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21.魔法使いだった
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「お待たせ。・・・どうしたの?」
ベルが黒ローブをちらりと見てから心配そうに聞いてきたので、小声で話した。
「なんか、そこの人に指輪売って欲しいって言われて、夫に聞かなきゃって言ったら、待つって。高く買って貰えるなら売ろうかと思うんだけどさ、いくらぐらいが妥当かな?」
「・・・売りたいの?前も言ってたけど、ユウの大事なものでしょ」
「お金欲しいし。買いたいものがあるから」
「俺達が買うよ」
「でも、生活に必要なものじゃないから悪いよ」
「もう、いいか?」
目が笑ってる男が話しかけてきた。
「お前たち、森番なんだろ。その親指の指輪、金1枚で買うぞ」
物価が不明なのでこっそり聞く。
「アルアル、金1枚ってどれくらいの値段?」
「・・・俺達の給金三か月分と同じくらいだ」
「それは妥当なの?」
「ああ」
わーお、給料の三か月分。昭和かよ。妥当なのかー、まあ、元の値段からすると破格だけど、もうちょっと上がらんかな。メイドイン異世界だし、プレミア付くだろ。私を隠すように立つアルの後ろから声をかけた。
「これ、私の国の指輪だから、こっちに売ってないよ。輸入物の一点物なのに当たり前の値段て、それはないんじゃない?」
「森番にしては張り込んだな。双子だから二人分か?じゃあ、金2枚だな」
おっおー、倍率行きましたー、金持ってんな、こいつ。札束で殴られたぜ。もう一声は、欲張り過ぎか。落としどころかね。
アルとベルの服を引っ張り、小声で聞く。
「結構良い値段ついたし、売って良い?」
「・・・ユウの指輪だし、ユウが良いならいいけど」
「・・まあ、そうだな」
「ミカちゃんも良い?」
「・・・うん」
「俺が話す」
アルが私の手を握り、男に向き直る。
「商談成立だ。金2枚で売る。儀式が終わるまで待ってくれ」
「ああ。それは当然だからな。これから神殿だろう?私も一緒に行こう。すぐに欲しいんだ。おい、帰るぞ」
水色の男が、ずっと無言だった後ろにいたもう一人に声をかけて歩き出した。固い顔をした三人と私は後ろに付いて行く。
「儀式へは遠慮して欲しい」
やけに低い声でアルが声を掛けると、水色の男は肩を竦めながら、自嘲気味に答えた。
「ああ、わかってるさ。魔法使いに名を知られたくないだろうからな」
「!!!魔法使い?えっ、凄い!本物?」
びっくりして声が出た。マジっすか、マジもんですか。魔法、見たい。ぜひ、とても。
「なんだ、知らないのか?国が違うと言っていたが、珍しいな」
「魔法使い居ないから。皆は知ってたの?なんで?」
皆を見回すとアルが固い顔で頷きながら教えてくれる。
「黒い光沢の長いローブを着て顔を隠し、色付きの目をしているのは魔法使いだ」
「へー顔を隠すのが魔法使いの目印なんだ」
「いや、目だな。魔法使いは色付きの目だからな。私は水色だろう?」
「そうなんだ。魔法使いは水色の目なんだねぇ」
「水色じゃない奴もいるぞ。使える魔法によって色は変わる。こいつは灰色だ」
「凄い、リアルエック〇メンじゃん!」
やべ、脳内が口から出た。
「お前の国は魔法使いをそう呼ぶのか?」
「うーん、魔法使い、と言えなくもないのかな?まあ、作り話だし、本物はいないので、・・・あの、失礼かもしれないとは思うのですが・・・魔法って、見せてもらえたりとかは、できますか?」
「ハハッハハハハ、魔法見たいのか?ハハハ。儀式で見れるだろう?」
「あ、そうか。魔力紋だっけ?そっか、魔法だね。楽しみ」
