上 下
47 / 47

番外編)欲望のバレンタイン6*

しおりを挟む
「中に……なんですか? 欲しいのは、もっと太いバイブ? それとも前みたいにチューペットでも入れます?」
「ち、が……ぁっ、ちが、あぁ……ッ、んんん……」
「じゃあ何が欲しいんですか?」


 由岐はそう言って上半身を起こして、俺の脇の下あたりに跨るように膝をついた。俺の言葉を促すように、既に芯を持ち始めている自身のそれを俺の目の前に晒す。


「あ……。かなで、の……っ、舐めたい……舐め、…………ンンッ!」


 欲しくてたまらないものが目の前にあって、俺は思わず恥ずかしい台詞でそうねだる。
 すると俺が言い終わるか終わらないかのうちに、由岐の熱いモノで唇を犯された。喉奥を深く抉るようにグリグリと掻かれて、胃液が込み上がりそうになるのを必死にこらえる。俺は何度もえずきながら、必死にそれを舐めた。


「ん゛ん゛……ッ、あぅっ、う゛んんん……ぅ、……んんッッ」


 苦しさに涙が流れると、由岐は親指でそれを優しく拭ってくれる。苦しくて苦しくてたまらないのに、由岐が愛おしい。涙目のまま由岐を見上げると、由岐とすぐに目が合う。俺の表情を見た由岐は、ふわりと表情を緩めた。


「すみません、ちょっと虐めすぎました」
「ケホッ、ケホ……ッ」


 口から熱棒を抜き取った由岐は、そう言って優しく俺の頭を軽く撫でた。目の前にある猛りきったそれに、俺は堪らず自ら足を開く。膝を立てて、ピンク色の細いコードがはみ出ているであろうその場所をいやらしく由岐に示した。


「かっ……かなでの……! かなでの……っ、ペニス……、俺の……アヌ……スにっ、いれ…………――――ァァッッ!!!」
 

 俺が言い終わるか否か。そんなタイミングで、今度はいきなり秘孔を由岐に深く貫かれた。熱い質量のあるそれは、中にあったローターを奥深くへと押し込んでいく。貫かれた衝撃に崩れ落ちそうになる俺の膝を掴んだ由岐は、腰の下に素早く枕を挟み込む。


「翔李さんの中、ヒクヒク痙攣して熱いです」
「あ、あ、あ……っ、かなで……っ、好き……好きだ……、っぁ……!」
「僕もですよ、翔李さん。愛しています」


 由岐がそう言って、俺の中を熱いモノで深く穿つ。硬いローターの先端が深いところにコツンと当たって、ピリピリと痺れた。


「っ、あ……、やだっ、待っ……、あ、あ……っ、ーーーーっ!!」


 ペニスの先でぐいと前立腺を押されて、俺は声にならない悲鳴を上げる。


「ふ、深い……っ、かなで……だめぇ、当たってる……ぁた、って……っ、んっ……、ひあっ!」
「ふふふ。翔李さんの中、入り口はヒクヒク震えてるのに、奥はきゅうきゅうと締め付けて来ますよ」
「あ……っ、駄目っ……気持ちいいよぉ……かなでぇ……っ、気持ち……っ、い……!」


 そこばかりを狙って突かれたかと思うと、不意打ちのようにぐいっと更に奥にローターを押し込まれ、ガクガクと顎や舌までもが快楽に痺れる。
 徐々に激しくなる抽挿に、由岐の表情からも次第に余裕がなくなっていった。腰を揺らしながら由岐は俺に微笑みかけて、弾む呼吸を縫って熱っぽい息を吐いた。


「翔李さんの体温がトロトロに熱くて……、僕まで溶かされてしまいそうです」
「イッ、いきそ……っ、かなで……イッ、イク……ッ!」
「イッてもいいですよ……っ。ずっと突いていてあげます」


 由岐が吐息混じりにそう言って、僅かにビストンを早める。


「あっ、あーーっ、い……ッ、イッ……く、い……く、んふ……ッッ」


 その瞬間俺の中でのぼり詰めた何かが弾けて、勃起していないペニスの先から透明の蜜が溢れる。
 感電したかのような強烈な快楽に、俺は中にいる由岐を締め付けた。けれどもまだ達していないらしい由岐のそれは硬さを保ったまま、イッたばかりの俺を再び快楽の中へと引き戻した。


「だ、っ……、待って……お願い、由岐……ぃ、イッてる……まだイッてる……ぁぁぁぁっ、い゛いっ! ああ!」


 イッている最中に前立腺を揺らされて、再び押し寄せた快楽の大波に俺はもはや狂いそうだった。
 体の奥がじんじんと熱くなって、達したときの絶頂が腹の奥へマグマのように居座り続けて、いつまで待っても引かない。


「やっ……かなで、おかし……俺、おかしくなってる……っ、イッてるのに、も、イッている……のに……っ!」
「もしかして翔李さん、ずーっとイッてます……?」
「や、……ッ、分からな……っ、イッてるのに……また気持ち、い……!」
「じゃあ、分かるまでこうしてます?」
「やっ……!! 駄目、かなで、だめぇ……!」


