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1章

アナザーゲートキーパーズ 『トランペスターキング』

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アジト リビング

ヴィンがドアを開け室内を見てから言う
「うん?ユウヤはまだ 戻っていないのか…?」
ラミがワインを飲んでいた様子で言う
「あら?まだ起きていたの?ヴィン?もうとっくに 交代でしょう?」
ヴィンが言う
「ユウヤが戻らないのでは ベッドに入る事などは 出来ないだろう?」
ラミが言う
「けど リックが一緒なんだから?例え 手足を失ったって 最悪 生きては帰って来るわよ?」
ヴィンが不満そうに言う
「君とは違って 私はユウヤの手足も無事に 戻って来て欲しいと願って居るのだよ」
ラミが言う
「あらそう?まぁ私も 大切な所は失わないで帰って来て欲しいと 思っては居るけれど…」
ラミがワインを飲む ヴィンが言う
「まったく 肉体派は品が無いな」
ラミが言う
「失礼ね?処世術よ 貴方の薬や機械と同じでしょう?」
ヴィンが言う
「薬は兎も角 機械まで同じにしてもらいたくは無いな?」
ラミが言う
「あらそう?私は褒めてるのに?それに リックも喜んでくれたわ?」
ヴィンが言う
「うん?リックが?私はリックには 何も渡していないが?」
ラミが言う
「私が貴方に作らせた あの特性のバ〇ブよ リックが丁度良いって持って行ったわ… 私の身体で たっぷり使い方を試してから… あれ 凄く良いわ 先端がどんどん大きくなって… それに刺激も強まって行く… いくらイっても終われない… お陰で 喉が渇いちゃったわ?」
ラミが足を組みかえる ラミの足元にいる3人が興奮しつつ言う
「おお~っ!」 「み… 見えた…っ」 「はいてない…っ!」
ヴィンが言う
「私は 君の御要望通りにと作っただけだが?それとヴァンパイアなら良いが あれを人間に使う訳には行かないと… リックへ渡したのなら そちらはしっかりと 伝えてくれたのだろうな?」
ラミが言う
「大丈夫よ?女ヴァンパイアに使うって言ってたわ」
ヴィンが言う
「ふむ なら良いが… まぁ リックの事だ わざわざ伝えずとも 加減は分かるだろう」
ラミが言う
「さぁ どうかしら?結構激しかったし お陰で 少し傷付いちゃったから…」
ラミがワインを飲んで言う
「やっぱり これじゃ 駄目ね?ヴィンがまだ起きているのなら 私は喉と身体を潤しに行って来ようかしら?」
ヴィンが室内を見渡してから言う
「カルも出ているのか?」
ラミが言う
「ええ カルはリックに頼まれて… リーダーのお守りよ?」

レンタル屋 外

カルが言う
「なぁ~?もう 帰らへん リーダー?ワイ 腹減ったわ~」
テールが言う
「いや!今日は長期戦だ!彼女がバイトを終えて 店を出て来るのを ここで待つ!」
カルが言う
「え~?長期戦なん?今日は昨日吸い残しとったキウを 吸ってから見張りの交代まで ぐっすり寝ようと思っとったんよ~?せやから なぁ~?」
テールが言う
「俺は今日 気付いたんだ!彼女も仕事中じゃ俺に 『正面から挿し込んで良いですよ』って言い辛いんだよ!きっと!だからこうやって 店の外ならさ!?」
カルが言う
「そなん 関係あらへんと思うんやけど…」
テールが気付いて言う
「あ!出て来た!おーい!」
テールが走って行く カルがテールを追う

アリーシャがテールに気付き 一瞬驚いてから不満の表情を表して 立ち去ろうとする テールがその前へ立って言う
「あぁっ 待って!待って!俺は ずっと待ってたんだからさ?」
アリーシャがムッとして言う
「待って居なくて結構ですっ って言うか お店の外でまで 何なんですか!?」
テールが苦笑して言う
「そう言わないでくれよ?俺はただ あんたの身体に 正面から挿し込ませてもらいたいだけで…」
テールが平手打ちされて言う
「痛ぇっ!」
アリーシャが言う
「変態っ!もう近付かないで!」
テールが叩かれた頬を押さえて苦笑して言う
「なぁ?どうしても駄目かなぁ?」
男が現れる アリーシャが気付いて言う
「ペイ!」
テールが疑問する アリーシャがペイの下へ急いで向かう ペイが言う
「アリーシャ あいつは?」
アリーシャがペイの腕に 自分の腕を回して言う
「お店のお客さんで いつもアダルトDVDを借りに来て 私に変な事言う人なのっ」
テールが苦笑して言う
「ありゃ?もしかして?」
ペイがテールの頬を見てから苦笑して言う
「ぷっ… 俺の彼女に 何か用か?」
テールが言う
「ああ、俺は 彼女に正面から挿し込ませてもらいたかったんだけど… そっかぁ 彼氏が居たのか… 通りで 良いって言ってくれない訳だ?」
ペイが呆気に取られた後 吹き出して笑う アリーシャが言う
「居なくたって同じよ 変態っ」
テールが苦笑して言う
「変態 変態って… 俺の名前はテールだよ 知ってるだろ?」
アリーシャが言う
「そう言う事じゃなくてっ …ペイ?貴方からも何か言って?」
ペイが言う
「殴られても分からない奴に 言葉で言っても分からないんじゃないか?行こうぜ?」
ペイがテールに背を向けて歩き出す アリーシャが言う
「…だけど 1言くらい 何かガツンって言ってくれても…」
アリーシャがペイの腕に自分の腕を回したまま立ち去る テールが言う
「あ、待ってくれよ?なぁ…?」
テールがアリーシャを追って歩く 離れた所に居たカルがハッと気付いて言う
「あ、しもたっ!?つい 美味そうな女に目を奪われてもーたわ!?」
カルがテールを追う

娼婦街

アリーシャがペイへ言う
「ねぇ?何処へ行くの?こんな所… 私、何か食べたいな?お昼忙しくて食べられなかったの お腹空いちゃって」
ペイが横目に後方を見て言う
「アイツ… 追って来てるのか?」
アリーシャが言う
「え…?」

テールが歩きながら溜息を吐いて言う
「あ~ぁ~ この辺りって事は 彼女 これから あの男を正面から挿し込むのかなぁ?彼氏だもんなぁ?良いよなぁ~?彼女に毎日挿し込んでるんだろうなぁ~?」
カルが言う
「なんや?テールはただ挿し込みたいだけなん?せやったら この辺りの娼婦にでも挿し込んどったらエエやん?」
テールが言う
「駄目だってっ!俺は 彼女に挿し込みたいの!」
カルが言う
「何でや?彼女やのーても 女になら穴はあるんやで?」

アリーシャが言う
「あ… でも確か 会員情報だと あの人の住所 こっちの方だから?」
ペイが言う
「そうか なら たまたまか…?」
アリーシャが言う
「それより この辺は娼婦街でしょ?別の所へ行こうよ?」
ペイが言う
「いや、先にヤってからにしようぜ?」
アリーシャが不満そうに言う
「ペイまで 同じ事言うの…っ?」
ペイが苦笑して言う
「同じって…?俺は お前の彼氏だろ?アイツとは違うじゃないか?」
アリーシャが言う
「それはそうだけど… 私は今そんな気分じゃないの お腹も空いてるし… それに先ずは2人で 何か楽しめる事してからじゃないと…」
ペイが言う
「セッ〇スだって 2人で楽しむ事だろ?それに 女は空腹の時の方が上手いらしいぜ?」
アリーシャが不満そうに言う
「なによそれ?やめてよ そう言うの…っ」
ペイが言う
「アイツが来るなら何処か アイツに見える所で やってやろうか?この辺りなら アオカンも普通だし …アイツ悔しがるかな?」
アリーシャが言う
「冗談…っ そんなの止めてよ?私はこの辺りの娼婦なんかじゃないのよ?」
周囲では娼婦たちが客の相手をしているのが垣間見える

テールが言う
「それにしても あの彼氏 あっちは兎も角 腕っ節の方は強いのかなぁ?この辺りって 結構 物騒だから 女連れじゃ危ないと思うんだけど?」
カルが言う
「それで わざわざアジトから遠回りして あの2人追って こっちの道へ来よったん?」
テールが言う
「まぁ… ここまで来たら ついでだったしさ?リックの知り合いの娼婦が居たら カルの言う通りちょっと穴を貸してもらおうかなぁ?とか… カルもやるか?」
カルが言う
「う~ん それよかワイは やっぱワイの獲物の味を まずは味わいたいと思っとるんよ?せやから 早よ アジトに帰りたいわ~?」
テールが言う
「そっか?それじゃ しょうがない このままアジトへ帰るか?」
テールがカルへ向けていた視線を正面へ戻し衝撃を受ける

ペイがアリーシャの身体を愛撫しながら言う
「…やべぇ俺 我慢出来なくなって来た ヤろうぜ?アリーシャ?」
アリーシャが不満そうに言う
「え~?本気?もう… それじゃ ホテルに入ろう?外でなんて 絶対嫌よ?」
ペイが周囲を見渡して言う
「何処も満室だなぁ… だから 皆外でヤってるのかもな?もう1つ隣の道に行くか?」
アリーシャが言う
「でも、これ以上奥の通りは危険だって…」
ペイが言う
「なら 外でヤるか?」
アリーシャが言う
「それなら 私の部屋に…」
ペイがアリーシャの腕を引き 通路を曲がって言う
「もう そこまで耐えられねぇよっ」
アリーシャが驚いて言う
「きゃっ!?」

