上 下
57 / 139

56.お出掛けの約束

しおりを挟む
2話投稿 1/2


____________

くすぐったくて目が覚めると、エーミールの髪が乱れて私の顔にかかっていた。静かな朝陽に柔らかく光る金髪を、手櫛で整える。少しクマができていて、疲れているのだなと思った。顔にそっと唇で触れて、頭を撫でる。
静かな寝息のエーミールを見ていたら、目を開いて悪戯っぽく笑った。

「おはよう、ユウナギ。甘やかしてくれるのか?」
「そうだよ。おはよう、エーミール」
「それなら今日も泊まってくれ」
「我儘エーミール。今日は帰って、近いうちにこれるか相談するよ」

抱き付いて顔を擦りつけられたので、キスをして頭を撫でる。

「休みを取るからどこかへ出掛けるか」
「あー、海藻買いたいな」
「ベルディントか。グラウに頼もう」
「・・・聞いても良い?」
「なんだ?」
「婚約者なら二人で出掛けても良いの?夫が一緒じゃないとダメ?」
「・・・二人ではダメだ。私と出掛ける話でグラウを出すな」
「ごめん。ちょっと確認しておこうと思ってさ。お出掛け楽しみにしてる」
「グラウと二人はダメだぞ。会うときは私を呼べ」

抱き付いて言い募るエーミールを寝かせて両手を押さえ、口付ける。ゆっくり優しく啄むとエーミールの唇も応えて動く。両手を押さえたまま覆い被さり、柔らかな唇の端から端までそっと舌先でなぞると、エーミールの口からため息が漏れた。唇の隙間から舌を差し入れ歯茎を撫でる。エーミールの温かな舌が私を迎えに来て絡みつき、うねった。落ちた唾液を飲み込んだエーミールが、舌に吸い付いて何度も啜り、私の手を強く握る。
唇を離して、そのまま頬に何度も口付けし、耳に唇を寄せて囁いた。

「わかった」

ゆっくりと手を離し、体を起こしてからエーミールの頬を撫でると、エーミールの手に掴まれた。

「ユウナギ、続きは?」

色っぽく潤んだ目で乞うように呟く。
こんな色気振り撒いちゃそりゃ粘着されるよ。この人ってば。おねだり上手だな。
指でエーミールの唇を押しながら顎を撫でる。

「仕事は?」
「大丈夫だからそんなこと聞くな。ユウナギ、続きを」

眉を下げて切なそうに急かすのが、可愛いらしくて少し笑った。エーミールの両手を掴んで体の脇におろし、手を握ったまま柔らかな肌に口付ける。首を舐めて、そのまま鎖骨を舌で強く弾くと、エーミールの喘ぎが聞こえてきた。舌を滑らせて乳首を舐めると小さく膨らみ、啄むと身じろぎしてねだるので、もう片方の膨らみも指で軽く摘まんで捏ねる。

掴んでいる方の手首から指先までをほんの少しだけ触れるように爪先でなぞりまわる。
エーミールは空いている手で私の髪を撫で、耳たぶを指で弄びながら、喘ぎ、もどかし気に腰を動かした。両手で硬くなった乳首を弾きながら、お腹を甘噛みして下腹部まで辿る。立ち上がって血管が浮き出たペニスの周りをくすぐるように指を這わし、根元だけ舐めながら会陰部を軽く押していく。動く腰の上で、汁を湛えて律動するペニスに指先を近づけ、微かに触れては離した。