握った手に力を込め、笑いながら見上げると、アルが優しく微笑み返してくれた。
ベルが黒ローブをちらりと見てから心配そうに聞いてきたので、小声で話した。
「なんか、そこの人に指輪売って欲しいって言われて、夫に聞かなきゃって言ったら、待つって。高く買って貰えるなら売ろうかと思うんだけどさ、いくらぐらいが妥当かな?」
「・・・売りたいの?前も言ってたけど、ユウの大事なものでしょ」
「お金欲しいし。買いたいものがあるから」
「俺達が買うよ」
「でも、生活に必要なものじゃないから悪いよ」
「もう、いいか?」
目が笑ってる男が話しかけてきた。
「お前たち、森番なんだろ。その親指の指輪、金1枚で買うぞ」
物価が不明なのでこっそり聞く。
「アルアル、金1枚ってどれくらいの値段?」
「・・・俺達の給金三か月分と同じくらいだ」
「それは妥当なの?」
「ああ」
わーお、給料の三か月分。昭和かよ。妥当なのかー、まあ、元の値段からすると破格だけど、もうちょっと上がらんかな。メイドイン異世界だし、プレミア付くだろ。私を隠すように立つアルの後ろから声をかけた。
「これ、私の国の指輪だから、こっちに売ってないよ。輸入物の一点物なのに当たり前の値段て、それはないんじゃない?」
「森番にしては張り込んだな。双子だから二人分か?じゃあ、金2枚だな」
おっおー、倍率行きましたー、金持ってんな、こいつ。札束で殴られたぜ。もう一声は、欲張り過ぎか。落としどころかね。
アルとベルの服を引っ張り、小声で聞く。
「結構良い値段ついたし、売って良い?」
「・・・ユウの指輪だし、ユウが良いならいいけど」
「・・まあ、そうだな」
「ミカちゃんも良い?」
「・・・うん」
「俺が話す」
アルが私の手を握り、男に向き直る。
「商談成立だ。金2枚で売る。儀式が終わるまで待ってくれ」
「ああ。それは当然だからな。これから神殿だろう?私も一緒に行こう。すぐに欲しいんだ。おい、帰るぞ」
水色の男が、ずっと無言だった後ろにいたもう一人に声をかけて歩き出した。固い顔をした三人と私は後ろに付いて行く。
「儀式へは遠慮して欲しい」
やけに低い声でアルが声を掛けると、水色の男は肩を竦めながら、自嘲気味に答えた。
「ああ、わかってるさ。魔法使いに名を知られたくないだろうからな」
「!!!魔法使い?えっ、凄い!本物?」
びっくりして声が出た。マジっすか、マジもんですか。魔法、見たい。ぜひ、とても。
「なんだ、知らないのか?国が違うと言っていたが、珍しいな」
「魔法使い居ないから。皆は知ってたの?なんで?」
皆を見回すとアルが固い顔で頷きながら教えてくれる。
「黒い光沢の長いローブを着て顔を隠し、色付きの目をしているのは魔法使いだ」
「へー顔を隠すのが魔法使いの目印なんだ」
「いや、目だな。魔法使いは色付きの目だからな。私は水色だろう?」
「そうなんだ。魔法使いは水色の目なんだねぇ」
「水色じゃない奴もいるぞ。使える魔法によって色は変わる。こいつは灰色だ」
「凄い、リアルエック〇メンじゃん!」
やべ、脳内が口から出た。
「お前の国は魔法使いをそう呼ぶのか?」
「うーん、魔法使い、と言えなくもないのかな?まあ、作り話だし、本物はいないので、・・・あの、失礼かもしれないとは思うのですが・・・魔法って、見せてもらえたりとかは、できますか?」
「ハハッハハハハ、魔法見たいのか?ハハハ。儀式で見れるだろう?」
「あ、そうか。魔力紋だっけ?そっか、魔法だね。楽しみ」
握った手に力を込め、笑いながら見上げると、アルが優しく微笑み返してくれた。
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