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83.長いお昼

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洗濯物を干して後片付けをする。床の埃を外に掃き出したら、オリヴァが現れた。
楽しそうな笑顔に胸を撃ち抜かれる。なんで、この人はこんなに衝撃的なんだろう。胸が苦しい。
ぼんやり見惚れていたら、抱きしめられた。

「迎えにきた」
「・・オリヴァ・・箒置いてくるね」

箒を片付けて、水で手と顔を洗う。汗ばんでしまった。ちょっと汗臭いかも。
オリヴァの側へ行き、手を繋いでオリヴァの部屋へ飛んだ。
オリヴァが抱きしめてくるのに、汗臭いのが気になり押し返すと、不満げに聞く。

「なぜ?嫌か?」
「えーと、汗かいたから、汗臭いと思って。だからちょっと離れようかと」

そう言うと、腕を掴まれて首やら耳やら胸元やらを嗅ぎまわられた。

「・・・嗅がないでください」
「ユウナギの匂いがする。良い匂い。ユウナギ、もっと」

首やら耳やら胸元やらを嗅ぎながらベロベロ舐められた。
嗅がれて恥ずかしいのに、舐められて感じてしまい、呼吸が早くなる。震えて、立てなくなりそうでオリヴァにしがみついた。
オリヴァは満足そうに笑って、震える私の服を脱がせ、ベッドに寝かせると自分も裸になって覆い被さる。
なんだか恥ずかしくて丸まっている私に、熱い息を吐きながらキスの雨を降らせた。オリヴァの荒い呼吸音といつもより熱い手にゾクゾクして、肌が粟立ち声が出てしまう。

「ユウナギ」
「なあに、オリヴァ」

オリヴァが腕の中に私を閉じ込め、小さな声で呼ぶので、小さな声で返事をした。何回も呼ばれ、何回も返事をする。

「ユウナギが居る。本当に居る。・・・・・・なぜ、女神の御許を?・・・ユウナギ、なぜ?」
「・・・熱が出ただけだよ、オリヴァ。熱が下がったらミカの家に行こうと思ったの」
「・・・本当に?」
「本当」
「・・・・・私は?・・・必要か?」

顔を隠して静かに息をするオリヴァのか細い声が、私をえぐった。オリヴァが傷ついたことが、傷つけたことが酷く苦しくて、涙が溢れる。胸が掻き毟られるようで、オリヴァに縋り付いた。

「オリヴァ、嫌だ、行かないで、オリヴァ、一緒にいて、お願い」
「・・ユウナギ」
「オリヴァ、お願い、オリヴァがいい、オリヴァがいいの」
「ユウナギ・・・私の妻、愛しい人」

熱い汗ばんだ体に、強く抱きしめられる。
唇から入りこんだ舌に絡みついて、オリヴァを求めた。オリヴァの頭を抱えて、もっと奥へと望む。
二人の息が混じって、クラクラした。
オリヴァの手が乳房を包み、揉まれて揺らされるもどかしい刺激に腰が持ち上がる。細い指先で乳首を柔く摘ままれ、待ち焦がれた刺激に声を上げて仰け反り足を突っ張ると、逃さないというように乳房を握られて執拗に擦られる。甘い刺激から逃れられず、痺れが腰で溶け仰け反って達してしまった。

達して過敏になった体は、オリヴァの指先が触れるだけで跳ねてしまう。身を捩って呻いても楽にならず、熱が体の中で暴れまわるようだった。オリヴァを捕まえて閉じ込めてしまいたい。手を掴んで懇願する。

「オリヴァ、ぁあ、オリヴァ、助けて、お願い」
「ああ、ユウナギ・・っはぁ、そんなに?」
「お願い、オリヴァ」

背中の痺れが堪らず、目に涙が浮かべてオリヴァを見上げた。上気して目を潤ませたオリヴァが、キスをしながら私の中に体を沈め始め、私はオリヴァに掴まって声にならない悲鳴を上げた。
中を擦るオリヴァの熱が私の体に震えを起こし、腰を跳ねさせ絶え間ない刺激に悶えた。オリヴァの突き上げが徐々に私を押し上げていく。必死で呼吸をして、目を開けると、潤んできらめいたオリヴァが私を見ていた。
途端に愛しさが胸に広がって、胸の内へ抱え込みたくなる。

「オリヴァ、きて、お願い、ちょうだいオリヴァ、全部ちょうだい」
「ああ、ユウナギ、全部ユウナギのものだ、私をすべてユウナギに、ああ、ユウナギ、もう」
「うん、ああっ、オリヴァ、嬉しい、嬉しいオリヴァ、私のオリヴァ」
「ユウ、ナギっ、うぅっくぅっ、うっ、あああぁああぅぅっっ」

オリヴァが私の中で達するのが嬉しくて、抱き付いて一緒に収縮した。オリヴァにくっついて彼の動きを感じると気持ちが満たされる。オリヴァの腕の中、喜びに包まれて幸せに揺蕩った。
目をつむってジッとしていると、柔らかな感触と温かい息が額にかかった。いくつもいくつも、顔中に降り注いでくすぐったい。笑いながら目を開けると、楽しそうなオリヴァと目が合う。