テールが驚いて立ち止まり通路を見る カルが言う
「追うんか?アジトはこの先やけど?」
テールが言う
「ん~… …なら 俺はあいつらが何処かの建物に入るのを 確認だけして来るから カルは先に帰っててくれ」
テールがアリーシャたちを追って走る カルが置いてかれて言う
「えっ?う~ん… せやけど テールに何かあったら ワイが リックに殺されるわ…?」
カルがテールを追って歩く

テールが通路の先で左右を見てハッとする 視線の先 アリーシャとペイが賊に囲われている 賊1が言う
「可愛い女 連れてるな?兄さん?」
アリーシャが怯えてペイの腕に縋る ペイが周囲を見て困って言う
「あの… 悪いけど そこ通してくれないか?」
賊2が言う
「この先は 俺たちの縄張りなんだよ 通るなら 通行料を払わねぇとな?」
アリーシャが言う
「それなら 私たちは戻りますから…っ」
賊5が言う
「この手前も同じだ このストリートは全て俺たちの縄張りだから 足を踏み入れた時点で 通行料は払ってもらわねぇと?」
ペイが困って言う
「か、金なら…」
賊3が言う
「ああ、それなら 有り金は全て没収だ 後 彼女からは…」
アリーシャが言う
「お金なら 私も全部渡しますっ」
賊4が言う
「女から金を奪ったりはしないぜ 安心しな?」
アリーシャが疑問して言う
「え…?」
賊1が言う
「男の金は2人の通行料… 後 2人の命は 彼女の身体で払ってもらう」
アリーシャが怯える 賊たちが周囲を囲う アリーシャがペイへ言う
「ペイっ!?」
ペイがアリーシャを自分の腕から引き離して言う
「こうなったら仕方がないから… お前 あいつらの相手して来いよ?」
アリーシャが驚いて言う
「嘘っ!?」
賊たちがアリーシャへ手を伸ばす アリーシャがペイへ助けの手を伸ばして言う
「嫌よっ!ペイっ!?」
賊1がペイへナイフを向ける ペイが後退り財布を地面へ放る 賊1が財布を拾って言う
「よし お前は戻って良いぜ?」
アリーシャがペイへ叫ぶ
「助けてっ!ペイっ!」
ペイが一度アリーシャを見てから逃げる アリーシャが驚く 賊たちがアリーシャへ襲い掛かり服を引き裂く アリーシャが叫ぶ
「嫌ぁーっ!」
テールが叫ぶ
「止めろっ!」
アリーシャが驚く 賊たちが振り返った先で テールが言う
「彼女は 嫌だって 言ってるだろ?」
賊たちが顔を見合わせた後 笑って言う
「あっはははっ 兄ちゃん 1人で俺ら5人に立ち向かって来るなんて 馬鹿か?」 「それとも 腕に自信ありか?」
賊たちがナイフを手にしてテールに向かう テールが言う
「生憎 腕に自信も その腕に武器も無いけど それでも ただレンタル屋で働いてるだけの彼女に 無理やり挿し込もうって言うのを 無視は出来ない …男は女に無理強いしちゃいけないんだぜ?父ちゃんに習わなかったか?」
賊たちが苦笑して言う
「習ってねぇな?」 「ああ、男は女を自由にして良いって 習ったかもしれねぇな?」 「ああ、そいつは良い そう習ったぜ?」
テールが言う
「そっか… それじゃ 男相手に体力使いたくはないんだけど… 考え方が違うんじゃしょうがないよな?」
テールが拳を握り身構える 賊たちが手にナイフを持って構える カルがテールの前に立って言う
「おっと せやったら ここは選手交代やで?」
テールがカルを見て言う
「カル?」
カルが言う
「折角カッコ付けた所 悪いな テール?せやけど テールが怪我すると ワイが リックに殺されるさかいに?」
賊たちがカルを見て言う
「デ、デカイ…」 「馬鹿っ 怖じけるな 相手は1人だろ!?」 「武器も無いんだ 行けるっ」
カルが言う
「ほな そっちからで エエよ?どっからでも 掛かってきいや?」
賊たちがカルへ構える

賊たちのナイフが払い飛ばされる 賊たちが呆気に取られる カルが笑んで言う
「今度はこっちから行くで?覚悟はエエか?ゲートキーパーズのリーダーへ武器を向けると こないなるんやで?しっかり身体に教え込んだるさかいに」
賊たちが驚いて言う
「ゲ、ゲートキーパーズっ!?」
アリーシャが反応してカルを見る 賊たちが後退る カルが一歩近付く テールが言う
「カル それ以上は良い」
カルが立ち止まって言う
「え?何でや?ここからがエエトコやのに?」
テールが言う
「ヴァンパイアは 武器を持たない人間を 攻撃しちゃいけない… ゲートキーパーズのルールだろ?」
カルが疑問して言う
「え?そなん あったっけ?」
テールが言う
「無いなら 俺が今作った …けど、リックはいつもそうしてるから 本当は あるんじゃないか?」
カルが言う
「まぁ… せやな?男が力の劣る女を 攻撃するんはあかん様に ヴァンパイアが力の劣る人間を攻撃するんは あかんのかもしれへんわ?けど おまいらが 襲い掛かって来よるんなら 話は別やで?」
カルが賊たちを見て笑う 賊たちがカルの牙に気付いて言う
「ヴァ、ヴァンパイアっ!?」 「ゲートキーパーズのヴァンパイアかっ!?」
カルが賊たちへ身構える 賊たちが慌てて言う
「ヴァンパイアに勝てる訳ねぇ!」 「血を吸われるぞ!?」 「逃げろー!」
賊たちが逃げ去る カルが困って言う
「え?おまいらの不味そうな血なんか 吸わへんよ?失礼な奴らやなぁ?」
テールが微笑して言う
「カル ありがとな?お疲れ」
カルが苦笑して言う
「何や 逆に疲れたわ?むしろ 思いっきり暴れたっても良かったんやけど?」
テールが言う
「カルが暴れたら あいつら殺しちゃうんじゃないか?」
カルが衝撃を受けてから慌てて言う
「殺したりなんかせぇへんよっ!?ちゃんと 手加減出来るて!?これでも ワイは650年生きとるんやから うっかり 手加減間違えるんは 5人に1人位やで?」
テールが言う
「じゃぁ あいつらの内1人は うっかりしちゃうだろ?だから だめー!」
カルが気付いて言う
「あ!せやな?流石リーダーや!」
アリーシャが言う
「ゲートキーパーズ…?貴方が?」
テールが苦笑して言う
「ああ、そう言えば?会員登録した頃は まだ ゲートキーパーズは 活動してなかったから… 職業欄には 無職って書いたっけ?」
アリーシャが怯えて言う
「貴方も ヴァンパイアなの…っ!?」
テールが言う
「俺は人間だよ ほら?牙だって無いだろ?」
テールが口を開けて見せる アリーシャがホッとする テールが近くへ来て言う
「それに ゲートキーパーズのヴァンパイアは むやみに人間を襲ったりなんかしないよ?」
テールが上着をアリーシャへ被せる アリーシャが驚く テールが言う
「じゃ とりあえず これ着て?それから ここは離れた方が良い あいつらの他にも 同じ様な奴らが この辺は多いからさ?」
アリーシャが呆気に取られていた状態から テールに支えられ立ち上がる

