと 駆り立てられているのだが?」
グレイゼスが言う
「ご自分のご趣味へと 駆り立てられていると思いますがっ!?」
アースが言う
「確かに 趣味… というよりも 特技を生かしての作戦ではあるが そちらは このARTの者であるのならば 同じ事だ 私は すべての隊員を その者の特技を生かせる部署へと 配属している」
グレイゼスが言う
「それを仰るのでしたら ハブロス司令官は その役職名のままに 司令官でしょうっ!?」
アースが言う
「もちろん そちらの力が必要な時は そちらを使用する そして必要とあれば その他を使用する場合も有る その上で今は…」
グレイゼスがメモを見て言う
「今は 自分への嫌がらせか ご自身のご趣味を楽しんでおられる様にしか 見えませんが?」
グレイゼスがメモからアースへ視線を向けると アースが言う
「…そうか では そちらで結構だ」
グレイゼスが疑問して言う
「え?」
アースが言う
「そのスケジュールを終える事で 得られるギャラは 富裕層連中を相手にする資金繰りの10倍以上となる」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「えぇえっ!?」
アースが立ち去りつつ言う
「マシーナリーの更なる改善研究に 必要な費用が1日で賄うとなれば そちらの価値は十分にある」
グレイゼスがアースの背を見送ると 困り苦笑で言う
「やれやれ… そうと言われてしまっては…」
グレイゼスがコンソールへ向き直って言う
「手伝わない訳には行かないじゃないですか… とは言え 流石に この量を全て 俺1人でサポートしろと言われても」
コンソールの受話器が着信する グレイゼスが疑問して言う
「あれ?始業時間前に 直通コールって…?」
グレイゼスが受話器を取って言う
「こちらART司令塔 マスターグレイゼス中佐」
受話器からベイゼスの声が聞こえる
『お早う!マスターG!』
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「…って 事は もしかして?マスターVも…?」
ベイゼスが言う
『おうよーっ!アニキの緊急召集に マスターベイゼスマネージャーの 登場よ!』
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「マネージャーになったのっ!?」
ベイゼスが言う
『1日限定だけどな!?まぁそう言う 訳だから 音声関係は任せとけって!画像の方のチェックだけ よろしく!それじゃ!』
通話が切れる グレイゼスが苦笑して言う
「やれやれ 相変わらず 手際の宜しい事で… 流石は このARTの最高の司令官様 なら仕方が無い その最高の司令官様の最高の作戦に  俺も…!」
グレイゼスがメモを見てからコンソールを操作する

翌日

ハイケルが言う
「…で?」
グレイゼスがコンソールに伏して言う
「やっぱり 俺…  向いてないわあっ!このARTの司令塔主任としてっ!と言うよりもっ あの司令官様の部下って事にっ!」
ハイケルが言う
「…そうか」
ハイケルがコーヒーを飲んでから視線を変えると 視線の先で ラキンゼスが言う
「マスターベイゼスが付いてたんなら 安心だったな!?俺も 流石に アニキが歌ったら ヤバイと思ったんだけどさっ!?」
ベイゼスが言う
「おうよー!俺が付いてれば いくらアニキが歌ったって 声紋鑑定になんか引っかからせて やるもんかってなっ!…で!?どうだった!?ミュージックナイトの生放送で アニキが歌った IN YOUR SOULは!?」
ラキンゼスが言う
「そりゃ もちろん!最高ー!だったぜっ!」
ベイゼスが言う
「だろっ!?だろっ!?」
ラキンゼスが言う
「まるで あの 決戦の時にさ!?ハブロス司令官から 命令されているみたいでよっ!?臨場感が半端なかったぜっ!?」
グレイゼスが衝撃を受ける オペ子Aが言う
「言われてみれば?私も昨夜見たけど 確かに…?」
オペ子Bが言う
「歌詞と言い 雰囲気と言い… 確かに…?」
グレイゼスが衝撃を受け 悲鳴を上げて言う
「もう 頼むからっ!アニキ様の話は この司令塔内では 禁止にしてくれーっ!?」
皆が呆気に取られて顔を見合わせる ハイケルが澄ましてコーヒーを飲む