「お願いだ、ユウナギ、頼むから」

荒い息を吐きながら、私の手首を掴んで、エーミールが懇願する。甘やかすって言ったからね、甘やかしてあげますよ。
笑いながら、舌で汁を舐め上げるとエーミールの喘ぎが大きくなった。
唾液で濡らした唇で柔らかく亀頭を包んで、そのまま根元までゆっくり咥え込む。息を吐いて、先端まで唇を戻し、舌で全体を舐め回した。咥え直してエーミールを見やると、目元を赤くして切なそうに私を見ている。そのまま上下に動かすと、エーミールの手が私の頭を抱え、自分で腰を動かし始めた。
エーミールに合わせて舌を動かしながら、陰嚢を揉み、咥え切れない根元を擦る。腰の動きが強く早くなり、エーミールは私の名を何度も呼びながら口の中に熱を吐き出した。
悶えながら全て吐き出し切ると、力の抜けた手で私の頬を撫でる。先端を啜って口を離すと、布が当てられたので、口から吐き出した。コップを差し出されたので受け取って水を飲む。布もコップも片付けてから私を抱きしめ、肩にキスをするエーミールの頭を撫でた。

「・・・ユウナギも、一緒に行こうと思ったのに我慢できなかった」
「我慢できないくらい良かったなら、それで良いよ」
「いつもならできる」
「うん。疲れてるからね。それに、甘やかすって言ったから、良いんだよ」

良いんだよ。早く終わった方が顎疲れないし。気にするなよ。長持ちさせようとしなくていいから。なにかしら、モテる男の自負心かしら。しつこい奴らばっかりだから、早目に終わる人は貴重なんだけどなあ。そんな比較的なこと言えないし。

「エーミールが色っぽいし、可愛いおねだりだったから楽しかったよ」
「・・・甘やかし過ぎだ」
「わかった。甘やかしは終わり」
「ダメだ」
「えぇぇぇぇ。もー、私にどうしろと。ほら、起きようね」

何じゃそら。甘えん坊のおっさんはいったいどう扱えばいいんかいの。
エーミールを連れて浴室で体を流す。サッパリして服を着て帰る支度をした。

「ところで、オリヴァをいつ誘えば良いかな?エーミールは暇ある?」
「またグラウの話を」
「エーミールとのお出掛けは決まったんだから、決まってない話をしたんだよ。エーミールがいないとダメなんだから」
「考えておく」
「エーミールはなんでオリヴァだと面白くなさそうなの?」
「他の夫も面白くない」
「・・・そうですか」

面倒臭い。おかしい、最初はもっと余裕綽々じゃなかった?ストレスが限界突破でキリキリしてんのか?ストレスで荒むとおかしくなるもんね。私もPMSの時はこんな感じなのかな。あ、わかったー!駄々こねだよ、これ。駄々こねて甘えてんだよ。幼児返りしてんのか。ますます面倒じゃん。

椅子に座るエーミールをうしろから抱きしめ、頭にキスをすると、振り返って私に抱き付き胸に顔を押し付ける。そのままの体勢で頭を撫でていると、オリヴァが来たので、さっきの話をした。

「オリヴァ、婚約者は二人で会えないんだって。だから、エーミールと相談してね」
「・・・わかった」
「じゃあね、エーミール。休み決まったら教えて」

エーミールから離れようとすると、立ち上がって私を抱きしめ、顔中にキスをする。

「・・もうお終い」
「ユウナギ、近い内に連絡する」
「はい。じゃあね」

オリヴァの隣に立ち、寂しそうなエーミールに手を振る。オリヴァが私の手を取って森番の家まで飛んだ。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

性欲の強すぎるヤクザに捕まった話

古亜
恋愛
中堅企業の普通のOL、沢木梢(さわきこずえ)はある日突然現れたチンピラ3人に、兄貴と呼ばれる人物のもとへ拉致されてしまう。 どうやら商売女と間違えられたらしく、人違いだと主張するも、兄貴とか呼ばれた男は聞く耳を持たない。 「美味しいピザをすぐデリバリーできるのに、わざわざコンビニのピザ風の惣菜パンを食べる人います?」 「たまには惣菜パンも悪くねぇ」 ……嘘でしょ。 2019/11/4 33話+2話で本編完結 2021/1/15 書籍出版されました 2021/1/22 続き頑張ります 半分くらいR18な話なので予告はしません。 強引な描写含むので苦手な方はブラウザバックしてください。だいたいタイトル通りな感じなので、少しでも思ってたのと違う、地雷と思ったら即回れ右でお願いします。 誤字脱字、文章わかりにくい等の指摘は有り難く受け取り修正しますが、思った通りじゃない生理的に無理といった内容については自衛に留め批判否定はご遠慮ください。泣きます。 当然の事ながら、この話はフィクションです。