マルス街

ユウヤが速足で歩きながら振り返る 人影が隠れる ユウヤが目を細め 再び正面を向いて歩きながら思う
(やっぱりそうだっ 誰かが俺を追ってる!それも… 1人や2人じゃない!車じゃ正面を止められたら終わりだから 何とか このまま… 人の居る駅までっ)
ユウヤが駅の看板を見て足を急がせる 追っ手が迫って来る ユウヤが思う
(読まれてるのかっ!?それならもうっ!)
ユウヤが走り出す 追っ手が走って迫って来る ユウヤが曲がり角を曲がり 正面の駅を見据える その先に先手が現れる ユウヤがハッとして周囲を見渡す その目が見覚えのある寝具店を見付ける ユウヤが思う
(こうなったらっ 一か八かだっ!)
ユウヤが先手が現れた手前を 急に曲る 追っ手たちがハッとして追い掛けて言う
「待てっ!」
ユウヤが思わずヒッと息を吸い走る 棺屋の入口が見える 扉にはクローズの表示がある ユウヤが思う
(頼むっ!開いていてくれっ!)
ユウヤがドアノブを掴み引く ドアが開く ユウヤがハッとして思う
(開いたっ!!)
ユウヤが急いで入り ドアに鍵を閉める 追っ手たちがドアを叩き 開けようとするが鍵が掛かっている為開かない ユウヤがホッとする 店の奥からタクの声が聞こえる
「うん?何か騒がしいな…?…あれ?」
ユウヤが顔を向けて言う
「あ…っ」
タクがやって来て言う
「ああ、いらっしゃいませ?えっと… ゲートキーパーズの… ユウヤさん!」
ユウヤが苦笑して言う
「あ うん…っ ごめん もう クローズなのに」
タクが言う
「いえ 大丈夫ですよ?何か急な ご用命でも…?」
店のドアが軽くノックされる タクが顔を向ける ユウヤが慌てて言う
「ああっ 待ってくれっ!実は 今… ちょっと 追われていて…っ」
タクが呆気に取られて言う
「え?追われて?」
ユウヤが苦笑して言う
「う、うん それで ごめん つい 入っちゃったんだけど… もちろんっ 迷惑を掛けるつもりは無いから」
店のドアがノックされる タクが再び顔を向ける ユウヤが慌てて言う
「ああ!でも そのっ!ドアを開ける前に!えっと…?あ、裏口とか!?あったら 教えてもらえないか!?」
タクが言う
「あ、はい 分かりました でも その前に…」
店のドアがノックされる タクがドアを開けに向かう ユウヤが慌てて言う
「あっ!駄目だっ!」
タクが言う
「すみません ユウヤさん… でも 彼は短気なので」
タクが店のドアを開ける スペードが入って来てタクを見る ユウヤがハッとして思う
(え?…あ、あの人は 以前のっ!?)
タクが微笑して言う
「お帰りなさい」
スペードがユウヤを見てから タクへ言う
「店の前に 邪魔な奴らが居たが?それで ドアを閉めていたのか?」
タクが言う
「どうやら そうみたいです 僕が閉めたんじゃないですよ?ちゃんといつも通り 開けて置きましたから 怒らないで下さいね?」
スペードが言う
「もう 怒った後だ」
スペードが店へ入って行く タクが店の外を見てから言う
「あ~あ… また やっちゃって…」
タクの言葉に ユウヤが疑問して ドアの外を見ると 店の前に警官たちが倒れている ユウヤが驚いて思う
(あれは 警察の…っ!?俺を追っていたのは 警察だったのかっ!?)
タクがドアに鍵を閉めて言う
「警察に知られると 僕が困るんですから…」
スペードが棺の蓋を開けて言う
「奴らに姿を見せてはいない 他の奴には見られたかもしれないが… …うん?」
ユウヤが思う
(他の奴?まさか他にも…?)
スペードが棺の中を見て不満そうに言う
「これは 俺のベッドだぞ?ジャック 間違えるな」
ユウヤが疑問する 棺の中からジャックが 眠そうに起き上がって言う
「ん…?間違えたか?」

ユウヤが衝撃を受けて思う
(うっ… あの人も確か 先日…っ)
スペードが言う
「昨日 配置を換えただろう?お前のベッドは向かいだ」
ジャックが言う
「こっちの方が 日当たりが悪くて好みなんだけど…」
ユウヤが思う
(日当たりが 悪くて好みって… なかなか聞かない言葉だけど…)
スペードが言う
「タクに言え 外観のデザインで 場所を変えるんだそうだ お前のベッドは蓋が軽いから 向かい側だ」
ジャックがタクへ向いて言う
「タク… 配置は以前の方が良い 蓋なら重いのに変えてくれても 良いから…」
タクが苦笑して言う
「すみません あの棺は 元々軽い方の蓋のデザインになっているので」
ジャックが言う
「そうなのか… なら ベッドを変えるか 俺はベッドより 場所を優先する この隣のベッドへ引っ越す」
スペードが言う
「そのベッドは ジョーカーのベッドだぞ?今日は居ないが」
ユウヤが思う
(ジョーカーのベッド?つまり この2人以外にも ヴァンパイアが住み着いているのか?)
ジャックが言う
「なら とりあえず 今日だけでも…」
スペードが言う
「匂いが残って怒られても 知らないぞ?あいつは 短気だから…」
ジャックが言う
「1日位良いだろう?借りたと言えば… うん?」
スペードが言う
「まぁ そうかもな… ん?どうした?」
棺からクイーンが起き上がる ジャックとスペードが声を合わせて言う
「「クイーン ベッドを間違えているぞ?」」
ユウヤが衝撃を受けて思う
(クイーン!?…どう見ても男性だけど …いや?けど、これで4人か …俺たちのゲートキーパーズより 多くのヴァンパイアが この1つの店に…)
クイーンが疑問して言う
「…ん?間違えたか?…いや?この角のベッドは俺のベッドだ 間違いない」
ジャックが言う
「ベッドの配置を換えただろう?」
スペードが言う
「お前のベッドは 一番下の段だ」
クイーンが言う
「俺はちょっと上が好きなんだ それに この蓋の重さが気に入った 今日から このベッドを使う」
スペードが言う
「だからそれは ジョーカーのベッドだと…」
クイーンが言う
「げ!?ジョーカーのだったのか?アイツの変な匂いが 俺の服に付いたら嫌だな …さっさと自分のベッドへ戻ろう」
クイーンが棚から飛び降りて 他の棺へ向かう ジャックが言う
「じゃぁ 俺が借りるかな」
スペードが言う
「だが 明日からはどうするんだ?」
ジャックが言う
「う~ん そうだな… 明日からのベッドは…」
クイーンが自分の棺を開けて言う
「…ん?フォース?これは俺のベッドだが?」
フォースが起き上がって言う
「え?そうだったか?あれ?本当だ?俺のベッドは何処に行った?」
ユウヤが衝撃を受けて思う
(今度はフォース!?5人目だけど… って一体 何人居るんだ?…いやっ それよりも…っ)
クイーンが言う
「あれじゃないか?一番上にある…」
ユウヤがタクへ言う
「えっと… それじゃ 俺…」
タクがユウヤへ向いて言う
「あ、はい でも 大丈夫なんですか ユウヤさん?確か さっき 追われているって…?」
ユウヤが言う
「う、うん でも…」
ユウヤがスペードを見る スペードが棺に入り蓋を閉める ユウヤがタクへ向き直って言う
「偶然だけど 彼が その追っ手たちを 倒してくれたみたいだから …助かったよ」
フォースが言う
「あ!あった!あぁ~ あんなに高いよ?俺 片方足が無いから 高い所は困るなぁ…?」
ユウヤがフォースの義足に気付いて思う
(ヴァンパイアなのに 足が…?)
タクが言う
「そうですか… でも 本当に大丈夫ですか?警察や 他にも誰か居たって言ってましたし?」
ジャックが言う
「なら 誰か向こう側の下の奴と代わって貰えよ?俺は下は嫌だけど 日当たりの良い 向こう側はもっと嫌だ」
フォースが向こう側の下の棺を見て言う
「ああ、このベッドは キングのベッドじゃないか?キングなら 高い所が好きそうだ 代わってくれるかなぁ?」
ユウヤが言う
「うん… でも タクや ここに居る皆に 迷惑は掛けられないから」
タクが言う
「迷惑なんかじゃないですよ?元々僕も 彼らが住み着くようになってから 警察たちの目が厳しくて…」
ユウヤが呆気に取られて言う
「え?そうなのか…?」
タクが言う
「はい、お陰で お客さんも昔の半分近くまで 減ってしまって…」
フォースが棺をノックする 棺の蓋がズレる フォースが言う
「キング~?ちょっと相談なんだが~」
タクが苦笑して言う
「しかし 彼らはもう 僕にとって 家族の様なものですから… 僕は気にしていません だから ユウヤさんも困っているのなら 力を貸しますよ?ユウヤさんは お得意様であるゲートキーパーズの あのテールさんのお仲間なんですから それなら彼らにとっても 仲間だと思います」
ユウヤが言う
「彼らが… 仲間?俺とも…?」
ユウヤがハッと気付く ヴァンパイアたちがユウヤを見ている ユウヤが呆気に取られていると ジャックがユウヤの匂いを嗅いでから首を傾げて言う
「う~ん… まぁ 確かに 少し匂うっちゃ 匂うんだが それにしては 薄過ぎる… お前は誰かの獲物なのか?」
ユウヤが言う
「あ… 俺は…」
クイーンが言う
「獲物であろうが無かろうが ゲートキーパーズなら あのリックの仲間って事だろう?」
ユウヤが言う
「リックを知ってるんですか?」
フォースが言う
「もちろん?…それなら 俺らのリーダーとも縁があるからな?確か 追われてるって?小耳に聞こえたが?」
ユウヤが言う
「はい… 隣町の警察署を出た時から… それで 一度様子を見ようと この街で降りたんですが それからもずっと… でも、俺を追って この店の前に居た所を たまたま退治してもらったみたいで…?」
ユウヤが店のドアを見る 棺の蓋が開きスペードが身を起こして言う
「奴らは俺が始末したが それだけじゃないだろう?お前は警察にも 他の連中にも追われている 1人で外を歩く事はしない方が良い」
ジャックが言う
「それなら 誰か 彼をゲートキーパーズのアジトへ 送ってやったら良いんじゃないか?」
ユウヤが驚いて言う
「え!?そんな!?…でも、良いんですか?」
ジャックが言う
「あのリックの仲間を見殺しにしたとなれば 俺たちのリーダーがリックとの縁を失う だから これは リーダーからの命令になるだろう」
棺が開き キングが起き上がる フォースが振り向いて言う
「キング…」
ユウヤがハッとキングを見て思う
(キング?…では この人がっ!?いや?このヴァンパイアが 彼らのリーダー!?)
キングが言う
「話は聞かせてもらった …誰か」
ユウヤが息を飲む キングが言う
「リーダーを起してやってくれ それで 1から説明を」
ユウヤが衝撃を受けて思う
(あんたがリーダーじゃなかったのかっ!?)
ユウヤが言う
「”キング”なのに…?」
スペードが棺をノックして言う
「おーい リーダー?起きろー?」
棺の蓋がズレる ユウヤが注目する

