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91.魔法使い達と

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ミカの腕の中で目が覚める。
この中にいるとき、私は守られてる。庇護下にあって大事にされてる。
雛鳥のように大切に扱われるのは嬉しい、でもいつか巣立たなきゃいけないんじゃないかと感じる不安。こんなに全面的に甘やかされ続けたことがないから、たぶん不安になるんだろうな。
深呼吸をして、心臓を落ち着かせる。大丈夫、この家の幸福に私も入ってるから。大丈夫。

ミカの寝顔を眺めていると、まぶたが開いて薄茶色の目が楽しそうに細まり、大きな手が私の髪を撫でた。そうして、ギュッと抱きしめられ、楽しそうな声で話す。

「おはよう、ユウ」
「おはよう、ミカ」

私の不安がどこかにいってしまうような、優しく楽しそうな声。ずっとこうしていたいと思いつつ起き上がった。
今日も一日が始まる。

いつものようにオリヴァの部屋に飛んだ。泊まれる日を聞くと、ものすごく嬉しそうにいつでもいいと言うので私も嬉しくなる。喜ばれるのは嬉しい。
エーミールに聞くと3日後がいいと言うので、オリヴァは明日にした。

次の日の夕方、麗しく笑ったオリヴァが迎えにきた。オリヴァの部屋へ行くとテーブルの上にエーミールが手配したであろう食事が並んでいる。
妻がいる見栄張り疑惑が継続するな。オリヴァが食べさせてほしがるので、たまに口に運んであげながら美味しくいただいた。

話をしようと誘うと、ベッドで話すと言うので湯浴みをしてベッドに入る。その途端、襲われて戦端が開かれた。連敗して、一時休戦を提案し、受け入れられる。
何もしないから休憩しようとか言う人ですか、あなたは。
水を飲んでから寝転んで話す。

「オリヴァは何歳?」
「30だ」
「私、26だから近いね。お休みのとき何してるの?」
「薬の材料を探したり、調べたりしている。初めて会った時も薬草を見て回っていた。」
「そういえば薬屋さんだったね、会ったの。薬作る仕事なの?」
「運ぶ仕事が無いときは、薬作ったり、治療したりしてる」
「治癒の魔法使えるのに薬もいるんだね」
「治癒は相手の魔力量に依存するから、魔力量が少ないと治癒範囲も限定される。万能ではないから、薬や治療師も必要だ。」

細い指が額や鼻をそっとなぞり、頬にふれる。静かに長い息を吐き、ぽつりと零した。

「跡が少し残ったな」
「名誉の負傷ですよ」
「・・・私のせいで、すまない」
「あのねえ、カミナリは頭真っ白になってしばらく動けないでしょ?体動かすのは全部電気信号だから、動けなくて当然なんだよ。オリヴァは被害者だよ。それに『名誉の負傷』ってカッコいいから気に入ってんの」
「・・・そうか。ありがとう」

小さく笑んで、抱きしめる腕に力が入った。
かーわーいー。その笑顔、100万ドル。いや、1億ドル。天元突破。

「そういえば、ミカが夫会議したいって。私の泊まり歩きについて」
「わかった。・・・ユウナギ」

柔らかな感触が唇に触れる。白いまつ毛がすぐ近くに見えた。細く長い指がそっと乳房を掬い上げ、乳首を微かに撫でる。

「ユウナギ、足りない。あなたに触れたい」

そうしてオリヴァに籠絡され、話は再開できずいつのまにか眠りに落ちた。
朝、目が覚めたらすでにオリヴァの波の上で、またもや流され漂った。
体を洗って髪を結い、エーミールの部屋に飛ぶ。