【 ART 司令官室 】

アースが電話をしていて言う
「…ああ、昨日一日で出来る事は全て行った 流石に無理を押した部分は否めないが 各局にも映像の再利用には膨大な費用を見積もって置いた 余程でなければ使いはしないだろう」
受話器からナルの声が聞こえる
『それなら 折角 無理をしてまで映像を 残したんだからよぉ?ジャンジャン使わせた方が良いんじゃないか?明日にはライバルバンドのCDが発売するんだぜ?アニキ?』
アースが言う
「だからこそ 使わせないんだよ ナル?その間に そちらのライバルバンドの映像が こちらに代わって 散々使われるだろう?」
ナルが言う
『それこそっ 一杯流されて ファンたちがそっちに 行っちまうじゃないかっ!?』
アースが言う
「ああ、そうかもな?しかし 少なくとも昨日の映像を見てナックキラーを知った連中が 本日再販のCDを買おうとするだろう?しかし そちらは既に完売で手には入らない そして 明日にはライバルバンドのCDを買う そして その後はそちらの映像と曲を嫌と言うほど見聞きする …そうしたらどうなる?」
ナルが言う
『そうしたら…?』
アースが言う
「飽きるだろ?」
ナルが言う
『あぁ… そりゃ まぁ…?』
アースが言う
「そして どう思う?」
ナルが言う
『どうって…?』
アースが言う
「もっと良い物があったんじゃないか?と思わないか?」
ナルが言う
『ああ…?』
アースが言う
「人は新しいものに敏感で 良いと聞けば直ぐに飛び付くが 飽きるのも速い しかし… 本当に良いと思ったものは決して忘れない そして それが手に入らないとしたら求め 得られないとなれば その記憶は 人々の中で その年月と同じだけ美化をされ 果てには それが伝説となる」
ナルが言う
『は、はぁ…?伝説に?それで…?』
アースが苦笑して言う
「まぁ その間に 何回かは膨大な費用の映像が 使われる事もあるかもな?そちらが入れば 何をするにしても事欠く事は無いだろう」
ナルが言う
『え?えーっと そりゃ そうだ?』
アースが言う
「辞めると言うのなら ここで止めても良い 美化されたクルーたちの期待を背負って また新曲を作っても良い お前たちだけで続けると言うのなら 好きにしてくれて構わないが …私は これで出収めだ」
ナルが驚いて言う
『えぇえっ!?で、出収めってっ!?完全復活するんじゃなかったのかよ!?』
アースが言う
「しただろう?この数日間?」
ナルが驚いて言う
『えぇええっ!?』
アースが軽く笑って言う
「ッフフ… まぁ 中々面白かったからな?出来る事なら 本当に完全復活をして ライブツアーでもやれれば最高だったのだが… やはり そうは行かない 私が遊んでばかりいると 悪魔の兵士が1人 心労で 死んでしまうかもしれないんだ」
ナルが言う
『はぁあっ!?え、えっとぉ~?』
アースが言う
「中々使える奴で 優秀な兵士だからな?彼を失う訳には行かないんだよ …と言う事で すまないな ナル お前たちと居られて楽しかったが 変わらず そのお前たちへ迷惑を掛ける」
ナルが言う
『いや 最高のソウルを貸してくれって頼んだのは こっちなんだ 俺らの方こそ 感謝してる …それに 一緒に居なくったって アニキは 俺らの兄貴でもあるんだからさ?…また いつか 一緒に遊んでくれよな?兄貴?』
アースが苦笑して言う
「ああ そうだな?また いつか …ハデにキメようぜ?」
ナルが言う
『おうよーっ!』
アースが微笑する