アジト

ユキが料理を置いて言う
「はい どうぞ 遠慮しないで食べて?」
アリーシャが料理を前に言う
「本当に 有難う御座います」
ユキが微笑して言う
「良いのよ 丁度1人分 余ってたから?」
テールが料理を食べながら言う
「それで そのユウヤはまだ戻ってないのか?それに元は リックが置いて来ちゃったって?」
リックがワインを飲みながら言う
「ああ 邪魔だったからな?」
テールが言う
「いくら邪魔でも 仲間を置いて来ちゃ駄目だろ?ユウヤにもしもの事があったら ヴィンがまた 泣き寝入っちゃうじゃないか?」
リックが言う
「ユウヤはヴィンの獲物だ 元々 アイツが守るモンだ」
カルが言う
「リックやてテールのお守りをワイに任せとったやん?せやったらリックもユウヤをおりしとってやらなぁ あかんのちゃう?」
リックが言う
「俺はてめぇに頼んだが 俺はヴィンに頼まれちゃいねぇよ …あぁ そういやぁ ヴィンで思い出した ほらよ?ラミ?」
リックがラミへ放る ラミが放られた物を受け取ると リックが言う
「やっぱり お前より 色気があったぜ?…うっかり 俺のを挿し込みたくなっちまった」
ラミが言う
「あの淫乱女ヴァンパイアに挿し込んだモノなんて もう要らないわよ ヴィンに新しいのを作ってもらうわ」
ラミがゴミ箱へ放る リックがテールへ言う
「それで?お前が以前から 挿し込みてぇって言ってた女は そいつか?テール?」
アリーシャが衝撃を受ける ユキが言う
「暴漢に襲われそうになった彼女に 何て事言うのよ?リック!」
リックが言う
「ハッ!女を置いて逃げるような男なんざと 付き合ってやがるから そんな目に会うんだろう?」
アリーシャが視線を落とす テールが苦笑して言う
「まぁまぁ リック?俺だって カルが居なけりゃ あいつらを追い払えなかったんだからさ?同じだろ?」
リックがテールの近くへ来て言う
「だったら何で助けに 割って入ったんだ?この女を助けてやりてぇと思ったんだろ?」
テールが言う
「ああ、それはそうだけどさ?」
リックが言う
「だったら 逃げ出して行った その男は何なんだよ?」
テールが疑問して言う
「え?さぁ…?それは 分かんないけど?便所にでも行ったのかな?」
リックが軽く笑って言う
「っはははっ!お前には 理解出来ねぇか?まぁそうだろうな?流石は俺の息子だぜ…?」
リックがテールの頭を撫でて身を近付ける テールが微笑する リックが気付いて言う
「うん?…何か カル臭ぇな?」
テールが疑問して言う
「え?」
テールがカルを見る カルがヤウの首に噛み付いていて吸い上げてから言う
「ぷはーっ!ああ!そら しゃぁないやん?ずっと一緒におったんやから 結構長い事 店の外で待たされたんやで?」
ヤウがぼうっと言う
「はぁ~ やっぱ ラミの身体は最高だったなぁ~?」
ラミが言う
「あら?そんなに3人揃って 吸血時の幻覚作用で 私とのセッ〇スを妄想してくれるって言うのなら …また 相手をしてあげちゃおうかしら?」
3人が飛びついて言う
「マジでっ!?」 「やった!?」 「頼むぜ ラミ!」
カルが言う
「なんや?ラミとヤるんかっ!?ほな ワイも入れてや!?」
ラミがテールを見て言う
「リーダーもヤるんでしょう?…それとも?」
ラミがアリーシャを見る アリーシャが一瞬驚いてからテールを見る テールがラミへ言う
「え?何?また皆で ラミを強姦するのか!?なら もちろん 俺もヤるって!」
アリーシャが衝撃を受ける ユキが呆れて言う
「遊びなら 軽々と出来るのね?本命は… 大切に アジトにご招待して 食事をご馳走するのに…?」
アリーシャが驚いて言う
「え…?」
アリーシャがユキを見る テールがユキを見てから言う
「だって 皆でヤると 色々勉強になるからさ?後は ラミなら思う存分突き上げられるし?あはははははっ!」
アリーシャが沈黙する ラミが言う
「人間に突き上げられたって大した事無いわ?あぁ、でも折角だから より色気の上がる薬でも用意させようかしら?ヴィンはまだ起きてる筈だから」
ラミが立ち上がり部屋を出て行く リックが言う
「何だ?またヴィンの奴は ユウヤを待って徹夜か?折角 ヴァンパイアの人数が増えたってぇのに ローテーションが狂うじゃねぇか」
カルが言う
「リックが ヴィンの獲物を勝手に連れ出して 放置して来よったからやん?」
テールが言う
「そう言えば リックはユウヤと2人で どこへ行って来たんだ?」
リックが言う
「ああ、この街の警察署に行くって言ったら 連れてけってよ?だが ヲルス街の女ヴァンパイアを 犯しに行くのには邪魔だったから 警察署の前に置いて来たんだ」
ユキが言う
「だったら 一度アジトへ連れて戻れば 良かったじゃない?こんなに遅いって事は 何かあったんじゃ…?」
リックが言う
「…そうかもな?連中が動くとしても もう少し後になると思ったんだが …まぁ 捕まっちまったんならしょうがねぇ 助けに行けば良いだけだ」
テールが言う
「助けにって どこに…?」
ラミが部屋へ戻って来て言う
「ねぇ~?ヴィンが居ないんだけど?」
リックがラミを見る

アジト 外

ヴィンが屋根の上で瞳の色を変えて周囲を凝視していて気付き 視線を強めて姿を消す

ユウヤがエースに肩を抱かれ 建物の屋根から屋根へ飛び移っている エースが気付き立ち止まる ユウヤが疑問してエースを見上げる エースは正面を見詰めている ユウヤが疑問して言う
「あの…?何か?」
ユウヤがエースの視線の先を見て驚いて言う
「ヴィン!?」
ヴィンがエースを見て言う
「彼は私の獲物だ」
エースがヴィンへ視線を向けたまま言う
「へぇ?そうか?ゲートキーパーズの仲間と聞いて 奴らのアジトへ …リックの下へ届けてやろうと思ったんだが?」
ヴィンが黒いラインの印が付いた試験管を手にする エースが苦笑して言う
「…そう敵意を向けないでくれよ?俺は 先にも言った通り コイツを送りに来ただけだぜ?」
エースがユウヤの肩から手を離す ユウヤが言う
「ヴィン 俺は 彼や彼の仲間に助けられたんです!ですからっ」
ヴィンがエースへ強い視線を向ける エースが苦笑して言う
「じゃぁ 送りはここまでで良さそうだな?ユルス街の天才科学者 ヴィーンリッヒの薬には 気を付けねぇと …俺ら ヴァンパイアを」
ヴィンが言う
「余計な事は言ってくれなくて結構」
エースが苦笑して言う
「…気が立っているな?本当に何もしちゃいない… 話してもいない… 多少の匂いは付いたかもしれねぇが もちろん吸ってもいねぇ… と、言っても 獲物にしているにしては 随分と無防備みてぇだがな?」
エースがユウヤの首筋を指先でなぞって微笑する ユウヤが一瞬身を震わせてエースを見る ヴィンが目を細め試験管を持つ手を強める エースが苦笑して消える ユウヤが振り返って言う
「あ…っ」
ユウヤが思う
(お礼も言えなかったな… それに 名前を聞く事も…)
ユウヤが考えて居るとヴィンが横に立つ ユウヤが気付いてヴィンを見上げて言う
「ヴィン?もしかして ヴィンは 彼を知っているんですか?彼はヴィンの事を 知っているみたいでしたが?」
ヴィンが言う
「ああ、彼は マルス街の城の持ち主である トランペスターキング… 通称 エースと呼ばれる マルス街を代表するヴァンパイアだ」
ユウヤが言う
「トランペスター キング…?」
ヴィンが苦笑して言う
「『トランプ好きな王様』と… 遠い昔に呼ばれていた男で エースという名も 恐らく本人が名乗って居るだけの 本名では無いだろう… 最も 長くを生きる我々ヴァンパイアには 良くある話だ」
ユウヤが言う
「なるほど… では エース さん…」
ヴィンが微笑して言う
「通称に敬称を付ける必要は無いだろう?増してユウヤは 私の獲物なのだから…」
ユウヤが言う
「ヴィンの獲物だから…?」
ユウヤの身体に雨粒の様に液体が降り注ぐ ユウヤが突然降り掛った液体の冷たさに思わず声を出す
「うぅっ!?」
ユウヤが顔を上げると満月の夜空から霧状になった液体がユウヤの身に降りかかる ユウヤが疑問して顔を向ける  試験管を夜空へ振り上げて居たヴィンが言う
「失敬?さて… それではアジトへ戻ろうか ユウヤ?リックや他の皆も心配して居る…」
ユウヤが言う
「あ… はい…」
ユウヤが思う
(今の薬は…?あ!もしかして?)
ユウヤがとっくに見えなくなったエースの姿を探して思う
(以前 ラミへ使っていた …匂いを消す薬か?)
ヴィンがユウヤの肩へ腕を回して言う
「それでは… すまないが 少し我慢をしてくれ?この高さでは しっかりと支えなければ ユウヤの身に危険が生じかねない」
ユウヤが言う
「は、はい…?」
ヴィンがユウヤを抱き上げ建物の屋根を飛び移って行く