「おはよう、エーミール」
「おはよう、ユウナギ。朝から気怠げだな」
「・・・まあ、座って」
「グラウ、加減しろ。体力が違うんだ」
「・・分かっている」

エーミールがため息をついて諭すと、オリヴァが不機嫌な声で答えた。
気まずいので知らんぷりして髪を梳かす。

「明日は私だからな、お前は触れるなよ」
「いちいち言うな」

確かに。でも、釘を刺さないと怪しいのもオリヴァ。魔力量が多いと性欲も強くなんのか?神殿は性の乱れが甚だしいみたいだし。

「はい、できた。今日も綺麗な髪だね」
「ありがとう、ユウナギ。明日、食べたいものはあるか?」
「塩味だけの魚と、何かお菓子食べたいな。甘いお菓子」
「わかった。用意しておく」
「ありがとう、楽しみにしてる」

エーミールの気遣いが嬉しい。お互いに笑って挨拶をした。

次の日の夕方、オリヴァが迎えにきてくれた。散々にキスをされてからエーミールの部屋へ飛んだ。笑顔で手を振ったけど、なんか、だんだん執着が増してない?困ったな。

「こんばんは、エーミール」
「よく来た、ユウナギ」

腰を抱いてテーブルまでエスコートしてくれる。
テーブルには魚とお菓子と果物があった。嬉しい。今日は箸を持参したんですよ。魚だからね。不思議そうにしているエーミールに使って見せると感心された。
ありがたく食事をいただく。お菓子は揚げドーナツみたいなものだった。中にドライフルーツとナッツが入ってて美味しい。一つだけ食べてあとは家に持って帰ることにした。

食後にゆっくりお茶を飲んで話す。

「ミカが夫会議したいって。議題は私の宿泊期間について。エーミールはいつなら大丈夫?」
「そうだな、5日後でいいか?」
「じゃあ、5日後でお願いします。・・・あのね、相談してもいい?」
「なんだ?グラウのことか?」

鋭い!外から見ても、やはり、ちょっとあれなのかな。

「・・そう。いつごろ落ち着くと思う?」
「どうだろうな。それこそ人によるからな。ユウナギが倒れたときに頼られなかったから不安なんじゃないか?」
「不安なのかな?エーミールは?不安になる?」
「いや、以前より地に足のついた感じだな。国にいることに決めたからか?炭焼きもグラウを追い返すぐらいしっかりしているだろう?」
「ふふっ、そうだね。家に入れなかったって言ってた。・・・どうしたら落ち着くかな?」
「難しいな。不安は自分じゃどうしようもない」

眉を寄せて答えた。
しばらくあのままなの?困ったな。なんか安心させることないか?

「そうだね。・・・あ、そうだ、エーミール、手を出して」

エーミールへの贈り物を持ってきたのを思い出し、エーミールの手の上にシルクリボンで作った黒いバラを乗せた。大振りでもなく、小さすぎないくらいの。用途は不明。

「贈り物です。ただのリボンだと使わないだろうからと思ってお花を作ってみたけど、飾りって使う?」
「あ、ああ。ありがとう・・・上手いものだな。布で作っているのは初めて見た」
「黒だけど、平気?」
「ユウナギの髪の色だろう?黒が良い」
「リボンにくっつけたから、こうやって結べるよ」

指にリボンを巻いてチョウチョ結びをする。なんだか笑顔が上滑りな気がする。まあ、貰っても用途不明だしね。仕方がない。今度は要望を聞こう。
結んだ手を離そうとしたら、両手で握られた。私の手を頬に当て目を瞑った顔に、長いまつ毛の影が落ちた。

「ユウナギ、・・・私にも贈り物を?」
「うん。夫みんなに贈り物だから。筆頭さんにそぐわなかったらごめんね」

腕を引っ張られ、腰に抱き付かれる。顔を胸に埋めているので頭を撫でた。

「仕立て屋に行った時のか?」
「そうだよ。遅くなってごめんね。」
「・・・私のことも考えてくれるのか?」
「夫でしょ。エーミールのほうが私のこと考えてくれてるよ。いつもすぐ気付いてくれる。それが嬉しいし、美味しいご飯も用意してくれるし、いつも優しい強さで抱きしめてくれる。話も聞いてくれるし。いつもありがとう。私には勿体ないくらいできた夫ですよ」
「・・・」
「エーミール、夫のまま、このまま見捨てないでほしい」

