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3.夢を見たいの ※

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 私を押さえつける手は力強く、打ち付ける腰は休むことなく動く。
 弟に抱かれて喜び、もっともっとと求めてしまう浅ましい女の顔を隠すために手で覆った。

「姉ちゃん、隠すなよ」

 毛むくじゃらのオオカミの手が私の腕を引き剥がす。体にふれる毛の微かな刺激で体が捩れた。目の前に熱をたたえた黄色い目。

「俺がオオカミだから逃げんの?」

 歪んだ笑いが苦しそうに見えて、剥きだされた牙が狂気に見えた。
 狂ってたらいいのに。私に狂って噛み付いて食べてしまえばいいのに。

「違う。……オオカミはカッコいいよ。でも私は姉だから」

 大事にしたい弟の頬をそっとなでる。それから首に腕を回して体全部で抱きしめた。ギュウギュウと、愛しい愛しい男である弟を。

「カッコいいよ、すごく。……姉の私より、いい人はたくさんいる」

 弟もしっかり抱きしめ返して、頬ずりをする。

「たくさんいたって関係ない。俺が欲しいのは姉ちゃんだから。愛してるんだ、愛してる」

 こうして抱き合うと、お互いしか確かなものがない、寄る辺ない子供みたいに思えてしまう。離れないように手を繋いでる私たち。
 それは私の願望にすぎないのだけど。

「姉ちゃん、このまま、このままでいて」

 寂しそうな甘えた声のお願いは、いつだって叶えてきた。弟のお願いをいいことに、愛しい気持ちのまま頭の毛を掻きまわしたりする。

「ホラー映画見たあと、私の布団に潜り込んだときと同じじゃん」
「よく覚えてんな」
「うん。あの頃は可愛かった」
「今は?」
「デカくなった」
「デカい? ナニが?」
「バカアホエロ」
「うん、エロなんだ。姉ちゃんとエロいことしたいエロ」

 可愛い弟の腰がゆるゆる動き出す。少しずつ緩やかに、でも着実に火がつけられる。

「あー気持ち良い。姉ちゃんも気持ちいいだろ?」
「ん、ぁぁ」

 耳を舐めながら言うから、やらしい水音と吐息と声の3点責めで鳥肌が立った。緩やかな快感が下腹に広がる。好きな男の腕が私をしっかり抱いている、幸せ過ぎる胡蝶の夢に揺られた。
 私たちはピッタリくっついて、間には誰も何もない。無防備な内臓は弟に掻きまわされて幸せだと言っている。もっと欲しいと、離れないでと、口に出せない代わりに体が縋り付いた。
 短い動きで奥を叩かれて昇っていく。弟の腰に回した足に力が入り、つま先が丸まった。

「――ふっぅ、あ、ぁあっ――」
「あっ、姉ちゃん、すげえ、締めて、こんな。はっ、俺も出そう。姉ちゃん、中に出す、中に出すからっ」

 弟の腰の打ち付けが強くなる。私の中へ射精するために。
 そう考えたらゾクゾクした喜びが頭まで駆け上がり、背中が仰け反った。

「んっあ、アア、ひっあぁあああっーーーー」
「姉ちゃんっ、出る、――出すっ」

 弟の手に力が入り、腰が痛いほど押し付けられた。

 出し切るために腰をグリグリするのってすごくエッチだなぁと思う。耳元で熱い呼吸が繰り返されるなら、なおさら。

 弟の動きが終わってから、体の力を抜いて手足を楽にした。ピルを飲んでるから焦ることもない。
 体の下から這い出たら、腰に腕が回されて抱き寄せられた。いつだってこうして抱きしめられることに安心しているのだ。
 弟は私の首に鼻面を擦り付けてふんふん匂いを嗅いでいる。ペロリペロリと肩を舐めて。

「俺が姉ちゃんを孕ませるから覚悟して」
「は?」
「孕ませる。俺は諦めないから姉ちゃんが諦めて」

 本当にそうだったらいいなぁとぼんやり思った。
 昨日まで弟と離れるんだと思ってたからあまり眠れてない。その上、引っ越しとそのあとの運動が加わって疲れて果てた。大きくなった弟の体は、私を後ろからすっぽりつつんで心地よい温かさをくれる。

「姉ちゃん、眠いの?」
「ん」
「好きだよ、好き。俺の夢見てよ」

 うん、って返事をしたいのに、まぶたの下がジワリと熱くなったから歯をくいしばった。


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