アジト

ヴィンとユウヤが現れ ヴィンがユウヤを下ろして言う
「さぁ… お帰りユウヤ?疲れてはいるだろうが 一度リビングへと向かい 皆へ無事を知らせると良い」
ユウヤが言う
「はい 有難う御座います ヴィン」
ヴィンが微笑して言う
「私は何もしていないが… それから ユウヤ?これから外出する時には 一度 私へ声を掛けてくれ給え そうすれば 私はいつでもユウヤに同行する… それに、もし 私が居ては差し支えが有る様ならば 代わりに 何かお守りになるモノを 渡す事も出来るだろう」
ユウヤが言う
「分かりました …心配を掛けて すみませんでした」
ヴィンが微笑して言う
「分かってくれれば良いのだよ 今は 少々物騒だ 男女問わず ゲートキーパーズの者は皆… リックもテールの護衛にカルを付ける程だ」
ユウヤが言う
「え?そうだったんですか?」
ヴィンが言う
「ああ… だから ユウヤも十分に…」
ラミがアジトの中から出て来て言う
「ユウヤー!」
ラミがユウヤに抱き付く ユウヤが驚いて言う
「ラ、ラミ!?」
ラミが言う
「お帰りなさい!ユウヤ!ちゃんと無事に戻って来たのね!?欠損は無い?大切な所も ちゃんと…」
ユウヤが衝撃を受ける ラミがユウヤの股間を愛撫して言う
「良かった… ちゃんと 無事だったみたいね?それなら… これから皆でまた 私を強姦しようって事になってるから ユウヤも早速アジトの中に入って 私の中にも入るわよね?」
ユウヤが衝撃を受け言う
「えっ!?いやっ その…っ!?」
ユウヤが思う
(何でアジトに入ったら ラミにもって…っ!?)
ラミが言う
「という事だから ヴィン?ユウヤも無事帰って来たのだし 貴方も寝る前に 私の色気をより高める薬を 作ってくれないかしら?」
ユウヤが思う
(寝る前に?あぁっ そうか?また 俺のせいでヴィンは寝ないで 待って…)
ラミがユウヤを抱いたままヴィンへ振り向く ユウヤが衝撃を受けて 慌てて言う
「ラ、ラミ… 俺は…」
ヴィンが怒りを押し殺し 黒いラインの印が付いた試験管を片手に言う
「私の獲物から離れ給え ラミっ」
ラミとユウヤが呆気に取られる ラミが苦笑して言う
「…もう 寝不足で気が立ってるの?それとも 外で何かあった?ユウヤからは… 特に 他のヴァンパイアの匂いなんかは しないみたいだけど?」
ラミがユウヤの匂いを嗅ぐ ユウヤが気付いて思う
(それは多分 さっき薬で…)
ヴィンが言う
「それだけ抱き付いていれば もう 君の匂いが付いているのだろう」
ラミが言う
「まぁ そうかもしれないけど?どの道ユウヤはこれから 私を抱くのだから 私の匂いが付く事へ嫉妬なんかしてどうするの?…そんな物騒な薬はしまって頂戴?」
ヴィンが息を吐いて言う
「…それもそうだな 君の言う通り 少々気が立っていたらしい …失礼する」
ヴィンが立ち去る ラミが疑問して言う
「もう… あの様子じゃ 薬は期待出来そうに無いわね?ヴィンが あんなに気を立たせるなんて 珍しいわ?」
ユウヤが表情を落として思う
(それは やっぱり 俺が…?)
ユウヤが言う
「…やっぱり 俺が ヴィンを怒らせているのかな?」
ラミが苦笑して言う
「気にしなくて良いわ ユウヤ?きっと 彼が獲物を獲るなんて初めての事だから 少し ナーバスになっているだけよ?」
ユウヤが思う
(なら やっぱり ヴィンの獲物である俺が ラミに抱き付かれたり 他のヴァンパイアの匂いを付けて帰って来たから ヴィンはそれを怒ってるのか…?)
ユウヤの後方から リックとテールがやって来る ユウヤが振り返って言う
「え?テール?」
テールがユウヤに気付いて言う
「お?ユウヤ!良かったー!無事帰って来たんだな!?」
ユウヤが言う
「あ、ああ 心配を掛けたのならゴメン… 所で 2人揃って こんな時間に何処かへ行っていたのか?…あ、もしかして?」
ユウヤが思う
(また 娼婦街の娼婦と 3Pとか…?)
テールが言う
「ああ!彼女を送って来たんだよ!」
ユウヤが疑問して言う
「…は?彼女?」
テールが言う
「リックがさ?ユウヤが敵の手に落ちたんなら 助けに行くって言うから それなら 関係の無い彼女は 早い内にアジトから出しておいた方が良いって!それで 今 リックと一緒に送って来たんだよ?」
ユウヤが言う
「え?あの…?その… ”彼女”って言うのは?」
テールが言う
「ああ そっか!ユウヤは居なかったもんな?ほら?以前話したレンタル屋の姉ちゃんだよ!今日色々あって そのままアジトへ連れて来たんだ!」
ユウヤが驚いて言う
「えっ!?あのレンタル屋のっ!?…それじゃ テールのあの誘いに OKしたって事か!?」
ユウヤが思う
(あんな誘いに乗る女性が居たのか!?)
テールが言う
「いや~?俺を正面から挿し込む事に関しては まだOKは貰えてないんだ だから、また明日も殴られに… あ、違った?正面から挿し込ませてくれ って言って来るよ?」
ユウヤが苦笑して言う
「え?あぁ… そうなのか?」
ユウヤが思う
(良く分からないけど… 何にしろ その誘いにOKしてくれる女性なんて居ないと…)
ラミが言う
「それじゃ リーダーも戻って来たし?早速 ユウヤは 私へ正面から挿し込むのかしら?」
ユウヤが衝撃を受けて思う
(同じ女性でもヴァンパイアなら居るみたいだけど…)
テールが言う
「おう!それじゃ さっそく毛布を用意するぜ!リーダーだからな!」
リックが言う
「ユウヤ?てめぇは この通路に居るって事は まだ カルやラシェたちへ顔を見せてねぇんだろ?さっさと 無事を知らせて来い それから ヴィンにもな?」
ユウヤが言う
「うん… あ、けど ヴィンにはもう …外へ迎えに来てもらったんだ だから…」
リックが言う
「うん?そうか なら構わねぇが…」
リックがユウヤの匂いを嗅いで言う
「ふん… まぁ良いか?ラミ臭ぇけどな?テールもラミとやるなら その前にヴィンに言って 特性の消臭剤をもらって来い じゃなけりゃラミとはヤらせねぇぞ?」
テールが言う
「え?そうか… それじゃ毛布と一緒に そいつも用意しなきゃな?」
ラミが言う
「ヴィンは今 とっても不機嫌みたいよ?リーダーが行って大丈夫かしら?」
リックが言う
「問題ねぇよ てめぇを犯すメンバーに ユウヤも入ってんだろう?だったらヴィンは喜んで渡すだろうぜ?」
ラミが言う
「それもそうね?」