抱きしめる腕に力が入って、ゆっくり吐く息が聞こえた。

「エーミール、可愛い人、愛してもいい?愛したら、飽きてしまう?」
「違う。・・ダメだ、愛したら、ダメだ、ユウナギ、私を」
「・・・ダメなの?エーミールは愛してるって言ってたけど、違った?」
「違わない、違わないが・・・」
「・・うん、待つよ。・・・エーミール、好きだよ。エーミール、ありがとう。いつも大事にしてくれて。エーミール、抱いてもいい?」
「・・良い」
「じゃあ、湯浴みしようか」

エーミールは何か言いたそうで何も言わず、ただ優しく洗い合った。

ベッドに入って、横になったエーミールと手を繋ぎながらキスをする。顔中に、髪に、耳に、そっと柔らかく。唇にそっと唇で触れて食んだ。感触だけを伝えるようにゆっくり啄む。繋いだ手に少し力が入って、熱い息が零れた。
なめらかな唇の表面だけを舌先で微かに舐めると、身じろぎをした。唇を舌で割ると、待ち切れないエーミールの舌が迎えにきて絡みついてくる。奥まで届くように角度を変えてエーミールの唇を覆うと、くぐもった呻きが聞こえた。水音をわざと立てるように歯茎と歯列を舐めっていく。握った手の指を解いて、手首の内側を爪先で微かにくすぐると体を捩った。
唇を離して見つめると、潤ませた目元を赤くして、こぼれるような色気を漂わせている。

「なんでそんなに色気があるの?・・私の美しい人、ふふっ、誘われる」

首筋に舌を這わせて舐め上げると、か細い声を上げて体がしなった。柔らかくしなった腰の下に手を差し込み、指の腹で肌をそっと撫でると、私の背中にまわったエーミールの指もすべるように踊る。鎖骨を舌で弾きながら指先を広げて、お腹からふっくらした乳首を通って肩までをさすり上げた。
乳首を舌で舐める。押し潰すように、弾くように、くすぐるように。エーミールは喘ぎ、体をしならせ胸を突き出した。

「捧げられてるみたい」

根元を甘噛みして膨らんだ粒をグニグニと押し潰すと、喘ぎながらシーツを掴み、足を擦り合わせる。唾液で濡らした指でもう片方を摘まんで爪先で先端を引っ掻けば、勃ちあがったモノを突き出すように腰が持ち上がった。

「おねだり?」

笑いながら根元を撫でると、恥ずかし気に頷いた。

「可愛いね」

陰嚢を優しくくすぐり、根元から先端まで舌先でゆっくりと舐めると体がピクリと揺れた。先だけを口に含み軽く吸うと、ねだるように耳をいじり、腰を突き出してきたので、それに応えるべく根元まで口内に迎える。
舌で扱きながら、片足の膝を掬い上げ会陰を軽く押すと腰が小刻みに揺れ、声が次々と零れ始めた。先端までもどり、舌先を鈴口の中に押し込みクニクニと動かせば、声が甘くなり両手で私の耳をいじって、もっと欲しいとねだる。
音を立てて吸いながら頭を上下に動かすと、私の頭を両手で挟んで自分で腰を振り始めたので、手を外して口から引き抜いた。

甘い声が途切れて、物欲しそうな顔して見てる可愛いエーミールの体を半転させ、私の目の前にお尻を晒させた。
両手で揉み解すように動かしながら、白い柔らかな肉を甘噛みしていくと体を震わせ、途切れ途切れに喘ぐ。ペニスを指で扱きながら、すぼまったお尻の穴に舌を這わし皺をなぞるようにゆっくりと舐めた。