【R-18】年下国王の異常な執愛~義母は義息子に啼かされる~【挿絵付】

臣桜
恋愛
『ガーランドの翠玉』、『妖精の紡いだ銀糸』……数々の美辞麗句が当てはまる17歳のリディアは、国王ブライアンに見初められ側室となった。しかし間もなくブライアンは崩御し、息子であるオーガストが成人して即位する事になった。17歳にして10歳の息子を持ったリディアは、戸惑いつつも宰相の力を借りオーガストを育てる。やがて11年後、21歳になり成人したオーガストは国王となるなり、28歳のリディアを妻に求めて……!? ※毎日更新予定です ※血の繋がりは一切ありませんが、義息子×義母という特殊な関係ですので地雷っぽい方はお気をつけください ※ムーンライトノベルズ様にも同時連載しています

つがいの皇帝に溺愛される幼い皇女の至福

ゆきむら さり
恋愛
稚拙な私の作品をHOTランキング(7/1)に入れて頂き、ありがとうございます✨読んで下さる皆様のおかげです🧡 〔あらすじ〕📝強大な魔帝国を治める時の皇帝オーブリー。壮年期を迎えても皇后を迎えない彼には、幼少期より憧れを抱く美しい人がいる。その美しい人の産んだ幼な姫が、自身のつがいだと本能的に悟る皇帝オーブリーは、外の世界に憧れを抱くその幼な姫の皇女ベハティを魔帝国へと招待することに……。 完結した【堕ちた御子姫は帝国に囚われる】のスピンオフ。前作の登場人物達の子供達のお話。加えて、前作の登場人物達のその後も書かれておりますので、気になる方は、是非ご一読下さい🤗 ゆるふわで甘いお話し。溺愛。ハピエン🩷 ※設定などは独自の世界観でご都合主義となります。 ◇稚拙な私の作品📝にお付き合い頂き、本当にありがとうございます🧡

【R-18】悪役令嬢ですが、罠に嵌まって張型つき木馬に跨がる事になりました!

臣桜
恋愛
悪役令嬢エトラは、王女と聖女とお茶会をしたあと、真っ白な空間にいた。 そこには張型のついた木馬があり『ご自由に跨がってください。絶頂すれば元の世界に戻れます』の文字が……。 ※ムーンライトノベルズ様にも重複投稿しています ※表紙はニジジャーニーで生成しました

【R18】義弟ディルドで処女喪失したらブチギレた義弟に襲われました

春瀬湖子
恋愛
伯爵令嬢でありながら魔法研究室の研究員として日々魔道具を作っていたフラヴィの集大成。 大きく反り返り、凶悪なサイズと浮き出る血管。全てが想像以上だったその魔道具、名付けて『大好き義弟パトリスの魔道ディルド』を作り上げたフラヴィは、早速その魔道具でうきうきと処女を散らした。 ――ことがディルドの大元、義弟のパトリスにバレちゃった!? 「その男のどこがいいんですか」 「どこって……おちんちん、かしら」 (だって貴方のモノだもの) そんな会話をした晩、フラヴィの寝室へパトリスが夜這いにやってきて――!? 拗らせ義弟と魔道具で義弟のディルドを作って楽しんでいた義姉の両片想いラブコメです。 ※他サイト様でも公開しております。

【完結】誰にも相手にされない壁の華、イケメン騎士にお持ち帰りされる。

三園 七詩
恋愛
独身の貴族が集められる、今で言う婚活パーティーそこに地味で地位も下のソフィアも参加することに…しかし誰にも話しかけらない壁の華とかしたソフィア。 それなのに気がつけば裸でベッドに寝ていた…隣にはイケメン騎士でパーティーの花形の男性が隣にいる。 頭を抱えるソフィアはその前の出来事を思い出した。 短編恋愛になってます。

処理中です...