リビング

テールが残念そうに言う
「だぁ~!駄目だった~!ベッドの蓋が開かなくてさぁ?声をかけても開かないんだよ?ユウヤ?代わりに呼びかけてくれねぇ?ユウヤはヴィンの獲物なら こういうのは獲物の役目だぜ?」
ユウヤが食事を食べながら衝撃を受けて思う
(獲物の役目か… それを言うなら せめて もう少し…)
ユウヤが言う
「…あ?けど ヴィンの棺は防音仕様だから 声を掛けても意味が無いと思うけど?」
テールが言う
「は?そうなの?折角なのに… けど しょうがない!それなら俺は 今回は譲る!」
カルが言う
「匂いを気にするんやったら 一発キメた後に風呂に入れば良いだけやん?」
リックがテールを抱いて言う
「ざけんなっ その間だって俺のテールに他のヴァンパイアの匂いが付くのは気に入らねぇ!」
カルが苦笑して言う
「リックは 独占力が強いんやなぁ?ワイなんて こいつら3人がラミとガンガンやったって かまへんよ?それに俺もラミに挿し込むさかいな?」
リックが言う
「てめぇは いつも複数人を囲いやがるから 執着心が落ちるんだろう?…まぁ お陰で格闘タイプでありながら 吸い尽くさなくても満足出来るんだ その方が得なのかもしれねぇけどな?」
カルが言う
「ワイやってヴィンの薬を頂かなぁ間は 執着しとったで?それも複数人になぁ?けど今の方がワイには丁度ええわ ほな早速ヤろうか?ラミ?」
ラミが言う
「それじゃ 貴方と貴方の獲物3人とユウヤだから5人ね?どうせなら6人で4Pを2回で丁度良かったのに」
カルが言う
「ワイのは激しいから3Pくらいの方がエエよ?」
ラミが言う
「それもそうね?」
ユウヤが慌てて言う
「あっ ラミ 待ってくれ 俺は人数に入れないで…」
ラミがユウヤの肩に腕を回して言う
「え?そんな水臭い事言わないでユウヤ?私にとっては貴方が本命なんだから…?」
ユウヤが苦笑して言う
「いや でも、俺は本当に今日は疲れてて …それに安心したら 何だか眠くなって来たし このまま寝ようと思ってるんだ」
ラミが言う
「あら?そうなの?ならリーダーもユウヤもヤらないって事?それじゃ… またの機会にしようかしら?」
3人とカルが言う
「「えぇえ~!?」」 「そない けったいな~?ここまで立たせておきながら そらないわぁ?ラミ?」
ラミが言う
「もう しょうがないわね?それじゃ 3P2回で さっさと終らせるわよ?」
3人とカルが喜んで言う
「「は~い!」」

カルが喜んで言う
「ああ!これやこれ!この温さと締め付け感 そいで こっちの弾力と!」
カルがラミに挿入した状態で胸を掴んで腰を突き上げる ラミが言う
「あんっ 相変わらず 激しいわね?そんなに奥を あっ あんっ!んぅっ!?」
ラシェがラミの口に挿入して言う
「それじゃ 俺も 早速!」
カルが腰を動かしながら言う
「あ、ラシェ 後で配置交代な!?ワイは喉の奥まで突っ込んで 喘いでもらうんが一番燃えよるさかいに!」
ラシェが腰を動かしながら言う
「え?喉の奥まで!?」
ラミが喘ぐ
「んっ ぅんっ!」

テールがラミたちの様子を見ながら 手〇して言う
「ああっ やべっ もうイク!」
リックがテールを愛撫しながら言う
「相変わらず 早漏だなぁ テール?お前は 俺の息子なんだから もうちったぁ耐えやがれ まだ駄目だ」
リックがテールの先端を押さえる テールが衝撃を受けて言う
「えっ!?リ、リックっ!でも 俺 回数行けるからさっ!?」
リックが言う
「ふん…?まぁ それも有りか?」
リックが手を離した途端に テールが射〇して言う
「あ…っ」
リックが呆気に取られてから 笑いながらテールの性器を手〇して言う
「あぁ?何だ?もう 出しやがった…?くっははははっ」
テールが衝撃を受けて言う
「リックが別の刺激を与えたからだろぉっ!?」
リックが言う
「知らねぇなぁ?」
リックがテールの首を舐める テールが衝撃を受けて言う
「うひゃぁっ!くすぐってぇ!くすぐってぇよ!リック!」
リックがテールを抱えて言う
「俺の獲物に唾付けてんだから逃げるんじゃねぇよ?」
リックがテールの首を舐める テールが笑いながら言う
「だって くすぐってぇんだもんっ!あっはははははっ!」

ユウヤが食事を食べつつ苦笑して言う
「相変わらずだなぁ」
ユウヤが思う
(テールは…)
ユキが言う
「あんたも… 良くあんなの見ながら 食べられるわね?」
ユウヤが衝撃を受けてから苦笑して言う
「え?あ… それも そうだな?けど リックとテールのやり取りは 大分見慣れて来たから」
ユキが疑問して言う
「え?…ああ そっちを見てたの?」
ユウヤが言う
「え?」
ユキが言う
「てっきり 向こうを見てるのかと思った」
ユキが視線を向ける ユウヤがユキの視線に合わせ衝撃を受ける

ラミが苦しがって言う
「んんんっ!」
カルが脱力して言う
「はぁ… イったわぁ 気持ち良かったぁ~」
カルがラミの口から抜き出す ラミが口を開放されてから ぺっとカルの精〇を吐き出す カルが衝撃を受けて言う
「えぇえ!?何で!?ゴックンしてくれへんの!?ラミ!?」
ラミが言う
「当たり前でしょう?口に出させてあげるだけでも 感謝しなさいよ?」
カルが言う
「ワイかて 出してあげとるんに!?」
ラミが言う
「どういう意味よ?口に出させてあげてるのだって 十分サービスでしょ!?…あっ!?」
ラシェが脱力して言う
「はぁ… 俺は すげぇ感謝してるよ ラミ?」
ラミが言う
「ええ、そうよ?その気持ちで居てくれないとね?」
カルが言う
「何でや?ワイらかてラミの色気を上げる手伝いをしとるんやで?」
ラミが言う
「私の色気を上げるのなら 私にだって獲物が居るんだから お互いで上げ合えば それで十分よ?」
男たちが疑問して言う
「「え?」」
男たちがユキを見る ユキが衝撃を受け顔を逸らして頬を赤らめて咳払いをする
「…う、うんっ」
ラミが立ち上がって言う
「気分が萎えたわ 今日はお仕舞いよ」
ヤウとキウが衝撃を受けて言う
「えぇえ!?」 「そんなぁ…」
ラミが立ち去る カルが苦笑して言う
「ありゃぁ~ すまんなぁ?2人共」
ヤウとキウがカルへ言う
「どうしてくれるんだよ!?」 「俺らのコレをっ!?」
カルが笑顔で言う
「ほなら ワイが代わりに抜いたるさかい 許したってや?」
カルが2人の性器を掴んで手〇する ヤウとキウが衝撃を受けて言う
「えっ!?痛あっ!?」 「強過ぎ強過ぎ!カルー!?」
カルが手を動かしながら言う
「えぇ?確かこんな感じやったろ?650年以上やっとらんから 忘れたわ!あっはっはっはっ!」