足を張り詰め、上半身は捩るのに下半身は刺激をすべて受け止めるべく私を待っている。お尻を甘噛みしたり、舐めったりしながら指で肛門の周りを円を描くように解していく。優しく丁寧に何度も。
エーミールは私の下で声を上げ震えるだけ。
肛門を舌先でつついてほんの少しだけ内側を舐めると、体が跳ね掠れた喘ぎが漏れた。
指先で軽く押しながら聞いてみる。

「ねえ、中に指欲しい?」
「・・・欲しい」
「塗る用の油か何かある?」
「・・ある」

体を起こして、ベッドの近くの棚にある箱から綺麗なクリーム瓶を取り出した。目を伏せ無言で差し出されたので、受け取る。座り込んだまま恥ずかし気に俯いているエーミールを、そっと押し倒した。
頬にキスしながら耳元で聞く

「可愛い人、お願いがあるんだけど」
「・・・何だ?」
「私、お尻いじるの初めてだから教えてね」
「初めて?」
「うん。・・・上手じゃなくて申し訳ないんだけど、気を付けるから教えて」
「・・・ああ」

潤んだ揺れる目で見つめ、私をギュッと抱きしめてキスをした。

クリームをたっぷり手に取ってから、指で肛門に塗り付ける。解すように塗り、固めのクリームの小さな塊を中に入れるように押し込んだ。もう一度クリームを押し込んで、指にも塗りつけ中指をゆっくり穴の中へ進めると小さな呻きが聞こえる。
足りないよりは多いほうがいいと思い、途中で一度出し、クリームを追加する。震える体にまたゆっくり押し込んで全部入った。指の腹でゆるゆると腸壁を撫でるたび、エーミールの足がピクリと動く。爪があたらないようにゆっくり少しだけ上下に動かすと、声が漏れた。

「大丈夫?痛くない?」
「・・痛くない・・・足りない」
「どこが良い場所か教えて」

エーミールに教えてもらい指を動かす。

「ここ?」

出っ張りのようなものがあるので、指をフニフニと動かすと切ない声が漏れ、背中を丸め震えている。
指の位置を動かさないように体をずらし、ふにゃりとしたペニスを咥えた。口の中、舌で捏ねまわし柔らかい動きを楽しむ。喘ぎ続けるエーミールに口から外して聞いてみた。

「もっとして欲しいことある?このまま続ける?」
「この、まま・・っふ、・・はっ・」

私の唇を撫でて催促するので、もう一度咥えて口の中でもてあそぶ。エーミールの手が私の髪をいじり、力が抜けたように耳を触る。
そのまましばらく指と舌を動かしていると、足を強張らせた。エーミールの手に力が入って私の頭を押さえつけたと思うと口の中に温かな液体が広がる。エーミールは声を上げ続け、しばらくすると手から力がぬけたので、一度吸って口を離し、指もゆっくり抜いた。虚脱しているエーミールの頭を撫でてから浴室に行き、排水口に吐き出してうがいをし、手を洗った。
水を飲んで、コップをベッドに持って行く

「お水飲む?」

上気して潤んだままのエーミールが微かに頷いたので、もういいと言うまで口移しした。
コップをサイドテーブルに置いて、エーミールの隣に寝転び抱きしめる。頭にキスをしながら髪を梳くと、腕をまわして抱き付いてきた。

「私の可愛い人、体洗おうか?」

ギュッと抱きついたまま頷く。すっかり子供のように甘えておとなしい。手を引っ張って起こし、手を繋いで浴室まで連れていく。冷めたお湯で流し、石鹸で洗った。
布で拭いてあげて、またベッドに手を繋いで戻る。エーミールは始終、恥ずかしそうにして静かだった。ベッドで丸まったエーミールが顔を擦りつけるので、顔中に優しくキスをして抱きしめ、掛布に包む。

「おやすみ、愛しい人」

胸元に顔を埋めたままのエーミールを撫でて目を閉じた。


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