「お腹減った?」
「食べさせてくれる約束だ」
「覚えてるよ、私のオリヴァ」
「・・・あなたのものだ」

強く抱き合い、舌を絡ませた。あなたが欲しい。もっと奥までずっと深くまで。
唇を離して息をつく。愛し気に微笑んで私を見る彼が、ずっとずっと幸せでありますように。

起き上がり、手を繋いでテーブルまで行く。二人分の食事が並んでるテーブルは可愛らしくて、なんだか幸せの象徴みたいに見えた。

並んで座り、食べ始める。オリヴァのパンはそんなに硬くない半黒パンだった。エーミールって良いもの食べてんだな。パンを千切ってオリヴァの口へ運ぶと、笑いながら食べる。なんて可愛いんでしょう。押し倒したい。やべえ、可愛すぎる。
顔のニヤつきを誤魔化すためにスープを飲む。飲むというか食べるというか。スプーンに少し掬ってオリヴァの口元に持って行く。ぱくりと食べてやっぱり笑った。

「そういえば、双子に謝りに行こうと思って。不貞疑惑でオリヴァにも迷惑かけてごめんね」
「・・・・・なぜ?」
「ねえ、オリヴァはさ、私がエーミールの所からすっごく楽しそうに帰ってきて、そのままずっと浮かれてて、オリヴァと話してるのにその浮かれたままの態度だったらどう思う?傷つく?嫌?面白くない?」
「・・・面白くない。とても嫌だ」

本当にブスっとした顔になってしまった。両手で眉毛を撫でて眉間の皺を伸ばし、額にキスをする。

「嫌でしょ。だから謝るんだよ。・・・オリヴァと3日間、楽しくて、すごく幸せで、そのまま帰って、浮かれたままでいたから、彼らには嫌な思いをさせてしまったの」
「・・・私と過ごして幸せだった?」
「うん、今も。すごく幸せ」
「私も。こんな幸せなことはない」

頬を撫でながら、輝く瞳で私を見つめるオリヴァが眩しくて、胸がギュッとなる。

「気遣いが足りなかったんだけど、自分の感情を制御するのは難しいね。私は苦手」
「私もだ。ユウナギがいると抑えられない」

私の手の甲にキスをして、微笑む。
え、何、確信犯?イチコロなんですけど。ぐはー。
手を目に当てて上を見た。

「負けました。私の負けです。オリヴァが素敵過ぎて、敵わない。私がオリヴァを好きなこと知ってて、そういうことするわけ?」
「ふっはははっ、ふふふっ。私にそんなこと言うのはユウナギだけだ。」
「えー、それは顔を隠してるからでしょ。あ、でも見せちゃダメ。他の人がオリヴァを好きになったら困る」
「困る?」
「困る。私のオリヴァだし、私だけのオリヴァじゃないと嫌だ」

頬を赤らめると、ガバっと私を抱きしめて膝に抱き上げ、顔を擦りつけ唇を何度も啄む。

「私はあなただけのものだ。だから可愛がってくれ。ユウナギ」

膝上の私とオリヴァのあいだに、ペニスが立ち上がってる。指でそっと撫でると身じろぎをした。

「・・・これを可愛がるの?」
「ユウナギの中に入りたい。温かくてぬめったユウナギの中に」

私の舌に吸い付きながら指先で陰唇をそっと優しく撫で、クリトリスをゆっくりと刺激する。焦らすような愛撫に思わず腰が揺れてしまう。
揺れながらオリヴァのペニスを両手でゆっくり擦り、鈴口を指の腹でそっと押すと、白い体を強張らせて息を零した。
粟立ちとともに硬くなった乳首を舌先でくすぐるように舐められ、体が跳ねる。私の腰にまわった片腕が力強く、舐められるたびにしなる体を支えた。指が出入りするたびに響く水音は羞恥を煽って膣をひくつかせ、私の焦燥を駆り立てる。

熱に浮かされたように息を荒げたオリヴァが、私の浮いた腰を両手で掴み、ペニスへ降ろしていく。下腹からの痺れが体中に広がって、声を上げ続けるしかできない。オリヴァの首に腕をまわして、震える体を支えた。
全部飲み込んで仰け反る私を強く抱きしめ、熱い息を吐いて囁く。

「温かい。ユウナギ、こんなに温かいことは知らなかった。ユウナギ、私を離さないで」
「オリヴァ・ルート、離さない。お願い、離さないでオリヴァ」
「ああ、離さない。私のユウナギ、ユウナギ、ああっ、くぅっ」

オリヴァの上で揺れる。ピッタリ抱き合って擦り付け合い、声を上げる。気持ち良くて、すごく良くて、それしか言葉が出なかった。オリヴァが私の中にいて、その存在が愛しくて仕方がなかった。しっとりと汗ばんだ背中が、柔らかな灰色の瞳が、私を抱く力強い腕が。
また二人で昇る。頭の中が白く弾けてしまい、そのまましばらく動けなかった。
ゆっくりと周囲を認識する。抱き合ってるオリヴァ、汗ばんだ体、渇いた喉、食べかけの食事。
水を取って欲しいと言うと、口移しで飲ませてくれた。おかわりして存分に飲む。

「ご飯途中だよ」
「そうだな」
「仕事は?」
「そろそろ行く。昼は長く取ると言っておいたが、長過ぎた」

オリヴァが桶にもらってきたお湯で、急いで体を流し、服を着た。森まで送ってもらい、また明日の朝の約束をする。

「ご飯ちゃんと食べてね」
「ユウナギが私を離さないと約束してくれたから、もう食べられる」

とても幸せそうに笑って唇にキスをした。私もとても幸せで、それがチクリと胸を刺す。

「約束ね。食べてね。また明日」
「ああ。また明日」

オリヴァは消えて、私は立ちすくむ。私の浅はかな行動で傷つけたことを。私はオリヴァを傷付けてばかりな気がする。
私の選択は間違いだらけ?あーあ、今度からミカに相談しよう。別名、甘えるとも言う。


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