テールが困って言う
「えぇえ?終わりぃ?俺もどうしようかなぁ?」
リックが笑んで言う
「なら お前も久し振りに 俺が手ほどきを してやろうか?」
テールが言う
「え?マジで?リックにやってもらうのは 久しぶりだなぁ?」
リックが言う
「どれ?ちっとは成長したか?」
テールが言う
「10代の頃よりは ちゃんと成長したって!ほら 大きくなっただろ?」
リックがテールの性器を手〇しながら言う
「まだまだ 足りねぇよ?けど、まぁ?人間の女相手なら こんなモンか?」
テールが喘いで言う
「あ…っ ああっ い、良い… 流石 リック… あぁっ!イ、イク…っ!」
ユウヤが苦笑して思う
(そっか… 10代の頃から… そうだよな?何てったって リックはテールの育ての親なんだから)
カルがヤウとキウを抱いて言う
「お?気持ち良かったか!そら 良かったわ!」
ヤウが言う
「イかないと 止めてくれないと思って 必死にイッたって言うの…」
キウが言う
「なんだか 逆に犯された気分だ…」
2人が溜息を吐く カルがヤウも含めた3人を抱えて言う
「ほな 次の時は 仲良く4人でイこうなー!あははー!あ、ラミが戻って来る前に 唾付けとこ ぺっぺっぺ!」
ヤウとキウが言う
「うわっ!?」 「汚ねぇ!」
カルが言う
「汚なないよー?これは おまいらを守る為のもんや 逆上したラミに 噛まれへんように おまじないやで!?それとも 舐めて欲しいんか?しゃぁないな?ほな サービスや!」
カルが次々と3人の首を舐める 3人が笑いながら嫌がって言う
「ぎゃー!」 「気持ち悪ぃ!」 「くすぐってぇ!」
カルが喜んで言う
「これで 安全やで!まぁ 匂いはまた後でええわ!ワイも今は ラミ臭いやろうからなぁ!?」
ラシェが苦笑して言う
「まぁ これも ラミに舐められたと思えば…」
カルが言う
「ラミに舐められたら 次は 噛み付かれるで?そしたら お仕舞いやて?セッ〇スやのうて 命がな?だから しっかり舐めといたるわ!」
ラシェが言う
「ぎゃー!?もう 良いって!」
カルが笑って言う
「そないな エエ反応されると 燃えよるてな!」
ユウヤが呆気に取られた後 苦笑して言う
「何だか仲良いな あの4人…」
ユキが言う
「ヤウが言ってたけど カルは年の離れた お兄さんみたいだって」
ユウヤが言う
「え?」
ユキが言う
「強引な 兄貴みたいで 面白いって言ってたわ」
ユウヤが言う
「へぇ… そうか 確かに そんな感じだよな?」
ユウヤが4人を見てから テールとリックを見て言う
「それで あっちは親子だし」
ユキが言う
「そうね?」
ユウヤが気付いて言う
「あ、でも ユキは?」
ユキが疑問して言う
「え?」
ユウヤが苦笑して言う
「ラミは結構 強引だから… ユキも…」
ユウヤが思う
(きっと 大変なんだろうな?部屋でも もしかしたら?以前の あのキッチンでの出来事の様な事を されて居るんじゃ…?)
ユキが言う
「まぁ… 最初は そんな感じだったけど 今は 私も ヤウたちと同じかしら?」
ユウヤが呆気に取られて言う
「え?同じって…?」
ユキが言う
「私には兄が居たけど 姉は居なかったし お母さんも物心が付く前に居なかったから… ラミみたいな淫乱な母親じゃ ちょっと困るけど 私も お姉さんを持ったって 感じかもしれないわね?」
ユウヤが驚いて言う
「え…!?そうなのか?」
ラミが後ろからユキに抱き付いて言う
「お待たせ!ユキー!」
ユキが驚いて言う
「きゃあっ!?もうっ 何よ ラミっ!?」
ラミがユキの身体を愛撫して言う
「誤魔化さなくったって…?ユキも 感じていたでしょう?あ~んな光景を見ていたんだから…」
ラミがユキの胸や股へ手を入れる ユキが衝撃を受けて慌てて言う
「ちょっ ちょっと!だから 言ってるでしょっ!?こんな所で止めてったらっ!」
ラミが言う
「もう… 恥かしがり屋ね?ユキは?大丈夫よ 一度でも 皆に曝け出してしまえば…」
ユキが言う
「普通は曝け出さないものなのっ!誰にでも見せるのは ヴァンパイアぐらいよ!?」
ラミが言う
「人間の彼らだって 仲間内には曝け出してるじゃない?だから… 私も皆の前で 貴女をイかせてあげたいわ ユキ?」
男たちが反応して顔を向ける ユキが言う
「嫌よっ!絶対に嫌っ!そんな事したら 本気で 貴女の事 嫌いになるから!」
ラミが一瞬驚いた後 苦笑して言う
「…分かったわよ だから そんな寂しい事言わないで頂戴?ユキ?」
ラミがユキの頬にキスをする ユキが不満そうに言う
「分かれば良いのよ…」
ラミが微笑してユキを愛撫する ユウヤが呆気に取られて思う
(何だ… 随分打ち解けてるんじゃないか… 何時の間に…? いや、最初からだったのか…?)
ユキが溜息を吐いてからユウヤの空いた皿を見て言う
「終ったのなら…」
ユウヤが慌てて言う
「あ、良いよ!俺は自分で…っ」
ユキが言う
「皆の分もあるから そのついでよ?」
ユキがユウヤの食器を持って立ち去る ユウヤが言う
「あ、ああ… そっか… 有難う ユキ」
ユウヤが思う
(皆の感じが変わったと言っても ユキが皆の母ちゃん代わりだって言うのは やっぱり 変わらないかな?それに…)
リックが立ち上がって言う
「じゃ俺は寝るぜ?」
テールが言う
「ああ、お休み リック!」
リックが言う
「何かあったら起せよ?それから もしラミに絡まれやがったら 俺に気付かれる前に風呂に入っとけ」
テールが言う
「ああ、分かったよ リック?けど 大丈夫だって?ラミはリックが居ない時は 結構大人しいんだぜ?」
リックが言う
「そうか なら良いが…」
リックが立ち去る ユウヤが苦笑して思う
(リックがゲートキーパーズの父ちゃん代わりって言うのも やっぱり変わらない感じだ)
カルたちが楽しんでいる ユウヤがそれを見て思う
(あっちは 兄弟が増えたって感じかな?カルは ヴァンパイアでも 気軽な感じだし…)
ユウヤが言う
「…それじゃ 俺も…」

ユウヤの部屋

ユウヤが部屋に入り一瞬疑問する 室内にヴィンの姿は見えない ユウヤが思う
(そっか?今はもう寝てるんだ… もうすぐ交代の時間の筈だけど…)
ユウヤが濡れた髪をタオルで拭きながら ベッドに腰を下ろして ベッドの下を覗き込む 視線の先にヴィンの棺が見える ユウヤが苦笑してから ベッドに横になって思う
(よく考えたら 俺はリックとテールの次にヴァンパイアの獲物になったって言うのに 今じゃ 一番ヴァンパイアとの距離を置いている… まぁ ラミには抱き付かれるけど…)
ユウヤがドアを見てから 息を吐いて思う
(そのラミとユキは リックとテールに近い感じで親しく接して… カルとラシェたちも ふざけ合ったり 唾を… 首を舐めたり… 俺は…?俺とヴィンは…)
ユウヤが眠りに付く



タイピング音がする ユウヤが目を覚まし顔を向ける 視線の先では ヴィンが機械を操作している ユウヤがそれを見つつ身を起こす 装置から薬が出てくる ヴィンが席を立ち 薬を試験管に入れて調合している ユウヤが気付いて思う
(ん?あの試験管… 黒いラインの印が付けられてる?…そう言えば 昨日もあの印の付いた試験管を持っていた様な?)
ユウヤの記憶に ヴィンがエースやラミに同じ印の試験管を構えた姿が思い出される ヴィンが試験管を軽く振ってから気付き振り返る ユウヤが言う
「あ…」
ヴィンがユウヤへ向き直り微笑して言う
「お早う ユウヤ 今日の気分は如何かな?」
ユウヤが苦笑して言う
「お、お早う御座います… 気分は… えっと… 普通 かな…?」
ヴィンが微笑して言う
「そうか 前日より悪くないのであれば それはそれで 結構」
ヴィンが作業に戻る ユウヤが思う
(前日より悪くなければ… なるほど?確かに そうなのかもしれないな?)
ユウヤが起き上がる ヴィンが試験管に栓をしてストックする

ユウヤが身支度を終えて言う
「…その試験管は?」
ヴィンが作業を終えた様子で言う
「この試験管が 何か?」
ユウヤが言う
「えっと… 他のにも 印なんか付いてましたっけ?俺は何度か ヴィンが薬を使う姿を見て来ましたが…」
ユウヤが思う
(確か印なんかは付いて無かったよな?)
ヴィンが言う
「ああ、私は基本的に印などはなくとも 自分で用意した薬を 間違えるような事は無いのだが… そうであっても この薬だけは 万が一にも手違いがあってはいけないと 特別に印を付けているのだよ」
ユウヤが言う
「なるほど?つまり それだけ重要な薬だと?」
ヴィンが言う
「ああ、この黒いラインの付けられた薬は ヴァンパイアの命を奪う 劇薬なのでね?」
ユウヤが驚く ヴィンが苦笑して言う
「従って このラインの付いた試験管には手を触れない様にと 遠い昔に リックやカルにも伝えてある …それと 過去の出来事から ゲートキーパーズの仲間以外のヴァンパイアにも 多少は知られている… 昨夜のエースもその1人だ」
ユウヤが衝撃を受けて思う
(そうかっ!だから あの時エースは ヴィンの気が立って居る事に気付いて…っ それは ラミも同じで …って それより!?)
ユウヤが言う
「あ、あの!?ヴィン!?その試験管を 昨夜はエースやラミに構えましたよね?」
ヴィンが微笑して言う
「ああ その通り ユウヤはやはり些細な事にも とても良く気付いている 流石は 私の…」
ユウヤが言う
「何故そんな事をっ!?2人は 貴方の知り合いでしょう!?しかも ラミは仲間でっ エースだって 追われていた俺を助けて わざわざアジトまで送ってくれた 恩人だと言うのにっ!」
ヴィンが一瞬呆気に取られた後苦笑して言う
「…ああ そうだな?ラミに構えてしまったのは 彼女にも言われた通り 少々気が立っていたのかもしれないが エースに構えたのは 当然の事… 彼はあのまま ユウヤを吸い殺す事も可能だった」
ユウヤが言う
「エースはリックと縁が有ると言っていました だったら?ヴィンもそれは 知っていたのではないですか?」
ヴィンが言う
「そちらはその通り… しかし ユウヤが私の獲物であると知られた以上 リックの仲間ではあるが 同時に リックの獲物ではないという事が 彼に知られた事となる… そうとなれば 私は何を置いても ユウヤを助けなければいけなかったのだよ それこそ リックとエースの縁を断ってでも」
ユウヤが言う
「2人の縁を断ってでも…?」
ヴィンがユウヤに近付いて言う
「ああ、私にとっては そちらの両者よりも ユウヤの事は大切なのだから…」
ヴィンがユウヤに触れようとする ユウヤが思う
(仲間のリックの縁を奪ってまで 守ろうとしたって言うのか?俺を?…けど それは リックの仲間としては…?)
ユウヤが視線を強める ヴィンが気付き手を止めて 苦笑して言う
「…ふふっ ユウヤは とても仲間思いなのだな?リックの縁を心配するとは… しかし ヴァンパイアの縁などは さして大切な物ではないのだよ 例え ヴァンパイアの仲間が多くとも それは何の結果も生み出さない 必要なのは そのヴァンパイアと共存する 人間の方だ」
ユウヤが言う
「共存…?そのためになら… 仲間の縁を断ってでも?」
ヴィンが言う
「もちろん そして 私は 私とユウヤの共存の為になら」
ヴィンがユウヤに触れようとする ユウヤがそれを避けて立ち上がって言う
「…食事に行って来ます」
ヴィンが言う
「では 私もユウヤへ同行しよう」
ユウヤが言う
「アジトの中なんで大丈夫です ラミに抱き付かれたら… 風呂に入って来ますから」
ヴィンが気付き 苦笑して言う
「…そうか 気分を害してしまったのなら すまなかった …それから ラミの匂いは この部屋に散布してある薬で取られる事から そちらの心配は不要だ」
ユウヤが言う
「分かりました」
ユウヤが部屋を出て行く ヴィンが閉まったドアを見て苦笑する