 抜き差しに合わせて皮膚がぶつかる乾いた音が室内に響いて、擦れる粘膜の感覚にクラクラする。
 傍で鳴り続けているはずのバイブレーションの音が遠い。


「なんて…………冗談です。僕も、そろそろ……っ、限界、ですから……っ」


 由岐が何か言っている。けれども頭が霞んで言葉の意味が理解できない。

 体内にいる由岐の体温と快楽だけが、むき出しの神経から侵入してきて、ドラッグのように俺を狂わせる。


「っ……、そろそろ、イキます……!」
「あ……ッッ、かなでっ、いい……っ、気持ちいいよぉ……!」


 いっそう激しくなる抽挿ののち、体内で由岐が果てる。けれども俺の中は変わらずヒクヒクと中を締め付けていて、気持ち良すぎてもう嫌なのに、中にあるローターの振動を咥えこんでいる。


「あっ……あ……、かな……っ、かな、で……!! 俺っ、おかし……っ、イッているのに……ずっと気持ち、……いぃ……ッ! 」


 イキっぱなしの体は、内側を含めたあちらこちらが痙攣して、ただ快楽を享受するだけの器のようだ。


「……もしかして翔李さん、今メスイキしてます?」
「や、しらな……ッ」
「それ、多分暫くは何されても気持ちいいですよ」
「なっ……!? んん、ぁっ、やぁ……っ」


 俺の中の楔を抜き取った由岐は、ゴムを処理しながらクスクスと笑った。


「翔李さん、可愛い。僕のモノが回復するまで、バイブでも入れます?」
「やっ……やめ……っ!」
「どうして? 射精しなくてもイキつづけるなんて最高でしょう?」
「ちが……っ、ローターやだ……っ、もう取って……っ」


 腹の奥で依然快楽の炎を撒き散らすそれは、気が遠くなりそうなほど俺の中を苛んでいる。すぐにでも引っ張り出してしまいたいのに、依然両腕は頭の後ろだ。
 由岐は少しだけ思案顔をした後、俺に向かって笑う。


「ああそうだ。そこはそもそも排泄器官なわけですから、自分で出してみたらいかがです?」
「な、何言って……っ」
「ふふ。それなら四つん這いが可愛いと思うので、縄は外してあげますね?」


 青ざめながら慌てる俺に、由岐が天使のような笑顔を俺に向ける。


 こうして、俺達のバレンタインの夜は更けていく。

 こうして今宵も、大きな俺は小さな彼かなでに、アブノーマルに抱かれるのであった。
    
しおりを挟む
感想 4

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(4件)

りん
2022.02.20 りん

|ू•ω•)チラッ

もじもじ…
あのね、バレンタインの番外良かったのー(*/ω\*)キャー!!

唯月先生のお話は、全部好きだー‼️

唯月漣
2022.02.20 唯月漣

わー、ありがとうございます❤(◍•ᴗ•◍)
新作も頑張って書いているので、是非また読みに来てやってください(。•̀ᴗ-)✧

解除
人間
2022.01.24 人間
ネタバレ含む
唯月漣
2022.01.24 唯月漣

 まずは一ヶ月間に渡り、拙作をお読み頂き誠に有難うございました。

 私の想いや書きたかった事、伝えたかった事を、ここまで丁寧に汲み取って下さる読者様がいらっしゃった事に、私も泣いてしまいそうなほど感動しました。
 BLを読む事に抵抗がある中で、数ある中から拙作を選んで読んでくださった事にも感謝です。

 長い感想、むしろめちゃくちゃ嬉しいですよ〜!(^^)
 
 ジンとテツのお話も、いつか番外編で書いてみたいなぁと思ってはいるのですが、あの二人はテーマが由岐より更に重たくなりそうなので、まだ構想を練っております。
 今書いている新作が書き上がったら、忘れた頃にポロッと書くかもしれません。
 気長に待っていただけたらと思います。


 素敵な感想を有難うございました☆
 頂いた感想は、感謝の気持ちで大切に包んで、宝物にしたいと思います。

解除
ritkun
2022.01.23 ritkun
ネタバレ含む
唯月漣
2022.01.23 唯月漣

 丁寧な感想を下さり、誠に有難うございます。
 テツは当初、翔李と由岐のしている行為を、テツを通して翔李が客観視できるようにするため作ったキャラでした。
 ただの当て馬キャラでなく、翔李や由岐の良き友達として、『性にはだらしないけれど、何故か憎めない子』に映ってくれたら嬉しく思います。
 カレー鍋の温もりのシーンは私もお気に入りなので、同じように感じてくださる方がいて嬉しいです。
 今回は私にしては珍しくエロ特化の作品でしたので、キュンと来たシーンがあったと言ってもらえるのが本当に幸せな事だと感じました。

 素敵な感想、本当にありがとうございました(*^^*)

解除

あなたにおすすめの小説

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは

竹井ゴールド
ライト文芸
 日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。  その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。  青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。  その後がよろしくない。  青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。  妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。  長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。  次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。  三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。  四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。  この5人とも青夜は家族となり、  ・・・何これ? 少し想定外なんだけど。  【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】 【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】 【2023/6/5、お気に入り数2130突破】 【アルファポリスのみの投稿です】 【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】 【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】 【未完】

完結・虐げられオメガ側妃なので敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン溺愛王が甘やかしてくれました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

見ぃつけた。

茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは… 他サイトにも公開しています

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。