【 ART マシーナリー整備室 】

シーナが言う
「この人が最後の候補 パラス整備員ですが… 私は違うと思うんですよね?」
パラスが言う
「違うって?どうかしたのかい?シーナちゃん?」
ラミリツが言う
「うん 違う」
パラスが衝撃を受けて言う
「えっ!?…って 攻長閣下まで…っ?」
シーナが言う
「ですよねぇ~?あぁ~っ アニキは誰なんだろう?会えないと思うと 余計に会いたくなっちゃう…」
ラミリツが思う
(その気持ちは 良く分かるよ …何しろ 僕は あの頃から ずっとそう思って来たんだから…)
パラスが言う
「アニキって?シーナちゃん お兄さんが居たの?」
シーナが言う
「いえ?私は一人っ子ですから?」
パラスが言う
「は?それじゃぁ?さっきのは?」
シーナが言う
「ナックキラーのアニキですよ!パラスさんも 知ってますよね?昨日とかTVのチャンネルは ナックキラーが総舐めでしたから!」
パラスが言う
「ナックキラー?…あぁ あの うるさい歌の?」
ラミリツがムッとする シーナが言う
「パラスさんも 分からない人ですか?うるさい中に在る あのエレキギターの叫びが 堪らないんじゃないですかっ!そのギターを弾いている人が アニキですっ!」
パラスが言う
「さぁ?僕には分からないかな?うちは高位富裕層で 元々あー言う音楽は聴かない事が 品位だと思ってるからね?…ですよね?攻長閣下?」
ラミリツが言う
「戦いの中では 高位富裕層も何もないと思うけど」
パラスとシーナが驚く ラミリツが無表情に言う
「それでも 人が生きて行くのに それが必要だって言うのなら 守る必要もあるのかもしれないね?」
ラミリツが立ち去る パラスとシーナが顔を見合わせてから シーナが言う
「あ!それじゃ 私も これで!お疲れ様です パラスさん!」
シーナが走ってラミリツの下へ向かう パラスが言う
「あ… うん お疲れ… …って言うか そもそもシーナちゃんだって 女性じゃなったら 僕に声を掛ける事さえ許されないのに …分かってないよな?やっぱり 中位富裕層の子だよ …さて それはそうと この最新のモニターは 何処のメーカーからの…」
パラスが部品の下へ向かう

通路

ラミリツが歩いていると シーナが到着して言う
「あのっ ラミリツ隊長 さっきは…」
ラミリツが苦笑して言う
「ごめん ちょっと 大人気なかったよね?」
シーナが言う
「え?あ、いえっ …むしろ 私は凄いなって思いました 人が生きて行くのに 必要ならって… やっぱり 私は中位富裕層の者なので ラミリツ隊長やパラスさんの様な 高位富裕層の方の考え方には 及ばないと」
ラミリツが言う
「ううん さっきのは 僕の 本心じゃない」
シーナが言う
「え?」
ラミリツが言う
「今は どちらも同じ高位富裕層って呼んでるけど メイリス家だって 本当は 上位富裕層であって 高位富裕層よりは1つ下だからね?」
シーナが言う
「あ… そうだったんですか…?」
ラミリツが言う
「うん それもあるし そもそも 僕は階級なんて気にしてない …だから そう言う事を言う人も あんまり好きじゃないけど でも…」
シーナが言う
「でも?」
ラミリツが苦笑して言う
「少なくとも このARTに居る人は 皆 ハブロス司令官が必要として集めた …仲間だからさ?だったら …仲良く しないとね?」
シーナが呆気に取られてから苦笑して言う
「はい そうですね?」
ラミリツが微笑して言う
「うん!」
シーナが第一訓練所への入り口を見てから言う
「では 私は第一訓練所なので ここで失礼します!お疲れ様でした!ラミリツ隊長!」
シーナが走って行く ラミリツが苦笑してから思う
(本当は さっきは… もし、僕があそこで怒ったりしたら その僕が ハブロス司令官に怒られちゃうだろうって そう思っただけなんだけどね?だって… ここに居るARTのメンバーは皆 ハブロス司令官にとっての)
ラミリツが視線を向けると 視線の先 ハイケルがラミリツの視線に疑問してから 第一訓練所へ入って行く ラミリツが微笑して言う
「悪魔の兵士…」
ラミリツが思う
(ハブロス司令官の 者 だからね?)
ラミリツが軽く笑って言う
「ふふふ… ホント ハブロス司令官って」
ラミリツが思う
(アールスローンの悪魔みたいだよ?アニキみたいにさ?)
ラミリツが言う
「同じメイクをしたら きっと似合うよ?ふふふ…」
ラミリツが第二訓練所へ入って行く


続く
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