ユウヤが食事を口にする ユキが言う
「何?浮かない顔…」
ユウヤが顔を上げて言う
「え?」
ユキが言う
「そんなに不味かった?皆が甘い方が良いって言うから 少し甘めにしたけど… あんたは前の方が良かった?」
ユウヤが自分が口にしている玉子焼きに気付いて言う
「あ、いや?別に… 美味しいよ?これで… うん… ホントだ いつもより ちょっと甘いね?」
ユキが呆れて言う
「美味しいよって言った後に いつもよりどうって言われてもね?」
ユウヤが衝撃を受けて言う
「う…っ」
ラミがユキに絡んで言う
「ユキ~?そう言う所は あえて聞き逃すものよ?折角 紳士的なユウヤが 気を使ってくれているんじゃない?」
ユキが不満そうに腕組みをして言う
「そうかしら?適当に誤魔化されてるって感じ… そう言うの 私は好きじゃないの」
ユウヤが困って言う
「あ… ごめん… で、でも その…っ ユキの料理は 美味しいよ いつも!」
ユキが言う
「ほら また…」
ユウヤが言う
「え…?」
ラミが苦笑して言う
「ユキ… それだけ ユウヤはユキの事が好きだって事じゃない?全てを受け入れてくれるって言うんだから ユキも…」
ユキが言う
「家族なら 腹を割って話すべきじゃない?それが たかが料理の味だって 皆 同じよ?」
ユキがぷいっと顔を背けて立ち去る ラミが苦笑して言う
「ユキ~?」
ラミがユキを追って立ち去る ユウヤが呆気に取られてから 苦笑して思う
(腹を割って話す… か… …なら)
ユウヤが席を立って空いた食器を持つ

ユウヤの部屋

ユウヤが部屋に入り呆気に取られて言う
「あれ?」
ベッドに腰を掛けていたテールが振り向いて言う
「邪魔してるぞー?ユウヤ!」
ユウヤが言う
「え?あ、うん 別に良いけど?珍しいな?テールと… リックが?この部屋に居るなんて?」
ユウヤが荷物の下へ行く テールが言う
「ああ リックがさ?どうしても ヴィンに話があるって言うから」
ユウヤが言う
「リックが?…そうなのか?」
ユウヤがリックを見る リックがヴィンの近くの壁に背を付けていて言う
「それで?奴らは動きそうか?」
ヴィンが言う
「動きそうではなく 恐らく 既に動いているだろう」
リックが言う
「俺が言ってるのは…」
ヴィンが言う
「ああ、分かっているとも」
リックが言う
「だったら 余計な部分は省いて 重要な所だけを言いやがれ 俺は忙しいんだよ?これから テールが昨日連れて来た女に 改めて挿し込みに行くって言うからよ?」
ユウヤが衝撃を受けて顔を向ける リックが続ける
「そいつに付き合ってやらなけりゃならねぇ」
ユウヤが思う
(何の話をして居るのかは 分からないけど… 何にしても そっちの方が余計なんじゃ…?)
ヴィンが言う
「では 結論から言えば ラウンスターク家の残された者が 世界を守る制御装置を止める作業に入った様子だ 恐らく狙いは… 我々 ゲートキーパーズや彼らの協力下に無い ヴァンパイアが全てだろう」
ユウヤが思う
(”世界を”ってっ!?なんだか もの凄い重要な話をっ!?)
リックが言う
「んな事はどうでも良いんだよ?」
ユウヤが衝撃を受けて思う
(え!?良いのかっ!?)
リックが言う
「その影響が 何時頃この辺りに及ぶのかってのを 俺は聞きてぇんだ …それによっちゃ テールが女に挿し込む場所を センターサイドにしねぇと ピストンに専念出来ねぇだろ?」
ユウヤが思う
(だから そっちの話は どうでも良いだろっ!?)
ヴィンが言う
「このアジトは 元々 そちらの装置が稼働している事を前提に… いや?むしろ その被害を最小限に留める為 アウターサイドに用意されている 従って… このアジトの付近への影響は 近い内に現れるが センターサイド… 細かく言うのであれば 各街の警察署付近であれば 影響は殆ど無いと言えるだろう」
リックが言う
「分かった なら警察署の前で挿し込ませる」
ユウヤが思う
(公然わいせつ罪で 即刻 逮捕させたいのかっ!?)
ユウヤが言う
「ちょ、ちょっと待ってくれっ!?」
リックが言う
「待てねぇよ?テールがイッちまうだろう?よし それじゃテール待たせちまったな 早速イクか?」
テールが言う
「うん けど イクって言ってもさ?今日 彼女が俺を正面から挿し込ませてくれるかは分からないぜ?リック」
リックが言う
「何でだよ?昨夜送った時には 『また明日な』って 言ってたじゃねぇか?つまり 昨日で言う所の明日に当たる 今日こそ挿し込むって事だろ?それとも お前のヤる気が萎えたのか?」
テールが言う
「俺のヤル気とアソコは いつでもビンビンだよ?けど 彼女の方は俺を挿し込む気で居るか分かんないし?だから取り合えず今日も殴られる予定で行かないと 不意打ちで殴られると 舌噛んでマジで痛いから」
リックが言う
「なんだよそりゃ?俺の息子の癖に情けねぇ… 初めて会う相手じゃねぇんだ 今日こそ ヤらせろって言って 正面から押し倒して そのまま挿し込めば良いだけだろう?」
ユウヤが慌てて言う
「そんな事っ」
テールが言う
「駄目だって リック?俺は彼女の事は本気なんだ だから 大切にしたい …例え挿し込ませてもらえなくても 嫌われたくはないからさ?」
ユウヤが驚いてテールを見る リックが言う
「そうかよ… なら さっさと 行くぞ?で、今日断られたら それで終わりだ 相手を尊重するって言うなら 引き際を見極める事も重要だぜ?」
テールが微笑して言う
「うん 分かった!じゃないと その内 酔った勢いで 押し倒して挿し込んで ホントに嫌われちゃうかもしれないもんな?」
リックが笑い飛ばして部屋を出て行く テールが立ち上がりユウヤへ向いて言う
「じゃあ、邪魔したな ユウヤ!」
ユウヤが言う
「…いや、レンタル屋の… その彼女の所へ行くのか?」
テールが言う
「おう!今日で決着を付けて来るぜ!」
ユウヤが苦笑して言う
「なら その… 出来れば言葉に気を付けてな?」
テールが言う
「分かった!間違えない様に ちゃんと我慢して まずは正面から って言って来る!ホントは後ろからもしたいんだけどな!」
ユウヤが思う
(いや… だから それは言わない方が…)
リックに続いてテールが出て行く ヴィンが苦笑して作業に戻る ユウヤが言う
「あの… ヴィン?さっき言っていたのは?」
ヴィンが言う
「うん?ラウンスターク家の事かな?」
ユウヤが言う
「はい… 世界を守る制御装置を… 止める作業に入った… とか?」
ヴィンが言う
「ああ、まったく困ったものだよ 自身の繁栄の為に 他者を犠牲にする… まぁ それを言うなら 我々ヴァンパイアも同じだろうと その様に言われるのがオチなのだが…」
ユウヤが言う
「それは どう言う事ですか?」
ヴィンが苦笑して言う
「そうだな… では ユウヤの大切な時間を浪費しない為にも リックの言う通り 余計な所は省いて話すと ユウヤは何故 この世界には 各街に城があるのか?と言う事を 考えた事はあるかな?」
ユウヤが言う
「各街の城が…?そう… ですね…?」
ユウヤが思う
(言われてみれば…?)
ヴィンが言う
「現代のユウヤたちにとっては 王も居ない この世界に 何故 城などが必要なのか… また、そこに住まい 街を統べる貴族などは むしろ居ない方が好ましいだろう?」
ユウヤが言う
「あ、はい それは確かに?でも、だからこそ 俺たちゲートキーパーズが そんな貴族を退治して 各街を貴族から 開放したのでは?」
ヴィンが言う
「そうだったな そして ゲートキーパーズが開放した 各街のそれらは 今は 警察に委譲されている… 各城にある 超微電流遮断装置の制御と共に」
ユウヤが言う
「超微電流… 遮断装置?では ひょっとして?以前ヴィンが言っていた ”機械への信号”が使えないのは その装置があるからなのではっ!?」
ヴィンが言う
「その通り 従って 装置の起動を止めれば 過去に使われていた電磁波の使用が 全て可能となるだろう しかし ここで問題なのは 元々 何故 そちらを遮断する その必要性があったのか …と言う事だ」
ユウヤが呆気に取られてから言う
「そ、そうですね?それは…?」
ヴィンが言う
「そう つまり 結論を言うと 電磁波を遮断する事こそが この世界を守る術である と言う事なのだよ ユウヤ」
ユウヤが驚く


続く
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